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第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子
117.聖ミネルファ祭<テオドール・レイヴン視点>
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聖ミネルファ祭当日――
街中がお祭りムードで皆浮かれてやがるが、王宮内の神殿では女神ミネルファリアを讃える祭典が行われている。
俺は女神様も祭典もどうでもいいんだが、レイヴンが出るから見るしかねぇんだよな。
祭典は自国の王族と貴族たちは勿論、近隣国から重要な貴賓たちを招き入れて行う祭典でアレーシュ王国にとって重要な祭典の一つだ。
祭典の最後に行われる女神降臨の儀式は、女神からの信託を授かるために聖女が舞い踊り、祈りを捧げるという祭典の中でも一番重要だ、とレイヴンが言ってたのを思い出した。
+++
「流石に緊張してきた……」
「大丈夫ですよ。全てはミネルファリア様の御心のままに」
同じ役回りの神官と共に、試着した例の衣装に着替えて自分の出番を裏で待っていた、んだけど。
薄い絹でできた白いローブは頼りないし、下に肌の透けるシャツを身に着けてはいるものの肩口までしかないし、下半身はローブで隠されている短いパンツが膝丈までしかないから、貧弱な身体が目立っている気がして気が気じゃない。
俺の役回りとしては聖女様が舞うための神具を手渡す臣下の役なので、多くの人々が見ている中でその大役を演じなくてはならない。
聖女様が厳かに絨毯の上を一歩、また一歩、歩みを進めていく。
一筋の光が聖女を照らす時、女神の使いである天使が舞い降りて聖女の願いを聞き入れ、聖女に付き従う従者へと姿を変え、神具を与える。
というのが、この国に伝えられている聖女の伝説だ。
「女神ミネルファリアよ――――私、クローディアンヌ・オブ・ミネルファは、ここに貴方への舞と祈りを捧げます」
聖女様の言葉が合図となって、白い絹の薄衣に見を包んだ天使が聖女に神具を与えるためにその場に姿を現さなければならない。
つまり、俺の出番が回ってきた。
静かに聖女様の元へと歩み寄って手に持った美しいナイフを、もう一人が白い羽の扇を、それぞれ手渡す。
役目を終えた天使は全てを見届けるために従者となって、その場に膝をついて儀式を見守る、という流れだ。
天使の登場に辺りがざわめく。
……やっぱり、相応しくなかった気がして今更だけど良かったのかなと緊張する。
聖女様とのやり取りに注目されているのが分かって、手が震えそうだ。
聖女様が、汚れのないイメージの二人を選んだと言っていたのだけど……全く納得していないし何なら聖女様への反対勢力からの圧力で俺が選ばれるように仕向けた嫌がらせなのか? と一瞬疑ってしまった。
本番は背中に羽も生えているせいか、遠目で見れば天使のイメージに見えるかもしれないけど……
内心恥ずかしすぎて認識妨害をかけたい気持ちを必死に抑えて、膝をついた後も俯いたまま早く終われと願う。
従者へと姿を変えると言う流れだけど、大きく広げていた羽を閉じるくらいの違いしか見た目に差異がない。
それが羽を隠した、という表現になるのだと聖女様が教えてくれたけど、どっちにしても恥ずかしいことに変わりはない。
何で、天使なんだろう……ホント恥ずかしい……。
街中がお祭りムードで皆浮かれてやがるが、王宮内の神殿では女神ミネルファリアを讃える祭典が行われている。
俺は女神様も祭典もどうでもいいんだが、レイヴンが出るから見るしかねぇんだよな。
祭典は自国の王族と貴族たちは勿論、近隣国から重要な貴賓たちを招き入れて行う祭典でアレーシュ王国にとって重要な祭典の一つだ。
祭典の最後に行われる女神降臨の儀式は、女神からの信託を授かるために聖女が舞い踊り、祈りを捧げるという祭典の中でも一番重要だ、とレイヴンが言ってたのを思い出した。
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「流石に緊張してきた……」
「大丈夫ですよ。全てはミネルファリア様の御心のままに」
同じ役回りの神官と共に、試着した例の衣装に着替えて自分の出番を裏で待っていた、んだけど。
薄い絹でできた白いローブは頼りないし、下に肌の透けるシャツを身に着けてはいるものの肩口までしかないし、下半身はローブで隠されている短いパンツが膝丈までしかないから、貧弱な身体が目立っている気がして気が気じゃない。
俺の役回りとしては聖女様が舞うための神具を手渡す臣下の役なので、多くの人々が見ている中でその大役を演じなくてはならない。
聖女様が厳かに絨毯の上を一歩、また一歩、歩みを進めていく。
一筋の光が聖女を照らす時、女神の使いである天使が舞い降りて聖女の願いを聞き入れ、聖女に付き従う従者へと姿を変え、神具を与える。
というのが、この国に伝えられている聖女の伝説だ。
「女神ミネルファリアよ――――私、クローディアンヌ・オブ・ミネルファは、ここに貴方への舞と祈りを捧げます」
聖女様の言葉が合図となって、白い絹の薄衣に見を包んだ天使が聖女に神具を与えるためにその場に姿を現さなければならない。
つまり、俺の出番が回ってきた。
静かに聖女様の元へと歩み寄って手に持った美しいナイフを、もう一人が白い羽の扇を、それぞれ手渡す。
役目を終えた天使は全てを見届けるために従者となって、その場に膝をついて儀式を見守る、という流れだ。
天使の登場に辺りがざわめく。
……やっぱり、相応しくなかった気がして今更だけど良かったのかなと緊張する。
聖女様とのやり取りに注目されているのが分かって、手が震えそうだ。
聖女様が、汚れのないイメージの二人を選んだと言っていたのだけど……全く納得していないし何なら聖女様への反対勢力からの圧力で俺が選ばれるように仕向けた嫌がらせなのか? と一瞬疑ってしまった。
本番は背中に羽も生えているせいか、遠目で見れば天使のイメージに見えるかもしれないけど……
内心恥ずかしすぎて認識妨害をかけたい気持ちを必死に抑えて、膝をついた後も俯いたまま早く終われと願う。
従者へと姿を変えると言う流れだけど、大きく広げていた羽を閉じるくらいの違いしか見た目に差異がない。
それが羽を隠した、という表現になるのだと聖女様が教えてくれたけど、どっちにしても恥ずかしいことに変わりはない。
何で、天使なんだろう……ホント恥ずかしい……。
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