【第二部開始】風変わりな魔塔主と弟子

めーぷる

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第四章 行動に移す魔塔主と色々認めたくない弟子

79.気の合うもの同士で<レイヴン視点>

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「相変わらず人気だな。さっすが美形魔法使いさん」
「そういうウルガーも、街の人たちと随分仲がいいんだな」
「この街の人たちは人懐こいし、王宮勤めの人たちも一部を除いて身分関係なく接してるよな。敬意は払われてるし、だからといって変に畏まってなくて俺は好きだけど」
「無礼って思ってるのは貴族の一部だし礼儀が全くない訳でもないから、俺も好きだよ。この街と、この街の人たちが」

 互いに微笑み合う。
 本当にこの街の人たちは明るくて優しくて、俺にも分け隔てなく親切に接してくれる。

 この街に来る前はこういう経験をして来なかったし、黒髪はこの国でもいないみたいだから気味悪いかもしれないと思っていたけど……何か珍しくていいですねーとか、綺麗だーとか、みんな逆に褒めてくれて、恐縮してしまうくらいだ。

 貴族には目の敵にされるし、魔塔の一部の人にも邪魔者扱いはされるけど。
 それは黒髪のせいだけではないと思う。
 生まれと出身が曖昧ということもあるけど、師匠に可愛がられているということが身を守る術でもあるし、諸刃の剣でもあるんだろうな。

 俺が何となく思案を巡らせていると、ウルガーに引っ張られてともに扉を潜る。

 この店は酒場みたいだけど、酒より料理を頼んでいる人たちがたくさんいて、テーブルいっぱいに湯気をあげた料理がズラリと並んでいた。

「確かに……お腹いっぱいになりそうだ」
「だろ?肉料理は特に絶品だからオススメ」
「そうなんだ。じゃあ、注文も任せた」
「りょーかい」

 席に着くと、慣れた様子でウルガーが注文を済ませていく。

「なぁ、少しは酒飲むだろ?」
「まぁ……少しだけなら」
「俺は普通に飲むけど、レイヴンは無理すんなよ」
「そもそも、そんなに飲めないし」

 お酒はあまりいい思い出がないから自然と苦笑してしまう。
 それも含めてウルガーが楽しそうに笑って俺の分のお酒も注文してくれた。

「ウルガーには礼も言えてなかったな。心配かけてごめん。俺も色々と緊張してたから、ウルガーに任せきりの部分も多くて、討伐の時のこと色々と言われただろう?」
「あー……お互い様だし。っていうか、レイヴンは良くやってただろ。むしろ、俺が怪我を負わせたってので、落ち込んでたっていうか」
「そうなのか?」

 ウルガーはあまり落ち込む姿を見せる感じがしないから珍しい。
 自然と首を傾げると、苦い表情を見せたウルガーが運ばれたビールのマグを手に取った。

「その話をちょっとしようかなと思って。あとついでにテオドール様と最近どうなのか? とか?」
「……前半は真面目そうな話なのに、後半はどうでもいい……けど、元々相談持ちかけたのは俺だから、そっちも話すよ」
「ま、どっちにしてもお疲れさんってことで」
「まぁ……そうか。お互いに、お疲れ様?」

 マグを突き合わせてまずは互いを労う。
 師匠の話はどうでもいいので、先にウルガーの話を聞こうと視線を合わせてマグを置いた。
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