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25.ポイを助けに行こう!

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 僕がおやつを食べながら休ませてもらっていると、ラグお姉さんとルナちゃんも宿屋に帰ってきた。
 二人にちゃんと眠りなさいって言われたから、僕は出発する時間まで少し眠らせてもらった。
 
 僕が眠っている間に、ラグお姉さんとルナちゃんが作戦を立ててくれたみたい。
 寝たから僕も元気になったし、準備もできたからポイを助けに宿屋を出発する。

「目的地近くになったら変身を解くかもしれないからな。フードをしっかり被っておかないと」
「建物の入口から行かないけど、なるべく目立たないようにした方がいいわね」
 
 三人でフード付きのマントを着て、夜の街を静かに歩いていく。
 オークション会場の近くまで来たみたいなんだけど、ここからどうするんだろう?
 僕たちは近くの壁に隠れて、建物の入口を覗く。
 
 建物の入口には黒い洋服の男の人たちが立っている。
 様子を見ていると、入口の近くに黒い馬車がとまる。
 
 ドレスみたいな高そうなお洋服を着た人たちが、馬車から降りてきた。
 手紙のようなものを黒い洋服の男の人へ見せているみたい。
 黒い洋服の人が確認すると、やってきた人たちに白い仮面を手渡していく。
 来た人たちは渡された仮面をつけて、建物の中に入っていくのが見えた。

「さて、この建物の中に入りたい訳だが。私たちは招待状なんて持ってないからな。裏側の扉から入ろうか」
「都合よくあるのが笑っちゃうわよね。一応見張りはいるみたいだけど……」

 見つからないように建物沿いに歩いて裏側に回ると、扉が見えてきた。
 建物の入口と同じように、黒い洋服を着た人が立ってる。
 なんだか怖そうな人に見えるけど、大丈夫かな?

「まかせておけ。あいつらはさっさと黙らせてしまおうか」

 僕たちが隠れている間に、ラグお姉さんは気にせず黒い人への側へ近寄っていく。
 黒い洋服を着た男の人が、ラグお姉さんを見てじっと睨んだ。

「何の用だ」
「用? もちろんあるぞ」

 ラグお姉さんは素早く剣を抜いて、黒い人たちが驚いている間にばしばし叩いていく。
 ラグお姉さんが、ささっと黒い人たちを倒しちゃったみたい。
 
 動きが早すぎて何が起きたか分からなかったけど、ラグお姉さんが強いことは分かる。
 黒い人たちは倒れたまま静かになった。

「荒っぽいわねー。あとはあたしに任せて」

 今度はルナちゃんが杖をふりかざす。
 黒い人たちはロープみたいな植物でぐるぐる巻きにされていく。
 血は出てないから、気絶させただけみたい。

 この人たちも後で警備の人に捕まえてもらうから、地面に転がしておくんだって。

「さて、これで堂々と扉から入れるな」
「さっさと行きましょ! オークションの目玉商品は生き物だって話だし、出てくるのは最後の最後。ポイはまだどこかにいるはずよ」
「最初は珍しい骨董品こっとうひんや美術品を取引するらしい。だが、このオークションは国で禁止されている生き物の売買をしている闇オークションだからな」

 生き物って、動物じゃないってことなのかな。
 もしかして魔物とか?
 気になって、扉の前でラグお姉さんを見上げる。
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