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第七章 心を焦がすモノ
58.久しぶりの討伐依頼
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暫くはだらだらと過ごしていたが、リューも身体が鈍ると毎日のように訴えてきたので集団で行う討伐に出向くことになった。
メルセネールの面子でパーティーを組んでの討伐なので、大型な魔物もしくは大量の魔物発生か、どちらかだろう。
ギルド長が直々に募っていたということは、危険度も高そうな依頼の確立が高い。
できれば受けたくなかったが、話を聞いているとどうやら寒冷地での討伐依頼らしい。
「本当にこれにするのか? もっと楽な依頼もあっただろうに……」
「あぁ、身体の調子を確かめるのに丁度良い」
「丁度良い、ね。僕にはそうは思えないけれど……リューが言うのなら仕方ない。今まで僕のワガママに付き合ってくれていたし」
「お前は面倒臭がるだけで、本来は出来るはずだ」
(随分僕のことを過大評価してくれるんだな。それは嬉しいけど、お眼鏡にかなうかどうか……)
僕は苦笑しながらリューを見るが、リューはそれを了と取ったので依頼に参加するとギルド長に伝えにいった。
「ほう、よくアルヴァーノが行く気になったな。どうやって説得した?」
「別に。特に変わったことは何も伝えていません。これを受けると言っただけです」
「あの面倒臭がりがな。今までのらりくらりと適当にしていた癖に随分な心変わりだ」
ギルド長がこちらを見ている気がして寒気がする。
あの人がご機嫌だと本当に碌なことにならない。
「出発は今から一時間後だ。しっかりと準備して向かうように」
皆、準備をするために散っていくのを僕もぼんやりと見送る。
今回は三十人規模だからメルセネールとしてもまあまあの人数で、このギルド自体は組織として大きなものだから、現在所属している人数も百人を越えているギルドだ。
その頂点にいるのがこのギルド長、ということになる。
「リューライト、お前とアルヴァーノの装備はいつもの支給受付から受け取ってこい。今回はいつもの装備の念のための予備を用意してある。防御もきっちり固めて行けよ。後、防寒装備も忘れるな」
「了解です」
リューは少し離れていた僕のところに戻ってくると、皆と同じく準備をすると言うので大人しくついていく。
前にも装備を受け取った受付でリューの追加装備の銃と僕の追加装備の鞭も受け取る。
嫌な予感がしていたので僕も普段は装備しない銀の胸当てを付けている。
重たいからあまり付けたくないが、今回はやたらと重装備を推してくるので相当危険なのかもしれない。
後は寒冷地用のコート、手袋などを一緒に手渡される。
「なんというか、リューはその色似合うけど。僕は地味だし個性がないよね」
珍しく黒ではなく深緑色だが、リューはその色も良く似合いそうだった。
フードまで付いていてふわふわの毛が付いていてみるからに暖かそうなコートだ。
茶色の手袋もしっかりとしていて、中が暖かそうな毛で覆われている。
問題はこれはお揃いだと言うことだ。事前に分かっていれば違う色を用意したのだが、こればかりは仕方ない。
「雪が積もる地域だ。十分に気をつけなくてはならないだろう。文句を言わずに受け取れ」
「分かっている。僕だって命は惜しい。ただ、地味だなと思っただけだ」
「見た目より利便性だと思うが」
「それだけじゃつまらないというのが僕の考え。まぁ、後は行ってみてどうなるかだな」
面倒なことにならなければいいが、どうも嫌な予感が拭えなかった。
メルセネールの面子でパーティーを組んでの討伐なので、大型な魔物もしくは大量の魔物発生か、どちらかだろう。
ギルド長が直々に募っていたということは、危険度も高そうな依頼の確立が高い。
できれば受けたくなかったが、話を聞いているとどうやら寒冷地での討伐依頼らしい。
「本当にこれにするのか? もっと楽な依頼もあっただろうに……」
「あぁ、身体の調子を確かめるのに丁度良い」
「丁度良い、ね。僕にはそうは思えないけれど……リューが言うのなら仕方ない。今まで僕のワガママに付き合ってくれていたし」
「お前は面倒臭がるだけで、本来は出来るはずだ」
(随分僕のことを過大評価してくれるんだな。それは嬉しいけど、お眼鏡にかなうかどうか……)
僕は苦笑しながらリューを見るが、リューはそれを了と取ったので依頼に参加するとギルド長に伝えにいった。
「ほう、よくアルヴァーノが行く気になったな。どうやって説得した?」
「別に。特に変わったことは何も伝えていません。これを受けると言っただけです」
「あの面倒臭がりがな。今までのらりくらりと適当にしていた癖に随分な心変わりだ」
ギルド長がこちらを見ている気がして寒気がする。
あの人がご機嫌だと本当に碌なことにならない。
「出発は今から一時間後だ。しっかりと準備して向かうように」
皆、準備をするために散っていくのを僕もぼんやりと見送る。
今回は三十人規模だからメルセネールとしてもまあまあの人数で、このギルド自体は組織として大きなものだから、現在所属している人数も百人を越えているギルドだ。
その頂点にいるのがこのギルド長、ということになる。
「リューライト、お前とアルヴァーノの装備はいつもの支給受付から受け取ってこい。今回はいつもの装備の念のための予備を用意してある。防御もきっちり固めて行けよ。後、防寒装備も忘れるな」
「了解です」
リューは少し離れていた僕のところに戻ってくると、皆と同じく準備をすると言うので大人しくついていく。
前にも装備を受け取った受付でリューの追加装備の銃と僕の追加装備の鞭も受け取る。
嫌な予感がしていたので僕も普段は装備しない銀の胸当てを付けている。
重たいからあまり付けたくないが、今回はやたらと重装備を推してくるので相当危険なのかもしれない。
後は寒冷地用のコート、手袋などを一緒に手渡される。
「なんというか、リューはその色似合うけど。僕は地味だし個性がないよね」
珍しく黒ではなく深緑色だが、リューはその色も良く似合いそうだった。
フードまで付いていてふわふわの毛が付いていてみるからに暖かそうなコートだ。
茶色の手袋もしっかりとしていて、中が暖かそうな毛で覆われている。
問題はこれはお揃いだと言うことだ。事前に分かっていれば違う色を用意したのだが、こればかりは仕方ない。
「雪が積もる地域だ。十分に気をつけなくてはならないだろう。文句を言わずに受け取れ」
「分かっている。僕だって命は惜しい。ただ、地味だなと思っただけだ」
「見た目より利便性だと思うが」
「それだけじゃつまらないというのが僕の考え。まぁ、後は行ってみてどうなるかだな」
面倒なことにならなければいいが、どうも嫌な予感が拭えなかった。
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