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第八章 真のハッピーエンディングを目指して
89.三女神は語る
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三女神は俺の側にやってきて、にこやかに話を続けてくれるみたいだ。
俺は内心緊張しながら、耳を傾ける。
「ユアンヌ、そんな可愛い顔をしてもダメよ。ハル、わたくしが精霊神様の許可を得て貴方をこの世界へ導きました。ですので、驚かせた原因はわたくしにあります。ごめんなさい」
モモリーヌと名乗った女神様が、俺に向かって丁寧に頭を下げてくれた。
神々しくて美人な女神様に頭を下げられると、人間の俺はなんだか気まずいし困ってしまう。
慌てて、いやいやいや! と取り乱しながら手を振った。
「ユアンヌ、モモリーヌ。元はと言えば私の想像した世界の民の人生を導けなかった私の責任なのです。ユアンヌは、平凡な人生に天運と言う名の祝福を与える女神。彼女はハルミリオンの人生に、ほんの少しのスパイスを加えたつもりでした」
「そのスパイスの分量をちょーっと間違えちゃったというか……正確にはハルミリオンのパパを大きな壁として、乗り越えてもらおうと思ったんだけど……」
「わたくしが目を離した隙に、ユアンヌの悪戯心が少し多めに作用してしまったのです。ハルミリオンには悪いことをしました。ユアンヌは少しだけ感覚が独特なのです」
なんか色々納得できない部分はあるんだけど……まず話についていくのがやっとだ。
つまり、運命の三女神はこのラブスピ世界を創った神ってことだよな?
それで、ユアンヌが分量を間違えたって……そのせいで俺が巻き込まれて、ハルミリオンは嫌な目にあったってことか?
でも、俺が選ばれた理由ってなんだろう?
この出来事自体をゲーム世界と捉えれば、答えが導けるのかもしれない。
「正直、納得できないことだらけです。つまり、俺はユアンヌ様の失敗によって元いた世界からこの世界へ引っ張られて……ハルミリオンは大きすぎる壁を越えることができなかったってことですよね?」
俺が言いきると、ユアンヌはしゅんとしてしまった。
あ……つい女神に対して言いすぎたかもしれない。
「ハルの言う通りです。ユアンヌ、天運の女神として何事も公平に与えなければ人間はただ不幸になってしまいます。目を離したわたくしの責任も重いですが……」
モモリーヌまでしゅんとし始めた? なんか悪いこと言っちゃったかな?
でも、俺は間違ってないよな。事実俺は巻き込まれて、ハルミリオンと妹もひどい目にあってる訳だし。
「二人とも、今は反省会をしている場合ではありません。ハル、貴方に謝らなくてはいけないことは多くありますが……起こってしまったことをなかったことにすることはできません。どうか寛大な心で許していただけませんか?」
「はあ……。俺はここまで来たら開き直っているのでもういいですけど。ハルミリオンのことは正直怒ってます。なので、貴方たちが女神と言うのならば、ハルミリオンを助けるために力を貸してください」
運命の三女神というくらいだし、話を聞いている限りはラブスピ世界を創造した女神ってことだ。
ということは……ゲームとして考えたら制作側の人間ってことになる。
だったら、プログラムを弄ってもらうこともできるよな?
どこまでがゲームで現実なのかも、今となっては曖昧だけど……ここは図々しく言ってしまおう。
女神様たちは何やら相談していたけど、どうやら話がまとまったみたいだ。
「ハルの言う通りですね。本来、私たちは貴方にこちらを授けるのみなのですが……精霊神に判断を仰ぐことにしましょう。必ず貴方の力になると約束します」
「ハル、ごめんね? でも、ハルもハルミリオンも……この世界に生きているみんなのことは大好きだからね!」
「その気持ちは三女神とも変わりません。この世界が皆にとって過ごしやすい素敵な世界であるように、わたくしも常に見守っています」
そういうと、女神様たちはいっせいに天に手をかざす。すると、俺の手には銀色に輝くベルのようなものが現れた。
この展開はゲームでも一度も見たことがなかった。
そもそも、運命の三女神を初めて見たんだから……俺は、真のハッピーエンディングの道を切り開いたんだよな?
俺は内心緊張しながら、耳を傾ける。
「ユアンヌ、そんな可愛い顔をしてもダメよ。ハル、わたくしが精霊神様の許可を得て貴方をこの世界へ導きました。ですので、驚かせた原因はわたくしにあります。ごめんなさい」
モモリーヌと名乗った女神様が、俺に向かって丁寧に頭を下げてくれた。
神々しくて美人な女神様に頭を下げられると、人間の俺はなんだか気まずいし困ってしまう。
慌てて、いやいやいや! と取り乱しながら手を振った。
「ユアンヌ、モモリーヌ。元はと言えば私の想像した世界の民の人生を導けなかった私の責任なのです。ユアンヌは、平凡な人生に天運と言う名の祝福を与える女神。彼女はハルミリオンの人生に、ほんの少しのスパイスを加えたつもりでした」
「そのスパイスの分量をちょーっと間違えちゃったというか……正確にはハルミリオンのパパを大きな壁として、乗り越えてもらおうと思ったんだけど……」
「わたくしが目を離した隙に、ユアンヌの悪戯心が少し多めに作用してしまったのです。ハルミリオンには悪いことをしました。ユアンヌは少しだけ感覚が独特なのです」
なんか色々納得できない部分はあるんだけど……まず話についていくのがやっとだ。
つまり、運命の三女神はこのラブスピ世界を創った神ってことだよな?
それで、ユアンヌが分量を間違えたって……そのせいで俺が巻き込まれて、ハルミリオンは嫌な目にあったってことか?
でも、俺が選ばれた理由ってなんだろう?
この出来事自体をゲーム世界と捉えれば、答えが導けるのかもしれない。
「正直、納得できないことだらけです。つまり、俺はユアンヌ様の失敗によって元いた世界からこの世界へ引っ張られて……ハルミリオンは大きすぎる壁を越えることができなかったってことですよね?」
俺が言いきると、ユアンヌはしゅんとしてしまった。
あ……つい女神に対して言いすぎたかもしれない。
「ハルの言う通りです。ユアンヌ、天運の女神として何事も公平に与えなければ人間はただ不幸になってしまいます。目を離したわたくしの責任も重いですが……」
モモリーヌまでしゅんとし始めた? なんか悪いこと言っちゃったかな?
でも、俺は間違ってないよな。事実俺は巻き込まれて、ハルミリオンと妹もひどい目にあってる訳だし。
「二人とも、今は反省会をしている場合ではありません。ハル、貴方に謝らなくてはいけないことは多くありますが……起こってしまったことをなかったことにすることはできません。どうか寛大な心で許していただけませんか?」
「はあ……。俺はここまで来たら開き直っているのでもういいですけど。ハルミリオンのことは正直怒ってます。なので、貴方たちが女神と言うのならば、ハルミリオンを助けるために力を貸してください」
運命の三女神というくらいだし、話を聞いている限りはラブスピ世界を創造した女神ってことだ。
ということは……ゲームとして考えたら制作側の人間ってことになる。
だったら、プログラムを弄ってもらうこともできるよな?
どこまでがゲームで現実なのかも、今となっては曖昧だけど……ここは図々しく言ってしまおう。
女神様たちは何やら相談していたけど、どうやら話がまとまったみたいだ。
「ハルの言う通りですね。本来、私たちは貴方にこちらを授けるのみなのですが……精霊神に判断を仰ぐことにしましょう。必ず貴方の力になると約束します」
「ハル、ごめんね? でも、ハルもハルミリオンも……この世界に生きているみんなのことは大好きだからね!」
「その気持ちは三女神とも変わりません。この世界が皆にとって過ごしやすい素敵な世界であるように、わたくしも常に見守っています」
そういうと、女神様たちはいっせいに天に手をかざす。すると、俺の手には銀色に輝くベルのようなものが現れた。
この展開はゲームでも一度も見たことがなかった。
そもそも、運命の三女神を初めて見たんだから……俺は、真のハッピーエンディングの道を切り開いたんだよな?
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