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第四章 行動に移す魔塔主と色々認めたくない弟子
84.なんだか気に食わない
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「……こんばんは、テオドール様。今、帰りですか?」
ウルガーが俺の方へと振り返る。
顔に会いたくなかったって書いてあるんだよなァ?
コッチは夜遊びもそこそこに引き上げてきたっていうのによ。
レイヴンのヤツ、出かけるとは言っていた気はするがお前こそ夜遊びしてるじゃねぇか。
見た感じ寝てやがるし。
しかものんきな顔しやがって。
俺が同じことするとギャーピーうるさくして、絶対に素直におんぶとかさせないよな?
大人気ねぇが見てると何かイラっとする。
「そこの馬鹿弟子が夜遊びしすぎるなと、最近特に煩くてなあ……で、その馬鹿弟子は、何でお前におぶられてるんだろうなあ?」
「何ででしょうねー? 俺は食事に誘っただけ、なんですけどねぇー」
ウルガーはやたらと深い意味はないし、自分は無実ですとでも言いたそうだが。
レイヴンに酒飲ませた段階でやってんだよなァ?
コイツは弱々なんだからよ。
こうなることは分かってたよな?
俺はいつもの通り笑んでいるつもりだが、ウルガーの顔色が土気色になってきて面白ぇ。
「それはそれは。随分と仲良しでいいじゃねぇか。俺の弟子が世話になったみたいで、悪いなァ?」
「いえいえ。そんなことは。これも、騎士の務め、ですから」
「ほう? 騎士の務めねぇ……。それはご苦労だな? 遅くまで馬鹿弟子に付き合ってくれてありがとうとでも言っておけばいいか? それとも、こんなになるまで飲ませやがって。俺のレイヴンに触るんじゃねぇよ、とか言えばいいか?」
「……ぜひ前者でお願いします。では、俺はこれで……」
ったく、のらりくらりと躱しやがって。
挑発にもノッてこねぇ。
本当に気が回るヤツってのは厄介だな。
俺を怒らせないように立ち回ってきやがる。
まぁ、イラっとしてるのは事実だしちょっと脅かしてやってもいいか。
その前にレイヴンを受け取らないといけねぇな。
俺が両手を広げて抱きかかえる姿勢をとると、ウルガーが背中からレイヴンをうまく腕の中へと落としてくる。
仕事は終わったとばかりにウルガーが立ち去ろうとする。
まだ逃がす訳にはいかねぇんだよな。
「待てよ」
背中越しに声をかけると、渋々といった動作でウルガーが振り返る。
「……何でしょうか?」
「ウルガー。お前、今度レイヴンに怪我を負わせるようなヘマしたら……どうなるか分かってんだろうなぁ?」
魔力を放出して、ちょっと脅かすとウルガーが息苦しそうに耐えながら言葉を紡ごうと口を開いた。
「俺が未熟であることは認めます。テオドール様の迅速な対応がなければ、今日レイヴンと話すこともできなかったかもしれません。自分自身の不甲斐なさに怒りをぶつけて、団長にも一発食らいましたし」
「ディーが、ねぇ。アイツもアイツで思うところがあった訳か。お前は騎士の中ではマシな方だし、そのお前でも不意をつかれるんじゃあな。よく調教された魔獣だったんだろうよ」
「団長もレイヴンのことを可愛がっていますので、自分以上に憤っていましたよ」
「アイツも大概だよなぁ。俺より過保護なんだよ、ジジイが孫を可愛がってんのかっていう感じだろ? あのゴツさで気持ち悪いんだよ」
ディーが憤慨してるのは何となく分かるが、レイヴンに対して過保護すぎて気持ち悪いのも事実なんだよな。
ウルガーのせいじゃねぇのは分かってるし、コイツが助けなければレイヴンは無理をしてさらに怪我を負っていたかもしれねぇ。
どっちかと言えば一番不甲斐ないのは俺だ。
ウルガーが俺の方へと振り返る。
顔に会いたくなかったって書いてあるんだよなァ?
コッチは夜遊びもそこそこに引き上げてきたっていうのによ。
レイヴンのヤツ、出かけるとは言っていた気はするがお前こそ夜遊びしてるじゃねぇか。
見た感じ寝てやがるし。
しかものんきな顔しやがって。
俺が同じことするとギャーピーうるさくして、絶対に素直におんぶとかさせないよな?
大人気ねぇが見てると何かイラっとする。
「そこの馬鹿弟子が夜遊びしすぎるなと、最近特に煩くてなあ……で、その馬鹿弟子は、何でお前におぶられてるんだろうなあ?」
「何ででしょうねー? 俺は食事に誘っただけ、なんですけどねぇー」
ウルガーはやたらと深い意味はないし、自分は無実ですとでも言いたそうだが。
レイヴンに酒飲ませた段階でやってんだよなァ?
コイツは弱々なんだからよ。
こうなることは分かってたよな?
俺はいつもの通り笑んでいるつもりだが、ウルガーの顔色が土気色になってきて面白ぇ。
「それはそれは。随分と仲良しでいいじゃねぇか。俺の弟子が世話になったみたいで、悪いなァ?」
「いえいえ。そんなことは。これも、騎士の務め、ですから」
「ほう? 騎士の務めねぇ……。それはご苦労だな? 遅くまで馬鹿弟子に付き合ってくれてありがとうとでも言っておけばいいか? それとも、こんなになるまで飲ませやがって。俺のレイヴンに触るんじゃねぇよ、とか言えばいいか?」
「……ぜひ前者でお願いします。では、俺はこれで……」
ったく、のらりくらりと躱しやがって。
挑発にもノッてこねぇ。
本当に気が回るヤツってのは厄介だな。
俺を怒らせないように立ち回ってきやがる。
まぁ、イラっとしてるのは事実だしちょっと脅かしてやってもいいか。
その前にレイヴンを受け取らないといけねぇな。
俺が両手を広げて抱きかかえる姿勢をとると、ウルガーが背中からレイヴンをうまく腕の中へと落としてくる。
仕事は終わったとばかりにウルガーが立ち去ろうとする。
まだ逃がす訳にはいかねぇんだよな。
「待てよ」
背中越しに声をかけると、渋々といった動作でウルガーが振り返る。
「……何でしょうか?」
「ウルガー。お前、今度レイヴンに怪我を負わせるようなヘマしたら……どうなるか分かってんだろうなぁ?」
魔力を放出して、ちょっと脅かすとウルガーが息苦しそうに耐えながら言葉を紡ごうと口を開いた。
「俺が未熟であることは認めます。テオドール様の迅速な対応がなければ、今日レイヴンと話すこともできなかったかもしれません。自分自身の不甲斐なさに怒りをぶつけて、団長にも一発食らいましたし」
「ディーが、ねぇ。アイツもアイツで思うところがあった訳か。お前は騎士の中ではマシな方だし、そのお前でも不意をつかれるんじゃあな。よく調教された魔獣だったんだろうよ」
「団長もレイヴンのことを可愛がっていますので、自分以上に憤っていましたよ」
「アイツも大概だよなぁ。俺より過保護なんだよ、ジジイが孫を可愛がってんのかっていう感じだろ? あのゴツさで気持ち悪いんだよ」
ディーが憤慨してるのは何となく分かるが、レイヴンに対して過保護すぎて気持ち悪いのも事実なんだよな。
ウルガーのせいじゃねぇのは分かってるし、コイツが助けなければレイヴンは無理をしてさらに怪我を負っていたかもしれねぇ。
どっちかと言えば一番不甲斐ないのは俺だ。
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