上 下
3 / 481
第一章 積極的な魔塔主と翻弄される弟子

2.流れで

しおりを挟む
「ちょっと! いきなり触らないでくださいよ!」
「濡れてるか確かめてやってんだろー? ……ってか、相変わらず筋肉ねぇな」

 容赦なく手を伸ばし、薄い白のシャツの下から手を潜り込ませる。
 手のひらを当ててレイヴンの腹を触ると、レイヴンはコップを気にして遠ざけてから、俺の手を乱暴に振り払った。

「もう、大人しくしていて下さいよ! ローブ乾かしたら帰りますから」
「つれねぇなぁ。最近仕事が忙しくて、引っ掛ける暇もねぇし。抜いてねぇからご無沙汰なんだよなァ? レイちゃん、身体貸してくんねぇ?」
「はぁ? 何だよ身体って……俺で性欲処理しようとしないでくださいよ! 寝ぼけてんのも大概にしろっての」
「一人ですんのも飽きたんだって。別に減るもんじゃねぇし、たまにはいいだろ」
「頭まで酔ってんのかこのおっさんは……殴ってやろうか……」

 俺のことを睨んでくるのが可愛くてついにやけちまった。
 そんな顔しなくてもいいのによ。

「普段よりは飲んでるけどよー? お前一人くらいは、どうこう出来るくらいの余力はあるぜ?」

 本当はもう少し経ってからモノにしようと思ってたが……まぁ、いいか。
 酒も飲んで気分もいいし、俺は笑いながら姿勢を正してレイヴンへと寄る。

 面食らった隙にレイヴンの腕を一括りにして、無理矢理床へと押し倒す。
 更に起き上がれないように、足と身体の間の関節部に膝を入れて体重で押さえつけた。

「……ったぁ! ちょっと! いくら師匠でも、これ以上するなら大声だしますけど?」
「おーおー。可愛いねぇー。ちょっと髪の毛も乱れちゃったりして? 相変わらず隙だらけなんだよなァ。いいか、こうやって伸し掛かられると、主導権握られるから気をつけろよ。油断してると、ヤラれるからな」
「分かったから、いい加減開放してくださいよ! 普通に痛いって……!」
「ま、この部屋の空間閉じたから問題ねぇだろ。誰にも聞こえねぇよ」
「はぁっ? 魔法の無駄遣いしないでください……っく、ホントに動けないし……」
「押さえつけてんのは俺の自重だけだけどなァ? それにこの空間内で魔法使えねぇし」

 レイヴンの力なんて、あってないようなもんだ。
 俺に勝てるわけはないんだが、両足をバタつかせて逃げようとする。
 最初はからかってやるつもりだけだったんだが……何か、ちょっとノッてきちまったな。

 大人に襲いかかられたらどうするか? っていう見本を見せてやるのも一興か。
 嫌がる美男子を食べるってのも、興奮するしな。

 美味しくいただいてやろうと考えてると、やたらと舌舐めずりしちまう。

「どうすっかなー? でも、何かヤル気出たし。ちょっと食わせろ」
「な、なんでそうなる……むぐぅっ!?」

 まずは軽く口を塞いでやる。
 息ができないようにピッタリと塞いだあと、レイヴンが口を開きかけたところに追撃で舌を差し込み、口を押し開く。
 嫌そうに眉を寄せてるのは、さっきまで吸ってた煙草の味でもしたか?
 
 逃げようとする身体をさらに押さえつけて、顔も動かせないようにする。
 軽く何度も同じことを繰り返してやると、唇がしっとりと濡れてくる。

 どうなったかと顔を覗き込むと色味がさして、感じてきている手応えがあった。
 まだ、抵抗は続けているみたいだがそれも時間の問題だろうな。

「……少しはその気になったみてぇだな?」
「……っはぁ。誰、が……」

 言葉と表情が裏腹なんだよなぁ? 俺が囁いただけでビクビクしてるじゃねぇか。
 それでも唇に噛みついてくるんだから大したもんだし、俺を睨む目は猫みてぇだ。

 必死に威嚇してるがレイヴンの呼吸は荒い。
 俺は血の滲んだ唇を舐めて、分からせるようにもう一度口付ける。


 ――無理矢理口を開かせて、舌で捕えて、掻き回す。その繰り返しだ。


 暫く続けると、レイヴンの抵抗が弱まってきた。
 唇を開放してやると、浅い呼吸をしながらぼんやりしているレイヴンが瞳に映る。
 トロンとした顔しやがって。
 こりゃあ感じてるな。

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

処理中です...