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第七章 限界突破のその先は?
64.兄妹
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俺は哩夢を落ち着かせるために、まずは椅子に座らせる。
哩夢が俺のことを変な目で見ていたにせよ、どうやら俺のことを嫌っている訳ではないらしいということは分かった。
ゲーム攻略を頼んだりお願いごとをしてきていたのは、ただ単に俺ならやってくれると甘えていただけだと言われた。
「俺もよくなかったけど、お前ももう少しツンツンしないで普通に接してくれれば誤解しなかったのに」
「そんなこと言われても無理! お兄ちゃんの対応見てると、攻め様にどう攻めてもらおうとか考えちゃうから」
「あー……分かった。俺への態度は理解した。それで……お前に話がある。きっと哩夢なら笑わずに聞いてくれるんじゃないかと思うから……聞いてくれるか?」
「分かった。本当は看護師さんとか呼ばないとだけど……お兄ちゃんの話を聞く」
哩夢が聞く体制になってくれたので、俺は今まで自分の身に起こったことを包み隠さず聞かせた。
俺がラブスピ世界へ行ったこと、そこで精霊たちと出会い色々な体験をしたこと。
そして、雨の日に気を失ったらここへ戻ってきたこと。
哩夢は驚いていたが、バカにしないで最後まで話を聞いてくれた。
「お兄ちゃん……哩夢がお父さんとお母さんだったら何を寝ぼけたことをって言ったと思うけど、哩夢は信じるよ。それも少しだけ考えたの。お兄ちゃんが眠ったままになっちゃったのはラブスピのせいなんじゃないかって」
「え? なんで?」
「哩夢もオタクだよ? 異世界転生とかそういうのあるかもって思うもん。だから、友達と一緒にラブスピの情報をたくさん漁ったの。もしかしたら、お兄ちゃんが起きてくれるかもって」
そういって、哩夢は公式サイトを見せてくれた。
そこには、追加のダウンロードコンテンツとアップデートのお知らせが書いてあった。
「お兄ちゃんは、ハルという名前でライバルとしてラブスピ世界へ行ったって言ったでしょ? でね、このサイトを思い出したの。見て! これはラブスピを持っている人なら無料でアップデートが入るんだけど……」
「これは……ライバルについてだ。今までライバルは名前もなく詳細情報がありませんでしたが、ライバルの設定詳細を追加しました? 待て、この名前……」
名前と顔のイラストが公式で発表されていた。
名前は……ハルミリオン・エヴァーグレイブ。黒髪で顔は地味な感じの無表情な雰囲気だ。
しかも、服はあっちで着ていた制服で間違いない。
「なあ、これって……」
「そうなの! お兄ちゃんに似てない? しかも名前がハルミリオンだよ?」
「ああ。愛称でハルっていうのも……分かる気がする。リオンでもいけそうだけど、ハルでもいいよな」
「でしょ? だから、哩夢もラブスピをやってみようと思ったんだけど、お兄ちゃんがやってくれていたセーブデータは見つからなくて……今、最初から試しにやってみてたんだよ」
確かに、哩夢のゲーム機でセーブもしていたはずなのに。
哩夢が見せてくれた画面を覗き込むと、カティのセーブデータがない。
哩夢はあえてカティという名前で始めなかったらしいんだけど、セーブデータが消えるなんて……。
「なあ哩夢。俺も分からないことだらけなんだ。でもさ、桧山 晴とハルミリオンは別人なんだと思う」
「それは……ライバルの夢を見たから?」
「ああ。今、俺は桧山 晴として戻ってきてるから、ラブスピ世界のハルがどうなっているか分からない。でも、俺は死んではいなかったってことだよな?」
「うん。お兄ちゃんは異世界転生じゃない。これは……異世界転移だね」
オタク同士な俺たちだと、理解度は一致するから話が早い。
そして、哩夢が何よりも俺の言うことを全面的に信じてくれているからこそだ。
「きっとハルの身体の中にハルミリオンもいるんだよ。何がどうなってるのかは分からないけど、意識を共有してる気がする」
「じゃあ、ハルは……お兄ちゃんが頑張ってるところを見てたのかもしれないね」
「かもな。俺もこっちへ戻ってこれるだなんて思ってなかったから嬉しいんだ。だけど……」
俺は望んでいたはずなのに、心に引っかかっていることがある。
それは、中途半端にしてしまった育成と……ラウディのことだ。
哩夢が俺のことを変な目で見ていたにせよ、どうやら俺のことを嫌っている訳ではないらしいということは分かった。
ゲーム攻略を頼んだりお願いごとをしてきていたのは、ただ単に俺ならやってくれると甘えていただけだと言われた。
「俺もよくなかったけど、お前ももう少しツンツンしないで普通に接してくれれば誤解しなかったのに」
「そんなこと言われても無理! お兄ちゃんの対応見てると、攻め様にどう攻めてもらおうとか考えちゃうから」
「あー……分かった。俺への態度は理解した。それで……お前に話がある。きっと哩夢なら笑わずに聞いてくれるんじゃないかと思うから……聞いてくれるか?」
「分かった。本当は看護師さんとか呼ばないとだけど……お兄ちゃんの話を聞く」
哩夢が聞く体制になってくれたので、俺は今まで自分の身に起こったことを包み隠さず聞かせた。
俺がラブスピ世界へ行ったこと、そこで精霊たちと出会い色々な体験をしたこと。
そして、雨の日に気を失ったらここへ戻ってきたこと。
哩夢は驚いていたが、バカにしないで最後まで話を聞いてくれた。
「お兄ちゃん……哩夢がお父さんとお母さんだったら何を寝ぼけたことをって言ったと思うけど、哩夢は信じるよ。それも少しだけ考えたの。お兄ちゃんが眠ったままになっちゃったのはラブスピのせいなんじゃないかって」
「え? なんで?」
「哩夢もオタクだよ? 異世界転生とかそういうのあるかもって思うもん。だから、友達と一緒にラブスピの情報をたくさん漁ったの。もしかしたら、お兄ちゃんが起きてくれるかもって」
そういって、哩夢は公式サイトを見せてくれた。
そこには、追加のダウンロードコンテンツとアップデートのお知らせが書いてあった。
「お兄ちゃんは、ハルという名前でライバルとしてラブスピ世界へ行ったって言ったでしょ? でね、このサイトを思い出したの。見て! これはラブスピを持っている人なら無料でアップデートが入るんだけど……」
「これは……ライバルについてだ。今までライバルは名前もなく詳細情報がありませんでしたが、ライバルの設定詳細を追加しました? 待て、この名前……」
名前と顔のイラストが公式で発表されていた。
名前は……ハルミリオン・エヴァーグレイブ。黒髪で顔は地味な感じの無表情な雰囲気だ。
しかも、服はあっちで着ていた制服で間違いない。
「なあ、これって……」
「そうなの! お兄ちゃんに似てない? しかも名前がハルミリオンだよ?」
「ああ。愛称でハルっていうのも……分かる気がする。リオンでもいけそうだけど、ハルでもいいよな」
「でしょ? だから、哩夢もラブスピをやってみようと思ったんだけど、お兄ちゃんがやってくれていたセーブデータは見つからなくて……今、最初から試しにやってみてたんだよ」
確かに、哩夢のゲーム機でセーブもしていたはずなのに。
哩夢が見せてくれた画面を覗き込むと、カティのセーブデータがない。
哩夢はあえてカティという名前で始めなかったらしいんだけど、セーブデータが消えるなんて……。
「なあ哩夢。俺も分からないことだらけなんだ。でもさ、桧山 晴とハルミリオンは別人なんだと思う」
「それは……ライバルの夢を見たから?」
「ああ。今、俺は桧山 晴として戻ってきてるから、ラブスピ世界のハルがどうなっているか分からない。でも、俺は死んではいなかったってことだよな?」
「うん。お兄ちゃんは異世界転生じゃない。これは……異世界転移だね」
オタク同士な俺たちだと、理解度は一致するから話が早い。
そして、哩夢が何よりも俺の言うことを全面的に信じてくれているからこそだ。
「きっとハルの身体の中にハルミリオンもいるんだよ。何がどうなってるのかは分からないけど、意識を共有してる気がする」
「じゃあ、ハルは……お兄ちゃんが頑張ってるところを見てたのかもしれないね」
「かもな。俺もこっちへ戻ってこれるだなんて思ってなかったから嬉しいんだ。だけど……」
俺は望んでいたはずなのに、心に引っかかっていることがある。
それは、中途半端にしてしまった育成と……ラウディのことだ。
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