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第八章 真のハッピーエンディングを目指して
97.チート級能力
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精霊神にも微笑ましく笑われてるって思うと、なんか恥ずかしいよな。
ハルミリオンもちらっと俺の方を見てくるし。
だって、色々欲張るためのハピエンなんだから仕方ないだろ!
真のハッピーエンディングと言えば、ご都合主義満載って決まってるんだよ!
「元々、ハルには能力を授けるつもりでした。なので、問題ありません。貴方にはスイッチの能力を授けます」
「スイッチ?」
「スイッチはハルとハルミリオンがいつでも身体と魂ごと入れ替えることのできる能力です。この能力は、この世界でもハルの世界でも使えます」
「す、すごい……チート級……」
俺が驚いていると、更に話が続けられていく。
「それと、これは貴方がこの世界を愛してくれたご褒美です。貴方にはこの世界とハルの世界を行き来できる異世界転移の能力を授けます。私たちは双子の精霊神。能力も二つ授けましょう」
「精霊神様……ありがとうございます! すごい、夢みたいだ!」
「全く……無欲そうな顔をしておいて、随分強欲なヤツだな。お前には負けたよ」
ハルミリオンには鼻で笑われたけど、その顔はどこか清々しいもので本来のハルミリオンって感じがした。
コイツとはいい友達になれそうだな。
「私たちの愛する子を甘やかすのは私たちの喜び。今回はサービスですよ? お互い別の世界にいるときは、身体と魂を互いに分かつこともできるでしょう」
別世界にいれば、俺たちは同時に存在できるって訳か。
俺の世界ではハルミリオン、エーテルヴェールは俺みたいな感じ?
それならハルミリオンもちゃんと存在できるし、便利だよな。
「同じ世界にいる時に二人で会話をしたい場合は、意識の世界で会話することも可能です。表に一人出ている時はもう一人は眠っている状態になりますが……互いに通じ合えば、少々の時間ならば頭の中でだけ会話することは可能でしょう」
「つまり、脳内会話が可能ということです。こちらは常にできる訳ではありませんが……スイッチ直後、二人の意識は身体の中で近くに存在しているためです」
スイッチ直後に限り、脳内会話も少しの間なら可能か。ますます便利すぎるな。
「ハルミリオン、お前は口は悪いし態度はデカイけど……妹さんのことは大好きなんだな」
「……ッチ。精霊神様、コイツに考えが読まれない能力もついでにいただけませんか?」
「ご褒美は……またの機会に。ハル、皆が心配しています。ゆっくりと身体を休めたら……ハルミリオンの願いを叶えるために頑張るのですよ」
「私たちは、いつでも貴方たちを見守っています。また、会いましょう。二人のハル」
精霊神を見送ると、俺とハルミリオンだけがこの世界に取り残される。
もしかして、二人で話す時間を少し与えてくれたってことか?
「俺がしていることって、全部見えてたりしないよな? ラウディとのこととか……」
「さあな。今のところ俺はお前の意識の中で眠っているだけだからな。ほら、グラウディ様が心配してるんだろう? さっさと戻れ。俺だって、夜の営みまで盗み見するつもりは……」
「それは聞いてないって! でも、妹さんのことは?」
「今、俺が出て行っても混乱させるだけだ。そうだな……困った時には俺にスイッチとやらをしてもらえばいい。エーテルヴェールでは元々お前が動けばいいと思っていたしな」
ハルミリオンはきっぱりと言い切る。
俺は確かにラウディと一緒にいたいといったけど……妹のことはどうなんだろう?
俺の顔を見たハルミリオンが俺の気持ちを察したように笑う。
「心配せずとも妹は俺にはもったいないできた妹だ。気になると言うのなら……時々会いに行ければそれでいい。俺はどちらかと言うとお前の世界に興味がある」
「そっか……じゃあ、俺の妹はハルミリオンに任せるか。俺ももちろん会いに行くけどさ」
「お前の妹か……お前がグラウディ様と楽しんでいる間に少し様子を見てくるか?」
「言い方! でもそうすると、哩夢から新たな情報が得られるかもしれないな」
空間が閉じていくのが感覚的に分かり、ハルミリオンに手を振る。
ハルミリオンも一応、片手を上げてくれた。
「では、俺はお前の妹と会ってみる。俺の妹の件、よろしく頼む」
「了解。俺の妹をよろしくな」
俺たちは意識の中で別れる。また視界は白一色になって、ふわりと浮かぶ感覚がした。
ハルミリオンもちらっと俺の方を見てくるし。
だって、色々欲張るためのハピエンなんだから仕方ないだろ!
真のハッピーエンディングと言えば、ご都合主義満載って決まってるんだよ!
「元々、ハルには能力を授けるつもりでした。なので、問題ありません。貴方にはスイッチの能力を授けます」
「スイッチ?」
「スイッチはハルとハルミリオンがいつでも身体と魂ごと入れ替えることのできる能力です。この能力は、この世界でもハルの世界でも使えます」
「す、すごい……チート級……」
俺が驚いていると、更に話が続けられていく。
「それと、これは貴方がこの世界を愛してくれたご褒美です。貴方にはこの世界とハルの世界を行き来できる異世界転移の能力を授けます。私たちは双子の精霊神。能力も二つ授けましょう」
「精霊神様……ありがとうございます! すごい、夢みたいだ!」
「全く……無欲そうな顔をしておいて、随分強欲なヤツだな。お前には負けたよ」
ハルミリオンには鼻で笑われたけど、その顔はどこか清々しいもので本来のハルミリオンって感じがした。
コイツとはいい友達になれそうだな。
「私たちの愛する子を甘やかすのは私たちの喜び。今回はサービスですよ? お互い別の世界にいるときは、身体と魂を互いに分かつこともできるでしょう」
別世界にいれば、俺たちは同時に存在できるって訳か。
俺の世界ではハルミリオン、エーテルヴェールは俺みたいな感じ?
それならハルミリオンもちゃんと存在できるし、便利だよな。
「同じ世界にいる時に二人で会話をしたい場合は、意識の世界で会話することも可能です。表に一人出ている時はもう一人は眠っている状態になりますが……互いに通じ合えば、少々の時間ならば頭の中でだけ会話することは可能でしょう」
「つまり、脳内会話が可能ということです。こちらは常にできる訳ではありませんが……スイッチ直後、二人の意識は身体の中で近くに存在しているためです」
スイッチ直後に限り、脳内会話も少しの間なら可能か。ますます便利すぎるな。
「ハルミリオン、お前は口は悪いし態度はデカイけど……妹さんのことは大好きなんだな」
「……ッチ。精霊神様、コイツに考えが読まれない能力もついでにいただけませんか?」
「ご褒美は……またの機会に。ハル、皆が心配しています。ゆっくりと身体を休めたら……ハルミリオンの願いを叶えるために頑張るのですよ」
「私たちは、いつでも貴方たちを見守っています。また、会いましょう。二人のハル」
精霊神を見送ると、俺とハルミリオンだけがこの世界に取り残される。
もしかして、二人で話す時間を少し与えてくれたってことか?
「俺がしていることって、全部見えてたりしないよな? ラウディとのこととか……」
「さあな。今のところ俺はお前の意識の中で眠っているだけだからな。ほら、グラウディ様が心配してるんだろう? さっさと戻れ。俺だって、夜の営みまで盗み見するつもりは……」
「それは聞いてないって! でも、妹さんのことは?」
「今、俺が出て行っても混乱させるだけだ。そうだな……困った時には俺にスイッチとやらをしてもらえばいい。エーテルヴェールでは元々お前が動けばいいと思っていたしな」
ハルミリオンはきっぱりと言い切る。
俺は確かにラウディと一緒にいたいといったけど……妹のことはどうなんだろう?
俺の顔を見たハルミリオンが俺の気持ちを察したように笑う。
「心配せずとも妹は俺にはもったいないできた妹だ。気になると言うのなら……時々会いに行ければそれでいい。俺はどちらかと言うとお前の世界に興味がある」
「そっか……じゃあ、俺の妹はハルミリオンに任せるか。俺ももちろん会いに行くけどさ」
「お前の妹か……お前がグラウディ様と楽しんでいる間に少し様子を見てくるか?」
「言い方! でもそうすると、哩夢から新たな情報が得られるかもしれないな」
空間が閉じていくのが感覚的に分かり、ハルミリオンに手を振る。
ハルミリオンも一応、片手を上げてくれた。
「では、俺はお前の妹と会ってみる。俺の妹の件、よろしく頼む」
「了解。俺の妹をよろしくな」
俺たちは意識の中で別れる。また視界は白一色になって、ふわりと浮かぶ感覚がした。
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