【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第四章 行動に移す魔塔主と色々認めたくない弟子

98.<Theo side>何かそういう気分

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「やっぱり聖女様とは違いますよね。師匠の髪の方が何か強い感じというか」
「……ババアと比べるなよ。お前も黒髪の癖にツヤツヤしやがって。撫で心地は悪くねぇがな」
「そうですか? あんまり気にしたことないですけど……」

手を伸ばしてレイヴンの髪に触れる。
指先で梳いていると、嫌な気分もすっかりと落ち着いてきた。

レイヴンが、クス、と笑うと、つられて笑ってしまう。

「何してるんですか? 俺は別に髪の毛濡れてないですよ?」
「あぁ……そうだな。でも、お前に触れてるとアレだ。癒し効果? だったか。ソレがあるって言うじゃねぇか」
「そう言って下さる方もいますけど、そんなことはないと思いますよ? というか、男に癒しを求められても……神官でもありませんし……」
「まぁまぁ。たまにはいいじゃねぇか。何かそういう気分なんだよ」

自分でも何やってんだかと言いたくなるが。
レイヴンに触れるのが一番回復効果が高いのは事実だから仕方ねぇな。

俺にとっての回復ヒールってヤツだ。
声に出したら殴られそうだから言わねぇけど。

不思議そうな顔してるくせにやっぱり何も聞いてこないんだな。
どうせ仕事の一環くらいに思ってんだろ。

「師匠、終わりましたよ」
「よしよし」

膝枕が心地よくて、安心しきったせいか眠くなってくる。
レイヴンが声をかけてくるが、億劫な気持ちとレイヴンを見ていたい気持ちがせめぎ合って、額に軽く左の手の甲を当てて緩慢に見上げた。

何、照れてんだか。
よく分かんねぇな。

「……何か眠くなってきたわ。レイちゃんの膝枕で一眠りするかぁ」
「え? 冗談ですよね……? って。本当にうとうとしてるし……俺、このまま動けないってことですよね。今日はどうしたって言うんですか。何か、変ですよ?」
「そうかぁ? 別に、たまには俺が甘えたっていいだろうよ。いつも甘やかしてやってるし」
「それは……まぁ、そういう時もありましたね。よく分からないですけど……真面目に仕事するなら、いいですよ。眠るまではこのままでも」

珍しく許可もおりたし、甘えて膝を借りて寝ちまうか。
はふ、と、欠伸も漏れ出してきて、本格的に眠くなってくる。

「お優しいねぇー。さすが俺の可愛い弟子。じゃあお言葉に甘えて?」
「俺は師匠思いですからね。おやすみなさい、師匠」

本当は情けないとこ見せてんだが、受け入れてくれるなら遠慮なく甘えとくか。

見せたくない部分を隠してんのはズルい大人がすることだが。
大人の裏事情なんて見せたくないんだよな。

レイヴンにはキレイなままでいて欲しい。
ただでさえ、苦労してんだからよ。
このままで、キレイなままでいいじゃねぇか。

レイヴンが優しく俺の髪を梳くと、自然と瞼がおりてくる。
癒し効果抜群だな。
眠気に逆らうことはせずに、そのまま委ねて眠る。
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