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第七章 心を焦がすモノ
73.信用できるバディ
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いつの間にか座ったまま眠ってしまったみたいだ。
顔だけ動かしてリューの様子を見ると、まだ寝息を立てている。
しかも、僕の手を握ったままだ。
(リュー……少しは頼ってくれる気になったのかな?)
クスと小さく笑ってから、じっとリューの寝顔を見つめる。
窓から明かりが差し込んできているから、今は早朝なんだろう。
僕が起きたことに気付かないくらい、熟睡しているみたいだ。
別に早く起きる必要もないし、一旦このまま眠り直すことにした。
+++
声が聞こえた気がして目を開くと、俺の腕を軽く揺すっているリューと目が合った。
意識もはっきりしているみたいだし、リューの方が先に目覚めたみたいだ。
「んー? リュー、おはよう」
「ああ。一晩中座って眠っていたのか。身体は大丈夫か?」
「それは僕の台詞だ。リューこそ体調はどう? 熱は……大丈夫そうだけど」
「気怠いが大分マシになった。今日一日養生すれば、体力面以外は問題なさそうだ」
リューは僕の腕や肩を触って具合を確かめているみたいだけれど、何だか擽ったい。
大丈夫だってと苦笑しながら伝えると、ならいいと一言呟いてから俺を見つめてきた。
「何?」
「いや……」
「言いづらいことなら言わなくていいけど、何か言いたいことがあるならゆっくりでいい」
「そうだな……アルヴァーノ、俺は……いや、まだよく分からないが……」
本当に言いづらいことみたいだ。リューの歯切れが悪い。
だけど、これは聞いた方がよさそうだし辛抱強く待っているとリューが僕にしっかりと目線を合わせてくる。
「俺は、お前に感謝している。俺のような扱いづらい人間でも諦めずに気持ちを伝えてきてくれた。だから、俺も伝えなくてはいけない」
「そんな風に言われると、期待しちゃうけどいい?」
僕が茶化すと、リューも表情を柔らかくして笑う。
リューの笑顔を見ているだけで、僕は何を言われるのか期待してしまう。
それが期待外れだったとしても、慣れっこだから構わないのだけれど。
「俺はまだ未熟だ。だから、これからもバディとして側にいて欲しい。お前のことは信用している」
「信用……か。言われずとも変わらずバディでいるよ。だけど、僕の性格は分かってくれてるよね? 信用してもらえるのはありがたいけど……大丈夫?」
「色々と問題はあるだろうが、そこはお互い様だ。それに……」
リューは言葉を切ってから両腕を伸ばすと、僕のことを抱きしめてきた。
ベッドから身を乗り出してるから、僕に甘えるような形で身体をあずけてくる。
「俺はまだ感情を理解しきれていないが、お前から与えられる温もりは悪くないと思っている。こうして触れていると、落ち着く」
「リューも人肌が落ち着くのか。案外僕たちは似たもの同士なのかもな」
僕が茶化したように言うと、リューは身体を離していつものように眉を顰めて不服そうな表情を見せる。
(まあ、笑顔より顰め面の方がしっくりくるけれど……このタイミングは僕に対して失礼じゃないかな?)
リューが言いたいことは重々理解しているので、僕は笑いながらリューを見遣る。
だけど、リューもすぐに表情を崩して苦笑に変わる。
「お前の節操なしと同等にされるのは心外だが、手を握られている間は悪夢を見なかったことは確かだ」
「リューはきっと助けてほしかったんだよ。けれど、その気持ちを封じ込められてしまったから無意識に全てを諦めてしまった。違う?」
「自分では無意識だったが、そうなのかもしれないな。こうして自分の弱さを思い知らされている」
自嘲気味に呟くリューの頭を撫でると、振り払われはしなかったけれど不思議そうな顔をされた。
気にせず撫で続けると、意味が分からないという表情へ変わっていく。
顔だけ動かしてリューの様子を見ると、まだ寝息を立てている。
しかも、僕の手を握ったままだ。
(リュー……少しは頼ってくれる気になったのかな?)
クスと小さく笑ってから、じっとリューの寝顔を見つめる。
窓から明かりが差し込んできているから、今は早朝なんだろう。
僕が起きたことに気付かないくらい、熟睡しているみたいだ。
別に早く起きる必要もないし、一旦このまま眠り直すことにした。
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声が聞こえた気がして目を開くと、俺の腕を軽く揺すっているリューと目が合った。
意識もはっきりしているみたいだし、リューの方が先に目覚めたみたいだ。
「んー? リュー、おはよう」
「ああ。一晩中座って眠っていたのか。身体は大丈夫か?」
「それは僕の台詞だ。リューこそ体調はどう? 熱は……大丈夫そうだけど」
「気怠いが大分マシになった。今日一日養生すれば、体力面以外は問題なさそうだ」
リューは僕の腕や肩を触って具合を確かめているみたいだけれど、何だか擽ったい。
大丈夫だってと苦笑しながら伝えると、ならいいと一言呟いてから俺を見つめてきた。
「何?」
「いや……」
「言いづらいことなら言わなくていいけど、何か言いたいことがあるならゆっくりでいい」
「そうだな……アルヴァーノ、俺は……いや、まだよく分からないが……」
本当に言いづらいことみたいだ。リューの歯切れが悪い。
だけど、これは聞いた方がよさそうだし辛抱強く待っているとリューが僕にしっかりと目線を合わせてくる。
「俺は、お前に感謝している。俺のような扱いづらい人間でも諦めずに気持ちを伝えてきてくれた。だから、俺も伝えなくてはいけない」
「そんな風に言われると、期待しちゃうけどいい?」
僕が茶化すと、リューも表情を柔らかくして笑う。
リューの笑顔を見ているだけで、僕は何を言われるのか期待してしまう。
それが期待外れだったとしても、慣れっこだから構わないのだけれど。
「俺はまだ未熟だ。だから、これからもバディとして側にいて欲しい。お前のことは信用している」
「信用……か。言われずとも変わらずバディでいるよ。だけど、僕の性格は分かってくれてるよね? 信用してもらえるのはありがたいけど……大丈夫?」
「色々と問題はあるだろうが、そこはお互い様だ。それに……」
リューは言葉を切ってから両腕を伸ばすと、僕のことを抱きしめてきた。
ベッドから身を乗り出してるから、僕に甘えるような形で身体をあずけてくる。
「俺はまだ感情を理解しきれていないが、お前から与えられる温もりは悪くないと思っている。こうして触れていると、落ち着く」
「リューも人肌が落ち着くのか。案外僕たちは似たもの同士なのかもな」
僕が茶化したように言うと、リューは身体を離していつものように眉を顰めて不服そうな表情を見せる。
(まあ、笑顔より顰め面の方がしっくりくるけれど……このタイミングは僕に対して失礼じゃないかな?)
リューが言いたいことは重々理解しているので、僕は笑いながらリューを見遣る。
だけど、リューもすぐに表情を崩して苦笑に変わる。
「お前の節操なしと同等にされるのは心外だが、手を握られている間は悪夢を見なかったことは確かだ」
「リューはきっと助けてほしかったんだよ。けれど、その気持ちを封じ込められてしまったから無意識に全てを諦めてしまった。違う?」
「自分では無意識だったが、そうなのかもしれないな。こうして自分の弱さを思い知らされている」
自嘲気味に呟くリューの頭を撫でると、振り払われはしなかったけれど不思議そうな顔をされた。
気にせず撫で続けると、意味が分からないという表情へ変わっていく。
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