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第四章 レトロ喫茶は順風満帆?

37.何とか方向転換

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 俺、なんで呆れられてるんだろう?
 それにしても二人とも過剰に心配しすぎじゃないかな。
 実際俺がケガをした訳じゃないのにな。

蒼樹あおいはいつもボケっとしてるくせに、変な時だけ行動力あるのが危なっかしいんだよな。さっきの場合もさっさと店に入るのが正解だろ」
「それは俺も考えてたんだけど、服を掴まれちゃったから身動き取れなかったんだよ。だからと言って見て見ぬふりっていうのも後味悪いからさ」
「蒼樹は優しすぎるからな。余計に心配だ」

 げんちゃんがいつもいい方向へ話を持っていってくれるけど、とっきーは毎回違うっていう役になっちゃうんだよな。

「このやり取りを何度し続けてきたか数えきれないんだよ。蒼樹はぼんやりするだけの人でいてくれればいいって」
「あのなぁ……別に俺だって喜んでトラブルに関わってる訳じゃないからな」
鷺羽ときはは言い方がキツすぎる。蒼樹のことが心配なのは俺も同じだ」

 げんちゃんととっきーは、俺のことになるといつも揉める気がする。
 最近は些細なことでもぶつかってるから、巻き込まれてるのは俺も一緒なんだよな。
 どっちの意見も分かるから、片方に肩入れする訳にもいかないし。
 今回に関してはトラブルに巻き込まれたとはいえ、俺が心配をかけたのは事実だからここは俺が折れるしかないよな。

「二人とも、分かった。俺が悪かったから、そろそろ移動しよう。まだ時間はあるのにここで揉め続けたら折角の休みが勿体ないよ」
「そうだな。不可抗力だった訳だし、今日は俺たちが蒼樹を助けられたから良しとするか」
「ああ。そうだな。次はどうしようか?」

 二人とも納得してくれたみたいだし、俺も今後気を付けるっていうことでこの後飲み物をおごる約束をした。
 なんだか、危ないことをして叱られてる子どもの気分だ。

「天気もいいしドライブしながらどっかいい店があったら、そこでおごってもらおうか」
「店が見つけられなかったら、コンビニの飲み物になるからな」
「俺は蒼樹の気持ちが嬉しいから、何でもいい」

 げんちゃんには車の運転も任せてるから、追加で何かおごろうかな。
 とっきーもさすがに文句言わないだろう。
 
「コンビニじゃ味気ないし、いい店あるか検索しよ。レトロ喫茶行ったから、今度は別のテイストの店がいいかもな」
「おしゃれなカフェへ行くのもありかもな。違いが分かりやすそうだ。色々勉強になりそうだし」
「それも楽しそうだな」

 何とか丸く収まったみたいで良かった。
 休日が台無しになっちゃうのは俺も嫌だったし、ずっとお説教されてるのも恥ずかしいもんな。
 この後も楽しんでリフレッシュして、また頑張らないとな。
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