レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです~ぼんやり無自覚マスターと幼なじみ同士のじれじれ恋愛トライアングル~

めーぷる

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第五章 レトロ喫茶の運命は如何に

43.三人で検討してみる

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 謎の紳士は暫く俺との会話を楽しみながら、コーヒーもお代わりしてくれた。
 お腹は減ってなかったみたいで食べ物の注文はなかったんだけど、また今度食べに来てくれるらしい。
 固定客になってくれるのは大歓迎だ。

 閉店後、とっきーとげんちゃんにも紳士の話をしてみたんだけど……げんちゃんもあまりピンとこないみたいだ。
 俺の情報だけじゃ何者かなんて分からないよな。

蒼樹あおいの名前を聞くのが少し引っかかる気はするが、害はなさそうだ」
「そうか? 俺はさっきからなーんかここまで出かかってるんだけど、出てこないんだよ」

 とっきーが渋い顔をしながら、唸ってるんだよな。
 俺も気にはなるけど、別に楽しく話していただけだし問題はないと思うんだけどな。

「蒼樹の名前を聞いて、覚えておこうって。普通の客がわざわざ名前聞いたりするか?」
鷺羽ときは、お前は過敏すぎる。コミュニケーションとして聞くことだってあるだろう」

 とっきーの言うことも分からなくはないけど、会話を楽しみたいと思っている人は名前を聞くのも話題の一つだからな。
 別に個人情報を根掘り葉掘り聞かれた訳じゃないから、名前を聞いたこと自体に変な意味はないはずだ。
 
「俺もげんちゃんの意見に賛成。俺が気になっているのは、むしろ相手の正体っていうか。何の仕事をしてる人なんだろうって思ってたんだ」
「仕事って……見た目エリートっぽいんだろ? 俺は見たことないけど、どっかの会社のお偉いさんとかお堅い公務員とか。金持ちとか?」
「また来てくれると言ったなら、その時にこっそり俺たちも様子を見てみたらいい。俺の料理が口に合うかも気になる」

 とっきーとげんちゃんも謎の紳士に興味深々みたいだ。
 確かに上品な感じだったし、レトロ喫茶を経営してる身としてはたくさんお金を落としてくれたらラッキーなんだけど。

「そういや相手も名前を教えてくれたんだろ?」
「北條さんって言ってたよ」
「北條……聞いたことないな。調べたら分かったりとか……って。北條で調べたら武将の名前ばっかでてくるし」

 とっきーがスマホで検索してくれたけど、俺が漢字を聞いた時も武将の北條氏と一緒だって言ってたな。
 北條一族って訳じゃないらしいけど。

「武将とは関係ないんだよな? 武家の一家ならエリートもありえるけど」
「違うって言ってた。たまたま苗字が一緒らしい。でも、雰囲気的には軍師って感じだったな。武闘派な雰囲気じゃなかったし」
「そうか。手合わせしてみたかったが残念だ」

 手合わせって……げんちゃんも何を言ってるんだか。
 げんちゃんは色々やってるからなぁ。
 ケンカが強いだけじゃないし、強い人と戦えるのは嬉しいのかもしれないな。
 
 三人で色々考えてみたけど、これからこっそり探ってみようという結論に落ち着いた。
 近々また来てくれるとありがたいんだけど、忙しい人なのかもしれないしどうなんだろうな。
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