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太陽の騎士は落ち込んだ顔も大層魅力的だった
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髪の毛を直してもらって会場に戻ると、待ってましたとばかりにゲストの方々に次々と話しかけられた。どうやらみんな俺の転移に興味を抱いたらしい。そもそも転移ができる魔法使いは数が少ない。だから、俺のような子供が正確な転移をして見せたので、物珍しいのだろう。特にあの一瞬で詠唱はどうしたのかという質問が集中した。詠唱はしないんですと正直に答えたら、皆んな驚いていた。フォルティスの再来か、となかなか鋭いことをいう人もいたけど。再来ではなく、中身は本人だなんて誰も思わないだろうな。中には腰に下げている杖に注目してくれた見どころのある人もいて、俺はここぞとばかりに杖の魅力を語らせてもらった。何しろ、魔法使いの中には杖を使う者を半人前と思い込んでいる人もいる。だけど、それは大きな誤解だ。杖は魔法の可能性を広げる素晴らしい道具なんだ。杖との相性が合う合わないもあるだろうけど、能力を伸ばす効果があるならそれを使わないなんて勿体無い! 何より、杖を振る魔法使いの姿はとても格好いいじゃないか。
……と、熱弁すること暫し。
「サフィラス、そろそろ喉が乾いたんじゃないのか?」
パーシヴァルに声を掛けられはっと我にかえる。気がつけば、俺の熱い杖語りに周囲が少々引いていた。さすがにちょっと語りすぎたと反省しつつ、その場を辞す。
会場の隅に移動した俺は、ネクタルという濃厚な果実の飲み物をご馳走になる。果実を潰して裏漉しした飲み物らしいけど、とっても濃厚なのにさっぱりしていて美味しい。この寒い時期に果物をこんなに贅沢に使う飲み物が出てくるなんて驚きだな。
「……さっきは、怪我をさせてしまって本当にすまなかった」
「え?」
パーシヴァルからの突然の謝罪に、一気に飲んでしまうのが勿体無くてちびちびとネクタルを楽しんでいた俺は、グラスを傾けていた手を止めて其の顔を見上げる。そこには、まるで寄る方ない表情をしているパーシヴァルがいて、思わず戸惑った。
いつもは凛としている彼のこんな顔は初めて見たぞ。一体どうしちゃったんだ?
「怪我って、まさかあのかすり傷の事? あんなの大した怪我じゃないって! サンドリオンさんに治してもらってもう跡形もないんだ。それに、冒険者になったらあれ以上の傷なんて日常茶飯事だろ」
「そうだが、もっと早くフラヴィアを止めることができていれば、サフィラスに怪我をさせることはなかった……」
相手は従姉妹でもあるし、真面目なパーシヴァルはフラヴィアが暴れる前に止められなくて忸怩たる思いにかられているのかもしれない。
「いや、いや、あれは誰にも止められないよ。失礼だとは思うけど、野猿かと思ったもん」
「野猿……いや、さすがに、それは……」
パーシヴァルの気落ちした顔が、笑いを噛み殺したなんとも困ったような複雑な表情に変わる。どうやら野猿が笑いを誘ったらしい。さっきのご令嬢の母性を全力で擽るような顔も悪くはないけど、そんな貴重な表情を俺のかすり傷程度の事でするなんて勿体無いだろう。そういうのは、いざという時の為に大事に取っておかないとね。
「大体令嬢が飛びかかってくるなんて、そんな事普通は誰も思わないだろ。気にすることはないって!」
俺はキングスリーさん流に、パーシヴァルの背中をバンバン叩く。俺が叩いたくらいじゃ、パーシヴァルはびくともしないけど。
……もう慣れたので、悔しくなんかないからな。
「サフィラスさん」
「アデライン夫人、」
アデライン夫人がひとり、俺たちのところにやってきた。少しだけ眉を下げていて、パーティが始まる前よりも覇気が弱い。あんな事があった後だしな。
「先ほどはフラヴィアを止めてくれてありがとう。ベリサリオ家はまたサフィラスさんに救われました」
アデライン夫人がスッと頭を下げた。俺はうっかりとグラスを落としそうになったので、慌てて持ち直す。パーシヴァルも変だったけど、アデライン夫人もどうしちゃったの? ちょっと野生のお猿を止めただけだぞ。
「いや、そんな、救われただなんて大袈裟な……」
「いいえ。ソフィア様は我が家にとって大切なお客さまの1人なの。もし、彼女を傷つけていたら、大変な事になっていたでしょうね。本来なら、身内であるわたくしたちがしっかりと見張っていなければいけなかったのに、あんな事になってしまって……挨拶にきた時にきつく約束をさせたので、少しは考えて行動してくれると思っていたんだけれど……結局、わたくしもあの子に甘かったということね」
アデライン夫人は扇子で顔を隠す事なく、憂い顔でふぅとため息を溢した。
魔獣大発生の時ですら毅然としていたアデライン夫人にこんな表情をさせるなんて、フラヴィアはある意味魔獣よりも危ない存在って事じゃないか?
「奥様、旦那様がお呼びです」
すーっと近づいてきたスザンナさんが夫人に声をかける。
「今、行きます。話の途中でごめんなさいね、サフィラスさん。あんな事があった後だけれど、せめてお料理を楽しんで貰えたら嬉しいわ」
勿論俺は全力で料理を楽しませてもらうつもり。だって、ベリサリオ家の皆さんが、今日の為に用意した最高の料理だ。余さず頂きます。
「はい、遠慮なく!」
全力の俺の返事に、憂いの表情を華やかな笑顔に変えたアデライン夫人は、優雅ながらも早足に行ってしまった。騒ぎがあった後だから、ゲストのフォローに忙しいのだろうな。ちらと会場に目を向ければ、テオドールさんもカーティスさんも婚約者と並んでゲストの方達との交流に勤しんでいる。そんな中で、如何にも普段から剣を振るっています風な人達と話していたディランさんは、俺と目が合うとこちらにやってきた。
「サフィラス、お疲れさん。案の定パーシィは落ち込んでるな。だけど相手がフラヴィアじゃ仕方ないだろう。元気出せよ」
そう言ってディランさんはパーシヴァルの背中を叩く。ディランさんの背中叩きも、きっとキングスリーさん仕込みに違いない。ただ俺と違って、ディランさんの時はパーシヴァルの体が少しだけ揺れた。
……く、悔しくなんかないぞ。
「それにしても、サフィラスはいい仕事をしてくれた。我儘姫の所為で危なく伯母上の立場がなくなるところだったのを、阻止したんだんだからな」
「アデライン夫人もそんなことを言っていたけど、どういう意味ですか?」
「ああ、サフィラスは知らないのか。ソフィア嬢の祖母、デルヴィーニュ公爵夫人は、王妃殿下が母のように慕っている御仁なんだ。高齢ながら未だ中央の社交界では強い影響力を持っていてね、伯母上も彼女の信頼を得ている。其のデルヴィーニュ公爵夫人が、目の中に入れても痛くないほど可愛がっている姪御こそが、ソフィア嬢なんだよ。公爵家は今現在跡取りがいなくて、近々彼女を養女として迎え入れて婿を取らせるつもりらしいんだけど、それほど溺愛している姪御をこんな辺境領のパーティに参加させたのは、公爵夫人が伯母上を信用しているからこそだ。伯母上の元にならと安心して送り出したパーティで、愛する姪御が多くの人々の目の前で叩かれたと知ったらどうなると思う?」
「それは……相当拙い状況ですね」
世間知らずの俺でも、それがどういうことなのかわかる。アデライン夫人も国の要である領の辺境伯夫人だ。流石にこの地を敵に回すようなあからさまな事はしないだろうけど、社交界でのアデライン夫人の立場はかなり微妙なものとなるだろう。しかも、なかなか中央に出てゆくことができない夫人には、挽回する機会が圧倒的に少ない。
今まで夫人がこつこつと積み上げてきた信用の土台が、危なく揺らぐところだったのか。
「そこでサフィラスだ」
「え? 俺?」
「ソフィア嬢はフラヴィアの無礼よりも、突然現れて自分を助けてくれた麗しの魔法使いにすっかり心を持っていかれた」
「麗しの魔法使い……」
「ああ、そうさ。自分の危機に現れる見目麗しい騎士や魔法使いは、いつだってご令嬢の心を奪うものだろ?」
またしてもこそばゆい言われ方だけど。ディランさんのいう通りだとしたら、髪の十数本引き千切られた甲斐があったってものだ。
「本来なら、フラヴィアもそういうことを知っていなければならない立場なんだが……」
残念そうにパーシヴァルは零す。
そりゃぁ近くにこんな素敵な騎士様がいて、その人が将来自分の夫になるかもしれないと父親から言われていたら、その気になってしまっても仕方がない気もするけどね。いい男は苦労するな、パーシヴァル。
だけどフラヴィアはちゃんと現実に目を向けるべきだった。貴族には貴族の付き合い方っていうのがあるのだろうから。せめて常識的な行いをしていれば、ちょっと夢見がちな女の子ってだけで済んだのに。
「まぁ、今回の事でミラー伯爵家は当分の間、ベリサリオ家からの招待を受ける事はないだろうな」
それは恐らく、ベリサリオ家だけの事じゃないだろう。他の家からの招待も無くなる可能性がある。そう考えると、ジュルース嬢はとんだとばっちりだ。アデライン夫人はその辺はわかっているだろうから、彼女には何らかの救済をするんだろうと思う。
「……あ、そういえば、フラヴィアに髪飾りを持っていかれちゃったんだけど、どうしよう」
すっかりそのままにしてしまっていたけど、あの髪飾りはなかなかの細工だったから、間違いなく高価なものだろう。クー・シーに探してきて貰った方がいいかもしれない。
「ああ、髪飾りならミラー伯爵夫人が後で届けてくれるんじゃないかな。いくらなんでも取り上げるだろう」
「それなら良かった。だけど、どうしてフラヴィアはあの髪飾りにあんなに執着したんだろう? ずっと、髪飾りは私のものだって言っていたし、小さい頃にでももらう約束をしていたのかな?」
「ああ、うん……そうだな」
ディランさんは苦笑いを浮かべると、何故か労るようにパーシヴァルの肩を撫でる。
きっとパーシヴァルには、フラヴィア絡みで俺の知らない苦労がたくさんあったんだろうな。
……と、熱弁すること暫し。
「サフィラス、そろそろ喉が乾いたんじゃないのか?」
パーシヴァルに声を掛けられはっと我にかえる。気がつけば、俺の熱い杖語りに周囲が少々引いていた。さすがにちょっと語りすぎたと反省しつつ、その場を辞す。
会場の隅に移動した俺は、ネクタルという濃厚な果実の飲み物をご馳走になる。果実を潰して裏漉しした飲み物らしいけど、とっても濃厚なのにさっぱりしていて美味しい。この寒い時期に果物をこんなに贅沢に使う飲み物が出てくるなんて驚きだな。
「……さっきは、怪我をさせてしまって本当にすまなかった」
「え?」
パーシヴァルからの突然の謝罪に、一気に飲んでしまうのが勿体無くてちびちびとネクタルを楽しんでいた俺は、グラスを傾けていた手を止めて其の顔を見上げる。そこには、まるで寄る方ない表情をしているパーシヴァルがいて、思わず戸惑った。
いつもは凛としている彼のこんな顔は初めて見たぞ。一体どうしちゃったんだ?
「怪我って、まさかあのかすり傷の事? あんなの大した怪我じゃないって! サンドリオンさんに治してもらってもう跡形もないんだ。それに、冒険者になったらあれ以上の傷なんて日常茶飯事だろ」
「そうだが、もっと早くフラヴィアを止めることができていれば、サフィラスに怪我をさせることはなかった……」
相手は従姉妹でもあるし、真面目なパーシヴァルはフラヴィアが暴れる前に止められなくて忸怩たる思いにかられているのかもしれない。
「いや、いや、あれは誰にも止められないよ。失礼だとは思うけど、野猿かと思ったもん」
「野猿……いや、さすがに、それは……」
パーシヴァルの気落ちした顔が、笑いを噛み殺したなんとも困ったような複雑な表情に変わる。どうやら野猿が笑いを誘ったらしい。さっきのご令嬢の母性を全力で擽るような顔も悪くはないけど、そんな貴重な表情を俺のかすり傷程度の事でするなんて勿体無いだろう。そういうのは、いざという時の為に大事に取っておかないとね。
「大体令嬢が飛びかかってくるなんて、そんな事普通は誰も思わないだろ。気にすることはないって!」
俺はキングスリーさん流に、パーシヴァルの背中をバンバン叩く。俺が叩いたくらいじゃ、パーシヴァルはびくともしないけど。
……もう慣れたので、悔しくなんかないからな。
「サフィラスさん」
「アデライン夫人、」
アデライン夫人がひとり、俺たちのところにやってきた。少しだけ眉を下げていて、パーティが始まる前よりも覇気が弱い。あんな事があった後だしな。
「先ほどはフラヴィアを止めてくれてありがとう。ベリサリオ家はまたサフィラスさんに救われました」
アデライン夫人がスッと頭を下げた。俺はうっかりとグラスを落としそうになったので、慌てて持ち直す。パーシヴァルも変だったけど、アデライン夫人もどうしちゃったの? ちょっと野生のお猿を止めただけだぞ。
「いや、そんな、救われただなんて大袈裟な……」
「いいえ。ソフィア様は我が家にとって大切なお客さまの1人なの。もし、彼女を傷つけていたら、大変な事になっていたでしょうね。本来なら、身内であるわたくしたちがしっかりと見張っていなければいけなかったのに、あんな事になってしまって……挨拶にきた時にきつく約束をさせたので、少しは考えて行動してくれると思っていたんだけれど……結局、わたくしもあの子に甘かったということね」
アデライン夫人は扇子で顔を隠す事なく、憂い顔でふぅとため息を溢した。
魔獣大発生の時ですら毅然としていたアデライン夫人にこんな表情をさせるなんて、フラヴィアはある意味魔獣よりも危ない存在って事じゃないか?
「奥様、旦那様がお呼びです」
すーっと近づいてきたスザンナさんが夫人に声をかける。
「今、行きます。話の途中でごめんなさいね、サフィラスさん。あんな事があった後だけれど、せめてお料理を楽しんで貰えたら嬉しいわ」
勿論俺は全力で料理を楽しませてもらうつもり。だって、ベリサリオ家の皆さんが、今日の為に用意した最高の料理だ。余さず頂きます。
「はい、遠慮なく!」
全力の俺の返事に、憂いの表情を華やかな笑顔に変えたアデライン夫人は、優雅ながらも早足に行ってしまった。騒ぎがあった後だから、ゲストのフォローに忙しいのだろうな。ちらと会場に目を向ければ、テオドールさんもカーティスさんも婚約者と並んでゲストの方達との交流に勤しんでいる。そんな中で、如何にも普段から剣を振るっています風な人達と話していたディランさんは、俺と目が合うとこちらにやってきた。
「サフィラス、お疲れさん。案の定パーシィは落ち込んでるな。だけど相手がフラヴィアじゃ仕方ないだろう。元気出せよ」
そう言ってディランさんはパーシヴァルの背中を叩く。ディランさんの背中叩きも、きっとキングスリーさん仕込みに違いない。ただ俺と違って、ディランさんの時はパーシヴァルの体が少しだけ揺れた。
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今まで夫人がこつこつと積み上げてきた信用の土台が、危なく揺らぐところだったのか。
「そこでサフィラスだ」
「え? 俺?」
「ソフィア嬢はフラヴィアの無礼よりも、突然現れて自分を助けてくれた麗しの魔法使いにすっかり心を持っていかれた」
「麗しの魔法使い……」
「ああ、そうさ。自分の危機に現れる見目麗しい騎士や魔法使いは、いつだってご令嬢の心を奪うものだろ?」
またしてもこそばゆい言われ方だけど。ディランさんのいう通りだとしたら、髪の十数本引き千切られた甲斐があったってものだ。
「本来なら、フラヴィアもそういうことを知っていなければならない立場なんだが……」
残念そうにパーシヴァルは零す。
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だけどフラヴィアはちゃんと現実に目を向けるべきだった。貴族には貴族の付き合い方っていうのがあるのだろうから。せめて常識的な行いをしていれば、ちょっと夢見がちな女の子ってだけで済んだのに。
「まぁ、今回の事でミラー伯爵家は当分の間、ベリサリオ家からの招待を受ける事はないだろうな」
それは恐らく、ベリサリオ家だけの事じゃないだろう。他の家からの招待も無くなる可能性がある。そう考えると、ジュルース嬢はとんだとばっちりだ。アデライン夫人はその辺はわかっているだろうから、彼女には何らかの救済をするんだろうと思う。
「……あ、そういえば、フラヴィアに髪飾りを持っていかれちゃったんだけど、どうしよう」
すっかりそのままにしてしまっていたけど、あの髪飾りはなかなかの細工だったから、間違いなく高価なものだろう。クー・シーに探してきて貰った方がいいかもしれない。
「ああ、髪飾りならミラー伯爵夫人が後で届けてくれるんじゃないかな。いくらなんでも取り上げるだろう」
「それなら良かった。だけど、どうしてフラヴィアはあの髪飾りにあんなに執着したんだろう? ずっと、髪飾りは私のものだって言っていたし、小さい頃にでももらう約束をしていたのかな?」
「ああ、うん……そうだな」
ディランさんは苦笑いを浮かべると、何故か労るようにパーシヴァルの肩を撫でる。
きっとパーシヴァルには、フラヴィア絡みで俺の知らない苦労がたくさんあったんだろうな。
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