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番外編SS
ある日の晩に 1<イラストイメージ番外編SS >
しおりを挟む☆こちらは、絵師様のわかめちゃん(@fuesugiruwakame)様に描いて頂いたイラストからイメージしたお話になります。
素敵なイラスト&イラストイメージのお話の掲載許可をいただきまして、本当にありがとうございますm(_ _)m
大切なイラストですので、無断使用・転載・自作発言等
ご迷惑のかかる行為はお止めください。
番外編になりますので本編とのお話の関連はございませんが、イラストの場面を想像しながらお楽しみいただけたら嬉しいです。
+++
今日は散々だった。
夕方の開店から久しぶりに地下カジノに行ったらすっからかん。
いつもの煙草は売り切れで買い損ねる。
ついでに雨に降られてビッショリだ。
まぁ、雨に関してはどうとでもなるが。
気分が乗らねぇし、魔法を使うのも面倒だった。
せめて慰めの酒でもと見つけた葡萄酒をツケで無理矢理オヤジから買い付けた。
さすがにこれ以上濡れると面倒だし、移動で飛んで自宅のテラスまで戻ってくる。
部屋がびしょ濡れなのはレイヴンに説教されるだろうし、身体と髪だけは仕方なく魔法で乾かして葡萄酒をテーブルに置いた。
「四本で足りるか? ったく、カードもダメ、スロットもダメ、何一つ当たらねぇとは、一体なにがどうなってるってんだ? 俺がなにしたって言うんだよ」
舌打ちしながらソファーに座る気にもなれず、床にドカリと腰を下ろした。
ひんやりしてるが、それくらいが丁度いい。
これから酒を飲んであたたまる訳だしな?
コルクを引き抜いて、瓶ごと煽って飲むと喉がカッと熱くなる。
焼ける感じが堪らない。
「たまにはコレくらい飲まねぇとやってらんねぇんだよな。っし、今日中に飲んじまうか」
こんなもん飲んだに入らねぇし、そう思ってグビグビと流し込むように飲んでいく。
+++
流石に三本目辺りで酔ってきた。
イラついた気持ちは治まったが、ここから動くのも面倒臭い。
戻ってきてからずっと飲み続けていたせいか外はいつの間にか夜に変わり、月明かりだけが頼りの室内は飲み始めた頃と比べると大分暗い。
部屋の明かりを点けるために立ち上がるのも面倒で灯火でテーブルの上の簡易ランプに明かりを入れると、自分の周りはふわりと昼のように明るくなる。
「ここで寝ちまってもいいが、どうすっか……」
明るくしたばかりだというのに、口から大欠伸が漏れる。
襲ってきた眠気にうとうとし始めると、扉を叩く音が聞こえてきた。
「師匠? 夜にすみません。少し確認したいことが……」
「開いてるから入ってこい」
「では失礼します」
レイヴンの気配は酔ってようが魔力の感じで大体分かる。
部屋前の結界に触れると俺に伝わるようになっている仕掛けを施していて、あまりないがここまで入り込むような不届き者がいれば分かるようにしてある。
普通の結界も不可視だが時折光が見えるのに対して、俺が作った結界は誰にも見えない不可視、透明だ。
ついでに言うとレイヴンに関しては結界を通れる許可を施しているので、全く関係ない。
まぁ、触れれば来たことは分かるがその前に自分で気づいちまうんだよな。
遠慮がちに開かれた扉からレイヴンが室内に入ってくる。
あまりの薄暗さに明かりをつけようか迷っていたが、灯火に気付くとそのままこっちに寄ってくる。
「……な、なんですかこのお酒の量……」
「あぁ? まぁ……たまにはな」
「たまにはって、どれだけ飲んでるんですか! もう、何か床にまた瓶やら資料やら転がしてるし! この前綺麗にしたばかりなのに……」
屈んだレイヴンがせっせと片付けを始める。
何しに来たか知らねぇが、レイヴンを見ているとやっぱ気分がイイ。
さっきまでのヤケ酒が嘘みたいに今度は気分が良くなってきやがった。
「なぁ、何しに来たんだよ。こんな時間に」
「え? あぁ……少し確認しておきたいことがって、俺、言いませんでしたっけ?」
「んあ? そんなこと言ってたなァ」
ローブで身体の線は隠れてるが、相変わらず細い。
もっと肉付きがあってもいいが、レイヴンらしくて今の身体つきも好みではある。
あー……触りたくなってくるな。
「もう、資料はこっちに纏めておいておきますから……瓶はまとめておかないと、この量! いつ捨てる気ですか?」
「いざとなったら魔法で溶かせばいいだろ」
「ホント、人としてどうかと思います。人じゃないかもしれないけど」
ぶつくさ言いながらも甲斐甲斐しく世話を焼くところが従順だよな。
レイヴンを見てると衝動的に抱きたくなってくる。
俺の全てを受け止めてくれるのはコイツしかいねぇしな。
片付けを一通り済ませて床の上を綺麗にしたレイヴンが、床の上で胡座をかいて酒をかっくらっている俺の側まで戻ってくる。
「で、先程言いかけたことですが。明日からの訓練内容について……って。何ていう格好してるんですか……何で床? それに酒臭いし、もう最悪……」
呆れ返ったレイヴンが無防備に俺の目の前まで歩み寄ってしゃがみ込んだ。
ニィと笑んで身を乗り出すと、そのままレイヴンに体重を載せて床へと引き倒す。
そのまま覆いかぶさって、じっとその姿を眺めた。
ぁー……薄明かりの中で見ても相変わらず綺麗だよな。
普段より二割増しで美人に見える。
不意打ちで驚いて固まっているレイヴンの左手に右手を絡ませた。
レイヴンの手はひんやりとしているが、いつもしっとりとしていて触り心地がイイ。
普段ならギャーギャー騒ぐはずなのに、レイヴンがやたらと大人しい。
目線だけは反抗的にも見えるが、どうしたんだ?
「師匠、酔ってます……?」
「さぁ、どうだろうなぁ?」
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