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第四章 黙々と育成からのお手伝いループ
24.土の精霊再び
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モグはどうやら付近に誰もいないことを確認したらしい。
俺は立ち止まって話の続きを待つ。
「実は……ハルさんに用事がある訳ではなくてですねぇ。本当はラウディ様が読む本を取りに来たんですー」
「え……? じゃあなんで俺を探しに来ただなんて……」
「それはですねぇ。ラウディ様が……ハルさんが困っているようだから助けてやれとおっしゃったもので。用事があると言いました。ちょっとドキドキしましたよぉー」
モグがもそもそ動くと、グラウディがよくやったと褒めるようにモグをなでなでする。
なでられたモグも嬉しそうにしているみたいだし、嘘がバレなくて良かったけど……グラウディは俺を助けてくれたってことか。
「ありがとうございます。でも、俺のことは気になさらずに。疑われても仕方ない態度をとっていたようなので。グラウディ様にも不快な態度をとっていたでしょうし」
先手を打って俺のことは気にしないようにと牽制すると、グラウディがモグへ何かを伝えているのが自然と視界に入ってくる。
グラウディにあからさまに拒絶されてないということは、ライバルもグラウディに近づかなかったのかもしれないけど……好感度がどれくらいなのか確信が持てない。
昨日、親切にしてくれたのはたまたまだった気がするし。
「ハルさん、ラウディ様がハルさんとお会いになられたのは中間報告の時以外はあっしの手伝いをしてくれた後が初めてだったそうなので。特に嫌な思いはしていないそうですよぉ」
「そうですか。なら良かった」
グラウディに嫌われると露骨に嫌がられるからセーフかなとは思っていたけど、本人に確認できて安心した。
アウレリオルみたいに警戒されたり、ヴォルカングみたいに敵視されるのも正直疲れるからな。
「では、俺はそろそろ帰ります」
特に用事はないと言っていたし、行動時間的に今日はおしまいだろうから家へ戻ろうとするとモグにハルさんと呼び止められる。
数歩歩いてから振り返ると、モグがブンブンと手を振っている。
「ハルさん、疲れたときはいつでも休みに来てくださいねぇー。って、ラウディ様が言ってます」
「休みに来てとは?」
「え……ああ、はい。つまり、お昼寝していいよってことですー。ラウディ様のお気に入りの場所、ハルさんもどうぞって言ってます」
「それは……どうも」
まさか昼寝許可までくれるとは。確か、グラウディのお気に入りの場所を使っていいって言われるイベントもあった気はするけど……早くないか?
俺、そんなに好感度を稼いでいる気は全くないのになんでだろう。
俺が疑問に思っているうちに、モグとグラウディは行ってしまった。
そこそこまでなら仲良くしてもいいと思ってたけど、このままだとグラウディルートに突入したり……?
いや、グラウディはそんなに甘いルートじゃないはずだ。
今は良くても、ちょっとしたことで好感度が下がるはず。
「でもまあ……気が抜ける場所っていうのは俺にとってはありがたいんだよな」
正直、精霊たちと関わると気疲れする。
いくらイケメンたちだからって、俺はイケメンを見たところで癒されもしない。
だから気疲れする前に、さっさと恵みの樹を育ててしまいたい訳だ。
「……帰ろう」
色々考えてもなるようにしかならない時もあるだろうし、今は育成に集中することにして森の中の小道を進んでいく。
作業をしていたせいか、もう陽は傾きかけて森の中は薄暗い。
森の中に獣がいたりはしないけど、あまり暗い森に慣れていないからなるべく早く帰るために自然と早足になる。
「……ん? 何か明るくないか?」
歩き続けていると、俺の目の前に明るい塊が飛び込んでくる。
炎の中にうずくまる狼? というか、狼自体の毛が赤い炎のように逆立っている。
あれは確か……炎の下級精霊か?
「あの……具合が悪いんですか?」
おそるおそる近づいて話しかけると、丸くうずくまっていた狼がもそりと動く。
炎の勢いは思っていたより弱くて元気がないように見えるけど、どうかしたのだろうか?
俺は立ち止まって話の続きを待つ。
「実は……ハルさんに用事がある訳ではなくてですねぇ。本当はラウディ様が読む本を取りに来たんですー」
「え……? じゃあなんで俺を探しに来ただなんて……」
「それはですねぇ。ラウディ様が……ハルさんが困っているようだから助けてやれとおっしゃったもので。用事があると言いました。ちょっとドキドキしましたよぉー」
モグがもそもそ動くと、グラウディがよくやったと褒めるようにモグをなでなでする。
なでられたモグも嬉しそうにしているみたいだし、嘘がバレなくて良かったけど……グラウディは俺を助けてくれたってことか。
「ありがとうございます。でも、俺のことは気になさらずに。疑われても仕方ない態度をとっていたようなので。グラウディ様にも不快な態度をとっていたでしょうし」
先手を打って俺のことは気にしないようにと牽制すると、グラウディがモグへ何かを伝えているのが自然と視界に入ってくる。
グラウディにあからさまに拒絶されてないということは、ライバルもグラウディに近づかなかったのかもしれないけど……好感度がどれくらいなのか確信が持てない。
昨日、親切にしてくれたのはたまたまだった気がするし。
「ハルさん、ラウディ様がハルさんとお会いになられたのは中間報告の時以外はあっしの手伝いをしてくれた後が初めてだったそうなので。特に嫌な思いはしていないそうですよぉ」
「そうですか。なら良かった」
グラウディに嫌われると露骨に嫌がられるからセーフかなとは思っていたけど、本人に確認できて安心した。
アウレリオルみたいに警戒されたり、ヴォルカングみたいに敵視されるのも正直疲れるからな。
「では、俺はそろそろ帰ります」
特に用事はないと言っていたし、行動時間的に今日はおしまいだろうから家へ戻ろうとするとモグにハルさんと呼び止められる。
数歩歩いてから振り返ると、モグがブンブンと手を振っている。
「ハルさん、疲れたときはいつでも休みに来てくださいねぇー。って、ラウディ様が言ってます」
「休みに来てとは?」
「え……ああ、はい。つまり、お昼寝していいよってことですー。ラウディ様のお気に入りの場所、ハルさんもどうぞって言ってます」
「それは……どうも」
まさか昼寝許可までくれるとは。確か、グラウディのお気に入りの場所を使っていいって言われるイベントもあった気はするけど……早くないか?
俺、そんなに好感度を稼いでいる気は全くないのになんでだろう。
俺が疑問に思っているうちに、モグとグラウディは行ってしまった。
そこそこまでなら仲良くしてもいいと思ってたけど、このままだとグラウディルートに突入したり……?
いや、グラウディはそんなに甘いルートじゃないはずだ。
今は良くても、ちょっとしたことで好感度が下がるはず。
「でもまあ……気が抜ける場所っていうのは俺にとってはありがたいんだよな」
正直、精霊たちと関わると気疲れする。
いくらイケメンたちだからって、俺はイケメンを見たところで癒されもしない。
だから気疲れする前に、さっさと恵みの樹を育ててしまいたい訳だ。
「……帰ろう」
色々考えてもなるようにしかならない時もあるだろうし、今は育成に集中することにして森の中の小道を進んでいく。
作業をしていたせいか、もう陽は傾きかけて森の中は薄暗い。
森の中に獣がいたりはしないけど、あまり暗い森に慣れていないからなるべく早く帰るために自然と早足になる。
「……ん? 何か明るくないか?」
歩き続けていると、俺の目の前に明るい塊が飛び込んでくる。
炎の中にうずくまる狼? というか、狼自体の毛が赤い炎のように逆立っている。
あれは確か……炎の下級精霊か?
「あの……具合が悪いんですか?」
おそるおそる近づいて話しかけると、丸くうずくまっていた狼がもそりと動く。
炎の勢いは思っていたより弱くて元気がないように見えるけど、どうかしたのだろうか?
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