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55.洞窟の中には……
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洞窟の中は少し湿っていて、ぼーっとしていると転びそうだ。
ルイーツさんが照らしてくれるランプの明かりを頼りに進んでいく。
「わわっ!」
「おっと。フィロ、足元には十分気を付けるのだぞ」
「ありがとう、ラグお姉さん」
転びそうだと思ったばっかりなのに、つるっと滑っちゃった。
ラグお姉さんが腕を持ってくれてなかったら、転ぶところだった。
「滝の水しぶきが洞窟の中にも入ってきてしまうので、湿度が高くなっています。お怪我がなくて良かった」
「心配しなくても、フィロのことは全員心配してるから誰かしら助けるでしょ」
ルナちゃんが笑いながら言うと、オルお兄さんもうんうんと頷いてる。
僕ってそんなに頼りないかなあ?
+++
最初は笑いながら歩いていたけど、奥へ進めば進むほど空気が何だか重たくなってきた。
湿った空気の中に熱さが混じってきて、息苦しい。
「クッ……フェニックスと言えば炎をまとった不死鳥だったか? 伝承などあてにならないと思っていたがどうやら事実らしい」
「常に炎をまとっている訳ではないのです。警戒や攻撃の際に身体へまとうと言われています。今は特に危険な状態なはずですから」
フェニックスは子どもを連れ去られたから、怒ってるんだ。
しかも人間だって言ってたんだし……ビリビリする空気の中には怒りと悲しみを感じる。
胸ポケットの中にいるポイまで怖がって身体を震わせてるのが分かる。
「ポイ……大丈夫だからね」
「ピィ……」
ポイは小さな声で鳴いて小さくうずくまっちゃった。
僕も怒ってるのが分かるからすごく怖い。
オルお兄さんが怒っていた時とはまた違う怒りだ。
「もうすぐ開けたところへ出ます。そこにフェニックスがいるはずです」
ルイーツさんの言う通り、ずっとせまかったのに急に広くなった。
ぽっかり空いた口みたいで、飲み込まれちゃいそうだ。
「キュイィィィァァァー!」
高い声が耳に飛び込んできて、頭の中がキーンってなる。
ビックリしていると熱い風で吹き飛ばされそうになって、オルお兄さんが僕の背中を支えてくれた。
広くなった洞窟の空間に、炎をまとったフェニックスがバサバサと飛びながら炎と風をまき散らしてる。
「怒りで我を忘れているな」
「これじゃ近づくことも難しいか。それにあの熱波の中じゃ、ろくに会話もできそうにない。オル、少し落ち着かせようじゃないか」
オルお兄さんとラグお姉さんが僕とルナちゃんの前に立って、武器を構える。
ラグお姉さんの頭には角が出て来て、オルお兄さんの手にはとがった爪が見えた。
フェニックスはすごく怒っていて、言葉が聞こえてこない。
自分のことが分からなくなっちゃうくらいに、怒っているんだ。
「フェニックスさん! お願い、話を聞いて!」
「フィロ! 今はダメよ!」
僕が一歩踏み出そうとすると、ルナちゃんに止められちゃった。
ルナちゃんもしっぽと耳が出てきたから、みんな戦うつもりなんだ。
ルイーツさんが照らしてくれるランプの明かりを頼りに進んでいく。
「わわっ!」
「おっと。フィロ、足元には十分気を付けるのだぞ」
「ありがとう、ラグお姉さん」
転びそうだと思ったばっかりなのに、つるっと滑っちゃった。
ラグお姉さんが腕を持ってくれてなかったら、転ぶところだった。
「滝の水しぶきが洞窟の中にも入ってきてしまうので、湿度が高くなっています。お怪我がなくて良かった」
「心配しなくても、フィロのことは全員心配してるから誰かしら助けるでしょ」
ルナちゃんが笑いながら言うと、オルお兄さんもうんうんと頷いてる。
僕ってそんなに頼りないかなあ?
+++
最初は笑いながら歩いていたけど、奥へ進めば進むほど空気が何だか重たくなってきた。
湿った空気の中に熱さが混じってきて、息苦しい。
「クッ……フェニックスと言えば炎をまとった不死鳥だったか? 伝承などあてにならないと思っていたがどうやら事実らしい」
「常に炎をまとっている訳ではないのです。警戒や攻撃の際に身体へまとうと言われています。今は特に危険な状態なはずですから」
フェニックスは子どもを連れ去られたから、怒ってるんだ。
しかも人間だって言ってたんだし……ビリビリする空気の中には怒りと悲しみを感じる。
胸ポケットの中にいるポイまで怖がって身体を震わせてるのが分かる。
「ポイ……大丈夫だからね」
「ピィ……」
ポイは小さな声で鳴いて小さくうずくまっちゃった。
僕も怒ってるのが分かるからすごく怖い。
オルお兄さんが怒っていた時とはまた違う怒りだ。
「もうすぐ開けたところへ出ます。そこにフェニックスがいるはずです」
ルイーツさんの言う通り、ずっとせまかったのに急に広くなった。
ぽっかり空いた口みたいで、飲み込まれちゃいそうだ。
「キュイィィィァァァー!」
高い声が耳に飛び込んできて、頭の中がキーンってなる。
ビックリしていると熱い風で吹き飛ばされそうになって、オルお兄さんが僕の背中を支えてくれた。
広くなった洞窟の空間に、炎をまとったフェニックスがバサバサと飛びながら炎と風をまき散らしてる。
「怒りで我を忘れているな」
「これじゃ近づくことも難しいか。それにあの熱波の中じゃ、ろくに会話もできそうにない。オル、少し落ち着かせようじゃないか」
オルお兄さんとラグお姉さんが僕とルナちゃんの前に立って、武器を構える。
ラグお姉さんの頭には角が出て来て、オルお兄さんの手にはとがった爪が見えた。
フェニックスはすごく怒っていて、言葉が聞こえてこない。
自分のことが分からなくなっちゃうくらいに、怒っているんだ。
「フェニックスさん! お願い、話を聞いて!」
「フィロ! 今はダメよ!」
僕が一歩踏み出そうとすると、ルナちゃんに止められちゃった。
ルナちゃんもしっぽと耳が出てきたから、みんな戦うつもりなんだ。
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