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第一章 太陽の王子様と氷の王子様
19.一人になった時に
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社長と少し会話をしてから、社長だけが別の人にお呼ばれしたので私は休憩のつもりで勧められたシャンパンのグラスを手に取った。
「何かお腹に入れようかな……」
カナッペなどの摘んで食べられる料理が並ぶ長テーブルの前に立って食べ物を何気なく物色していると、コツコツとヒールの音が側まで近づいてきた。
「お隣、いいかしら?」
ふいに声をかけられて顔をあげる。
隣にやってきたのは胸元に大きな花があしらわれた真紅のドレスを着こなす女性だ。
この人は……確かアンカイコーポレーションのご令嬢だった気がする。
社長の婚約者候補にまでなった人でお付き合いも一時していたって聞いたけど、社長から正式にお断りしたらしい。
気が強そうだけど、キレイな人なのに。
「あなた、海音とお付き合いしているのかしら?」
「社長と、でしょうか? これからそうなれたらとお仕事をご一緒させていただいておりますが」
彼女は不躾な眼差しで私の全身を見回す。
なんか、ちょっと嫌な感じがする。
フン、と鼻を鳴らすと彼女は私に向き合う。
「あなた、どこの方か知らないけれど。そんな地味顔で彼の隣に立っていて恥ずかしくないの? 見ているこちらが貧相すぎて嫌になってしまうわ」
「は……?」
何この人。
いきなりケンカ売ってきてる?
何か関わったら面倒そうだし、適当に失礼したほうがいいかも。
「社長は素敵な方ですから。私も少しずつ学ばせていただいているところなので。すみません、私はこれで……」
私がその場から立ち去ろうとするのに、彼女は足を突っ張って私の進路を塞いでくる。
まだ嫌味を言いたいのかなぁ?
こういう嫌がらせって華やかな世界にもやっぱりあるものなんだと思うとちょっと残念。
何か厳しいみたいな話は聞いていたから、何のコネも後ろ盾もない私じゃそう思われるかもとは思っていたけど。
こんなに分かりやすくくるだなんて。
「あの……」
「……こんな貧相な子にとられるだなんて。信じられない。私の方がスタイルも、家柄も、全部完璧なのに……」
「……すみませんが、そろそろ社長のお側に戻らないといけないので」
社長を口実に使って逃げようと思ったその時――
パシャッ、と。
何かかけられた。
私の紺色のドレスにシミが広がっていく。
「あら、ごめんなさい。貴方が押してくるものだからワインをこぼしてしまったわ。そんな下品な歩き方をするから……」
「……」
幼稚すぎて何も言えない。
ヤキモチを妬いているのか何だか知らないけど。
マンガの意地悪お嬢様みたいなことを実際にされるだなんて。
呆れて言葉が咄嗟に出て来ない。
こんなことをして満足なのかな?
はぁ……ドレスのクリーニング代、高そうだなぁ。
高飛車に見下ろす彼女の挑発にのらないで、どう切り抜けようかと思案する。
「何かお腹に入れようかな……」
カナッペなどの摘んで食べられる料理が並ぶ長テーブルの前に立って食べ物を何気なく物色していると、コツコツとヒールの音が側まで近づいてきた。
「お隣、いいかしら?」
ふいに声をかけられて顔をあげる。
隣にやってきたのは胸元に大きな花があしらわれた真紅のドレスを着こなす女性だ。
この人は……確かアンカイコーポレーションのご令嬢だった気がする。
社長の婚約者候補にまでなった人でお付き合いも一時していたって聞いたけど、社長から正式にお断りしたらしい。
気が強そうだけど、キレイな人なのに。
「あなた、海音とお付き合いしているのかしら?」
「社長と、でしょうか? これからそうなれたらとお仕事をご一緒させていただいておりますが」
彼女は不躾な眼差しで私の全身を見回す。
なんか、ちょっと嫌な感じがする。
フン、と鼻を鳴らすと彼女は私に向き合う。
「あなた、どこの方か知らないけれど。そんな地味顔で彼の隣に立っていて恥ずかしくないの? 見ているこちらが貧相すぎて嫌になってしまうわ」
「は……?」
何この人。
いきなりケンカ売ってきてる?
何か関わったら面倒そうだし、適当に失礼したほうがいいかも。
「社長は素敵な方ですから。私も少しずつ学ばせていただいているところなので。すみません、私はこれで……」
私がその場から立ち去ろうとするのに、彼女は足を突っ張って私の進路を塞いでくる。
まだ嫌味を言いたいのかなぁ?
こういう嫌がらせって華やかな世界にもやっぱりあるものなんだと思うとちょっと残念。
何か厳しいみたいな話は聞いていたから、何のコネも後ろ盾もない私じゃそう思われるかもとは思っていたけど。
こんなに分かりやすくくるだなんて。
「あの……」
「……こんな貧相な子にとられるだなんて。信じられない。私の方がスタイルも、家柄も、全部完璧なのに……」
「……すみませんが、そろそろ社長のお側に戻らないといけないので」
社長を口実に使って逃げようと思ったその時――
パシャッ、と。
何かかけられた。
私の紺色のドレスにシミが広がっていく。
「あら、ごめんなさい。貴方が押してくるものだからワインをこぼしてしまったわ。そんな下品な歩き方をするから……」
「……」
幼稚すぎて何も言えない。
ヤキモチを妬いているのか何だか知らないけど。
マンガの意地悪お嬢様みたいなことを実際にされるだなんて。
呆れて言葉が咄嗟に出て来ない。
こんなことをして満足なのかな?
はぁ……ドレスのクリーニング代、高そうだなぁ。
高飛車に見下ろす彼女の挑発にのらないで、どう切り抜けようかと思案する。
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