【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子

108.弟子との合流

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 俺はレイヴンと分かれて陛下とミネルファ祭についての確認事項と話し合いを、バ……聖女さまさまの神殿でも確認事項のすり合わせと結界の最終点検をしてた訳だが。

 まぁ、淡々としていて眠くなって仕方ねぇ。
 つまんないんだよなぁ……別にこんなの適当にやっても、綻びごと囲っちまえばいい訳だし。

 勝手にして欲しいもんだが、結界については魔塔担当だから逃げられねぇんだよな。

「これは……あの奥へと運んで頂戴。その衣装は衣装部屋へ。そっちは……って、テオドール! 欠伸してないで! 確認してるの?」
「……あぁ、してるって。陛下にも報告したしなァ。どうせボロなんだから適当に補修いれときゃいいだろ」
「あんたねぇ……いい? 各国から来賓が来るのに適当じゃダメなのよ! この国はいい加減だって思われたらどうするの?」
「んなヤツいねぇだろ。戦争やって勝てる国なんざ、この近辺にはいねぇよ」

 俺が戦争と言葉に出すと、神官たちに一斉に睨まれる。
 別に事実なんだからいいだろうが。
 ホント、神殿は空気が悪いんだよな。

「はぁ……。もう、ワザと言っているでしょう? これでふざけているくせに結界は完璧にしているのは分かるし。指摘された部分は正しいし。本当に腹立たしいわね。後は本番、頼んだわよ?」

 鬱陶しい顔しやがって。
 それはコッチも同じなんだよ。
 お前や陛下の顔なんざ見ても面白くもなんともねぇ。

「そんなにギャンギャン喚かなくてもやることはやる。面倒だがな。あと本番までに結界に問題があれば伝令を寄越せ。一応対応してやるから」
「一応って……もう。本当に口の減らない男ね。もういいわ。何かあれば連絡するから」
「おう。じゃあな」

 ヒラと手を降ってさっさとこの場から退散して神殿を出る。
 魔法が使える範囲まで来ると、レイヴンの位置を探る。
 レイヴンには特別な目印を付けてあるから、俺の目の届く範囲だったら居場所が分かるようになっている。

 知らない場所だと範囲が狭まるから注意は必要だが。

 移動テレポートで飛ぶと、ちょうど一歩踏み出そうとしたレイヴンの目の前に着地する。

「……っ、あぶなっ! いきなり目の前に飛んでこないでくださいよ!」
「別にぶつかってねぇだろ。疲れたから歩くのダルかったんだよ、大げさだな」

 ギャンギャン吠えるレイヴンを気にせず欠伸を噛み殺して見下ろす。
 その態度が気に食わないらしいレイヴンの溜め息が止まらない。
 わざとらしく何度もはぁと息を吐き出してくる。

「ここ、まだ街中ですよ? 急に子どもが飛び出てきたらどうするんですか! 座標位置が少しでもズレたら……」
「レイちゃんに印付けてるから、ズレることなんてねぇよ。安心しろ」
「はぁ……師匠の移動テレポートは制限なしですか……。今日、本当に結界張り直してきたんですよね?」
「あんなもんすぐに終わったが、面倒臭ぇ話に巻き込まれてたからなァ。ババアと陛下じゃ流石に抜け出せなくてよ。だる……」

 欠伸がさっきから止まらねぇ。
 俺の様子を見て文句を言いたげなレイヴンは、ぐっと堪えてぷるぷるしている。

「色々と言いたくなりますが、終わらせてきたのだと信じます。こちらの作業最終報告は先程一人向かわせましたから、私たちは帰還しましょうか。街で色々と頂いてしまったので、今日はシチューでも作ろうと思いまして」
「へぇ」

 レイヴンが腕にかけた買い物カゴを掲げたので中を覗き込む。

「何だ? 食わせてくれるのか?」
「結構量がありますし、お口に合うか分からないですけど。じゃないと師匠、お酒とチーズとかつまんで寝ちゃうでしょう?」
「まぁな。腹減ったし、遠慮なく食わせてもらうか。そうときまれば……」

 レイヴンの腕を掴むと、問答無用で詠唱を残して目的地へと飛ぶ。
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