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閑話 書籍2巻感謝短編 そこそこ未来の2人のお話 〜冒険譚のちょこっと先取り〜 前編
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「はい、お待ちどうさま! 熱いので気をつけて召し上がれ!」
笑顔が素敵なこの酒場の看板娘が、山鳥揚げが山盛りに乗った皿をテーブルに置く。揚げたての熱々で、すごく美味しそうだ!
「ありがとう! じゃ、パーシヴァル、乾杯しよう!」
「ああ」
エールで喉を潤し、早速山鳥を一口。
熱いのを我慢して肉を噛み締めると、なんとも言えない旨味のある肉汁と脂が口いっぱいに広がる。
うーん! 美味しい! これがまたエールに合うんだなぁ! もう手が止まらないよ!
「美味しいか?」
「うん!」
この街のギルドで、依頼を見繕うついでに名物料理はないかと受付嬢に聞いたら、ここの酒場をおすすめされた。なんでも、この山鳥揚げを食べにわざわざ来る人もいるんだって。
宿を取って早速店に向かえば、まだ暮れ前だというのにすでにほぼ満席状態で、俺たちはかろうじて入口の側の小さな席に案内された。
お嬢さんはテーブルが狭くてごめんなさいと恐縮していたけれど、俺たちは二人だし全然問題ない。
それにしても、この味なら店が繁盛するのも納得。それだけじゃない。看板娘の笑顔は感じがいいし、賑やかな店内も居心地がいい。ここを教えてくれた受付嬢には感謝だよ。
「ねぇ、パーシヴァル。暫くこの街に滞在するんだよね?」
「ああ。このところ野営が続いていたから、少しゆっくりしてもいいだろう。遺跡で手に入れた物の鑑定もした方がいいだろうしな」
「剣は明日鍛冶屋に預けるんだっけ?」
「ああ、」
「じゃぁ、依頼は薬草収集とか、その辺でできるものにした方がいいかなぁ……」
「ナイフがあるから、畑の害獣駆除くらいならできるが」
俺たちはここの所ずっと、遺跡の近くで野営を続けていた。深い山中にある、半ば森に飲み込まれた遺跡だ。困難な遺跡探索も、俺の転移があればそう苦でも無い。
出たり入ったりを繰り返し、時間をかけて遺跡を探索していたんだけど、パーシヴァルの剣や防具にそろそろ直しが必要になった。さすがに俺の魔法でそれらを修理することはできないので、一度街に出ることにしたのだ。
転移でヴァンダーウォールに戻ればいいって? そんなのはもはや冒険者じゃないよ。何でもかんでも転移で済ませばいいってものじゃない。旅を楽しむのも冒険者には大切なことだ。
こうやって各地の名物を頂くってのも旅の醍醐味だしね。あとついでに、旅の資金稼ぎをしながら色々なものを見聞きするのも必要だ。
これからの予定を軽く話しながら、エールを飲んで美味しい山鳥に舌鼓を打っていると、突然店の扉が大きな音を立てて開いた。すぐそばに座っていた俺は、思わず山鳥を食べる手を止めて振り返ってしまった。賑やかだった店内が一瞬にして静まり返る。
装備からして冒険者らしいガタイのいい男が四人、満席の店内にドカドカと入ってくる。見た目で判断するのも悪いと思うが、人相と雰囲気がよろしくない連中だ。
「おう、おう! 今日も随分と繁盛してんじゃねぇか!」
男たちはテーブルに座って食事をしていた客を強引に椅子から引き摺り下ろし、席を奪い取る。
うん、間違いない。やっぱり碌でもない客だった。
「ここをさっさと片付けて、エールと料理もってこい!」
狭い席でごめんなさいと、恐縮しながら席に案内してくれた笑顔の素敵な看板娘のお嬢さんが、顔を強張らせながらも男たちのテーブルに向かう。
「他のお客様のご迷惑になることはやめてください! それにここで食事をするのなら、これまでのツケをすべて払ってからにしてください!」
「これまでのツケを払ってください! だってよ! なぁ、聞いたかお前ら!」
「俺たちはこの街を襲った魔獣を倒した救世主だぞ! 飯ぐらいタダで食わせろ!」
「おい、店主! お嬢ちゃんは恩人に対する礼儀ってもんがなってないんじゃないか?」
「かまわねぇよ。俺が今から、正しい持て成し方ってのを教えてやらぁ」
「きゃっ!」
そう言った男は、お嬢さんの腕を掴むとテーブルの上に押さえつけて覆い被さった。
「や、やめてくれ! 娘には手を出すな!」
厨房にいた店主が飛び出してきて、お嬢さんに覆い被さる男を引き剥がそうと縋り付いたけれど、仲間の男に襟首を掴まれて投げ飛ばされた。椅子を薙ぎ倒しながら店主が床に転がる。
「おっ、お父さんっ!」
お嬢さんが悲痛な叫びをあげる中、巻き添えを恐れてか数人の客がこっそりと店から逃げ出してゆく。店内には冒険者らしい奴らもいるけれど、目を合わせないように俯いている。まぁ、自分の実力が正しく見極められているんだろう。助けに入って、自分がやられてしまっては世話がない。
それにしても、こういう輩ってのはどこにでも湧くもんなんだな。ああいう奴らのせいで、冒険者が悪く言われることもある。前に立ち寄った小さな村では、冒険者は出て行ってくれだなんて言われたしな。
さすがに、これは黙っちゃいられない。
「待って、パーシヴァル」
立ちあがろうとしたパーシヴァルの袖を引いて引き留める。
「ここは俺に任せてくれないかな?」
そうお願いすれば、パーシヴァルはちょっと困ったような笑みを浮かべ小さくため息をつく。
「……やりすぎないようにな」
こういう時、俺が自らが首を突っ込まないといられない性格だってことを、パーシヴァルはよくわかってくれている。
「うん、大丈夫。ちゃんと手加減する」
席を立った俺は一歩踏み出すと同時に男達のテーブルに転移すると、お嬢さんの服を捲ろうとしている男の頭を魔力を込めた杖で思い切り殴りつけた。
おっと、早速手加減を忘れそうになったぜ。
「なっ!」
驚いた顔のまま動きを失った男を蹴り飛ばし床に転がすと、お嬢さんを助け起こす。
「大丈夫?」
「な、はい……」
お嬢さんはすっかり青ざめて震えている。それもそうだろう。あんな体の大きな男に押さえつけられたんじゃ、さぞ怖かったはずだ。服がだいぶ乱されていたので、俺は身につけていたマントを脱いで、お嬢さんにかけてあげた。
「ここは俺が片付けるから、お父さんのところへ」
「で、でも……」
「俺は大丈夫だよ……と、そうだ。こいつらのツケって一体どれくらい?」
「大銀貨2枚分です」
大銀貨2枚か。そりゃぁ随分と景気良く飲み食いしたな。
「わかった。俺がきっちり取り立てるから安心して」
パチンと片目を瞑って見せれば、お嬢さんは頷いて店主の元へと駆け寄った。
「なんだ、テメェは?」
「なんだって、魔法使いだけど?」
「で、その魔法使い様があの娘の代わりに俺たちを持て成してくれるってのか?」
「へへっ……こりゃぁ随分とお綺麗な顔をしてんじゃねぇか。後ろの具合がよけりゃぁ、俺たちパーティの仲間にしてやってもいいぜ。魔法使いなら、体以外にもそれなりに使い道があるだろ」
男達の舐めるような視線が全身に絡みつく。全く気持ちが悪いったらありゃしない。
「ほんと下品だな。冒険者の品位が下がるから、そういうのやめろよ。そんなことより、ここのツケをきっちり払ってくれよ」
「はぁ? なんで俺らが金を払わなきゃならないんだ? 俺らはこの街を襲った魔獣を倒した英雄だぞ」
「だとしたら、報酬はギルドから受け取ってるだろ」
「はん、俺たち竜の顎があんな安い報酬で働いてやったんだ。飯ぐらいタダで食わせるのは当然だ」
竜の顎って随分とご立派なパーティ名だけど、やっていることはただの無銭飲食じゃないか。竜に失礼だぞ、謝れ。
「報酬に不満があるならギルドに言うべきだ。それ以前に、報酬に納得していないならその依頼を引き受けるべきじゃなかったんだよ。お前らのやっていることは、ただのタカリだ」
「なんだと、テメェ! 言わせておけば!」
「詠唱ができなきゃ、何もできない魔法使いのくせに!」
男三人が一斉に俺に掴み掛かる。詠唱さえさせなけりゃ、魔法使いなんて取るに足らないとでも思っているんだろう。嘆かわしい。
男達の手が俺に届く前に、床から湧き上がった蔦があっという間に彼らを吊し上げる。
「なっ!」
「なんだ、こりゃ!」
「仲間の魔法使いがいるのか⁉︎」
「仲間はいるけど、残念なから魔法使いじゃないよ。さて、と」
俺は縛り上げられ身動きが取れなくなった男達に近づくと、リーダーらしいやつの服を探って革の袋を見つけ出した。ずっしりと重い袋の中の見ると、銀貨がかなり入っている。
「やめろ、触るな小僧! それは俺の金だ!」
小僧って、俺はもう立派に成人してるんだけどな。
「へぇ、結構持ってるじゃないか」
「くそ! このっ!」
男は蔦を引き千切ろうと必死になってもがいているけど、その程度で切れるような柔な蔦じゃ無いんでね。悪しからず。
「別に全部取ろうなんて思ってないから、安心しなって」
袋の中から大銀貨2枚と銀貨を5枚取ると、革の袋をちゃんと男に返してやる。
「銀貨5枚は迷惑料としてもらっておくね」
俺は男に支払ってもらった大銀貨2枚と銀貨5枚をお嬢さんに渡す。
「はい。壊れた椅子を修理するのと、あと逃げ出したお客さんの支払いは銀貨5枚あればなんとかなるでしょ」
「あ、ありがとうございます……」
さてと、あとは男達をさっさと店から追い出して終わりだ。早くしないと、せっかくの山鳥が冷めちゃうよ。
それじゃぁ、こいつらはもう出禁でいいよね。
笑顔が素敵なこの酒場の看板娘が、山鳥揚げが山盛りに乗った皿をテーブルに置く。揚げたての熱々で、すごく美味しそうだ!
「ありがとう! じゃ、パーシヴァル、乾杯しよう!」
「ああ」
エールで喉を潤し、早速山鳥を一口。
熱いのを我慢して肉を噛み締めると、なんとも言えない旨味のある肉汁と脂が口いっぱいに広がる。
うーん! 美味しい! これがまたエールに合うんだなぁ! もう手が止まらないよ!
「美味しいか?」
「うん!」
この街のギルドで、依頼を見繕うついでに名物料理はないかと受付嬢に聞いたら、ここの酒場をおすすめされた。なんでも、この山鳥揚げを食べにわざわざ来る人もいるんだって。
宿を取って早速店に向かえば、まだ暮れ前だというのにすでにほぼ満席状態で、俺たちはかろうじて入口の側の小さな席に案内された。
お嬢さんはテーブルが狭くてごめんなさいと恐縮していたけれど、俺たちは二人だし全然問題ない。
それにしても、この味なら店が繁盛するのも納得。それだけじゃない。看板娘の笑顔は感じがいいし、賑やかな店内も居心地がいい。ここを教えてくれた受付嬢には感謝だよ。
「ねぇ、パーシヴァル。暫くこの街に滞在するんだよね?」
「ああ。このところ野営が続いていたから、少しゆっくりしてもいいだろう。遺跡で手に入れた物の鑑定もした方がいいだろうしな」
「剣は明日鍛冶屋に預けるんだっけ?」
「ああ、」
「じゃぁ、依頼は薬草収集とか、その辺でできるものにした方がいいかなぁ……」
「ナイフがあるから、畑の害獣駆除くらいならできるが」
俺たちはここの所ずっと、遺跡の近くで野営を続けていた。深い山中にある、半ば森に飲み込まれた遺跡だ。困難な遺跡探索も、俺の転移があればそう苦でも無い。
出たり入ったりを繰り返し、時間をかけて遺跡を探索していたんだけど、パーシヴァルの剣や防具にそろそろ直しが必要になった。さすがに俺の魔法でそれらを修理することはできないので、一度街に出ることにしたのだ。
転移でヴァンダーウォールに戻ればいいって? そんなのはもはや冒険者じゃないよ。何でもかんでも転移で済ませばいいってものじゃない。旅を楽しむのも冒険者には大切なことだ。
こうやって各地の名物を頂くってのも旅の醍醐味だしね。あとついでに、旅の資金稼ぎをしながら色々なものを見聞きするのも必要だ。
これからの予定を軽く話しながら、エールを飲んで美味しい山鳥に舌鼓を打っていると、突然店の扉が大きな音を立てて開いた。すぐそばに座っていた俺は、思わず山鳥を食べる手を止めて振り返ってしまった。賑やかだった店内が一瞬にして静まり返る。
装備からして冒険者らしいガタイのいい男が四人、満席の店内にドカドカと入ってくる。見た目で判断するのも悪いと思うが、人相と雰囲気がよろしくない連中だ。
「おう、おう! 今日も随分と繁盛してんじゃねぇか!」
男たちはテーブルに座って食事をしていた客を強引に椅子から引き摺り下ろし、席を奪い取る。
うん、間違いない。やっぱり碌でもない客だった。
「ここをさっさと片付けて、エールと料理もってこい!」
狭い席でごめんなさいと、恐縮しながら席に案内してくれた笑顔の素敵な看板娘のお嬢さんが、顔を強張らせながらも男たちのテーブルに向かう。
「他のお客様のご迷惑になることはやめてください! それにここで食事をするのなら、これまでのツケをすべて払ってからにしてください!」
「これまでのツケを払ってください! だってよ! なぁ、聞いたかお前ら!」
「俺たちはこの街を襲った魔獣を倒した救世主だぞ! 飯ぐらいタダで食わせろ!」
「おい、店主! お嬢ちゃんは恩人に対する礼儀ってもんがなってないんじゃないか?」
「かまわねぇよ。俺が今から、正しい持て成し方ってのを教えてやらぁ」
「きゃっ!」
そう言った男は、お嬢さんの腕を掴むとテーブルの上に押さえつけて覆い被さった。
「や、やめてくれ! 娘には手を出すな!」
厨房にいた店主が飛び出してきて、お嬢さんに覆い被さる男を引き剥がそうと縋り付いたけれど、仲間の男に襟首を掴まれて投げ飛ばされた。椅子を薙ぎ倒しながら店主が床に転がる。
「おっ、お父さんっ!」
お嬢さんが悲痛な叫びをあげる中、巻き添えを恐れてか数人の客がこっそりと店から逃げ出してゆく。店内には冒険者らしい奴らもいるけれど、目を合わせないように俯いている。まぁ、自分の実力が正しく見極められているんだろう。助けに入って、自分がやられてしまっては世話がない。
それにしても、こういう輩ってのはどこにでも湧くもんなんだな。ああいう奴らのせいで、冒険者が悪く言われることもある。前に立ち寄った小さな村では、冒険者は出て行ってくれだなんて言われたしな。
さすがに、これは黙っちゃいられない。
「待って、パーシヴァル」
立ちあがろうとしたパーシヴァルの袖を引いて引き留める。
「ここは俺に任せてくれないかな?」
そうお願いすれば、パーシヴァルはちょっと困ったような笑みを浮かべ小さくため息をつく。
「……やりすぎないようにな」
こういう時、俺が自らが首を突っ込まないといられない性格だってことを、パーシヴァルはよくわかってくれている。
「うん、大丈夫。ちゃんと手加減する」
席を立った俺は一歩踏み出すと同時に男達のテーブルに転移すると、お嬢さんの服を捲ろうとしている男の頭を魔力を込めた杖で思い切り殴りつけた。
おっと、早速手加減を忘れそうになったぜ。
「なっ!」
驚いた顔のまま動きを失った男を蹴り飛ばし床に転がすと、お嬢さんを助け起こす。
「大丈夫?」
「な、はい……」
お嬢さんはすっかり青ざめて震えている。それもそうだろう。あんな体の大きな男に押さえつけられたんじゃ、さぞ怖かったはずだ。服がだいぶ乱されていたので、俺は身につけていたマントを脱いで、お嬢さんにかけてあげた。
「ここは俺が片付けるから、お父さんのところへ」
「で、でも……」
「俺は大丈夫だよ……と、そうだ。こいつらのツケって一体どれくらい?」
「大銀貨2枚分です」
大銀貨2枚か。そりゃぁ随分と景気良く飲み食いしたな。
「わかった。俺がきっちり取り立てるから安心して」
パチンと片目を瞑って見せれば、お嬢さんは頷いて店主の元へと駆け寄った。
「なんだ、テメェは?」
「なんだって、魔法使いだけど?」
「で、その魔法使い様があの娘の代わりに俺たちを持て成してくれるってのか?」
「へへっ……こりゃぁ随分とお綺麗な顔をしてんじゃねぇか。後ろの具合がよけりゃぁ、俺たちパーティの仲間にしてやってもいいぜ。魔法使いなら、体以外にもそれなりに使い道があるだろ」
男達の舐めるような視線が全身に絡みつく。全く気持ちが悪いったらありゃしない。
「ほんと下品だな。冒険者の品位が下がるから、そういうのやめろよ。そんなことより、ここのツケをきっちり払ってくれよ」
「はぁ? なんで俺らが金を払わなきゃならないんだ? 俺らはこの街を襲った魔獣を倒した英雄だぞ」
「だとしたら、報酬はギルドから受け取ってるだろ」
「はん、俺たち竜の顎があんな安い報酬で働いてやったんだ。飯ぐらいタダで食わせるのは当然だ」
竜の顎って随分とご立派なパーティ名だけど、やっていることはただの無銭飲食じゃないか。竜に失礼だぞ、謝れ。
「報酬に不満があるならギルドに言うべきだ。それ以前に、報酬に納得していないならその依頼を引き受けるべきじゃなかったんだよ。お前らのやっていることは、ただのタカリだ」
「なんだと、テメェ! 言わせておけば!」
「詠唱ができなきゃ、何もできない魔法使いのくせに!」
男三人が一斉に俺に掴み掛かる。詠唱さえさせなけりゃ、魔法使いなんて取るに足らないとでも思っているんだろう。嘆かわしい。
男達の手が俺に届く前に、床から湧き上がった蔦があっという間に彼らを吊し上げる。
「なっ!」
「なんだ、こりゃ!」
「仲間の魔法使いがいるのか⁉︎」
「仲間はいるけど、残念なから魔法使いじゃないよ。さて、と」
俺は縛り上げられ身動きが取れなくなった男達に近づくと、リーダーらしいやつの服を探って革の袋を見つけ出した。ずっしりと重い袋の中の見ると、銀貨がかなり入っている。
「やめろ、触るな小僧! それは俺の金だ!」
小僧って、俺はもう立派に成人してるんだけどな。
「へぇ、結構持ってるじゃないか」
「くそ! このっ!」
男は蔦を引き千切ろうと必死になってもがいているけど、その程度で切れるような柔な蔦じゃ無いんでね。悪しからず。
「別に全部取ろうなんて思ってないから、安心しなって」
袋の中から大銀貨2枚と銀貨を5枚取ると、革の袋をちゃんと男に返してやる。
「銀貨5枚は迷惑料としてもらっておくね」
俺は男に支払ってもらった大銀貨2枚と銀貨5枚をお嬢さんに渡す。
「はい。壊れた椅子を修理するのと、あと逃げ出したお客さんの支払いは銀貨5枚あればなんとかなるでしょ」
「あ、ありがとうございます……」
さてと、あとは男達をさっさと店から追い出して終わりだ。早くしないと、せっかくの山鳥が冷めちゃうよ。
それじゃぁ、こいつらはもう出禁でいいよね。
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