レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです~ぼんやり無自覚マスターと幼なじみ同士のじれじれ恋愛トライアングル~

めーぷる

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第二章 レトロ喫茶、オープンします

11.リニューアルオープン当日

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 ついにリニューアルオープン当日になった。
 近所の人には、買い出しや会った時にまた店を再開しますって挨拶しておいた。
 じいちゃんの知り合いの人たちはみんな歓迎してくれて、またコーヒーを飲みに行くよって言ってくれる人が多かった。
 
 新規のお客さんへの宣伝は、とっきーがレトロ喫茶プラムコレクトのホームページを作ってくれてサイトにも登録してくれてるからバッチリだ。
 初日から混み過ぎて大変だーなんてことは絶対にないと思うけど、お店は三人でまわすから少しずつお客さんが増えてくれるのが一番いい。

「よっし。じゃあ、始めますか!」

 オープン時間の二時間前に店へ着いたから、まだ誰も来てない。
 気合をいれるために、早速オーダーメイドで作った制服に着替える。
 
 マスターの制服もじいちゃんの時のデザインと同じものにしようか迷って、最初は白シャツと黒のリボンタイだけにしておくことにした。
 パンツは無難な黒の落ち着いた感じでまとめて、腰に焦げ茶のカフェエプロンを巻く。
 俺の髪は薄茶でふわっとしているから、寝ぐせが目立たないように軽く流す。
 普段は前髪が長めなせいもあってぼんやりしていると思われがちだから、見た目だけでもきちっとしておかないとな。
 
 本当は制服もじいちゃんが着てたボルドーのリボンタイと焦げ茶のベストにしたいところだけど、とっておきは一人前になってからだ。
 俺はじいちゃんの見よう見まねの半人前だから、清潔感があれば別にいいかなと思ってる。

「喫茶店の制服っていいよな。じいちゃんはいつもカッコよかったよなぁ」

 鏡で自分の恰好を見ていると、笑いながら接客してたじいちゃんを思い出す。
 でも、俺たちは俺たちの新たなプラムコレクトを作っていかないといけないよな。
 笑顔の練習をして、気合を入れ直す。
 
 ちなみにげんちゃんは料理兼スイーツ担当だから、レトロ喫茶だけどパティシエっぽいベージュの丸いふわっとした帽子に白のコックコートで茶のスカーフを巻いてる。
 黒いパンツと腰で巻くタイプのカフェエプロンは焦げ茶だ。

 とっきーは接客担当だから俺とあんまり変わらないんだけど、リボンタイの色は黒でリボンが俺と違って蝶ネクタイタイプだ。
 俺は輪になってるだけの簡単なタイプだから、少し大人っぽく見えるらしい。

「しっかし、とっきーは制服の拘りもすごかったよなぁ……。野郎しかいないんだから、見た目は大事だ! とかなんとか言ってたけど。まず金髪の兄ちゃんが接客業って……」

 とっきーのことは近所のじいちゃんばあちゃんも見慣れてるから、俺も金髪については黒に染めてこいとか言わなかった。
 じいちゃんもとっきーの髪で不良だとか言ったことは一度もなかったしな。
 制服に関しては宣伝効果もあるからってことだったけど、SNSでもとっきーが頻繁に発信してくれてるみたいだ。
 俺も一応チェックしてるけど、フォロワー数はどのSNSも少しずつ増えてきている。
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