57 / 64
第六章 三人の新しい関係
57.熱く秘めていたげんちゃん
しおりを挟む
げんちゃんは呆然としている俺の手を取ると、手の甲にキスを落とした。
俺を見つめる目線は優しいけど、とっきーと同じで熱を感じるものだ。
「蒼樹、俺も蒼樹のことがずっと好きだった。優しくて明るい蒼樹の側にいると、心が癒されるし幸せな気持ちになる。だから、他の誰にも渡したくない。勿論、鷺羽にも」
「げんちゃん……」
「だけど、鷺羽も俺と同じ想いだと知ってから二人で抜け駆けをするのはナシにしようと約束した。だから、蒼樹に想いを伝えるときは鷺羽にも伝えることにしていた」
いつも多くを語らないげんちゃんが、ここまで俺のことを想っていてくれただなんて。
とっきーが真剣に想っていてくれたことにも驚いたのに、二人とも俺のことを好きだって言ってくれてるんだよな。
今、物凄く混乱してるんだけど……これって幼なじみ以上の関係を望まれているってこと、だよな。
「蒼樹、大丈夫か?」
「大丈夫。ただ、混乱してる。その……二人とも俺に対して友人以上の気持ちを持ってくれてるってことで、あってる?」
俺がじっと見上げると二人とも静かに頷いた。
じゃあ、好きっていう意味は……俺のことを恋人にしたいってことだよな。
二人とも女の子が好きだって思ってたから、まさか俺なのって頭の中ぐるぐるしてるけど……。
「ごめんな。蒼樹にはゆっくりと時間をかけて話した方がいいって思ってたんだけどさ。あの北條って人も蒼樹のこと気に入ってたみたいだし、もう耐えられなかった」
「それは俺も同じだ。蒼樹を取られたくない気持ちは鷺羽と変わらない。蒼樹、困らせてごめん」
二人とも申し訳なさそうな顔をして、俺の反応を待ってくれてる。
だけど、俺はどうしたらいいんだろう?
「それは俺が鈍いせいだから二人は悪くないんだけど……ごめん。俺、今なんて言えばいいのか……言葉が出てこない」
二人のことは俺だって好きだけど、それが二人と同じ気持ちなのかどうかは自信がない。
というか、考えたこともなかった。
「……だよな。蒼樹は俺たちのことを幼なじみだと思って接してた訳だし。急に告白されても、だよなー」
「ああ。だから、今すぐ返事はしなくてもいい。俺は蒼樹の気持ちが一番だから、蒼樹の気持ちを尊重するつもりだ」
「とっきー……げんちゃん……」
二人とも笑ってるけど、俺がなんていうか不安なんだろうな。
いつ伝えようかって迷ってたはずだし、俺が二人の気持ちに全く気付いてなかったからずっとやきもきしてたんだろうし。
「二人とも、伝えてくれてありがとう。俺、ちゃんと考えるから。少しだけ待ってもらってもいいかな?」
「ああ。でも、こんなこと言われてとっきー無理ーってなったら……ショックだけどそれも覚悟してるから悔いはない!」
「それはそうだな。蒼樹が俺たちと一緒に居づらくなるのなら……言ってほしい。店のことは心配だが、代わりも探す」
驚いてはいるけど、落ち着かないだけで嫌悪感は全くない。
だって、俺にとって二人は大切な幼なじみだってことは変わらない事実だ。
それが、幼なじみ以上になるかどうか……それをきちんと考えなくちゃいけないよな。
「二人のことを嫌いになんてなるはずないだろ。だからこそ、俺も真剣に答えないといけないって思ったんだから。本当はすぐに答えられればいいんだけど……」
情けない気持ちを素直に伝えると、二人は俺の手を握って笑ってくれた。
「やっぱり蒼樹は可愛い! 好きだ!」
「同感だ。蒼樹は可愛い。俺も好きだ」
「はあ……やっぱり俺は可愛いと思われてる訳だ。二人とも俺を女の子みたいに可愛がりたいってこと?」
世の中にはそういうジャンルもあることくらいは知ってるけど、男性同士の場合だって抱かれる側がいるわけだよな。
で、確認のために聞いてみたんだけど……二人とも俺を抱きたいってことなんだよな。
あぁ……思いっきり頷かれてる……。
俺を見つめる目線は優しいけど、とっきーと同じで熱を感じるものだ。
「蒼樹、俺も蒼樹のことがずっと好きだった。優しくて明るい蒼樹の側にいると、心が癒されるし幸せな気持ちになる。だから、他の誰にも渡したくない。勿論、鷺羽にも」
「げんちゃん……」
「だけど、鷺羽も俺と同じ想いだと知ってから二人で抜け駆けをするのはナシにしようと約束した。だから、蒼樹に想いを伝えるときは鷺羽にも伝えることにしていた」
いつも多くを語らないげんちゃんが、ここまで俺のことを想っていてくれただなんて。
とっきーが真剣に想っていてくれたことにも驚いたのに、二人とも俺のことを好きだって言ってくれてるんだよな。
今、物凄く混乱してるんだけど……これって幼なじみ以上の関係を望まれているってこと、だよな。
「蒼樹、大丈夫か?」
「大丈夫。ただ、混乱してる。その……二人とも俺に対して友人以上の気持ちを持ってくれてるってことで、あってる?」
俺がじっと見上げると二人とも静かに頷いた。
じゃあ、好きっていう意味は……俺のことを恋人にしたいってことだよな。
二人とも女の子が好きだって思ってたから、まさか俺なのって頭の中ぐるぐるしてるけど……。
「ごめんな。蒼樹にはゆっくりと時間をかけて話した方がいいって思ってたんだけどさ。あの北條って人も蒼樹のこと気に入ってたみたいだし、もう耐えられなかった」
「それは俺も同じだ。蒼樹を取られたくない気持ちは鷺羽と変わらない。蒼樹、困らせてごめん」
二人とも申し訳なさそうな顔をして、俺の反応を待ってくれてる。
だけど、俺はどうしたらいいんだろう?
「それは俺が鈍いせいだから二人は悪くないんだけど……ごめん。俺、今なんて言えばいいのか……言葉が出てこない」
二人のことは俺だって好きだけど、それが二人と同じ気持ちなのかどうかは自信がない。
というか、考えたこともなかった。
「……だよな。蒼樹は俺たちのことを幼なじみだと思って接してた訳だし。急に告白されても、だよなー」
「ああ。だから、今すぐ返事はしなくてもいい。俺は蒼樹の気持ちが一番だから、蒼樹の気持ちを尊重するつもりだ」
「とっきー……げんちゃん……」
二人とも笑ってるけど、俺がなんていうか不安なんだろうな。
いつ伝えようかって迷ってたはずだし、俺が二人の気持ちに全く気付いてなかったからずっとやきもきしてたんだろうし。
「二人とも、伝えてくれてありがとう。俺、ちゃんと考えるから。少しだけ待ってもらってもいいかな?」
「ああ。でも、こんなこと言われてとっきー無理ーってなったら……ショックだけどそれも覚悟してるから悔いはない!」
「それはそうだな。蒼樹が俺たちと一緒に居づらくなるのなら……言ってほしい。店のことは心配だが、代わりも探す」
驚いてはいるけど、落ち着かないだけで嫌悪感は全くない。
だって、俺にとって二人は大切な幼なじみだってことは変わらない事実だ。
それが、幼なじみ以上になるかどうか……それをきちんと考えなくちゃいけないよな。
「二人のことを嫌いになんてなるはずないだろ。だからこそ、俺も真剣に答えないといけないって思ったんだから。本当はすぐに答えられればいいんだけど……」
情けない気持ちを素直に伝えると、二人は俺の手を握って笑ってくれた。
「やっぱり蒼樹は可愛い! 好きだ!」
「同感だ。蒼樹は可愛い。俺も好きだ」
「はあ……やっぱり俺は可愛いと思われてる訳だ。二人とも俺を女の子みたいに可愛がりたいってこと?」
世の中にはそういうジャンルもあることくらいは知ってるけど、男性同士の場合だって抱かれる側がいるわけだよな。
で、確認のために聞いてみたんだけど……二人とも俺を抱きたいってことなんだよな。
あぁ……思いっきり頷かれてる……。
1
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
素直じゃない人
うりぼう
BL
平社員×会長の孫
社会人同士
年下攻め
ある日突然異動を命じられた昭仁。
異動先は社内でも特に厳しいと言われている会長の孫である千草の補佐。
厳しいだけならまだしも、千草には『男が好き』という噂があり、次の犠牲者の昭仁も好奇の目で見られるようになる。
しかし一緒に働いてみると噂とは違う千草に昭仁は戸惑うばかり。
そんなある日、うっかりあられもない姿を千草に見られてしまった事から二人の関係が始まり……
というMLものです。
えろは少なめ。
【BL】はるおみ先輩はトコトン押しに弱い!
三崎こはく
BL
サラリーマンの赤根春臣(あかね はるおみ)は、決断力がなく人生流されがち。仕事はへっぽこ、飲み会では酔い潰れてばかり、
果ては29歳の誕生日に彼女にフラれてしまうというダメっぷり。
ある飲み会の夜。酔っ払った春臣はイケメンの後輩・白浜律希(しらはま りつき)と身体の関係を持ってしまう。
大変なことをしてしまったと焦る春臣。
しかしその夜以降、律希はやたらグイグイ来るように――?
イケメンワンコ後輩×押しに弱いダメリーマン★☆軽快オフィスラブ♪
※別サイトにも投稿しています
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる