地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!

めーぷる

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第一章 太陽の王子様と氷の王子様

7.一日を終えて

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 今日は社長も外出はなしで、室内でお仕事だそうなので私も一日岬さんについてもらってお仕事を教わることができた。

「小鳥さんは飲み込みが早くて助かっちゃう。やっぱり若さかしら?」
「岬さんの教え方が上手だからですよ! 私、パソコンの資格は一応取ったんですけどその他は特技と呼べるようなものもないですし……ずっと就職もできていなくて。アルバイトしてましたから」
「それは大変だったでしょう? きっとテキパキ働いていたんだろうなって、想像はつくけれど」
「どうでしょう? 私、鈍くさいところもあるから……」

 言って苦笑する。
 苦手なことはどうしてもできなくて、いつも我慢してやってはきたけど……怒らせてしまってダメだった。

 でも、岬さんは私の飲み込みが悪くても優しく教えてくれた。

「岬さんは本当に優しいですよね。旦那さんも幸せものですね」
「そうだといいのだけれど。あの人も私に優しくしてくれるから。小鳥さんにもきっと良い人が見つかるわ」
「そうだといいのですけど……」

 帰り支度をしながら岬さんとお喋りしていると、奥の扉が開いた。

「お、栞央里しおりちゃん、ことりちゃん。お疲れ」
「お疲れ様です。こちらも終わりました」

 社長と氷室さんが部屋から出てくる。
 社長って普段は岬さんのこと名前で呼んでるの? やっぱりチャラいかも……。

「お前は……そういうところがよくないと何度も言っているのに」
「この四人の間なら問題ないって。それに就業時間は終了したし、ここからはプライベート」
「問題あるだろう。そういう態度が誤解を招くって何度言ったら分かるんだ」
秦弥しんやこそ煩いから。少し黙っててくれって。ねぇ、これからことりちゃんの歓迎会も兼ねて飲みに行かない?」

 飲み会? 急に?
 私は最悪付き合えるけど、岬さんはダメでしょ。
 断ろうと思って口を開こうとする前に、岬さんがニッコリと社長に笑いかけた。

「いいですよ。ただ、お酒は飲めませんので。夫に連絡だけさせてください。私も小鳥さんを歓迎したいのでお付き合いします」
「岬さん! 無理しないでいいんですよ? 私は別に……」

 慌てて口を出すと、岬さんが可愛らしく片目を瞑る。

「小鳥さんだけ行かせる訳には行かないもの。社長がセクハラしたら困りますから」
「ええっ? そんなことしないよ。酷いなぁ。女の子は大好きだけど、いきなり手を出すだなんて無粋なことはしないから。ね、いいでしょう?」

 社長の頭に犬の耳が見える気がする……。
 この顔で女の子におねだりしているんだと思うと腹が立つけど、岬さんがここまで言ってくれているのなら私も腹を括るしかない。

 氷室さんはと言うと、ため息混じりに額を抑えてるけどこれは止められないと察したのか何も言わないし。

「じゃあ決まり。栞央里ちゃんもゆっくりとできるお店にしよう。電話するから待ってて」

 そう言って社長はどこかへ電話し始めた。
 何か行きつけの店とかあるのかな?
 どっちにしても、慣れてる感じがする。

 社長が電話している間、何故か氷室さんにじっと見られていたんだけど。
 気のせい……?
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