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第六章 二人の距離感
49.休息
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リューの身体のこともあるし、短めの休暇にすることに勝手に決めた。
なんともない、としか言わないリューだけれど。
いつもそんなことばかりしか言わないので、僕は休暇が欲しいのだと声を大にして言って納得させた。
「少し家でのんびりしたくてね。別にいいだろう?」
「……」
「まぁ、リューは暇があれば訓練しちゃうか。今日は何もしないで欲しいと言ったらどうする?」
「……お前の言う事を聞く必要が?」
リューは冷たい視線を向けて言い放つ。
(少しは心が近づいたと思ったけれど、気のせいだったか?)
僕は苦笑するが、そのあと表情を引き締めて言い聞かせるようにゆっくりと口を開く。
「バディなのだから、意向に沿ってもらわないと。いざという時に足並みが揃わないとまずいだろう?」
リューは無言のままだが、僕が譲らないことを理解したのか静かに話の続きを待って視線を向けてくる。
「今日は訓練は休み……にできないのなら、軽めにして欲しい。僕は本でも読むつもりだからリューは座ってできることをして」
「……この茶番に付き合うことが足並みを揃えることに繋がると?」
「繋がる。お互いのことを理解し合うことも大事だろう?」
リューは納得はしていないようだが、諦めたのかいつもの武器の手入れを始めることにしたようだ。
手入れの道具を無言でテーブルの上に並べていく。
自分だけさっさとソファーに座って、僕の存在を無視するように作業を始めた。
「じゃあ僕は……」
取り寄せた本があったはずなので、それを持ってリューの隣に腰掛ける。
今読んでいる本は戦闘の時に役立ちそうな戦略本なのだが、リューと一緒にいると戦略など立てずとも大体はなんとかなる気はする。
随分前に買ったものだが、暇つぶしくらいにはなるだろう。
+++
暫くは静かにお互い好きなことをしていたが、先に武器の手入れを一通り終えたらしいリューが僕の手元の本を覗き込んだ。
「こういうの、興味があった?」
「お前が普段読むようなものよりは」
「え、あぁ……物語の本のことか。ああいうのを読んでおくと話題に困らないんだよ。最近は外でしてないから読んでいないだけ」
「別に好きにすれば良い」
そうだ。
今までなら日常に飽きてきたら外へと繰り出して、適当な子を引っかけて欲望を吐き出していた気がする。
別にその場限りの関係ならば問題ないし、女性の時には配慮も完璧にしていたからな。
(でも、リューとバディになってから……)
「そういえば、リュー以外としてないな」
「……してない?」
「リューの体調管理とか始めてから、他の誰かと夜を共にしていないなと思って」
「別に俺の許可など取らずとも好きにして構わないのだが」
リューは横から本を覗き込みながらそんなことを言う。
前は憂さ晴らしのように退屈になると、大体身体を合わせていたような気がするのだが。
(リューを構っていると、楽しいというか。いつの間にか他に気が向かなくなったな)
僕が一人で笑いだすと、リューが更に不可解な顔をし始める。
その表情もおかしくて、リューの目尻に唇を触れさせた。
避けずに触れさせてくれたのは優しさだろうか?
「リューを見ていると、気が紛れるから。何か満たされてるみたいだ」
「理解できない」
「まぁ、リューはそうだろうね。僕もよく分からないのだから、説明しろと言われてもね。こんなに大人しくしている自分に驚いているくらいだから」
ニッコリと笑うと訝しげな顔をしてリューが離れていく。
距離をとられると少し寂しくなって自分から身体を寄せてリューに寄りかかる。
「……いつまでこうしていればいい?」
「そうだな……僕がいいと言うまで。動いちゃダメだよ?」
僕が本を持ったままウトウトし始めると、リューが本を取り上げて読み始める。
その間も僕を退けようともしないので肩を借りてありがたく昼寝をさせてもらうことにした。
なんともない、としか言わないリューだけれど。
いつもそんなことばかりしか言わないので、僕は休暇が欲しいのだと声を大にして言って納得させた。
「少し家でのんびりしたくてね。別にいいだろう?」
「……」
「まぁ、リューは暇があれば訓練しちゃうか。今日は何もしないで欲しいと言ったらどうする?」
「……お前の言う事を聞く必要が?」
リューは冷たい視線を向けて言い放つ。
(少しは心が近づいたと思ったけれど、気のせいだったか?)
僕は苦笑するが、そのあと表情を引き締めて言い聞かせるようにゆっくりと口を開く。
「バディなのだから、意向に沿ってもらわないと。いざという時に足並みが揃わないとまずいだろう?」
リューは無言のままだが、僕が譲らないことを理解したのか静かに話の続きを待って視線を向けてくる。
「今日は訓練は休み……にできないのなら、軽めにして欲しい。僕は本でも読むつもりだからリューは座ってできることをして」
「……この茶番に付き合うことが足並みを揃えることに繋がると?」
「繋がる。お互いのことを理解し合うことも大事だろう?」
リューは納得はしていないようだが、諦めたのかいつもの武器の手入れを始めることにしたようだ。
手入れの道具を無言でテーブルの上に並べていく。
自分だけさっさとソファーに座って、僕の存在を無視するように作業を始めた。
「じゃあ僕は……」
取り寄せた本があったはずなので、それを持ってリューの隣に腰掛ける。
今読んでいる本は戦闘の時に役立ちそうな戦略本なのだが、リューと一緒にいると戦略など立てずとも大体はなんとかなる気はする。
随分前に買ったものだが、暇つぶしくらいにはなるだろう。
+++
暫くは静かにお互い好きなことをしていたが、先に武器の手入れを一通り終えたらしいリューが僕の手元の本を覗き込んだ。
「こういうの、興味があった?」
「お前が普段読むようなものよりは」
「え、あぁ……物語の本のことか。ああいうのを読んでおくと話題に困らないんだよ。最近は外でしてないから読んでいないだけ」
「別に好きにすれば良い」
そうだ。
今までなら日常に飽きてきたら外へと繰り出して、適当な子を引っかけて欲望を吐き出していた気がする。
別にその場限りの関係ならば問題ないし、女性の時には配慮も完璧にしていたからな。
(でも、リューとバディになってから……)
「そういえば、リュー以外としてないな」
「……してない?」
「リューの体調管理とか始めてから、他の誰かと夜を共にしていないなと思って」
「別に俺の許可など取らずとも好きにして構わないのだが」
リューは横から本を覗き込みながらそんなことを言う。
前は憂さ晴らしのように退屈になると、大体身体を合わせていたような気がするのだが。
(リューを構っていると、楽しいというか。いつの間にか他に気が向かなくなったな)
僕が一人で笑いだすと、リューが更に不可解な顔をし始める。
その表情もおかしくて、リューの目尻に唇を触れさせた。
避けずに触れさせてくれたのは優しさだろうか?
「リューを見ていると、気が紛れるから。何か満たされてるみたいだ」
「理解できない」
「まぁ、リューはそうだろうね。僕もよく分からないのだから、説明しろと言われてもね。こんなに大人しくしている自分に驚いているくらいだから」
ニッコリと笑うと訝しげな顔をしてリューが離れていく。
距離をとられると少し寂しくなって自分から身体を寄せてリューに寄りかかる。
「……いつまでこうしていればいい?」
「そうだな……僕がいいと言うまで。動いちゃダメだよ?」
僕が本を持ったままウトウトし始めると、リューが本を取り上げて読み始める。
その間も僕を退けようともしないので肩を借りてありがたく昼寝をさせてもらうことにした。
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