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愛を語るよりくちづけを交わしてみた
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……んん? なんだか周囲がざわざわと騒がしいなぁ……
一体何を騒いでいるんだろう? あぁ、もしかして、ここで寝ているのは邪魔だった? だけどごめん、今はとっても眠くて全然目が開かないんだよ。申し訳ないけど、ちょっとだけここで寝かせて。もし邪魔だって言うなら、隅っこに転がしてくれて構わないから、もうしばらく放っておいてくれないかな……
粘り着くような眠気の中で、せめてあまり邪魔にならないようにと身を縮めていれば、突然体が浮き上がった。ふわふわととっても心地がいい。なんだかよくわからないけど、これは夢のゆりかごかな?
ゆらゆらふわふわと程よい揺れに身を任せ、俺は再び眠りの中に身を沈めた。
「うーん……よく寝たなぁ」
爽やかに目覚めた俺は、ぐっと伸びをして気がついた。
「あれ? ここは……?」
「サフィラス、目が覚めたか?」
「え? ……パーシヴァル?」
なぜかすぐ側にパーシヴァルがいる。
厄災竜の後始末をした後、俺はとりあえずヴァンダーウォールの城へと転移した。明け方も近かったし、もうどうにも眠かったので、一仕事終えた安堵からその場で寝てしまったんだけど。
それなのに、いつの間にか寝心地がいい寝台の中にいて、しかも肌触りのいい夜着に着替えている。
「城のエントランスの前で倒れていたんだ。ユニサスが嘶いて、サフィラスの帰還を俺たちに教えてくれた」
「そうだったんだ……」
「怪我はないようだったが、体調は? 魔力は大丈夫か?」
パーシヴァルは大袈裟なくらいに俺の体調を確かめる。
「大丈夫だよ。よく寝たから体調は万全!」
「そうか、よかった……聞きたいことは色々あるが、まずはおかえり、サフィラス」
パーシヴァルはそういうと、俺を抱きしめた。ちょっと照れ臭さを感じながら、俺もパーシヴァルの背中に腕を回す。
「うん。ただいま、パーシヴァル。厄災竜は鱗一枚残さず退治してきたよ。もう二度と復活したりしないから安心して」
「……! サフィラスは相変わらず凄いな」
パーシヴァルが目を丸くする。パーシヴァルには珍しいその表情に、俺は思わず笑った。
「それほどでもないよ。俺にはトライコーンの杖があったからね!」
トライコーンの杖がなければ、厄災竜の息の根を止めるのはもう少し大変だったかもしれない。杖があって本当によかった。俺と相性がいいだけじゃなく、見た目もかっこいい。やっぱり、魔法使いに杖は必要だな。ただの補助魔法具だなんて勿体無い。今世は杖の魔法使いとして名を馳せて、杖の素晴らしさを世界中の魔法使いたちに伝えよう。
なんてことを考えていたら、俺をじっと見つめていたパーシヴァルの顔が徐に近づいてきた。
お、これはあれだな。
察した俺は目を閉じて、パーシヴァルの唇を待つ。
思った通り優しく唇が触れたけれど、すぐに離れてしまった。もう終わりなのかと、ちょっと残念に思いながら目を開けようとすれば、再び唇が重ねられた。けれど、今度はさっきの優しい触れ合いとは打って変わって、まるで貪るような口づけだ。
「んっ……!」
え?! い、いや、ちょっと待って……!
重ね合わせている唇を割って、パーシヴァルの舌が口の中に入ってきた。柔らかなそれは、少し乱暴にさえ感じる強引さで俺の舌を絡めとる。舌と舌がぬるりと重なり合い擦れると、体の奥からぞくぞくと震えが這い上がってくる。
うわ……なにこれ、とんでもなく気持ちがいい。しかも、今までの口づけで感じたような、穏やかな気持ちよさじゃなくて、もっと乱暴で、頭の中が蕩け出すような気持ちよさだ。
このまま正体を保っていられなくなりそうでパーシヴァルのシャツを掴んだけれど、指に力が入らない。
「はっ……ぁ……」
ようやく唇が離れた時にはすっかり力が抜けてしまって、パーシヴァルにぐったりともたれかかっていた。まるで鍋の中でよく煮られた肉みたいにぐにゃぐにゃだ。
口づけの余韻がなかなか引かず、体の奥が燻った熱で疼く。
「……なんか、随分慣れてない?」
それに、パーシヴァルは間違いなく口づけが上手だ。
真面目なパーシヴァルのことだ、まさか学園に入学する前に経験を積んでいたとは思わないけど、どういうわけか人生二回目の俺よりもずっと余裕がある。
断じて言うが、俺がモテなかった訳じゃないぞ。冒険家稼業が楽しくて、色恋ごとに興味が湧かなかっただけだからな!
「そんなことはない。女神に誓って、唇を合わせるのはサフィラスが初めてだ」
だったら一体、どこでこんな接吻を覚えてきたんだよ……太陽の騎士は相変わらず全方位に隙がないな。こんなの俺なんかが到底太刀打ちできるものじゃないので、早々に白旗をあげておく。
「お互いの気持ちが同じだと分かったんだ。もう、遠慮をする必要はないだろう?」
「お互いの、気持ちが同じ……」
そこで俺はようやく思い出した。インサニアメトゥスを倒しにゆく前にパーシヴァルに愛してると言われて、俺も愛してるって返したんだった。
改めてあの時の状況を思い出す。あの場にはヴァンダーウォール卿も、アデライン夫人も、お兄さんたちだっていた。
やっちまった感に、じわじわと恥ずかしさが湧き上がってくる。
確かにパーシヴァルには特別な感情を抱いている。それを愛と言うのなら、きっとそうなのだと思っている。だけど、パーシヴァルの家族の前で愛してるなんてよく言ったな俺! これからどんな顔をして、みんなに会えばいいんだ! あー! 居た堪れない!
いっそこのまま、誰とも顔を合わせないまま学園の寮に戻ってしまおうかと考えていれば、俺を抱きしめているパーシヴァルの腕に力が籠る。
「サフィラス、どこに行こうとしている?」
「え……いや、その……」
さすがパーシヴァル。俺が転移しようとしている事に気がついたらしい。
「サフィラスは竜を倒す前に俺とした約束を覚えているか?」
「無理をしない、だろ。もちろん無理なんかしなかったよ」
「もう一つあったと思うが?」
「……えーっと?」
「必ず、俺の元に帰ってくる、だ」
「もちろん覚えているよ! そんな大事な事を忘れるわけないだろ!」
ちょっと足りずに、城の前までだったけど。
「……城の前で倒れているサフィラスを見た時、心の臓が止まるかと思った」
俺を抱きしめているパーシヴァルの腕に力がこもる。
「そ、それは本当にごめん」
俺はつい前世の感覚で行動しがちけど、今はもう冒険者フォルティスじゃないし、パーシヴァルも俺と似たもの同士だった風見鶏の仲間じゃない。
俺がどれだけ規格外の魔法使いだったとしても、こんな小童1人で厄災竜を倒しに行くだなんて、どれだけ無茶な話だって誰もが思ったはずだ。
あの時、パーシヴァルは一体どんな思いで俺を送り出したのだろうか。大丈夫だと言った俺を信じてくれていたとは思うけど、もしかしたらもう二度と会えないかもと覚悟をしていたかもしれない。パーシヴァルの心情を思うと、じわじわと罪悪感が湧いてくる。
「……サフィラスが自由を望んでいるのはわかっている。伴侶になるからといって、俺はサフィラスの自由を奪うつもりはない。だが、今だけ……数日でいい、俺のそばにいてくれないか……頼む」
抱きしめられているからその表情は窺えないけれど、声からいつもの凛々しさが感じられない。こんなパーシヴァルに頼むと言われて、否と言えるだろうか? いや、絶対無理だろ。
「パーシヴァル、俺はどこにも行かないよ。ずっとパーシヴァルの側にいる」
パーシヴァルが腕の力を緩めて、俺と視線を合わせた。
「サフィラス、それは…」
「無理なんかしてないよ。俺がパーシヴァルの側にいたいんだ」
パーシヴァルが言おうとしていることがわかったので、そこははっきりと伝えておく。
確かに俺は自由を望むけど、それと同じくらいパーシヴァルの側にいたいって思ってる。
だからさ、そんな辛そうな顔をしないで。
俺は言葉じゃなくて態度で気持ちを伝えようと、パーシヴァルに口づける。軽く触れ合わせた唇が離れると、今度はパーシヴァルから唇を触れ合わせてきた。さっきみたいな体が溶けちゃうような口づけとは違う、触れるだけの口づけだ。俺は少し楽しくなって、戯れのような口づけを繰り返す。
こういうの、クセになるっていうんだろうな。
そんなことを思いながら口づけに夢中になっていれば、突然部屋の扉がノックされた。
「失礼します、パーシヴァル様。サフィラス様はお目覚めになりましたか?」
スザンナさんだ。
我に返った俺は、慌ててパーシヴァルから離れる。
「ああ、悪いが朝食の用意をお願いできるだろうか」
「かしこまりました」
俺は恥ずかしさに悶絶しそうになっているのに、パーシヴァルときたらまるで何事もなかったかのような顔で返事を返している。ちょっと、余裕が過ぎると思うが。
もしかして、口づけは俺が初めてかもしれないが、やっぱり百戦錬磨の強者なんじゃないか……?
そういえば、辺境の男は経験が早いって誰かが言っていたな。どこの国でも辺境地は危険な場所であることが多いので、少しでも早く後継を残そうとかなんだとか。なるほど、それならこの余裕も納得だ。
「どうした、サフィラス?」
俺の納得と些かの羨望が入り混じった視線に気がついたパーシヴァルが首を傾げる。
「いや、辺境の男ってやっぱりすごいなって思って」
「?」
一体何を騒いでいるんだろう? あぁ、もしかして、ここで寝ているのは邪魔だった? だけどごめん、今はとっても眠くて全然目が開かないんだよ。申し訳ないけど、ちょっとだけここで寝かせて。もし邪魔だって言うなら、隅っこに転がしてくれて構わないから、もうしばらく放っておいてくれないかな……
粘り着くような眠気の中で、せめてあまり邪魔にならないようにと身を縮めていれば、突然体が浮き上がった。ふわふわととっても心地がいい。なんだかよくわからないけど、これは夢のゆりかごかな?
ゆらゆらふわふわと程よい揺れに身を任せ、俺は再び眠りの中に身を沈めた。
「うーん……よく寝たなぁ」
爽やかに目覚めた俺は、ぐっと伸びをして気がついた。
「あれ? ここは……?」
「サフィラス、目が覚めたか?」
「え? ……パーシヴァル?」
なぜかすぐ側にパーシヴァルがいる。
厄災竜の後始末をした後、俺はとりあえずヴァンダーウォールの城へと転移した。明け方も近かったし、もうどうにも眠かったので、一仕事終えた安堵からその場で寝てしまったんだけど。
それなのに、いつの間にか寝心地がいい寝台の中にいて、しかも肌触りのいい夜着に着替えている。
「城のエントランスの前で倒れていたんだ。ユニサスが嘶いて、サフィラスの帰還を俺たちに教えてくれた」
「そうだったんだ……」
「怪我はないようだったが、体調は? 魔力は大丈夫か?」
パーシヴァルは大袈裟なくらいに俺の体調を確かめる。
「大丈夫だよ。よく寝たから体調は万全!」
「そうか、よかった……聞きたいことは色々あるが、まずはおかえり、サフィラス」
パーシヴァルはそういうと、俺を抱きしめた。ちょっと照れ臭さを感じながら、俺もパーシヴァルの背中に腕を回す。
「うん。ただいま、パーシヴァル。厄災竜は鱗一枚残さず退治してきたよ。もう二度と復活したりしないから安心して」
「……! サフィラスは相変わらず凄いな」
パーシヴァルが目を丸くする。パーシヴァルには珍しいその表情に、俺は思わず笑った。
「それほどでもないよ。俺にはトライコーンの杖があったからね!」
トライコーンの杖がなければ、厄災竜の息の根を止めるのはもう少し大変だったかもしれない。杖があって本当によかった。俺と相性がいいだけじゃなく、見た目もかっこいい。やっぱり、魔法使いに杖は必要だな。ただの補助魔法具だなんて勿体無い。今世は杖の魔法使いとして名を馳せて、杖の素晴らしさを世界中の魔法使いたちに伝えよう。
なんてことを考えていたら、俺をじっと見つめていたパーシヴァルの顔が徐に近づいてきた。
お、これはあれだな。
察した俺は目を閉じて、パーシヴァルの唇を待つ。
思った通り優しく唇が触れたけれど、すぐに離れてしまった。もう終わりなのかと、ちょっと残念に思いながら目を開けようとすれば、再び唇が重ねられた。けれど、今度はさっきの優しい触れ合いとは打って変わって、まるで貪るような口づけだ。
「んっ……!」
え?! い、いや、ちょっと待って……!
重ね合わせている唇を割って、パーシヴァルの舌が口の中に入ってきた。柔らかなそれは、少し乱暴にさえ感じる強引さで俺の舌を絡めとる。舌と舌がぬるりと重なり合い擦れると、体の奥からぞくぞくと震えが這い上がってくる。
うわ……なにこれ、とんでもなく気持ちがいい。しかも、今までの口づけで感じたような、穏やかな気持ちよさじゃなくて、もっと乱暴で、頭の中が蕩け出すような気持ちよさだ。
このまま正体を保っていられなくなりそうでパーシヴァルのシャツを掴んだけれど、指に力が入らない。
「はっ……ぁ……」
ようやく唇が離れた時にはすっかり力が抜けてしまって、パーシヴァルにぐったりともたれかかっていた。まるで鍋の中でよく煮られた肉みたいにぐにゃぐにゃだ。
口づけの余韻がなかなか引かず、体の奥が燻った熱で疼く。
「……なんか、随分慣れてない?」
それに、パーシヴァルは間違いなく口づけが上手だ。
真面目なパーシヴァルのことだ、まさか学園に入学する前に経験を積んでいたとは思わないけど、どういうわけか人生二回目の俺よりもずっと余裕がある。
断じて言うが、俺がモテなかった訳じゃないぞ。冒険家稼業が楽しくて、色恋ごとに興味が湧かなかっただけだからな!
「そんなことはない。女神に誓って、唇を合わせるのはサフィラスが初めてだ」
だったら一体、どこでこんな接吻を覚えてきたんだよ……太陽の騎士は相変わらず全方位に隙がないな。こんなの俺なんかが到底太刀打ちできるものじゃないので、早々に白旗をあげておく。
「お互いの気持ちが同じだと分かったんだ。もう、遠慮をする必要はないだろう?」
「お互いの、気持ちが同じ……」
そこで俺はようやく思い出した。インサニアメトゥスを倒しにゆく前にパーシヴァルに愛してると言われて、俺も愛してるって返したんだった。
改めてあの時の状況を思い出す。あの場にはヴァンダーウォール卿も、アデライン夫人も、お兄さんたちだっていた。
やっちまった感に、じわじわと恥ずかしさが湧き上がってくる。
確かにパーシヴァルには特別な感情を抱いている。それを愛と言うのなら、きっとそうなのだと思っている。だけど、パーシヴァルの家族の前で愛してるなんてよく言ったな俺! これからどんな顔をして、みんなに会えばいいんだ! あー! 居た堪れない!
いっそこのまま、誰とも顔を合わせないまま学園の寮に戻ってしまおうかと考えていれば、俺を抱きしめているパーシヴァルの腕に力が籠る。
「サフィラス、どこに行こうとしている?」
「え……いや、その……」
さすがパーシヴァル。俺が転移しようとしている事に気がついたらしい。
「サフィラスは竜を倒す前に俺とした約束を覚えているか?」
「無理をしない、だろ。もちろん無理なんかしなかったよ」
「もう一つあったと思うが?」
「……えーっと?」
「必ず、俺の元に帰ってくる、だ」
「もちろん覚えているよ! そんな大事な事を忘れるわけないだろ!」
ちょっと足りずに、城の前までだったけど。
「……城の前で倒れているサフィラスを見た時、心の臓が止まるかと思った」
俺を抱きしめているパーシヴァルの腕に力がこもる。
「そ、それは本当にごめん」
俺はつい前世の感覚で行動しがちけど、今はもう冒険者フォルティスじゃないし、パーシヴァルも俺と似たもの同士だった風見鶏の仲間じゃない。
俺がどれだけ規格外の魔法使いだったとしても、こんな小童1人で厄災竜を倒しに行くだなんて、どれだけ無茶な話だって誰もが思ったはずだ。
あの時、パーシヴァルは一体どんな思いで俺を送り出したのだろうか。大丈夫だと言った俺を信じてくれていたとは思うけど、もしかしたらもう二度と会えないかもと覚悟をしていたかもしれない。パーシヴァルの心情を思うと、じわじわと罪悪感が湧いてくる。
「……サフィラスが自由を望んでいるのはわかっている。伴侶になるからといって、俺はサフィラスの自由を奪うつもりはない。だが、今だけ……数日でいい、俺のそばにいてくれないか……頼む」
抱きしめられているからその表情は窺えないけれど、声からいつもの凛々しさが感じられない。こんなパーシヴァルに頼むと言われて、否と言えるだろうか? いや、絶対無理だろ。
「パーシヴァル、俺はどこにも行かないよ。ずっとパーシヴァルの側にいる」
パーシヴァルが腕の力を緩めて、俺と視線を合わせた。
「サフィラス、それは…」
「無理なんかしてないよ。俺がパーシヴァルの側にいたいんだ」
パーシヴァルが言おうとしていることがわかったので、そこははっきりと伝えておく。
確かに俺は自由を望むけど、それと同じくらいパーシヴァルの側にいたいって思ってる。
だからさ、そんな辛そうな顔をしないで。
俺は言葉じゃなくて態度で気持ちを伝えようと、パーシヴァルに口づける。軽く触れ合わせた唇が離れると、今度はパーシヴァルから唇を触れ合わせてきた。さっきみたいな体が溶けちゃうような口づけとは違う、触れるだけの口づけだ。俺は少し楽しくなって、戯れのような口づけを繰り返す。
こういうの、クセになるっていうんだろうな。
そんなことを思いながら口づけに夢中になっていれば、突然部屋の扉がノックされた。
「失礼します、パーシヴァル様。サフィラス様はお目覚めになりましたか?」
スザンナさんだ。
我に返った俺は、慌ててパーシヴァルから離れる。
「ああ、悪いが朝食の用意をお願いできるだろうか」
「かしこまりました」
俺は恥ずかしさに悶絶しそうになっているのに、パーシヴァルときたらまるで何事もなかったかのような顔で返事を返している。ちょっと、余裕が過ぎると思うが。
もしかして、口づけは俺が初めてかもしれないが、やっぱり百戦錬磨の強者なんじゃないか……?
そういえば、辺境の男は経験が早いって誰かが言っていたな。どこの国でも辺境地は危険な場所であることが多いので、少しでも早く後継を残そうとかなんだとか。なるほど、それならこの余裕も納得だ。
「どうした、サフィラス?」
俺の納得と些かの羨望が入り混じった視線に気がついたパーシヴァルが首を傾げる。
「いや、辺境の男ってやっぱりすごいなって思って」
「?」
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