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第七章 限界突破のその先は?

69.水の精霊はある意味最強?

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 カティは俺が眠っている間、どうしていたんだろう?
 天候が悪い日は暫く続くっていう話のはずだから、育成で先を越されることはないはずだ。

「そういえば……カティは?」
「カティさんなら、ボクもみんなから心配されたーい! っておっしゃって、レリオル様に不謹慎ふきんしんだと怒られてましたねぇ。そうは言っても、ハルさんのことは気にしてらっしゃるみたいでしたよぉ」
「なんだそれ。まあ、カティはカティらしくていいけど」

 俺が笑うと、みんなつられて笑ってくれる。
 なんだか、ほのぼのした空気になってるけど心配をたくさんかけたのは確かだよな。
 みんなにお礼とごめんなさいをした方が良さそうだ。
 カティは……まあ、どっちでもいいか。

「本当にごめん。もう、無茶しすぎないようにするからさ」

 俺がちらりとラウディを見ると、ラウディは一目も気にせず抱きついてきた。
 俺とラウディの間にぴょんとモグももぐりこんでくる。
 イアリスは何処か微笑ましそうに俺たちを見てクスクスと笑ってるし、妙に恥ずかしいのは俺だけですか?

「ハルさぁーん! あっしも混ぜてくださぁい! ハルさんが冷たかったとき、本当に心配したんですからぁ」
「モグの言う通りですよ。ハル、あなたは頑張りすぎるところがあるようです。頑張ることは良いことですが、たまには私たちに頼ってくださいね」
「イアリス……ありがとう。育成は俺だけでやり遂げたいから今まで通りやらせてもらう。だけど、他のところではみんなを頼るよ」

 俺が言うと、ぎゅうーっと抱きしめる力が強くなる。
 ラウディ……俺をどこへも行かせないみたいと言わんばかりに捕まえてるよな?

「分かったって。しばらくは大人しくしてる。だけど、少しやりたいことがあるから……ラウディ、付き合ってくれるか?」
「……分かった。ハルの言うことなら……精霊使いさまの言うことなら、従う」
「いや、俺は卵だしそもそも……」

 俺が言いかけると、ラウディの人差し指が唇に触れた。
 暗緑色の瞳が、何かを訴えかけていた。余計なことは言うなってことか?

「安定してきたとはいえ、一時は危ないところだったのです。しばらく安静にしてもらわないと困ります」

 イアリスは笑顔なんだけど、実は怒ってる?
 何だか珍しく圧を感じる気がするような……?
 俺が困っていると、モグが俺の肩によじ登ってきて耳打ちしてきた。

「ハルさん、イアリス様は普段はお優しいですが精霊様たちの間では怒らせたら一番恐ろしいと言われているのがイアリス様だといわれているんですよぉ。だから……今は従っておいた方がいいですー」

 モグがぷるっと震えたのが分かり、俺も無言で頷く。
 確かにイアリスは精霊たちの間でも一番の年長者だし、怒らせたら誰も止められないだろう。

「分かりました。しばらくは家で大人しく療養に専念します」
「そうしてください。三日間はこちらの治療室で様子を見ましょう。その後、自宅療養に切り替えます」
「はい……イアリス様の言う通りに」

 俺が大人しく従うと、イアリスはいつも通り微笑してくれた。
 暖かい飲み物を持ってきますと言い残して、退室していく。

「ふわぁぁ……あっぶなかったですねぇー。過去にルカン様がイアリス様を怒らせたときも、ルカン様はイアリス様に会うたびに謝ってましたし……」
「イアリスを怒らせたらダメ。それと……さっきの話。モグに言ってもいい。でも、他はダメ」
「さっきの? ああ、俺の話か。分かった。でも、やりたいことって言うのは紫の商人に頼み事をしたいんだ。ハルの妹のことが知りたい」
「妹?」

 そう、ハルミリオンの妹のことだ。アイツだって気にしてたし、俺も夢で見た限りあの家にいたら妹がどうなるか分からない。
 妹は父上の道具にされる前にとか言ってたしな。紫の商人は情報を掴んだら教えてくれると言っていた。
 ということは、家のことを知る方法があるんだよな。
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