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自作品番外編
七夕ファンタジー<気まぐれな神様にイケメンをプレゼントされました>
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※こちらは七夕のお題で書かせていただいたものですが、自作品カプのため自作品番外編で分類させていただきます。
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俺は大型スーパーにショッピングしに来たんだけど、トイレに行ったら元居た場所が分からなくなってリツキを見失ってしまった。
慌ててメッセージを送った後に、何とか出入口付近まで戻ってきた。
出入口前には七夕が近いせいか大きな笹が飾られていたので、迷った俺でも目についたからだ。
そわそわしていると、その笹の近くで待っていてと俺の心を先読みしたリプが返ってきた。
(迷子って……俺、一体何歳? オタクだから迷子?)
しょうもないことを考えながら、リツキに迷惑をかけないようにじっとしていることにした。
だけど、休日のせいか人が多いしレジも混んでそうでまだリツキはやってきそうにない。
俺の近くを通り過ぎた親子連れが、近くにあったテーブルへ近づいていく。
そのテーブルには各色揃えられた短冊がおいてあり、側にはマジックも色々置いてあった。
どうやら、女の子がお願い事を書きたいみたいでお母さんに手伝ってとお願いしている。
(俺も書いてみようかな? じゃあ、テーブルの端っこにお邪魔して……)
俺も青の短冊に黒のマジックで、ちょっとした願い事を書いてみる。
前から気になっていたことだったんだけど、リツキが言っている神様っていう存在が気になっていた。
リツキは元々俺の夢の中に現れた存在で、俺の妄想の全てが具現化された存在。
つまり、俺と正反対の性質を持ち合わせた『俺』だった。
流れ星にお願いしたら、その願いが叶って神様が俺のところにイケメンを配達してくれたっていう夢みたいな話なんだけど……アニメのようなご都合主義で、イケメンは俺を溺愛してくれて今もこの街で暮らしている。
リツキと自然にお付き合いをしているので、俺はリア充でもあるっていう未だに夢みたいな日々を送っていた。
(これでよし……っと。後は短冊を結んで……)
親子連れの邪魔はしないように、俺も短冊を結び終えて視線を上げる。
ちょうどカートを押したリツキがこっちに向かってきているのが見えた。
「サツキお待たせ! って、もしかしてまた願い事か?」
「あ、リツキ。ごめん。俺、役に立たなくって。願い事は内緒でお願いします」
「いや、サツキはいるだけで俺の癒し。でも、俺に隠し事? これはお仕置きだな」
悪戯っぽく笑うリツキを見ていると嫌な予感がする。
俺は何も見なかったことにして、行こう! と、リツキを促した。
+++
その夜、リツキの家でお泊りだったので手料理をごちそうになってからリツキからのあんなこんながあって漸く就寝したんだけど……俺は夢を見ていた。
「もしかしてもしかすると……これは俺のせいでこうなった?」
「サツキ、願い事ってコレだったのか? 一番厄介な願い事したな。俺も手に負えないのを呼び出すとは」
俺の側には何故かリツキもいて、俺たちは見渡す限りの夜空の上にふわふわと浮かんでいた。
夢だから何でもありなのかもしれないけど、下を見るとヒュッと心臓を掴まれるみたいな感覚がして怖くなる。
すぐに察してくれたリツキが俺を抱き寄せてくれた。
「おー! 早速見せつけてくれるー! 今回の新作も捗りそう!」
目の前で楽しそうに女の人が笑ってるんだけど、見た目は絵本なんかで見かける織姫さまっぽい。
俺は短冊に『リツキに会わせてくれた神様にお礼がしたいです』って書いたんだけど……目の前にいる人が神様なのかな?
「そうでーす! 君のことはよく見てたよサツキ君。お礼だなんて照れちゃうな」
「神様……ですよね? ええと、この度は俺の願いを叶えていただきまして……ありがとうございます」
「サツキ、そんな丁寧にしなくてもこの人は大丈夫だから。神様って言っても限定的な神様だし」
リツキが苦笑いしながら神様を見ると、神様はぐふふーと神様らしくない笑い方をする。
「私は腐った人たちの味方だからね。サツキ君は私の中での萌え率が高かったからサービスしちゃったのだ! その年齢でその見た目! 目立たないと言いながら実は可愛い顔しちゃってー!」
「神様はもう少し神様らしくした方がいいよ。サツキですらドン引きするレベルだから」
「リッちゃんは毒舌だなー? 生みの親なんだから、もう少し優しく……でも、ちょっとSっ気があるのも萌えー」
何だかやたら親しみやすい神様で安心したけど、俺とリツキを見つめる視線が違う意味でキラキラしてるのは気のせいだと思いたい!
コレ、すごく同族意識を感じるんですけど……俺の勘は間違っていないみたいだ。
「サツキ君の妄想力には感心感心! リッちゃんとするプレイの妄想も……」
「わぁぁぁーっ! 神様っ! 俺の心と妄想を読むのはやめて! 恥ずかしぬ!」
「あぁ……言わんこっちゃない。サツキ、お願い事が好きなのは分かったから、この人を呼び出すのだけはやめような」
サツキによしよしされている間も、モエモエキュンとか言われて居たたまれない。
妄想するなら俺とリツキ以外にしていただきたいと心の中で強く願った。
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俺は大型スーパーにショッピングしに来たんだけど、トイレに行ったら元居た場所が分からなくなってリツキを見失ってしまった。
慌ててメッセージを送った後に、何とか出入口付近まで戻ってきた。
出入口前には七夕が近いせいか大きな笹が飾られていたので、迷った俺でも目についたからだ。
そわそわしていると、その笹の近くで待っていてと俺の心を先読みしたリプが返ってきた。
(迷子って……俺、一体何歳? オタクだから迷子?)
しょうもないことを考えながら、リツキに迷惑をかけないようにじっとしていることにした。
だけど、休日のせいか人が多いしレジも混んでそうでまだリツキはやってきそうにない。
俺の近くを通り過ぎた親子連れが、近くにあったテーブルへ近づいていく。
そのテーブルには各色揃えられた短冊がおいてあり、側にはマジックも色々置いてあった。
どうやら、女の子がお願い事を書きたいみたいでお母さんに手伝ってとお願いしている。
(俺も書いてみようかな? じゃあ、テーブルの端っこにお邪魔して……)
俺も青の短冊に黒のマジックで、ちょっとした願い事を書いてみる。
前から気になっていたことだったんだけど、リツキが言っている神様っていう存在が気になっていた。
リツキは元々俺の夢の中に現れた存在で、俺の妄想の全てが具現化された存在。
つまり、俺と正反対の性質を持ち合わせた『俺』だった。
流れ星にお願いしたら、その願いが叶って神様が俺のところにイケメンを配達してくれたっていう夢みたいな話なんだけど……アニメのようなご都合主義で、イケメンは俺を溺愛してくれて今もこの街で暮らしている。
リツキと自然にお付き合いをしているので、俺はリア充でもあるっていう未だに夢みたいな日々を送っていた。
(これでよし……っと。後は短冊を結んで……)
親子連れの邪魔はしないように、俺も短冊を結び終えて視線を上げる。
ちょうどカートを押したリツキがこっちに向かってきているのが見えた。
「サツキお待たせ! って、もしかしてまた願い事か?」
「あ、リツキ。ごめん。俺、役に立たなくって。願い事は内緒でお願いします」
「いや、サツキはいるだけで俺の癒し。でも、俺に隠し事? これはお仕置きだな」
悪戯っぽく笑うリツキを見ていると嫌な予感がする。
俺は何も見なかったことにして、行こう! と、リツキを促した。
+++
その夜、リツキの家でお泊りだったので手料理をごちそうになってからリツキからのあんなこんながあって漸く就寝したんだけど……俺は夢を見ていた。
「もしかしてもしかすると……これは俺のせいでこうなった?」
「サツキ、願い事ってコレだったのか? 一番厄介な願い事したな。俺も手に負えないのを呼び出すとは」
俺の側には何故かリツキもいて、俺たちは見渡す限りの夜空の上にふわふわと浮かんでいた。
夢だから何でもありなのかもしれないけど、下を見るとヒュッと心臓を掴まれるみたいな感覚がして怖くなる。
すぐに察してくれたリツキが俺を抱き寄せてくれた。
「おー! 早速見せつけてくれるー! 今回の新作も捗りそう!」
目の前で楽しそうに女の人が笑ってるんだけど、見た目は絵本なんかで見かける織姫さまっぽい。
俺は短冊に『リツキに会わせてくれた神様にお礼がしたいです』って書いたんだけど……目の前にいる人が神様なのかな?
「そうでーす! 君のことはよく見てたよサツキ君。お礼だなんて照れちゃうな」
「神様……ですよね? ええと、この度は俺の願いを叶えていただきまして……ありがとうございます」
「サツキ、そんな丁寧にしなくてもこの人は大丈夫だから。神様って言っても限定的な神様だし」
リツキが苦笑いしながら神様を見ると、神様はぐふふーと神様らしくない笑い方をする。
「私は腐った人たちの味方だからね。サツキ君は私の中での萌え率が高かったからサービスしちゃったのだ! その年齢でその見た目! 目立たないと言いながら実は可愛い顔しちゃってー!」
「神様はもう少し神様らしくした方がいいよ。サツキですらドン引きするレベルだから」
「リッちゃんは毒舌だなー? 生みの親なんだから、もう少し優しく……でも、ちょっとSっ気があるのも萌えー」
何だかやたら親しみやすい神様で安心したけど、俺とリツキを見つめる視線が違う意味でキラキラしてるのは気のせいだと思いたい!
コレ、すごく同族意識を感じるんですけど……俺の勘は間違っていないみたいだ。
「サツキ君の妄想力には感心感心! リッちゃんとするプレイの妄想も……」
「わぁぁぁーっ! 神様っ! 俺の心と妄想を読むのはやめて! 恥ずかしぬ!」
「あぁ……言わんこっちゃない。サツキ、お願い事が好きなのは分かったから、この人を呼び出すのだけはやめような」
サツキによしよしされている間も、モエモエキュンとか言われて居たたまれない。
妄想するなら俺とリツキ以外にしていただきたいと心の中で強く願った。
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