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第五章 突発イベントフラグ乱立中
35.水の精霊とティータイム
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リバイアリスは湖畔に住んでいて、こぢんまりとした水色レンガの家だったはず。
庭らしき場所にも花壇があって、色とりどりの花が咲き乱れている。
ここも丁寧に世話がされているんだろうな。
庭には水色のレースのパラソルがあって、その下に薄茶の木の丸テーブルと二つの丸椅子が準備されていた。
側には少し低めのテーブルが用意されているから、おそらくユニコ用の席なんだろう。
リバイアリスは黙々とお茶の準備をしてくれていた。
意図してないお茶イベントだけどリバイアリスの動きは洗練されていて、お茶を淹れるのにも慣れている感じがする。
「イアリス様、水やり終わりました!」
「ユニコ、いつもありがとう。ハルも手伝ってくださってありがとうございます。お茶の準備もできましたし、どうぞ休んでいってください」
「ありがとうございます。お邪魔します」
おそるおそるお茶の席へ近づくと、丸テーブルの上には美味しそうな焼き菓子が用意されていた。
マドレーヌとクッキーかな? 普段こういうお菓子は食べないから少し緊張する。
薄水色のカップはリバイアリスを思い出させるようなきれいなデザインでどこか品がある。
入っているお茶は、珍しいブルーのお茶だ。
「お口に合うか分からないですが……」
「こちらこそ、お茶の席にお呼ばれされるのは初めてで。作法とか分からないので失礼があったらすみません」
「大丈夫ですよ。気軽に楽しんでいただけたら私も嬉しいです」
リバイアリスの微笑みは、いつも心を落ち着かせてくれる。
悲しい顔もキレイだと思うけど、この人は微笑んでる顔が一番似合うんだろうな。
そっと席につくと、先に地面の上に座っていたユニコが嬉しそうにクッキーをほおばっていた。
「おいしーい!」
「それは良かった。ハルもどうぞ」
「はい、いただきます」
緊張しながらマドレーヌをつまんでいただく。
ふわっと甘い香りが口の中へ広がって、緊張感をほどいていってくれる。
気づくとペロリと食べ終わっていた。
「お口に合ったみたいで良かったです」
リバイアリスがニコニコしながらこちらを見たので、気恥ずかしくなって思わず顔をそむけた。
そっとティーカップに手を伸ばして、お茶も一口いただく。
こっちは爽やかな香りとスッとした味がして、マドレーヌとの相性も悪くない気がする。
「青色のお茶って初めてみました」
「ええ。ミンティというハーブの一種です。あたためると色が変わるお茶で、気持ちをスッキリとしてくれる効果があるのですよ」
「なるほど。美味しいお菓子とお茶をありがとうございます」
ミンティ……ミントティーってことか?
まだどうも気恥ずかしくてまともに顔が見られないけど、リバイアリスは独特の空気感がある人だな。
癒されるんだろうけど、笑顔って妙な破壊力があるというか。
まともに直視できないんだよな。
「すみません、また見つめてしまいましたね。ハルは恥ずかしがり屋だから見つめると困ると分かっているのに」
「いえ、こちらこそ。こういうの、慣れてなくて。俺はいつも一人でいることが多かったので」
サラッと言ったつもりだったのに、リバイアリスの表情が少し曇る。
しまった、場の空気を悪くするつもりはなかったんだけど……余計な一言を口走ってしまった。
「あの、気にしないでください。それが俺の日常だったというか……」
「こちらこそ、貴方は人に構われるのは苦手そうだと感じていたのですがつい気になってしまって。私も必要以上に近づいたりしませんから。安心してくださいね」
「お気遣いありがとうございます」
普通に話が通じる精霊の存在は本当にありがたい。みんな我が強すぎて一緒にいると疲れちゃうんだよな。
喋りながら、今度はクッキーをいただく。
クッキーはチョコレートクッキーなのか? この世界ではなんていうか分からないけど普通に美味しい。
庭らしき場所にも花壇があって、色とりどりの花が咲き乱れている。
ここも丁寧に世話がされているんだろうな。
庭には水色のレースのパラソルがあって、その下に薄茶の木の丸テーブルと二つの丸椅子が準備されていた。
側には少し低めのテーブルが用意されているから、おそらくユニコ用の席なんだろう。
リバイアリスは黙々とお茶の準備をしてくれていた。
意図してないお茶イベントだけどリバイアリスの動きは洗練されていて、お茶を淹れるのにも慣れている感じがする。
「イアリス様、水やり終わりました!」
「ユニコ、いつもありがとう。ハルも手伝ってくださってありがとうございます。お茶の準備もできましたし、どうぞ休んでいってください」
「ありがとうございます。お邪魔します」
おそるおそるお茶の席へ近づくと、丸テーブルの上には美味しそうな焼き菓子が用意されていた。
マドレーヌとクッキーかな? 普段こういうお菓子は食べないから少し緊張する。
薄水色のカップはリバイアリスを思い出させるようなきれいなデザインでどこか品がある。
入っているお茶は、珍しいブルーのお茶だ。
「お口に合うか分からないですが……」
「こちらこそ、お茶の席にお呼ばれされるのは初めてで。作法とか分からないので失礼があったらすみません」
「大丈夫ですよ。気軽に楽しんでいただけたら私も嬉しいです」
リバイアリスの微笑みは、いつも心を落ち着かせてくれる。
悲しい顔もキレイだと思うけど、この人は微笑んでる顔が一番似合うんだろうな。
そっと席につくと、先に地面の上に座っていたユニコが嬉しそうにクッキーをほおばっていた。
「おいしーい!」
「それは良かった。ハルもどうぞ」
「はい、いただきます」
緊張しながらマドレーヌをつまんでいただく。
ふわっと甘い香りが口の中へ広がって、緊張感をほどいていってくれる。
気づくとペロリと食べ終わっていた。
「お口に合ったみたいで良かったです」
リバイアリスがニコニコしながらこちらを見たので、気恥ずかしくなって思わず顔をそむけた。
そっとティーカップに手を伸ばして、お茶も一口いただく。
こっちは爽やかな香りとスッとした味がして、マドレーヌとの相性も悪くない気がする。
「青色のお茶って初めてみました」
「ええ。ミンティというハーブの一種です。あたためると色が変わるお茶で、気持ちをスッキリとしてくれる効果があるのですよ」
「なるほど。美味しいお菓子とお茶をありがとうございます」
ミンティ……ミントティーってことか?
まだどうも気恥ずかしくてまともに顔が見られないけど、リバイアリスは独特の空気感がある人だな。
癒されるんだろうけど、笑顔って妙な破壊力があるというか。
まともに直視できないんだよな。
「すみません、また見つめてしまいましたね。ハルは恥ずかしがり屋だから見つめると困ると分かっているのに」
「いえ、こちらこそ。こういうの、慣れてなくて。俺はいつも一人でいることが多かったので」
サラッと言ったつもりだったのに、リバイアリスの表情が少し曇る。
しまった、場の空気を悪くするつもりはなかったんだけど……余計な一言を口走ってしまった。
「あの、気にしないでください。それが俺の日常だったというか……」
「こちらこそ、貴方は人に構われるのは苦手そうだと感じていたのですがつい気になってしまって。私も必要以上に近づいたりしませんから。安心してくださいね」
「お気遣いありがとうございます」
普通に話が通じる精霊の存在は本当にありがたい。みんな我が強すぎて一緒にいると疲れちゃうんだよな。
喋りながら、今度はクッキーをいただく。
クッキーはチョコレートクッキーなのか? この世界ではなんていうか分からないけど普通に美味しい。
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