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第一章 太陽の王子様と氷の王子様
10.観察していて見えてくること
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「どうしたの? リラックスして大丈夫だから」
「あ、はい。大丈夫です。その、見られると食べづらいですから」
「そうですよ。小鳥さんまで緊張したら意味がないですから。社長、熱視線はそれくらいにして。そうだ、私もプライベートでは名前で読んでもいいかしら?」
可愛らしく笑う岬さんにはノーと言えない。
それに、呼ばれたら嬉しいなって思うし。
「はい、どうぞ」
「ありがとう、風音ちゃん」
「栞央里ちゃんだけ? いいなぁ~」
「女性の名前を軽々しく呼んでいい訳がないだろう。岬さんのことを名前で呼べているのも彼女が特別に許してくれているからだ」
氷室さんが念押しすると、はいはい、と適当に返してトマトをパクリと頬張る。
ムスっとしているのが小動物っぽくて、何だか可愛らしく見える。
「私のことも良かったら名前で呼んでね。女性同士だったら会社で呼び合ってもいいかもしれないけれど」
「そんなそんな! でも、今は栞央里さんって呼ばせていただきます」
「女子会みたいな空気になってるし。まぁ、女の子同士の会話って可愛いから好きだけど」
「そう思うなら静かに食べろ。お前が邪魔していることに気づいてくれ」
黙々と食事を進める氷室さんは意外と量を食べるみたい。
丁寧に皿に盛って黙々と綺麗に食べ進めているから量を食べているようには見えないけど、食べることが好きなのかもしれない。
「相変わらずで。秦弥って実は食べることが好きだし。コイツは牛丼とかもぺろりだから。何かそういう雰囲気ないと思うけど」
「別に食べたいものを食べているだけだ。だから問題ない」
その通りなんだけど、仕草を見ているとお家でも高級なお料理とかしか食べないのかなって思っちゃうから。
やっぱり意外かも。
「とは言え、パーティーではマナーもあるからな。色々できるに越したことはない」
「そういう世界は世界で大変そうですね」
「またまたー。他人事みたいに言ってるけど、これからそういう機会もあるかもしれないよ? 引き受けてくれたら、だけど」
「その件はまだ引き請けるとは言ってません」
「そんなこと言わないで。寂しくなっちゃうから」
他愛の無い話と時々お願いも混ぜられていたけど、思っていたよりも楽しい歓迎会で良かった。
私も何とか期待に応えられるように頑張らなくっちゃ!
でも、婚約者のフリをするっていうのが一番ハードルも高いから、本当にどうしようかとまだ決めきれない。
そんなことしてどうするんだろう……。
引き受けたら教えてくれるのかな?
知りたいような、知りたくないような。
お金持ちの人の事情なんて、私には想像もつかないことなのかも。
「あ、はい。大丈夫です。その、見られると食べづらいですから」
「そうですよ。小鳥さんまで緊張したら意味がないですから。社長、熱視線はそれくらいにして。そうだ、私もプライベートでは名前で読んでもいいかしら?」
可愛らしく笑う岬さんにはノーと言えない。
それに、呼ばれたら嬉しいなって思うし。
「はい、どうぞ」
「ありがとう、風音ちゃん」
「栞央里ちゃんだけ? いいなぁ~」
「女性の名前を軽々しく呼んでいい訳がないだろう。岬さんのことを名前で呼べているのも彼女が特別に許してくれているからだ」
氷室さんが念押しすると、はいはい、と適当に返してトマトをパクリと頬張る。
ムスっとしているのが小動物っぽくて、何だか可愛らしく見える。
「私のことも良かったら名前で呼んでね。女性同士だったら会社で呼び合ってもいいかもしれないけれど」
「そんなそんな! でも、今は栞央里さんって呼ばせていただきます」
「女子会みたいな空気になってるし。まぁ、女の子同士の会話って可愛いから好きだけど」
「そう思うなら静かに食べろ。お前が邪魔していることに気づいてくれ」
黙々と食事を進める氷室さんは意外と量を食べるみたい。
丁寧に皿に盛って黙々と綺麗に食べ進めているから量を食べているようには見えないけど、食べることが好きなのかもしれない。
「相変わらずで。秦弥って実は食べることが好きだし。コイツは牛丼とかもぺろりだから。何かそういう雰囲気ないと思うけど」
「別に食べたいものを食べているだけだ。だから問題ない」
その通りなんだけど、仕草を見ているとお家でも高級なお料理とかしか食べないのかなって思っちゃうから。
やっぱり意外かも。
「とは言え、パーティーではマナーもあるからな。色々できるに越したことはない」
「そういう世界は世界で大変そうですね」
「またまたー。他人事みたいに言ってるけど、これからそういう機会もあるかもしれないよ? 引き受けてくれたら、だけど」
「その件はまだ引き請けるとは言ってません」
「そんなこと言わないで。寂しくなっちゃうから」
他愛の無い話と時々お願いも混ぜられていたけど、思っていたよりも楽しい歓迎会で良かった。
私も何とか期待に応えられるように頑張らなくっちゃ!
でも、婚約者のフリをするっていうのが一番ハードルも高いから、本当にどうしようかとまだ決めきれない。
そんなことしてどうするんだろう……。
引き受けたら教えてくれるのかな?
知りたいような、知りたくないような。
お金持ちの人の事情なんて、私には想像もつかないことなのかも。
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