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第六章 バグる距離感
39.ただいま、混乱中
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微睡む意識の中、俺はぼんやりと目線を向けた。
「誰……?」
「ハルさん、お疲れみたいですねぇ。でも日が暮れてきたら寒くなってしまいますよぉ?」
聞きなれた可愛い声がする。あれ、この声はモグか?
もう一度状況を確認しようと、必死に目を開く。
少しひんやりとした手が、俺の頬をするりと撫ぜる。
「ん……くすぐったい……って。あれ……俺、眠って?」
「あ……起こしちゃったみたいですね。ハルさん、こんにちはぁー」
状況は飲み込めないけど、誰かの肩の上にいるモグが嬉しそうに手を振っているのが見えた。
確か木に寄りかかって寝ていたはずなのに……なんで俺は寝転んでるんだ?
「ラウディ様が、座ったままより横になった方がいいんじゃないかって。ハルさんを膝枕してます」
「ひざまく……膝枕ぁ?」
俺はパチパチと瞬きする。すると、ニコニコと可愛らしく笑っているモグと髪の隙間から俺のことを優しく見下ろしている瞳と目があった。
「へ……? グラウディ様……?」
「……」
グラウディは無言で俺を何故か撫でている。一体、これはどういう状況だ?
なんで、俺は膝枕されてるんだろう?
「あの、あれ……?」
「ハルさんとラウディ様は、適度な距離ってことでしたよねぇ? ラウディ様にとって、この距離は適度な距離だそうですー」
「は、なんで? 意味が分からないのですけど」
寝ぼけていた頭の中はスッキリしてきたけど、どうしてこうなった?
俺、ちゃんと言ったよな? 深入りしませんって。
なのに、なんでそんな優しい目で俺を見てくるんだろう?
「……グラウディ様の顔、初めて見たかも」
「ラウディ様、カッコイイですよねぇ! でも、照れ屋なのでいつもお隠しになっちゃうんですよぉ。もったいないですって何度も言ってるのにー」
俺も何を言い出してるんだか。きっとゲームの説明と妹のせいだよな。
超難易度イケメンとか言われてたし。それが頭に残ってたせいでつい妙なことを口走っただけだ。
俺が起き上がろうとすると、グラウディはそっと手をどかしてくれた。
離れた瞬間、寂しさがふと湧いてきて自分に驚いてしまった。
俺、名残惜しいって。そう思ったとか? いや、ありえない。
きっと、混乱しているだけだ。
自問自答しながら、ゆっくりと身体を起こす。
改めて、グラウディとモグに向き合った。
「その……おはようございます。じゃなくって、グラウディ様とモグはどうしてここに?」
「ここに来たのはお散歩してただけなんですが、たまたまハルさんを見つけたんですー。グラウディ様がハルさんに何かあったら困るとおっしゃったのでこちらに」
「何もないと思いますし、起こしてもらって良かったのに」
急に気恥ずかしくなって、グラウディたちから視線を逸らす。
別に身体を横にするだけなら膝枕をする必要はないわけだし、俺のことを撫でる必要も全くない訳だ。
それとも、俺は子どもだと思われてるとか?
「あの……ハルさん。もしかして、お嫌でしたか? と、グラウディ様が……」
「いや、別に嫌だったという訳では。どちらかと言うとご迷惑じゃなかったかなと思っただけで。撫でられているのは心地よかった……じゃなくて!」
困った。上手く伝えられない。想像以上に俺は動揺しているらしい。
生きてきて今まで、スキンシップとかされたことがないから反応に困る。
妹だって俺に触れてきたりしないし、両親に頭を撫でられた記憶もない。
「じゃあ、お嫌だった訳じゃないんですね? 良かったぁー。ラウディ様、嫌がられてませんよ? ハルさんはきっとビックリしちゃったんですねぇ」
何故かモグが一番冷静に判断してるのが、また恥ずかしいんだけど……正解だから何も言えない。
グラウディはきっと、俺のことを弟とかそういう目線で見ているから放っておけなかったってことだな。
うん、きっとそうだ。
「誰……?」
「ハルさん、お疲れみたいですねぇ。でも日が暮れてきたら寒くなってしまいますよぉ?」
聞きなれた可愛い声がする。あれ、この声はモグか?
もう一度状況を確認しようと、必死に目を開く。
少しひんやりとした手が、俺の頬をするりと撫ぜる。
「ん……くすぐったい……って。あれ……俺、眠って?」
「あ……起こしちゃったみたいですね。ハルさん、こんにちはぁー」
状況は飲み込めないけど、誰かの肩の上にいるモグが嬉しそうに手を振っているのが見えた。
確か木に寄りかかって寝ていたはずなのに……なんで俺は寝転んでるんだ?
「ラウディ様が、座ったままより横になった方がいいんじゃないかって。ハルさんを膝枕してます」
「ひざまく……膝枕ぁ?」
俺はパチパチと瞬きする。すると、ニコニコと可愛らしく笑っているモグと髪の隙間から俺のことを優しく見下ろしている瞳と目があった。
「へ……? グラウディ様……?」
「……」
グラウディは無言で俺を何故か撫でている。一体、これはどういう状況だ?
なんで、俺は膝枕されてるんだろう?
「あの、あれ……?」
「ハルさんとラウディ様は、適度な距離ってことでしたよねぇ? ラウディ様にとって、この距離は適度な距離だそうですー」
「は、なんで? 意味が分からないのですけど」
寝ぼけていた頭の中はスッキリしてきたけど、どうしてこうなった?
俺、ちゃんと言ったよな? 深入りしませんって。
なのに、なんでそんな優しい目で俺を見てくるんだろう?
「……グラウディ様の顔、初めて見たかも」
「ラウディ様、カッコイイですよねぇ! でも、照れ屋なのでいつもお隠しになっちゃうんですよぉ。もったいないですって何度も言ってるのにー」
俺も何を言い出してるんだか。きっとゲームの説明と妹のせいだよな。
超難易度イケメンとか言われてたし。それが頭に残ってたせいでつい妙なことを口走っただけだ。
俺が起き上がろうとすると、グラウディはそっと手をどかしてくれた。
離れた瞬間、寂しさがふと湧いてきて自分に驚いてしまった。
俺、名残惜しいって。そう思ったとか? いや、ありえない。
きっと、混乱しているだけだ。
自問自答しながら、ゆっくりと身体を起こす。
改めて、グラウディとモグに向き合った。
「その……おはようございます。じゃなくって、グラウディ様とモグはどうしてここに?」
「ここに来たのはお散歩してただけなんですが、たまたまハルさんを見つけたんですー。グラウディ様がハルさんに何かあったら困るとおっしゃったのでこちらに」
「何もないと思いますし、起こしてもらって良かったのに」
急に気恥ずかしくなって、グラウディたちから視線を逸らす。
別に身体を横にするだけなら膝枕をする必要はないわけだし、俺のことを撫でる必要も全くない訳だ。
それとも、俺は子どもだと思われてるとか?
「あの……ハルさん。もしかして、お嫌でしたか? と、グラウディ様が……」
「いや、別に嫌だったという訳では。どちらかと言うとご迷惑じゃなかったかなと思っただけで。撫でられているのは心地よかった……じゃなくて!」
困った。上手く伝えられない。想像以上に俺は動揺しているらしい。
生きてきて今まで、スキンシップとかされたことがないから反応に困る。
妹だって俺に触れてきたりしないし、両親に頭を撫でられた記憶もない。
「じゃあ、お嫌だった訳じゃないんですね? 良かったぁー。ラウディ様、嫌がられてませんよ? ハルさんはきっとビックリしちゃったんですねぇ」
何故かモグが一番冷静に判断してるのが、また恥ずかしいんだけど……正解だから何も言えない。
グラウディはきっと、俺のことを弟とかそういう目線で見ているから放っておけなかったってことだな。
うん、きっとそうだ。
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