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第四章 行動に移す魔塔主と色々認めたくない弟子
85.弟子の誘惑
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何かディーへの文句を言ったら少しスッキリしたな。
ウルガーにはちょっかいかけただけだしな、これ以上虐めても面白い訳でもねぇ。
大人しく魔力を引っ込めた。
ウルガーが息を吐き出し苦笑を向けてくる。
相変わらず立ち直りが早いヤツだ。
「それと、先程レイヴンにも仮ですが騎士の誓いを立てました。これからもレイヴンの良き友人として、同じく長を補佐する立場の者として、切磋琢磨していきたいと思っています」
「……まぁ、いいんじゃねぇの? 騎士様にせいぜい守ってもらわねぇとな。期待してるぜ? 副団長さんよ」
「寛大なご配慮に感謝申し上げます」
仰々しい騎士の振る舞いと挨拶がわざとらしくて鳥肌が立つな。
顎で了を示してこの件は終いにする。
だが、最後に一つだけ伝えておくか。
一瞬だけ鋭い視線を向けると、ウルガーが敏感に察知して背筋を正した。
「――――安心しろ、俺もこの落とし前はつける。……それと、良き友人っていうところ。忘れんなよ?」
「この師匠あって、この弟子アリ、ですか? 勘弁してくださいよ……。お互いにこじらせすぎないでもらっていいですか?あぁ……死ぬかと思った。では、おやすみなさい」
最終的にはやれやれと両腕をあげて、とぼけた顔して行っちまった。
足早に去っていきやがって。
「図々しいヤツ……」
ホントいちいちコッチのことを見抜いたようなことを言いやがって。
まぁ、ウルガーのことは嫌いじゃねぇが。
自然と笑いながら見送ってやると、お姫様のように優しく両腕で抱き上げているレイヴンが身動ぎする。
「んー……この威圧的な魔力は……師匠? 何してるんですか?」
ウルガーとの話が終わると、うとうとしていたはずのレイヴンが目を覚ます。
何とぼけてやがるんだか。
「何してるのかは俺の台詞だ。人が早々に引き上げてきたら、お前が夜遊びしてるじゃねぇか」
「師匠と一緒にしないでくださいー。俺は、ウルガーと、真面目な話をしてたんですから。あー……もしかして師匠、俺に触れたくて耐えられなかった?」
レイヴンはふわ、と微笑むと俺の頬に触れる。
ほんのりと赤く染まった頬のまま、俺の方を嬉しそうに見ている。
酒の力をも相まって普段よりも棘がない姿は、素直で可愛いを通り越してどっちかっつーと蠱惑的だ。
美形が目元潤ませながら、優しく微笑んでるとか。
お誘い以外何者でもねぇ。
「……チッ。なんつー顔してんだよ。お前は天然エロか? 無意識で俺を誘惑してんのかよ」
どうせ酒が抜けたら覚えてねぇだろうし。
にしても、表情がエロい。
俺の頬から滑る手を追ってその指先を食んでも微笑むばかりで、食まれていない小指で俺の唇をなぞる。
「天然エロって……聞いたことないですけど? 俺は天然じゃないし。ねぇ、師匠?」
「随分とご機嫌じゃねぇか。そんなにウルガーと飯食って楽しかったのか?」
「楽しいですよー。師匠と違って? もしかして、嫉妬してます?」
クスクスと笑いながら俺の腕の中で甘えて頬を擦り寄せてくる。
指を口から離して目を覗き込んで笑いかける。
「嫉妬だぁ? する必要あるか? お前は俺のモノだろうが」
「モノ扱いしないでくださいー。でも、師匠が可哀想だから……俺が構ってあげる」
俺の首に両手を回してギュッと抱きついてくる。
その背をひと撫でしてレイヴンを抱え直し、額に唇を落とす。
ウルガーにはちょっかいかけただけだしな、これ以上虐めても面白い訳でもねぇ。
大人しく魔力を引っ込めた。
ウルガーが息を吐き出し苦笑を向けてくる。
相変わらず立ち直りが早いヤツだ。
「それと、先程レイヴンにも仮ですが騎士の誓いを立てました。これからもレイヴンの良き友人として、同じく長を補佐する立場の者として、切磋琢磨していきたいと思っています」
「……まぁ、いいんじゃねぇの? 騎士様にせいぜい守ってもらわねぇとな。期待してるぜ? 副団長さんよ」
「寛大なご配慮に感謝申し上げます」
仰々しい騎士の振る舞いと挨拶がわざとらしくて鳥肌が立つな。
顎で了を示してこの件は終いにする。
だが、最後に一つだけ伝えておくか。
一瞬だけ鋭い視線を向けると、ウルガーが敏感に察知して背筋を正した。
「――――安心しろ、俺もこの落とし前はつける。……それと、良き友人っていうところ。忘れんなよ?」
「この師匠あって、この弟子アリ、ですか? 勘弁してくださいよ……。お互いにこじらせすぎないでもらっていいですか?あぁ……死ぬかと思った。では、おやすみなさい」
最終的にはやれやれと両腕をあげて、とぼけた顔して行っちまった。
足早に去っていきやがって。
「図々しいヤツ……」
ホントいちいちコッチのことを見抜いたようなことを言いやがって。
まぁ、ウルガーのことは嫌いじゃねぇが。
自然と笑いながら見送ってやると、お姫様のように優しく両腕で抱き上げているレイヴンが身動ぎする。
「んー……この威圧的な魔力は……師匠? 何してるんですか?」
ウルガーとの話が終わると、うとうとしていたはずのレイヴンが目を覚ます。
何とぼけてやがるんだか。
「何してるのかは俺の台詞だ。人が早々に引き上げてきたら、お前が夜遊びしてるじゃねぇか」
「師匠と一緒にしないでくださいー。俺は、ウルガーと、真面目な話をしてたんですから。あー……もしかして師匠、俺に触れたくて耐えられなかった?」
レイヴンはふわ、と微笑むと俺の頬に触れる。
ほんのりと赤く染まった頬のまま、俺の方を嬉しそうに見ている。
酒の力をも相まって普段よりも棘がない姿は、素直で可愛いを通り越してどっちかっつーと蠱惑的だ。
美形が目元潤ませながら、優しく微笑んでるとか。
お誘い以外何者でもねぇ。
「……チッ。なんつー顔してんだよ。お前は天然エロか? 無意識で俺を誘惑してんのかよ」
どうせ酒が抜けたら覚えてねぇだろうし。
にしても、表情がエロい。
俺の頬から滑る手を追ってその指先を食んでも微笑むばかりで、食まれていない小指で俺の唇をなぞる。
「天然エロって……聞いたことないですけど? 俺は天然じゃないし。ねぇ、師匠?」
「随分とご機嫌じゃねぇか。そんなにウルガーと飯食って楽しかったのか?」
「楽しいですよー。師匠と違って? もしかして、嫉妬してます?」
クスクスと笑いながら俺の腕の中で甘えて頬を擦り寄せてくる。
指を口から離して目を覗き込んで笑いかける。
「嫉妬だぁ? する必要あるか? お前は俺のモノだろうが」
「モノ扱いしないでくださいー。でも、師匠が可哀想だから……俺が構ってあげる」
俺の首に両手を回してギュッと抱きついてくる。
その背をひと撫でしてレイヴンを抱え直し、額に唇を落とす。
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