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50.お料理しよう

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 ルイーツさんが戻ってくるまで、部屋の中をぐるりと見て回る。
 部屋の数は多くなくって、見た目通りの小さめな小屋みたい。
 休めそうなベッドもあるけど、ちょっとした調理場もあるみたいだ。

「何か台になるようなものはないかな?」
「フィロはちっちゃいものね」
「ルナちゃんもあんまり変わらない気がするけど……」
「一言余計よ!」

 ルナちゃんに怒られちゃった。
 驚いたポイがポケットから飛び出してきて、ピィッと鳴いてから僕の肩に止まる。

「そんなに大きな声を出さなくってもいいのに」
「ポイを驚かせるつもりはなかったわ。だから、機嫌直してポケットの中へ入ってなさいよ。ルイーツが来ちゃうでしょ」

 ルイーツさんは良い人そうだし、ポイを見ても大丈夫だと思うけど……。
 ルナちゃんは心配してくれてるのかもしれない。
 ポイはピッと鳴いてから、シュっとポケットの中へ戻る。

「お二人とも大丈夫ですか? 火を起こしたのでかまどが使えます。スープでも作りましょうか」

 ルイーツさんが小屋に戻ってきた。
 僕はお手伝いができるように、台の代わりに空の木箱を用意してもらった。

「僕は野菜を切りますね」
「私は補助をするわ。物を取ってあげたりするから、ルイーツは材料をこっちに持ってきて。私たちは場所が分からないから」
「そうですね。分かりました。私は鍋に水を沸かしておきましょう。今、野菜をお持ちしますね。一通り終わったところで私も下ごしらえに加わりましょう」

 ルイーツさんは手につけていた重そうな装備を外して素手になると、ナイフやまな板代わりの板を持ってきてくれる。
 別の部屋に置いてあったらしい野菜も受け取ると、ルナちゃんが水がめに用意してくれた水をすくっておけの中へ溜める。
 ルナちゃんは水を大事に使いながら、野菜についていた土を軽く落としていく。

 隣のルイーツさんは、野菜の皮むきをしてくれる。
 ナイフを使ってくるくると器用にむいてるから、ルイーツさんもお料理上手なのかもしれない。

「はい、スープに入れるなら適当でも大丈夫でしょ」
「食べやすい大きさに切るね」

 ルナちゃんがルイーツさんから皮をむき終わった野菜を受け取って、その野菜を僕がルナちゃんから受け取る。
 僕は受け取った野菜をナイフで切っていく。
 
 少しごろっとするくらいで大丈夫かな?
 あんまり小さすぎてもお腹いっぱいにならない気がしちゃうから、もぐもぐ食べられる大きさがいいと思う。

「フィロさんは、野菜を切るのもお上手ですね」
「いつもお手伝いしてましたから、自然とできるようになりました」
「お手伝いっていうか、やらされてたんでしょ。ホントお人よしなんだから」

 野菜も切り終わったところで、とびらがトントンと叩かれた。
 ルイーツさんが開けてくれると、ラグお姉さんとオルお兄さんがひょこっと顔を出した。
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