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第九章 真ハピエン後の追加エピソード

102.僕のモノ※

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 俺は今どんな顔をしているんだろう?
 絶対に情けない顔をしているに違いない。そんな顔をラウディに見られているなんて、恥ずかしすぎる。

「顔、逸らさないで。俺に全部見せて欲しい」

 ラウディの少し掠れた声が耳へ届くと、俺の頭の中でじんわりと広がっていく。
 俺の身体の力が抜けた隙を見逃さず、ラウディは一気に俺のナカへ入り込んできた。

「ひっ、あぁぁ!」
「ごめん、でもこれで全部」

 ご褒美とでも言うように、ラウディにぎゅうっと抱きしめられた。
 苦しいし、熱いし……未知の感覚に翻弄されているけど、ラウディの体温を感じるとホッとする。
 俺も自然と両腕を回してぎゅうっと抱きついた。

「ふふ……ハルも求めてくれて嬉しい」
「求めるって……?」
「大丈夫。ハルはそのままでいて。全部、分かるから」

 ラウディは暗緑色の瞳に意味深な色を映しだしながら、俺を落ち着かせるために少しの間同じ体勢でいてくれた。
 だんだんとラウディの感触になれてくると、動いてもらえないのが何故かもどかしく感じてきた。

「ハル、動いて欲しいの?」
「分かんない、けど……っ」

 俺はつい、ねだるように自分の身体をラウディへ押し付けてしまった。
 すると、ラウディも微笑んで律動を始める。

「ぁっ! んんっ!」
「可愛い声……もっと聴かせて?」
「や……そういうの、いいっ」

 俺は必死になって抵抗しようとするけど、始まってしまうと何故かもっと一体感を求めたくなるのが不思議だ。
 ベッドの軋む音と、肌がぶつかり合う音が本当に一緒に重なりあっていることを伝えてくる。

「んっ!」
「やっぱりココが好き?」
「やぁっ! そこばっかり……」

 ラウディはしつこく俺の感じるポイントばかり狙ってくるので、俺の口からは甘ったるい声しか出て来なくなる。
 そんな声を出したい訳じゃないのに、自然と溢れて止まらない。

「ハル……可愛い……好き」
「ひぁっ! ぁ……」

 ダメだ。流される。
 ラウディは初心者の俺の為になるべく控えめにしてくれてるのかもしれないけど、熱くて違和感しかなかったものが別の形へ変化してくる気がする。

 俺は繋がりを求めて、気付いた時には両足をラウディの腰辺りに絡めて逃がさないようにしていた。
 もう、何も考えている余裕なんてない。ただ、ラウディの熱さを感じていたい。
 この一体感を、もっと深く。もっと強く――

「いいよ。もっとあげる」
「んぅ……っぁ……んっ」

 キスも同時にされると、もう何が何だか分からない。
 俺は無我夢中になって、ラウディだけを求めはじめる。
 
「はぁっ……」
「ハル……っ」

 最奥へ深くラウディを感じると同時に、俺たちは同時に果てた。
 熱いものが俺のナカへ流し込まれる感覚がすると同時に、満足感と脱力感が一気に襲い掛かってきた。

「ハル……」
「ラウディ……」

 お互いに名前を呼び合って、存在を確かめ合う。
 自然と重なり合った唇の感触も、どこか現実感がない。
 何度もキスを繰り返すうちに、愛しい想いでいっぱいになった。

「んぁ……」
「ハル……大好き」

 紡がれた言葉を聞きながら、俺はラウディに溺れていった。

 +++

 何度求められたのか、分からない。
 意識を失うまではふわふわと漂うような感覚だったけど、再び目を開けた時には身体もキレイにされていた。
 今更羞恥心に襲われていると、絶対に離さないと言わんばかりにラウディの腕の力が強くなる。

「ラウディ?」
「ハル……起きたの?」

 頷く代わりにラウディへ身を寄せると、額に唇が落とされた。
 何を言っていいのかも分からずに黙っていると、今度は優しく髪を梳かれていく。

「これで……ハルは僕のモノ」
「なっ……」

 いつの間にかいつものラウディに戻っていて、ペースを崩されっぱなしだ。
 でも、後悔はしていない。

「……俺は、ラウディのモノになったんだよな」

 ラウディに力強く頷かれると、余計に実感してしまって恥ずかしくなった。
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