32 / 75
32.オルお兄さんは力持ち
しおりを挟む
オルお兄さんがググッと力をこめると、とびらからギシっと音が聞こえてきた。
地面に足がめりこんできてるし、すごい力を入れているみたい。
「熊だから力が強いってこと? この感じならいけるかも!」
ルナちゃんも応援し始めると、とびらが少しずつ動いてきてる。
ポイもぐるぐる飛びながら、ピィと鳴きながら応援してるみたい。
「……複数の足音が聞こえる。どうやら逃げ出したのを感づかれたみたいだな」
ラグお姉さんが剣を構えて、後ろからくる人たちをやっつけようと準備を始めたから僕も怖いけどナイフを構えてみる。
「もう少しで……」
オルお兄さんの声で振り返ると、ガシャンという音と一緒にとびらがこわれて外へ転がった。
外は夜みたいだけど、この通路よりは明るく見える。
「やるじゃない! じゃあ、私が先に出て様子をみるわ。ラグ、後ろからくるやつらは頼んだわよ」
「皆が外出たら通路をふさいでしまおう。フィロ、私は大丈夫だからルナを助けてやってくれ」
「うん、分かった。ラグお姉さんも気を付けてね」
僕もみんながうまく逃げられるようにお手伝いしながら、一緒に外へ出る。
外は近くの森に繋がっていたみたいで、みんなは嬉しそうに飛びはねて喜んでくれてる。
あとは、後から来る人たちを止められたらいいんだけど……。
ラグお姉さんもまだ追いつかれてないからって、外に出てきた。
「さて、どうやってふさごうか……」
「それなら、この木をつっこんでしまおうか」
オルお兄さんは、木の幹に腕を回すとまた力を入れていく。
じっと見守っていると、少しずつ木がメリメリっていいながら上へ持ち上がっていくのが分かる。
すごい力持ちでビックリ! 木まで引っこ抜いちゃうだなんて!
「やるな。じゃあ、好き放題やっていた奴らに投げ込んでやるといい」
「分かった」
オルお兄さんは抱えた木をポカリと空いた通路の出入り口にグサっと差しちゃったから、ここからはもう出られなそうだ。
黒い服の人たちにギリギリ追いつかれてなかったみたいだけど、奥からなんだなんだっていう声が聞こえてくる。
「さて、ここから帰れる者はこのまま帰っていいぞ。保護が必要な者は私たちがギルドまで連れていこう。報告もしようと思っていたしな」
「悪い奴らだし、さっさと通報しちゃいましょ! あたしたちもよくやったってほめられるかもしれないわよ?」
「だったらいいね」
魔物のみんなは人間に捕まらないように森の奥へ逃げていったけど、めずらしい動物さんとエルフさんは僕たちと一緒にギルドへ行くことになった。
警備隊がいるところより、ギルドへ行く方がこの場所から近いみたい。
ギルドなら色々なところへ連絡もしやすいんだって。
「オルお兄さんはどうする?」
「フィロと言ったか。君とゆっくりと話してみたい」
「あ、うん。じゃあギルドに行ってから、オルお兄さんは宿屋に来る?」
僕が話しかけると、オルお兄さんは頷いてくれる。
きっと騒ぎになるだろうし、僕たちも早くここから離れないとね。
地面に足がめりこんできてるし、すごい力を入れているみたい。
「熊だから力が強いってこと? この感じならいけるかも!」
ルナちゃんも応援し始めると、とびらが少しずつ動いてきてる。
ポイもぐるぐる飛びながら、ピィと鳴きながら応援してるみたい。
「……複数の足音が聞こえる。どうやら逃げ出したのを感づかれたみたいだな」
ラグお姉さんが剣を構えて、後ろからくる人たちをやっつけようと準備を始めたから僕も怖いけどナイフを構えてみる。
「もう少しで……」
オルお兄さんの声で振り返ると、ガシャンという音と一緒にとびらがこわれて外へ転がった。
外は夜みたいだけど、この通路よりは明るく見える。
「やるじゃない! じゃあ、私が先に出て様子をみるわ。ラグ、後ろからくるやつらは頼んだわよ」
「皆が外出たら通路をふさいでしまおう。フィロ、私は大丈夫だからルナを助けてやってくれ」
「うん、分かった。ラグお姉さんも気を付けてね」
僕もみんながうまく逃げられるようにお手伝いしながら、一緒に外へ出る。
外は近くの森に繋がっていたみたいで、みんなは嬉しそうに飛びはねて喜んでくれてる。
あとは、後から来る人たちを止められたらいいんだけど……。
ラグお姉さんもまだ追いつかれてないからって、外に出てきた。
「さて、どうやってふさごうか……」
「それなら、この木をつっこんでしまおうか」
オルお兄さんは、木の幹に腕を回すとまた力を入れていく。
じっと見守っていると、少しずつ木がメリメリっていいながら上へ持ち上がっていくのが分かる。
すごい力持ちでビックリ! 木まで引っこ抜いちゃうだなんて!
「やるな。じゃあ、好き放題やっていた奴らに投げ込んでやるといい」
「分かった」
オルお兄さんは抱えた木をポカリと空いた通路の出入り口にグサっと差しちゃったから、ここからはもう出られなそうだ。
黒い服の人たちにギリギリ追いつかれてなかったみたいだけど、奥からなんだなんだっていう声が聞こえてくる。
「さて、ここから帰れる者はこのまま帰っていいぞ。保護が必要な者は私たちがギルドまで連れていこう。報告もしようと思っていたしな」
「悪い奴らだし、さっさと通報しちゃいましょ! あたしたちもよくやったってほめられるかもしれないわよ?」
「だったらいいね」
魔物のみんなは人間に捕まらないように森の奥へ逃げていったけど、めずらしい動物さんとエルフさんは僕たちと一緒にギルドへ行くことになった。
警備隊がいるところより、ギルドへ行く方がこの場所から近いみたい。
ギルドなら色々なところへ連絡もしやすいんだって。
「オルお兄さんはどうする?」
「フィロと言ったか。君とゆっくりと話してみたい」
「あ、うん。じゃあギルドに行ってから、オルお兄さんは宿屋に来る?」
僕が話しかけると、オルお兄さんは頷いてくれる。
きっと騒ぎになるだろうし、僕たちも早くここから離れないとね。
12
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
魔法が使えない女の子
咲間 咲良
児童書・童話
カナリア島に住む九歳の女の子エマは、自分だけ魔法が使えないことを悩んでいた。
友だちのエドガーにからかわれてつい「明日魔法を見せる」と約束してしまったエマは、大魔法使いの祖母マリアのお使いで魔法が書かれた本を返しに行く。
貸本屋ティンカーベル書房の書庫で出会ったのは、エマそっくりの顔と同じエメラルドの瞳をもつ男の子、アレン。冷たい態度に反発するが、上から降ってきた本に飲み込まれてしまう。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
魔法使いアルル
かのん
児童書・童話
今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。
これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。
だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。
孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。
ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。

【完結】落ちこぼれと森の魔女。
たまこ
児童書・童話
魔力が高い家系に生まれたのに、全く魔力を持たず『落ちこぼれ』と呼ばれるルーシーは、とっても厳しいけれど世話好きな魔女、師匠と暮らすこととなる。
たまにやって来てはルーシーをからかうピーターや、甘えん坊で気まぐれな黒猫ヴァンと過ごす、温かくて優しいルーシーの毎日。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる