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第一章 太陽の王子様と氷の王子様
11.改めて、宣言
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歓迎会の次の日――
資料を作り終わったあとの昼休み、岬さんと休憩に入ってお弁当を開く。
「あら、卵焼き美味しそう。一つもらってもいいかしら?」
「はい、どうぞ」
二人でお弁当の中身を交換しあって、美味しい唐揚げにパクついていたら岬さんに見つめられる。
「風音ちゃん、婚約者の話どうする? 私は引き受けなくてもいいと思うの。最初に言った通り無理しないでね」
岬さんの言葉を聞きながら、私も苦笑する。
一応真面目に考えていたんだけど、正直無理な気はしてる。
普通のお仕事でもいっぱいいっぱいだし……。
マナーとか言われても良く分からないし。でも……。
「……ありがとうございます。でも、何か引き下がるっていうのもなぁって思うので……」
「戦いに挑む前の戦士みたいね。でも風音ちゃんならきっと頑張れるわ。でも、本当に無理はしないでね。華やかな世界の裏にはきっと色々な影もあるはず。私にも分からない世界だから……」
「全く分からない世界ですけど……頑張ってみます」
「ええ。応援してる。私も精一杯サポートするから」
岬さんの応援を受けながら、私は社長へ伝えにいくと決めた。
+++
扉をノックすると、中から返事が返ってきた。
意を決して扉を開ける。
「ことりちゃん、どうしたの?」
「お仕事中にすみません。婚約者のお話ですけど……やってみようと思いまして」
私が言うと、社長が嬉しそうに笑いかけてくる。
「ホント? 良かった、ありがとう! じゃあ、早速……」
近寄ろうとする社長を遮って、氷室さんが先に近づいてくる。
しかも怖い顔をしてるし。
少し緊張しながら、目線をあわせる。
「君は上流階級のことを何も知らないはずだ。本当に引き受けるつもりか?」
「上流階級って……お金持ちの世界ってことですか? 確かに何も分からないです。でも、このまま引き受けないっていうのも違うと思うし」
「いくらフリだとは言え、社長は橘グループの御曹司だ。それなりの教養もないと周りの目を誤魔化すことなどできない。君にはその覚悟があるのか?」
スッと眼鏡の奥の瞳が細められて、私を見定めるように射抜いてくる。
迫力はあるけど、私も必死に見つめ返す。
「軽々しい気持ちでは引き受けません。やるからにはきちんとこなしたいです。どういう意図があってかは知りませんが、そのために私を選んだというのであれば、受ける必要があると思っただけです」
きっぱりと言い返すと、軽くため息を吐かれた。
そんなにできないと思ってるの?
「そんな怖い顔しないで。秦弥も睨まない睨まない。婚約者兼秘書っていう設定でいくから。パーティーの時に顔見せしよう。それまでに簡単なマナーとか、覚えてもらえればいいから。大丈夫、なんとかなるよ」
「お前は気軽なことを言う。そもそも、お前がふらふらとしなければ他人を巻き込むようなことをする必要がなかったんだ。分かっているのか?」
氷室さんが今度は社長へキツめにあたる。
この話って他になにか意味があるとでも言うの?
資料を作り終わったあとの昼休み、岬さんと休憩に入ってお弁当を開く。
「あら、卵焼き美味しそう。一つもらってもいいかしら?」
「はい、どうぞ」
二人でお弁当の中身を交換しあって、美味しい唐揚げにパクついていたら岬さんに見つめられる。
「風音ちゃん、婚約者の話どうする? 私は引き受けなくてもいいと思うの。最初に言った通り無理しないでね」
岬さんの言葉を聞きながら、私も苦笑する。
一応真面目に考えていたんだけど、正直無理な気はしてる。
普通のお仕事でもいっぱいいっぱいだし……。
マナーとか言われても良く分からないし。でも……。
「……ありがとうございます。でも、何か引き下がるっていうのもなぁって思うので……」
「戦いに挑む前の戦士みたいね。でも風音ちゃんならきっと頑張れるわ。でも、本当に無理はしないでね。華やかな世界の裏にはきっと色々な影もあるはず。私にも分からない世界だから……」
「全く分からない世界ですけど……頑張ってみます」
「ええ。応援してる。私も精一杯サポートするから」
岬さんの応援を受けながら、私は社長へ伝えにいくと決めた。
+++
扉をノックすると、中から返事が返ってきた。
意を決して扉を開ける。
「ことりちゃん、どうしたの?」
「お仕事中にすみません。婚約者のお話ですけど……やってみようと思いまして」
私が言うと、社長が嬉しそうに笑いかけてくる。
「ホント? 良かった、ありがとう! じゃあ、早速……」
近寄ろうとする社長を遮って、氷室さんが先に近づいてくる。
しかも怖い顔をしてるし。
少し緊張しながら、目線をあわせる。
「君は上流階級のことを何も知らないはずだ。本当に引き受けるつもりか?」
「上流階級って……お金持ちの世界ってことですか? 確かに何も分からないです。でも、このまま引き受けないっていうのも違うと思うし」
「いくらフリだとは言え、社長は橘グループの御曹司だ。それなりの教養もないと周りの目を誤魔化すことなどできない。君にはその覚悟があるのか?」
スッと眼鏡の奥の瞳が細められて、私を見定めるように射抜いてくる。
迫力はあるけど、私も必死に見つめ返す。
「軽々しい気持ちでは引き受けません。やるからにはきちんとこなしたいです。どういう意図があってかは知りませんが、そのために私を選んだというのであれば、受ける必要があると思っただけです」
きっぱりと言い返すと、軽くため息を吐かれた。
そんなにできないと思ってるの?
「そんな怖い顔しないで。秦弥も睨まない睨まない。婚約者兼秘書っていう設定でいくから。パーティーの時に顔見せしよう。それまでに簡単なマナーとか、覚えてもらえればいいから。大丈夫、なんとかなるよ」
「お前は気軽なことを言う。そもそも、お前がふらふらとしなければ他人を巻き込むようなことをする必要がなかったんだ。分かっているのか?」
氷室さんが今度は社長へキツめにあたる。
この話って他になにか意味があるとでも言うの?
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