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第一章 積極的な魔塔主と翻弄される弟子
16.予想通りの騎士団長と飄々とした魔塔主
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「いや、だってよ。アイツ初の1人立ちで張り切ってた癖に、何か失敗したとか言いやがって落ち込んでやがるし。酒飲んで励ましてたら、勢いで?」
「お前ってヤツは! 勢いで弟子に手を出すバカがいるか! ……ハッ!?」
予想通りデカい声出しやがって。
……ったく。口を抑えても遅ぇんだよ。
防音魔法を展開しておいて良かったぜ。
ディーも周りを見て、俺が魔法で結界を展開したことに漸く気付く。
結界はちょっとした違和感と時々薄っすらと魔法の膜が見えるから良く見ればそこに張られていることが分かる。
コイツ、俺が魔法を使うと毎回納得できないみたいな顔をするんだが。
魔塔主サマを何だと思ってんだか。
「まぁ、これでも耐えた方じゃねぇか? 元々いろんな意味で気に入ってたしな。いつかモノにしてやろうかと考えてたのが早まったってくらいで」
「だからといって……それで、レイヴンは傷ついていないだろうな?」
「アレがそんな風に見えるのはお前の目が腐ってるからだろ。何やかんやで嫌そうじゃなかったぜ? 夜は可愛い子猫なんだがなァ」
俺の言い方に耐えかねたディーが、剣を抜いて切っ先を俺の喉元に突きつける。
「コイツは……! クソ! レイヴンの代わりに俺が叩き切ってやる!」
「待て待て待て! 声は聞こえてねぇけど、お前の姿は丸見えなんだからよ? 可愛い部下たちが驚いてるじゃねぇか。落ち着けって」
ディーが振り返った先の団員たちが不安そうな視線でオロオロしている。
ディーは荒々しく溜息を付くと、仕方なくという顔をしながら俺に向けた剣を収めた。
「だったらせめて、外で誰かを抱くのはやめろ! レイヴンのことを本当に大切に思っているのならな」
「はいはい。うるっせぇーな。お前に言ったのは間違いだったか? 同期の馴染みでわざわざ足を運んでやったってのによ」
両腕を上げて降参の意を示してやる。
それでも拳をワナワナと震わせながらも青筋だけで耐え忍ぶディーが見えれば、険悪に見えちまうよなァ?
「用件はそれだけか? 今日のところは俺が引き下がってやるから、用が済んだなら帰れ。これ以上お前の顔を見てると斬りかかりたくなる」
「おーおー怖いねぇ? まぁ心配すんなって。大事な大事な、弟子だからよ」
そう言い放って防音魔法を解く。
これだけ言えばもう用はねぇ。
ヒラヒラと手を振り、歩き去る。
背中に痛い視線を感じる気はするが、俺には関係ないことだ。
遠目で少し振り返る。
慌てて近寄ってきた団員たちに対してディーは、何でもない素振りをしてまた訓練に戻った。
冗談が通じないお硬いヤツなのは変わらねぇな。
「お前ってヤツは! 勢いで弟子に手を出すバカがいるか! ……ハッ!?」
予想通りデカい声出しやがって。
……ったく。口を抑えても遅ぇんだよ。
防音魔法を展開しておいて良かったぜ。
ディーも周りを見て、俺が魔法で結界を展開したことに漸く気付く。
結界はちょっとした違和感と時々薄っすらと魔法の膜が見えるから良く見ればそこに張られていることが分かる。
コイツ、俺が魔法を使うと毎回納得できないみたいな顔をするんだが。
魔塔主サマを何だと思ってんだか。
「まぁ、これでも耐えた方じゃねぇか? 元々いろんな意味で気に入ってたしな。いつかモノにしてやろうかと考えてたのが早まったってくらいで」
「だからといって……それで、レイヴンは傷ついていないだろうな?」
「アレがそんな風に見えるのはお前の目が腐ってるからだろ。何やかんやで嫌そうじゃなかったぜ? 夜は可愛い子猫なんだがなァ」
俺の言い方に耐えかねたディーが、剣を抜いて切っ先を俺の喉元に突きつける。
「コイツは……! クソ! レイヴンの代わりに俺が叩き切ってやる!」
「待て待て待て! 声は聞こえてねぇけど、お前の姿は丸見えなんだからよ? 可愛い部下たちが驚いてるじゃねぇか。落ち着けって」
ディーが振り返った先の団員たちが不安そうな視線でオロオロしている。
ディーは荒々しく溜息を付くと、仕方なくという顔をしながら俺に向けた剣を収めた。
「だったらせめて、外で誰かを抱くのはやめろ! レイヴンのことを本当に大切に思っているのならな」
「はいはい。うるっせぇーな。お前に言ったのは間違いだったか? 同期の馴染みでわざわざ足を運んでやったってのによ」
両腕を上げて降参の意を示してやる。
それでも拳をワナワナと震わせながらも青筋だけで耐え忍ぶディーが見えれば、険悪に見えちまうよなァ?
「用件はそれだけか? 今日のところは俺が引き下がってやるから、用が済んだなら帰れ。これ以上お前の顔を見てると斬りかかりたくなる」
「おーおー怖いねぇ? まぁ心配すんなって。大事な大事な、弟子だからよ」
そう言い放って防音魔法を解く。
これだけ言えばもう用はねぇ。
ヒラヒラと手を振り、歩き去る。
背中に痛い視線を感じる気はするが、俺には関係ないことだ。
遠目で少し振り返る。
慌てて近寄ってきた団員たちに対してディーは、何でもない素振りをしてまた訓練に戻った。
冗談が通じないお硬いヤツなのは変わらねぇな。
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