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第十章 変わりモノ乙女ゲームの中で塩対応したのに、超難易度キャラに執着されました
109.ただいま
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ハルミリオンに呼ばれたかと思ったら、いきなり元の場所へ戻ってきていた。
スイッチした直後は確かにハルミリオンを不思議な空間から見守っているような感覚だった。
ハルミリオンを通して、全て見渡せていた感じだ。
一つ違うのは、ハルミリオンの考えも全て流れ込んでくるところかな?
今は逆に俺が見られるはずだけど、ハルミリオンは久しぶりに外へ出て疲れたから、眠らせてもらうと言って返事をしてこない。
本当かどうかは分からないけど……妹と会って考えることもあるだろうしな。
「驚かせてすみません。モーングレイさん」
「いや、構わへんでって。今度はハルミリオンじゃない方のハルやな? 見た目はほぼ変わらん気はするが、目つきとか雰囲気はやっぱり違うんやな」
「そんなにジロジロ見られても……俺は貴族ではないので、剣を握ったことなんてないんです。だから、いざというときはハルミリオンに代わってもらおうと思ってました」
「なるほどな。別の世界ってのは未だによく分からへんけど、目の前のハルは貴族じゃないってのはよく分かるわ」
俺はただの地味な一般男子だからな。ハルミリオンみたいにしっかりと教育を受けた人間でもない。
っていうか、ハルミリオンって剣が得意ってすごいよな。
もしかしたら、勉強よりも身体を動かす方が好きなのかもしれない。
「さて、俺らもそろそろ戻るとするか。帰りもこの馬車しかないんやけど……」
「あはは……頑張ります」
乗り心地の悪い馬車だけど、ここで夜明かしする訳にもいかない。
エーテルヴェールのみんなが心配してるし、早く戻らないとな。
俺たちも乗ってきた馬車へ乗り込んで、神殿へ急ぐことにした。
+++
お尻の痛さと吐き気をこらえて何とか神殿まで戻ってきた。
行きと同じように帰りも最奥で祈りを捧げると、光に包まれてエーテルヴェールの神殿へ運ばれる。
「……やっぱりここの空気の美味しさには敵いませんね」
「せやな。やっぱり特別な世界って感じがするわ。ほな、俺はさっさと退散させてもらうわ」
「モーングレイさん、本当にありがとうございました」
「二人とも律儀やなー。ほな、またな。買い物はいつでも待ってるで」
悪戯な笑みを浮かべて、モーングレイさんは手を振りながら行ってしまった。
俺はグッと背伸びをして、神殿から一旦家へと戻ることにした。
ラウディや他のみんながどこにいるのか分からないけど、この服装じゃ大げさすぎるしな。
冒険者風の服からいつもの服へ着替えたい。
家まで歩いていく途中、大量の薪を抱えたカラスに出くわす。
カラスは俺の恰好を見て、口元に微笑を浮かべていた。
たぶん、腰の剣に気付いてくれたんだろう。
「ハル、どうやらオレも役に立てたみたいだな」
「カラスのおかげで助かったよ。この剣のおかげだ、ありがとう」
「そうか。なら、いい」
それだけの会話だけど、俺の気持ちは伝わったみたいでカラスは優しい表情のまま去っていった。
しかし、あの大量の薪は工房で使うのかな?
「あ……戻ってきた! ハルさぁーん!」
「ん……? あれ、モグ?」
家の前まで帰ってくると、家の扉の前にちょこんとモグがいるのが見えた。
ブンブンと小さな手を振ってくれているのが可愛らしくて、エーテルヴェールへ帰ってきたんだなと安心できる。
「ただいま、モグ。俺の家で待っていてくれたのか?」
「はいー。ラウディ様もお待ちですよー? ハルさんはきっと一度お家へ帰ってくるんじゃないかっておっしゃって。装備をお一人で脱ぐのも大変じゃないかと、ハルさんの帰りをお待ちしてたんですー」
「そっか。ありがとな」
モグへ手を差し伸べてモグを抱き上げてから、家の中へ入る。
すると、中には読書しながら待っていたラウディがいた。
「ラウディ、ただいま」
「ハル、おかえり」
ラウディは本を置くと、嬉しそうに俺の側まで来てくれた。
そして、俺の頬に遠慮なく口づける。
ラウディはキスをするのが好きだよな。あいさつだって言ったせいか、会う度にしてくる気がする。
スイッチした直後は確かにハルミリオンを不思議な空間から見守っているような感覚だった。
ハルミリオンを通して、全て見渡せていた感じだ。
一つ違うのは、ハルミリオンの考えも全て流れ込んでくるところかな?
今は逆に俺が見られるはずだけど、ハルミリオンは久しぶりに外へ出て疲れたから、眠らせてもらうと言って返事をしてこない。
本当かどうかは分からないけど……妹と会って考えることもあるだろうしな。
「驚かせてすみません。モーングレイさん」
「いや、構わへんでって。今度はハルミリオンじゃない方のハルやな? 見た目はほぼ変わらん気はするが、目つきとか雰囲気はやっぱり違うんやな」
「そんなにジロジロ見られても……俺は貴族ではないので、剣を握ったことなんてないんです。だから、いざというときはハルミリオンに代わってもらおうと思ってました」
「なるほどな。別の世界ってのは未だによく分からへんけど、目の前のハルは貴族じゃないってのはよく分かるわ」
俺はただの地味な一般男子だからな。ハルミリオンみたいにしっかりと教育を受けた人間でもない。
っていうか、ハルミリオンって剣が得意ってすごいよな。
もしかしたら、勉強よりも身体を動かす方が好きなのかもしれない。
「さて、俺らもそろそろ戻るとするか。帰りもこの馬車しかないんやけど……」
「あはは……頑張ります」
乗り心地の悪い馬車だけど、ここで夜明かしする訳にもいかない。
エーテルヴェールのみんなが心配してるし、早く戻らないとな。
俺たちも乗ってきた馬車へ乗り込んで、神殿へ急ぐことにした。
+++
お尻の痛さと吐き気をこらえて何とか神殿まで戻ってきた。
行きと同じように帰りも最奥で祈りを捧げると、光に包まれてエーテルヴェールの神殿へ運ばれる。
「……やっぱりここの空気の美味しさには敵いませんね」
「せやな。やっぱり特別な世界って感じがするわ。ほな、俺はさっさと退散させてもらうわ」
「モーングレイさん、本当にありがとうございました」
「二人とも律儀やなー。ほな、またな。買い物はいつでも待ってるで」
悪戯な笑みを浮かべて、モーングレイさんは手を振りながら行ってしまった。
俺はグッと背伸びをして、神殿から一旦家へと戻ることにした。
ラウディや他のみんながどこにいるのか分からないけど、この服装じゃ大げさすぎるしな。
冒険者風の服からいつもの服へ着替えたい。
家まで歩いていく途中、大量の薪を抱えたカラスに出くわす。
カラスは俺の恰好を見て、口元に微笑を浮かべていた。
たぶん、腰の剣に気付いてくれたんだろう。
「ハル、どうやらオレも役に立てたみたいだな」
「カラスのおかげで助かったよ。この剣のおかげだ、ありがとう」
「そうか。なら、いい」
それだけの会話だけど、俺の気持ちは伝わったみたいでカラスは優しい表情のまま去っていった。
しかし、あの大量の薪は工房で使うのかな?
「あ……戻ってきた! ハルさぁーん!」
「ん……? あれ、モグ?」
家の前まで帰ってくると、家の扉の前にちょこんとモグがいるのが見えた。
ブンブンと小さな手を振ってくれているのが可愛らしくて、エーテルヴェールへ帰ってきたんだなと安心できる。
「ただいま、モグ。俺の家で待っていてくれたのか?」
「はいー。ラウディ様もお待ちですよー? ハルさんはきっと一度お家へ帰ってくるんじゃないかっておっしゃって。装備をお一人で脱ぐのも大変じゃないかと、ハルさんの帰りをお待ちしてたんですー」
「そっか。ありがとな」
モグへ手を差し伸べてモグを抱き上げてから、家の中へ入る。
すると、中には読書しながら待っていたラウディがいた。
「ラウディ、ただいま」
「ハル、おかえり」
ラウディは本を置くと、嬉しそうに俺の側まで来てくれた。
そして、俺の頬に遠慮なく口づける。
ラウディはキスをするのが好きだよな。あいさつだって言ったせいか、会う度にしてくる気がする。
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