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とっとと脱出小作戦
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城に入る前に視界に入れていた、城の中央に聳える一番高い尖塔の屋根から地上を見下ろす。
庭園の植栽は賊が潜む事ができないように背の低いものばかりで、俺はともかく体の大きいクー・シーは隠れられなかった。屋根だと隠れる場所がないので姿は丸見えだけど、上というのは案外死角なんだよね。
ただ、これだけ高いところにいると匂いはちょっとばかり辿り難いかもしれないけど、クー・シーの鼻は優秀だから問題ない。
「どう? パーシヴァルの匂いを見つけられそう?」
クー・シーは数度鼻をヒクヒクさせると、屋根の上を軽快に走り出す。相変わらず、滑るような滑らかな走り。俺を乗せたまま急な屋根さえも危なげなく飛び渡り、城の端までくるとぴたりと止まった。その先に見えるのは、北の城壁塔。
「……あれか」
のっぺりと聳える塔には小さな明かり取りの窓があって、そこから僅かに中が見えている。あの窓からなら転移は可能だけど、そこに見張の兵士がいないとも限らない。
たとえ兵士が何百人いようと倒すのはわけないんだけど、俺が騒ぎを起こせば何処にいるのかわからないパーシヴァルが危険に晒される可能性がある。派手に暴れるとしても、パーシヴァルを助け出してからだ。
「クー・シー、パーシヴァルはあの塔の中だね?」
改めて確認すれば、クー・シーはそうだとばかりに盛大に尾を振った。
「よし、わかった。ありがとう」
クー・シーにはお礼の魔力をあげて、一旦幻獣界に帰ってもらう。クー・シーの鼻は優秀だけど、一緒に行動するにはちょっと目立ちすぎる。
あの塔にいるって事さえわかれば、後は上か下かってだけだ。そして、逃したくない奴や外部に存在を知られたくない人物は、たいてい地下に隠すもんだ。
……それにしてもだ。着せられている服が動くたびにキラキラチャラチャラと本当に鬱陶しい。動きの妨げになるので、手首や足首、腰回りにこれでもかとばかりに付けられている飾りを残らず引き千切ると、その場にぽいと投げ捨てる。なんだか高そうな石がいっぱい付いていたけど、俺にその価値はわからないので知ったことではない。ついでに首輪も弾き飛ばしておく。
砕け散った首輪も随分と凝った細工で飾られているけど、どんなにキラキラしたって隷属の首輪だぞ。本当に悪趣味だ。
後はこの半分透けてる服だ……だけどこのぴらぴらの下はいかがわしい下履き一枚なんだよ。こんな腹を冷やしそうな下履きは俺の趣味ではないので、いっそ脱いでしまえばいいんだけど。昼間から全裸で彷徨く奴を世間はきっと許さないだろう。いや、冷静に考えたら、たとえ夜夜中だろうと、全裸でうろうろする奴は許されない。俺だって全裸で彷徨いている奴にばったり出会ったら、問答無用で縛り上げて警邏に突き出す。
とはいえ。この薄っぺらい服と履いていないのと大して変わらないような下履きは、変態加減で言ったら全裸と大差ないけどな。それでも、最低限隠していることが世間的に重要なことぐらい俺にもわかるので、非常に不愉快だけどパーシヴァルを探し出してここから脱出するまで、この屈辱に耐えるしかなさそうだ。
「よし! 早くパーシヴァルを助け出して、こんな国とはさっさとおさらばだ!」
ここまでされて、学園に戻る必要もないだろう。獣笛のこととか、獣人奴隷については何も調べられなかったけど、ウェリタスとファガーソン卿がこの国にいて、王家と結託して何かとんでもないことをやらかしそうだって分かっただけでも収穫だ。
決意を新たにして、北の塔と向き合う。
見下ろせば塔の入り口には当然ながら兵士が立っているし、見回りもそれなりにいる。やっぱり塔の窓からの侵入が良さそうだ。万が一兵士がいたとしても、狭い塔内ならなんとかなるさ。階下に異変を知らせる前に全て倒せばいいんだ。
小さな窓から見える塔の内部を目指し転移をした俺は、まっすぐ地下を目指そうとして思わず声を上げた。
「げっ、もう見つかった」
なんとも運が悪い。まさか兵士の目の前に転移しちゃうとはね。突然現れた俺に驚いている兵士とバッチリ目が合ってしまったが、相手は二人。その程度ならばわけもない。咄嗟に杖を抜こうとした右手が、何も掴めずに滑り落ちる。
「ちっ! そうだった……」
今の俺は杖なし魔法使いだった。我に返った兵士が剣に手を掛けたけれど、俺の魔法の方が早かった。蔦で兵士たちの口を塞ぎ、全身ぐるぐる巻きにする。せめてもの慈悲で、棘が無い蔦にしてやったから痛くはないだろう。俺って優しいな。
もがもがと呻きながら芋虫の如く転がった兵士を残し、螺旋状の階段を慎重に降りる。
幸いにも他の兵士と会う事なく下まで降りてきた俺は、壁に体を貼り付けてそっとその先を覗く。塔の一階には地下へと続くらしい入り口が黒くぽっかりと開いていた。その入り口を塞ぐ鉄格子の扉の前には、左右に一人ずつ見張の兵士が立っている。
「間違いなくあそこだ」
鉄格子の向こう側に転移をしようとしたところで、塔の入り口の扉が開いたので、一旦階段の奥に引っ込んで様子を伺う。入ってきた誰かが見張の兵士に鉄格子を開けるように言っているが、あの声はウェリタスだ。
気になったのでそっと覗くと、護衛なのかそれとも見張りなのか、騎士を二人連れてウェリタスが地下に降りて行くところだった。しかも図々しいことに、俺の杖を腰に下げている。あの様子だと、盟友の証も指に嵌めているんだろう。
そういえばウェリタスはパーシヴァルを貰うとか言っていたけど、どういうつもりなんだろう? まさか、パーシヴァルに惚れているわけじゃないよな? 確かにパーシヴァルは誰が見たっていい男だ。ウェリタスが惚れたとしてもおかしくはない。
ウェリタスは未だに俺を恥晒しの存在にしておきたいようだし、蔑んでいたい俺が優秀なパーシヴァルの側にいるって事が、そもそも気に入らないんだろう。本当に器が小さい。でもあの伯爵が自分の後継として熱心に育てたんだろうから、それも当然かもしれないが。離れに閉じ込められていた俺は、死にそうになった時もあったけど、今思えば放置してくれて感謝だな。伯爵のような人物になるなんて、絶対にお断りだ。
すぐに後を追いたい気持ちを抑え、ウェリタスの姿が完全に見えなくなるのを待ってから、地下へと続く階段に転移する。見張りの兵士は俺が地下に向かったことに全く気がついていない。
「ふふん、見張りご苦労さん」
弱々しい洋灯が照らす薄暗い階段を慎重に降りてゆく。俺がいた乾いた地下牢と違いジメジメとしていて、湿った石が裸足の足に不快だ。そして、相変わらずここにも結構な魔素が漂っている。
「この城は一体どうなってるんだ? まさか、城内に深淵があるわけじゃないよな……」
鳥肌の立つ腕を擦りながら進んでゆくと、やがて最下層らしき場所に辿り着いた。そこは思ったよりも奥行きがあって広い。さっき降りて行ったウェリタスが、牢の前で誰かと話をしていて、断片的に私の騎士がとか、優秀な私が、とか聞きこえてくる。相変わらず偉そうだけど、何があったのか突然激昂した。
「後悔するなよ!」
そう叫んで鉄格子を思い切り蹴りつけると、こちらに戻って来た。
「おっと、これはまずいな」
さっきまで居た尖塔の屋根に一時退避して、北の塔からウェリタスが出てくるのを待つ。二人の騎士はぴったりとウェリタスに張り付いているが、あれは完全に見張りだな。
彼らの姿が視界から完全に消えたことを確認して、俺は再び地下に戻る。
「パーシヴァル!」
「サフィラス!?」
牢内には鎖で手足を拘束されて、石の壁に磔られているパーシヴァルがいた。俺はすぐさま中に転移して手足の鎖を砕く。結構な目に遭わされたのだろう。俺と揃いだった衣装はだいぶ汚れてヨレヨレだし、口の端が切れて血が出ている。
「切れてるじゃないか……」
俺はそっと、口元の傷に触れる。端正な顔が台無しだ。何よりパーシヴァルがこんなにボロボロにされている……そう思ったら、言いようのない悔しさが湧き上がってきて涙が出た。
俺の所為だ。あれだけ警戒してたのにも関わらず、何かを飲まされてしまった。それに、俺があの時もう少し耐えられれば、せめて転移するまで意識を保てていれば、パーシヴァルをこんな目には合わせなかった。
「くそぅ……アイツら、パーシヴァルをこんな目に合わせやがって」
「俺は大丈夫だ、この程度でどうにかなるような柔な体はしていない。それよりもサフィラス……その姿は……」
パーシヴァルが戸惑った気配を漂わせる。それもそうだ。俺だって仰天したもん。
「ああ、これ? なんだか気がついたら、こんな格好をさせられてたんだ」
パーシヴァルは素早く着ている上着を脱ぐと、全裸もどきの俺に着せかけた。その表情は薄暗がりでもわかるほど厳しい。というか、恐い……
そりゃぁ、こんな悪趣味な格好をしていたら、そんな顔にもなるよなぁ……自分の格好を思い出して、滲んだ涙も一気に引っ込んだ。こんな滑稽な姿をパーシヴァルに見られるなんて……やっぱり全裸の方がマシだったかもしれない。
「と、とりあえず、ここを出よう」
居た堪れなくなった俺は、パーシヴァルと一緒にヴァンダーウォールの城へと転移したのだった。
庭園の植栽は賊が潜む事ができないように背の低いものばかりで、俺はともかく体の大きいクー・シーは隠れられなかった。屋根だと隠れる場所がないので姿は丸見えだけど、上というのは案外死角なんだよね。
ただ、これだけ高いところにいると匂いはちょっとばかり辿り難いかもしれないけど、クー・シーの鼻は優秀だから問題ない。
「どう? パーシヴァルの匂いを見つけられそう?」
クー・シーは数度鼻をヒクヒクさせると、屋根の上を軽快に走り出す。相変わらず、滑るような滑らかな走り。俺を乗せたまま急な屋根さえも危なげなく飛び渡り、城の端までくるとぴたりと止まった。その先に見えるのは、北の城壁塔。
「……あれか」
のっぺりと聳える塔には小さな明かり取りの窓があって、そこから僅かに中が見えている。あの窓からなら転移は可能だけど、そこに見張の兵士がいないとも限らない。
たとえ兵士が何百人いようと倒すのはわけないんだけど、俺が騒ぎを起こせば何処にいるのかわからないパーシヴァルが危険に晒される可能性がある。派手に暴れるとしても、パーシヴァルを助け出してからだ。
「クー・シー、パーシヴァルはあの塔の中だね?」
改めて確認すれば、クー・シーはそうだとばかりに盛大に尾を振った。
「よし、わかった。ありがとう」
クー・シーにはお礼の魔力をあげて、一旦幻獣界に帰ってもらう。クー・シーの鼻は優秀だけど、一緒に行動するにはちょっと目立ちすぎる。
あの塔にいるって事さえわかれば、後は上か下かってだけだ。そして、逃したくない奴や外部に存在を知られたくない人物は、たいてい地下に隠すもんだ。
……それにしてもだ。着せられている服が動くたびにキラキラチャラチャラと本当に鬱陶しい。動きの妨げになるので、手首や足首、腰回りにこれでもかとばかりに付けられている飾りを残らず引き千切ると、その場にぽいと投げ捨てる。なんだか高そうな石がいっぱい付いていたけど、俺にその価値はわからないので知ったことではない。ついでに首輪も弾き飛ばしておく。
砕け散った首輪も随分と凝った細工で飾られているけど、どんなにキラキラしたって隷属の首輪だぞ。本当に悪趣味だ。
後はこの半分透けてる服だ……だけどこのぴらぴらの下はいかがわしい下履き一枚なんだよ。こんな腹を冷やしそうな下履きは俺の趣味ではないので、いっそ脱いでしまえばいいんだけど。昼間から全裸で彷徨く奴を世間はきっと許さないだろう。いや、冷静に考えたら、たとえ夜夜中だろうと、全裸でうろうろする奴は許されない。俺だって全裸で彷徨いている奴にばったり出会ったら、問答無用で縛り上げて警邏に突き出す。
とはいえ。この薄っぺらい服と履いていないのと大して変わらないような下履きは、変態加減で言ったら全裸と大差ないけどな。それでも、最低限隠していることが世間的に重要なことぐらい俺にもわかるので、非常に不愉快だけどパーシヴァルを探し出してここから脱出するまで、この屈辱に耐えるしかなさそうだ。
「よし! 早くパーシヴァルを助け出して、こんな国とはさっさとおさらばだ!」
ここまでされて、学園に戻る必要もないだろう。獣笛のこととか、獣人奴隷については何も調べられなかったけど、ウェリタスとファガーソン卿がこの国にいて、王家と結託して何かとんでもないことをやらかしそうだって分かっただけでも収穫だ。
決意を新たにして、北の塔と向き合う。
見下ろせば塔の入り口には当然ながら兵士が立っているし、見回りもそれなりにいる。やっぱり塔の窓からの侵入が良さそうだ。万が一兵士がいたとしても、狭い塔内ならなんとかなるさ。階下に異変を知らせる前に全て倒せばいいんだ。
小さな窓から見える塔の内部を目指し転移をした俺は、まっすぐ地下を目指そうとして思わず声を上げた。
「げっ、もう見つかった」
なんとも運が悪い。まさか兵士の目の前に転移しちゃうとはね。突然現れた俺に驚いている兵士とバッチリ目が合ってしまったが、相手は二人。その程度ならばわけもない。咄嗟に杖を抜こうとした右手が、何も掴めずに滑り落ちる。
「ちっ! そうだった……」
今の俺は杖なし魔法使いだった。我に返った兵士が剣に手を掛けたけれど、俺の魔法の方が早かった。蔦で兵士たちの口を塞ぎ、全身ぐるぐる巻きにする。せめてもの慈悲で、棘が無い蔦にしてやったから痛くはないだろう。俺って優しいな。
もがもがと呻きながら芋虫の如く転がった兵士を残し、螺旋状の階段を慎重に降りる。
幸いにも他の兵士と会う事なく下まで降りてきた俺は、壁に体を貼り付けてそっとその先を覗く。塔の一階には地下へと続くらしい入り口が黒くぽっかりと開いていた。その入り口を塞ぐ鉄格子の扉の前には、左右に一人ずつ見張の兵士が立っている。
「間違いなくあそこだ」
鉄格子の向こう側に転移をしようとしたところで、塔の入り口の扉が開いたので、一旦階段の奥に引っ込んで様子を伺う。入ってきた誰かが見張の兵士に鉄格子を開けるように言っているが、あの声はウェリタスだ。
気になったのでそっと覗くと、護衛なのかそれとも見張りなのか、騎士を二人連れてウェリタスが地下に降りて行くところだった。しかも図々しいことに、俺の杖を腰に下げている。あの様子だと、盟友の証も指に嵌めているんだろう。
そういえばウェリタスはパーシヴァルを貰うとか言っていたけど、どういうつもりなんだろう? まさか、パーシヴァルに惚れているわけじゃないよな? 確かにパーシヴァルは誰が見たっていい男だ。ウェリタスが惚れたとしてもおかしくはない。
ウェリタスは未だに俺を恥晒しの存在にしておきたいようだし、蔑んでいたい俺が優秀なパーシヴァルの側にいるって事が、そもそも気に入らないんだろう。本当に器が小さい。でもあの伯爵が自分の後継として熱心に育てたんだろうから、それも当然かもしれないが。離れに閉じ込められていた俺は、死にそうになった時もあったけど、今思えば放置してくれて感謝だな。伯爵のような人物になるなんて、絶対にお断りだ。
すぐに後を追いたい気持ちを抑え、ウェリタスの姿が完全に見えなくなるのを待ってから、地下へと続く階段に転移する。見張りの兵士は俺が地下に向かったことに全く気がついていない。
「ふふん、見張りご苦労さん」
弱々しい洋灯が照らす薄暗い階段を慎重に降りてゆく。俺がいた乾いた地下牢と違いジメジメとしていて、湿った石が裸足の足に不快だ。そして、相変わらずここにも結構な魔素が漂っている。
「この城は一体どうなってるんだ? まさか、城内に深淵があるわけじゃないよな……」
鳥肌の立つ腕を擦りながら進んでゆくと、やがて最下層らしき場所に辿り着いた。そこは思ったよりも奥行きがあって広い。さっき降りて行ったウェリタスが、牢の前で誰かと話をしていて、断片的に私の騎士がとか、優秀な私が、とか聞きこえてくる。相変わらず偉そうだけど、何があったのか突然激昂した。
「後悔するなよ!」
そう叫んで鉄格子を思い切り蹴りつけると、こちらに戻って来た。
「おっと、これはまずいな」
さっきまで居た尖塔の屋根に一時退避して、北の塔からウェリタスが出てくるのを待つ。二人の騎士はぴったりとウェリタスに張り付いているが、あれは完全に見張りだな。
彼らの姿が視界から完全に消えたことを確認して、俺は再び地下に戻る。
「パーシヴァル!」
「サフィラス!?」
牢内には鎖で手足を拘束されて、石の壁に磔られているパーシヴァルがいた。俺はすぐさま中に転移して手足の鎖を砕く。結構な目に遭わされたのだろう。俺と揃いだった衣装はだいぶ汚れてヨレヨレだし、口の端が切れて血が出ている。
「切れてるじゃないか……」
俺はそっと、口元の傷に触れる。端正な顔が台無しだ。何よりパーシヴァルがこんなにボロボロにされている……そう思ったら、言いようのない悔しさが湧き上がってきて涙が出た。
俺の所為だ。あれだけ警戒してたのにも関わらず、何かを飲まされてしまった。それに、俺があの時もう少し耐えられれば、せめて転移するまで意識を保てていれば、パーシヴァルをこんな目には合わせなかった。
「くそぅ……アイツら、パーシヴァルをこんな目に合わせやがって」
「俺は大丈夫だ、この程度でどうにかなるような柔な体はしていない。それよりもサフィラス……その姿は……」
パーシヴァルが戸惑った気配を漂わせる。それもそうだ。俺だって仰天したもん。
「ああ、これ? なんだか気がついたら、こんな格好をさせられてたんだ」
パーシヴァルは素早く着ている上着を脱ぐと、全裸もどきの俺に着せかけた。その表情は薄暗がりでもわかるほど厳しい。というか、恐い……
そりゃぁ、こんな悪趣味な格好をしていたら、そんな顔にもなるよなぁ……自分の格好を思い出して、滲んだ涙も一気に引っ込んだ。こんな滑稽な姿をパーシヴァルに見られるなんて……やっぱり全裸の方がマシだったかもしれない。
「と、とりあえず、ここを出よう」
居た堪れなくなった俺は、パーシヴァルと一緒にヴァンダーウォールの城へと転移したのだった。
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