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第三章 地道なお手伝いで金貨を稼ごう
17.土の精霊からの提案
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風呂からあがると、脱衣所に洋服一式が用意されていた。
ふわふわのタオルを手に取って身体を拭いてから、洋服をパサリと広げてみる。
シンプルな薄茶のシャツとハーフパンツだ。
服からもウッディな香りがして、癒し効果がありそうだ。
足元には木のサンダルまで用意されているし、至れり尽くせりなのはモグの気遣いなのかもしれない。
足が丸見えになると肌の白さが目立って余計に恥ずかしいんだけど……用意してもらったものに文句は言えない。
大人しく着替えさせてもらって、脱衣所の扉を開けて室内へ戻る。
「ハルさん! ちょうどよかったぁ。今、お夕食を用意させてもらったところなんですー。あ、心配しなくても食事担当の下級精霊には連絡しましたので、今日の分のお夕食はこちらで食べていってくださぁい」
「色々と、どうも」
「いえいえ! ラウディ様も、とても喜ばれてるんですよぉ。ですので、いっぱい食べていってくださぁい!」
木のテーブルの上には、モグが用意してくれた食事の数々が並べられていた。
キノコのソテーに、暖かそうなミルクのスープ。木の実のサラダに、肉と野菜の炒め物か?
全体的にヘルシーなのはこの世界特有っぽいけど、お腹も空いてたし食欲をそそられる。
「ラウディ様ぁー。ほら、食べますよぉ」
モグがグラウディを呼びにいくと、グラウディも本を置いてテーブルの側へ寄ってくる。
静かに腰かけると、俺の方をちらっと見た気がした。
「ハルさんも、どうぞおかけくださいー」
「分かった」
どうやら座れと促してくれたらしい。グラウディの灰緑の髪は顔を隠してるから、何を伝えたいのかさっぱり分からない。
仲良くなる前のグラウディはモグがいないとコミュニケーションが取れない精霊なので、余計に攻略が最難関だと言われている。
「遠慮なさらずに、いっぱい食べてくださいねぇー」
「……いただきます」
俺はありがたく木のフォークに手を伸ばして、サラダをつついた。
木の実は少し酸っぱい感じだが、食感はカリっとした感じで悪くない。
肉と野菜の炒め物は、塩加減と甘さがちょうどよくて好きな味だ。
「ん……うまい」
「よかったぁ」
素直な感想を言っただけなのに、モグは嬉しそうに笑いながら身体をフリフリしている。
そのモグを見ながら、グラウディが頭をなでなでし始めた。
そういやグラウディって、本来心が優しく思いやりのある精霊だったはずだ。
心を閉ざしているとはいえ、モグは土の下級精霊だしな。
自然と可愛がっている姿を見て、設定通りなんだと納得する。
モグも自分専用の食器セットがあり、俺たちと一緒のテーブルの上に小さな木のテーブルを用意しているので一緒に食事している。
まるでおままごとセットみたいだけど、モグの料理も全てミニサイズで同じものが用意されていることに正直驚いていた。
モグは撫でられると嬉しそうに、ズズズっとミルクのスープを一口飲む。
「ラウディ様に褒めていただきましたぁー」
「うん。良かったな」
ほのぼのした空気を感じながら美味しく食事をいただいていると、またじっと見られている気がする。
俺、何かマズイことでもしたか?
無意識で首を傾げてしまい内心慌てていると、グラウディがモグに何か耳打ちしている姿が視界に入る。
モグは目を丸くしてから一度頷いた。
「ハルさん、今日はこちらに泊まっていってください」
提案にどう返すべきか言葉に詰まると、モグは気にした風もなく言葉を続ける。
「今日はお疲れでしょうー? ラウディ様からのご提案なので大丈夫ですよぉ」
「……そうですか。お気遣いありがとうございます」
流されっぱなしだが、この状況じゃ仕方ないか。
一応丁寧にお礼を言ってみるけど、グラウディの口元は特に動く様子も見えない。
前髪が長いせいで、本当に表情が分からないんだよな。
ゲーム内では拒絶する場合だと物理で土壁を作ってきたりしてたから、オッケーってことなんだろう。
大したことをした訳じゃないのに、グラウディは優しいだけじゃなく意外と義理堅いのかもしれないな。
ふわふわのタオルを手に取って身体を拭いてから、洋服をパサリと広げてみる。
シンプルな薄茶のシャツとハーフパンツだ。
服からもウッディな香りがして、癒し効果がありそうだ。
足元には木のサンダルまで用意されているし、至れり尽くせりなのはモグの気遣いなのかもしれない。
足が丸見えになると肌の白さが目立って余計に恥ずかしいんだけど……用意してもらったものに文句は言えない。
大人しく着替えさせてもらって、脱衣所の扉を開けて室内へ戻る。
「ハルさん! ちょうどよかったぁ。今、お夕食を用意させてもらったところなんですー。あ、心配しなくても食事担当の下級精霊には連絡しましたので、今日の分のお夕食はこちらで食べていってくださぁい」
「色々と、どうも」
「いえいえ! ラウディ様も、とても喜ばれてるんですよぉ。ですので、いっぱい食べていってくださぁい!」
木のテーブルの上には、モグが用意してくれた食事の数々が並べられていた。
キノコのソテーに、暖かそうなミルクのスープ。木の実のサラダに、肉と野菜の炒め物か?
全体的にヘルシーなのはこの世界特有っぽいけど、お腹も空いてたし食欲をそそられる。
「ラウディ様ぁー。ほら、食べますよぉ」
モグがグラウディを呼びにいくと、グラウディも本を置いてテーブルの側へ寄ってくる。
静かに腰かけると、俺の方をちらっと見た気がした。
「ハルさんも、どうぞおかけくださいー」
「分かった」
どうやら座れと促してくれたらしい。グラウディの灰緑の髪は顔を隠してるから、何を伝えたいのかさっぱり分からない。
仲良くなる前のグラウディはモグがいないとコミュニケーションが取れない精霊なので、余計に攻略が最難関だと言われている。
「遠慮なさらずに、いっぱい食べてくださいねぇー」
「……いただきます」
俺はありがたく木のフォークに手を伸ばして、サラダをつついた。
木の実は少し酸っぱい感じだが、食感はカリっとした感じで悪くない。
肉と野菜の炒め物は、塩加減と甘さがちょうどよくて好きな味だ。
「ん……うまい」
「よかったぁ」
素直な感想を言っただけなのに、モグは嬉しそうに笑いながら身体をフリフリしている。
そのモグを見ながら、グラウディが頭をなでなでし始めた。
そういやグラウディって、本来心が優しく思いやりのある精霊だったはずだ。
心を閉ざしているとはいえ、モグは土の下級精霊だしな。
自然と可愛がっている姿を見て、設定通りなんだと納得する。
モグも自分専用の食器セットがあり、俺たちと一緒のテーブルの上に小さな木のテーブルを用意しているので一緒に食事している。
まるでおままごとセットみたいだけど、モグの料理も全てミニサイズで同じものが用意されていることに正直驚いていた。
モグは撫でられると嬉しそうに、ズズズっとミルクのスープを一口飲む。
「ラウディ様に褒めていただきましたぁー」
「うん。良かったな」
ほのぼのした空気を感じながら美味しく食事をいただいていると、またじっと見られている気がする。
俺、何かマズイことでもしたか?
無意識で首を傾げてしまい内心慌てていると、グラウディがモグに何か耳打ちしている姿が視界に入る。
モグは目を丸くしてから一度頷いた。
「ハルさん、今日はこちらに泊まっていってください」
提案にどう返すべきか言葉に詰まると、モグは気にした風もなく言葉を続ける。
「今日はお疲れでしょうー? ラウディ様からのご提案なので大丈夫ですよぉ」
「……そうですか。お気遣いありがとうございます」
流されっぱなしだが、この状況じゃ仕方ないか。
一応丁寧にお礼を言ってみるけど、グラウディの口元は特に動く様子も見えない。
前髪が長いせいで、本当に表情が分からないんだよな。
ゲーム内では拒絶する場合だと物理で土壁を作ってきたりしてたから、オッケーってことなんだろう。
大したことをした訳じゃないのに、グラウディは優しいだけじゃなく意外と義理堅いのかもしれないな。
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