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42.トウモロコシはおいしい!

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 ルナちゃんに引っ張られながら、城下町の中を見て回る。
 通りがすごく広くって、ノイオゾの街よりぴしっとしている気がする。
 今いるところは、近くに食べ物屋さんがなさそうだ。
 きれいなお店がずらっと並んでる。

「ほほう。これが城下町というものか」
「なんか静かな感じするわね。ノイオゾの街がやかましかっただけかもしれないけど」

 ルナちゃんが周りを見回すと、オルお兄さんも一緒に見回してからうんうんって頷く。
 
「城下町はカステロッシの統治下とうちかだから、なめられたら終わりだからな」
「なめられたらって……そんな熊同士のケンカじゃないんだから」

 ルナちゃんが笑っている間に、ラグお姉さんが食べ物を買ってきてくれた。

「小難しいことを考える前に、まずは腹ごしらえだ。この焼きトウモロコシはうまそうだぞ」
「そんな店あった? ラグやるじゃない」

 屋台みたいなお店がないのかと思ったけど、ラグお姉さんが別の通りから買ってきてくれたみたい。
 僕たちが話している間に、ラグお姉さんは別の場所を見に行ってたんだって。

 ラグお姉さんについていくと、屋台がズラリと並んでる道へ連れて行ってくれた。

「トウモロコシ、おいしい!」

 かぶりついて食べるのは少し難しいけど、しゃきしゃきっとしておいしい。
 むしゃむしゃ食べていると、ラグお姉さんがハンカチで口をふいてくれた。

「フィロが喜んでくれてよかった。ポイも食べていいぞ」

 ラグお姉さんが、僕の胸ポケットの中にいるポイへむしったトウモロコシを手渡してくれる。

「……ピッ!」
「ポイもおいしいって。オルお兄さんも……え? 全部食べちゃった?」

 オルお兄さんは、がぶりとかみつくようにトウモロコシを大きな口で食べてしまった。
 最初、しんも食べちゃうのかと思ってビックリしたけどキレイに残さず食べただけだった。

「オルお兄さんもトウモロコシおいしかったの?」
「ああ。悪くないな」
「食べ方が上品じゃないのよ。人間の格好しているのに熊じゃない」

 ルナちゃんはトウモロコシをちょっとずつ食べながら、ため息をついて僕を見てくる。
 僕もビックリしたけど、熊っぽい食べ方なのかどうなのかは分からないや。

「食べ方はそれぞれ違うだろう? しんまで食べたら熊かもしれないが」

 ラグお姉さんは素早く食べ終えてしまったから、食べ終わったトウモロコシのしんを回収して袋につめてくれた。

「ルナちゃんはキレイに食べてるね。上手だなあ」
「なんかそれってバカにしてない?」

 ルナちゃんは、ハンカチで口をふきながらじっと僕を見てくる。

「バカになんてしてないのに……」

 ルナちゃんを怒らせちゃったかと思ったんだけど、そういう意味じゃないって言ってたから怒ってはないみたいだ。
 
 
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