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魔法使いのお兄ちゃんは、本日限定でヨールの精霊です
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ドライフルーツとナッツがぎっしり入ったヨールケーキとサックサクのジンジャークッキー。それからナッツに蜂蜜と粉砂糖をたっぷり絡めた幸福の種。これはヨール定番のお菓子だ。幸福の種には、新しい一年に幸せの種を撒くという意味がある。神殿ではヨールの時期になると、数粒ずつを薄紙に包みリボンで結んで子供達に配るのだ。オリエンスにも神殿はあるけれど、ちょっと離れた村にいる子供達がここまで来るのは大変だろう。
そんな思いもあって、俺が子供達にヨールのお菓子を配りたいと言ったら、アンナさんやクララベルさんだけではなく、ベリサリオ家のパーティの準備で忙しいはずのサンドリオンさんやクリステラさんまでも手伝ってくれた。
作る量が多いので厨房の人たちの手も借りながら、2日かけて焼き菓子と幸福の種を作り上げた。俺のなかなかの手際にみんな驚いていたけど、何年も冒険者として旅をしていたからね。料理はそこそこ得意なんだ。そんな大抵の事はできちゃう俺だけど、幸福の種のリボンを結ぶのだけは微妙だった。どうやっても俺が結んだリボンは歪んでしまうのだ。リボンに悪戦苦闘している俺に対し、女性陣はそのリボンを難なく結んでゆく。右も左も同じ長さで、しかも縦になったり、曲がったりしていない。どうせ解いてしまうものだけど、綺麗に結んであった方が貰った時になんとなく嬉しいだろうなと思って、俺は包む役に徹してリボンは皆さんにお任せした。
わいわいと、他愛ない話をしながらの準備はなかなか楽しい。時々アデライン夫人が様子を見にきて話に加わっていたけれど、スザンナさんに促されて名残惜しそうに去っていった。リボンさえ結いて貰えれば後は俺1人でも大丈夫ですよと言ったんだけど、大変な目にあった子供達を喜ばせるのも大事な仕事だからいいのよ、とクリステラさんが言うので、確かにそれも一理あるなと最後まで手伝って貰ってしまった。お陰で、とても素敵なヨールのお菓子詰め合わせが出来上がった。
そうやってみんなで用意したお菓子をバスケットに詰めて行く。どれもなかなかの出来栄えだ。
「これだけあれば足りるかな?」
「ミンスパイも入れておきましょうか。こちらも日持ちがするものですよ」
「いいですね、それもお願いします」
大きなバスケット4つに、お菓子をたっぷり詰め込む。これだけあれば、しばらくは子供達のおやつに困らないだろう。
このお菓子を持って、まずはモッリス村に行く。
今日の俺は、目のところだけ穴の空いた白い布をすっぽりとかぶり、頭には月桂樹の冠を載せてヨールの精霊に扮している。ヨールの精霊とは、ヨールの夜に日頃から良い子にしていた子供達にお菓子をくれる精霊の事だ。その姿は白い影のようで、頭には月桂樹の冠を被っていると言われている。俺が子供の頃も、ヨールの朝に起きるとテーブルに精霊からの贈り物のお菓子が沢山並んでいた。俺はもう大人なので、あれは精霊が持ってきたものではなく、母親が焼いたんだって知っている。だけど、今年は魔獣騒動もあったし、村の再建でお母さん達にお菓子を焼いている余裕はなかっただろう。だから、今年は精霊がお菓子を用意した。
「さぁ、準備万端だ! それじゃぁ、パーシヴァル行こうか」
「ああ、」
流石にパーシヴァルは精霊の仮装はしていないけれど、俺の格好に合わせて白いマントを羽織ってくれている。
当初、子供達へのお菓子配りは俺1人で行くつもりだった。折角の休暇だしパーシヴァルにもやりたいことがあるだろう。それに転移ができるから荷物が多くなっても俺1人で村を回るのも問題ない。なので、お菓子配りをすることはパーシヴァルに話してはいなかった。ところが、お菓子配りは俺1人で行くと知ったサンドリオンさん達に、声を揃えてパーシヴァルを伴って出かけた方がいいと言われてしまった。そんな訳で、急遽パーシヴァルが呼び出され、こうして付き合わせてしまう事となった。本当に申し訳ない。
「お気をつけていってらっしゃいませ」
「行ってきます」
笑顔の女性陣に見送られて、パーシヴァルと共にモッリス村の入り口に転移すると、俺たちの姿を認めた子供達がわーっと駆け寄ってきた。
「ヨールの精霊様だ!」
「精霊様! 僕いい子にしていたよ! お菓子を頂戴!」
子供達は俺を取り囲んで、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。なかなか元気で宜しい。
「よしよし! お菓子はたくさんあるから、安心して。 さぁ、みんな順番に並んで!」
「はーい!」
いい返事をした子供達は、争うことなく順番に並ぶ。その子供達一人一人に、お菓子を詰めた包みを配ってゆく。お菓子を受け取ってゆく子供達はみんな楽しそうだ。ふた月ばかり前に魔獣の群れに襲撃されて壊滅的だった村も、すっかり再建されている。失った命は戻ってこないけれど、村人達の生活が変わらずここにあって安心した。
並ぶ子供達の中にクレオがいた。クレオは自分の番になると、精霊の格好をしている俺をじっと見つめた。
「……魔法使いのお兄ちゃん?」
「そうだよ。魔法使いのお兄ちゃんだ。だけど、今日のお兄ちゃんは、ヨールの精霊なんだ。クレオはいい子にしていた?」
「うん! 毎日お母ちゃんのお手伝いしているよ!」
元気に返事をしたクレオは、翳りのない表情をしている。お父ちゃんがいなくなってしまっても、しっかり生活できているようだ。
「偉いぞ、クレオ。偉い子にはお菓子をあげなくちゃね」
俺はクレオにお菓子の包みを渡す。
「お兄ちゃ、……ヨールの精霊様、ありがとう!」
クレオは元気にお礼を言うと、他の子供達と一緒に走って行った。
この様子ならクレオの家はもう大丈夫そうだな。大切な人を失ったのはクレオの一家だけじゃ無い。同じ悲しみを背負った人達が沢山いる。だけど、時間は悲しみとの距離を作ってくれる。失ったことによって負ってしまった傷は消えないけれど、悲しみとの距離が出来ればなんとかやっていけるもんだ。
それから俺とパーシヴァルは周辺の村落をいくつか回って、4つのバスケットの中身はすっかり空になった。
「よーし! 全部配り終わったぞ!」
子供たちに喜んでもらえて良かったな。何より、俺も楽しかったし。パーシヴァルには付き合わせてしまって、申し訳なかったけども。
「サフィラス。子供達を笑顔にしてくれて、ありがとう」
ひとり満足しているところに突然礼を言われたので、後ろにいるパーシヴァルを振り返る。
夕日を浴びて金髪がいっそ神々しいほど輝いているパーシヴァルは、包み込むような柔らかな笑みを浮かべていた。
ま、眩しい……!
夕陽を味方につけるなんて、流石太陽の騎士だな。いや、この神々しさは太陽の聖人か? 何にせよ欲求のままに行動しているだけの俺に、この輝きは眩しすぎる……
「……うっ……い、いや、俺は自分のやりたいことを好き勝手にしているだけだから、その、お礼を言われるような事は何もしてないって言うか……」
「……俺は、実に得難い友と出会えたのだな」
そう言ってもらえるのは嬉しいよ。
だけど! だけどだ! なんでそんな甘い笑みを浮かべてるんだ! そういうのは、恋人とか伴侶に向けるものじゃないのか? この状況、客観的に見て変だろう。白いマントも相まって神憑り的に麗しいパーシヴァルと、ちょっと間抜けな風体のヨールの精霊の格好をして向かい合っている俺。はたから見たら、相当滑稽な光景だぞ。
「も、もう日も暮れてきたし、帰ろうか!」
居た堪れなくなった俺は、勢いよく向きを変えて歩き出す。ところが。勢いよく回った所為で、精霊の長い衣装を捌ききれず、足に絡ませてしまった。
「うっ……わ、!」
「サフィラス!」
足を踏み出せずにバランスを崩して転倒する寸前で、パーシヴァルの腕が俺の体をがっしりと受け止める。
「はぁ、驚いた……ありがとう、パーシヴァル」
いつも鍛えているだけあって、俺なんか片腕で軽々と支えてしまうんだな。だけど、助かった。布が絡んで手も足も出なかったから、下手をしたら顔面から地面に突っ込んでいたところだ。
「サフィラスは時々酷く危なっかしくて、本当に目が離せないな」
「スミマセン……」
「いいや、いいんだ。サフィラスが危ない時は、こうして俺に守らせて欲しい。だから今日のような事でも、1人で行こうとはせずに、俺も連れて行ってはくれないか?」
「え?」
そう言う背後のパーシヴァルがどんな顔をしているのかは分からない。でも、俺を支える腕は温かくて、仮装のために外套を着ていない体をじんわりと温める。
不意にノマドのお婆さんの占いが脳裡を過ぎった。
太陽のように強い光なのに、包み込むような暖かさで照らしている……
俺の側にあるとても強い星って、もしかして、もしかして、女神じゃなくて、パーシヴァル?
そんな思いもあって、俺が子供達にヨールのお菓子を配りたいと言ったら、アンナさんやクララベルさんだけではなく、ベリサリオ家のパーティの準備で忙しいはずのサンドリオンさんやクリステラさんまでも手伝ってくれた。
作る量が多いので厨房の人たちの手も借りながら、2日かけて焼き菓子と幸福の種を作り上げた。俺のなかなかの手際にみんな驚いていたけど、何年も冒険者として旅をしていたからね。料理はそこそこ得意なんだ。そんな大抵の事はできちゃう俺だけど、幸福の種のリボンを結ぶのだけは微妙だった。どうやっても俺が結んだリボンは歪んでしまうのだ。リボンに悪戦苦闘している俺に対し、女性陣はそのリボンを難なく結んでゆく。右も左も同じ長さで、しかも縦になったり、曲がったりしていない。どうせ解いてしまうものだけど、綺麗に結んであった方が貰った時になんとなく嬉しいだろうなと思って、俺は包む役に徹してリボンは皆さんにお任せした。
わいわいと、他愛ない話をしながらの準備はなかなか楽しい。時々アデライン夫人が様子を見にきて話に加わっていたけれど、スザンナさんに促されて名残惜しそうに去っていった。リボンさえ結いて貰えれば後は俺1人でも大丈夫ですよと言ったんだけど、大変な目にあった子供達を喜ばせるのも大事な仕事だからいいのよ、とクリステラさんが言うので、確かにそれも一理あるなと最後まで手伝って貰ってしまった。お陰で、とても素敵なヨールのお菓子詰め合わせが出来上がった。
そうやってみんなで用意したお菓子をバスケットに詰めて行く。どれもなかなかの出来栄えだ。
「これだけあれば足りるかな?」
「ミンスパイも入れておきましょうか。こちらも日持ちがするものですよ」
「いいですね、それもお願いします」
大きなバスケット4つに、お菓子をたっぷり詰め込む。これだけあれば、しばらくは子供達のおやつに困らないだろう。
このお菓子を持って、まずはモッリス村に行く。
今日の俺は、目のところだけ穴の空いた白い布をすっぽりとかぶり、頭には月桂樹の冠を載せてヨールの精霊に扮している。ヨールの精霊とは、ヨールの夜に日頃から良い子にしていた子供達にお菓子をくれる精霊の事だ。その姿は白い影のようで、頭には月桂樹の冠を被っていると言われている。俺が子供の頃も、ヨールの朝に起きるとテーブルに精霊からの贈り物のお菓子が沢山並んでいた。俺はもう大人なので、あれは精霊が持ってきたものではなく、母親が焼いたんだって知っている。だけど、今年は魔獣騒動もあったし、村の再建でお母さん達にお菓子を焼いている余裕はなかっただろう。だから、今年は精霊がお菓子を用意した。
「さぁ、準備万端だ! それじゃぁ、パーシヴァル行こうか」
「ああ、」
流石にパーシヴァルは精霊の仮装はしていないけれど、俺の格好に合わせて白いマントを羽織ってくれている。
当初、子供達へのお菓子配りは俺1人で行くつもりだった。折角の休暇だしパーシヴァルにもやりたいことがあるだろう。それに転移ができるから荷物が多くなっても俺1人で村を回るのも問題ない。なので、お菓子配りをすることはパーシヴァルに話してはいなかった。ところが、お菓子配りは俺1人で行くと知ったサンドリオンさん達に、声を揃えてパーシヴァルを伴って出かけた方がいいと言われてしまった。そんな訳で、急遽パーシヴァルが呼び出され、こうして付き合わせてしまう事となった。本当に申し訳ない。
「お気をつけていってらっしゃいませ」
「行ってきます」
笑顔の女性陣に見送られて、パーシヴァルと共にモッリス村の入り口に転移すると、俺たちの姿を認めた子供達がわーっと駆け寄ってきた。
「ヨールの精霊様だ!」
「精霊様! 僕いい子にしていたよ! お菓子を頂戴!」
子供達は俺を取り囲んで、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。なかなか元気で宜しい。
「よしよし! お菓子はたくさんあるから、安心して。 さぁ、みんな順番に並んで!」
「はーい!」
いい返事をした子供達は、争うことなく順番に並ぶ。その子供達一人一人に、お菓子を詰めた包みを配ってゆく。お菓子を受け取ってゆく子供達はみんな楽しそうだ。ふた月ばかり前に魔獣の群れに襲撃されて壊滅的だった村も、すっかり再建されている。失った命は戻ってこないけれど、村人達の生活が変わらずここにあって安心した。
並ぶ子供達の中にクレオがいた。クレオは自分の番になると、精霊の格好をしている俺をじっと見つめた。
「……魔法使いのお兄ちゃん?」
「そうだよ。魔法使いのお兄ちゃんだ。だけど、今日のお兄ちゃんは、ヨールの精霊なんだ。クレオはいい子にしていた?」
「うん! 毎日お母ちゃんのお手伝いしているよ!」
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「偉いぞ、クレオ。偉い子にはお菓子をあげなくちゃね」
俺はクレオにお菓子の包みを渡す。
「お兄ちゃ、……ヨールの精霊様、ありがとう!」
クレオは元気にお礼を言うと、他の子供達と一緒に走って行った。
この様子ならクレオの家はもう大丈夫そうだな。大切な人を失ったのはクレオの一家だけじゃ無い。同じ悲しみを背負った人達が沢山いる。だけど、時間は悲しみとの距離を作ってくれる。失ったことによって負ってしまった傷は消えないけれど、悲しみとの距離が出来ればなんとかやっていけるもんだ。
それから俺とパーシヴァルは周辺の村落をいくつか回って、4つのバスケットの中身はすっかり空になった。
「よーし! 全部配り終わったぞ!」
子供たちに喜んでもらえて良かったな。何より、俺も楽しかったし。パーシヴァルには付き合わせてしまって、申し訳なかったけども。
「サフィラス。子供達を笑顔にしてくれて、ありがとう」
ひとり満足しているところに突然礼を言われたので、後ろにいるパーシヴァルを振り返る。
夕日を浴びて金髪がいっそ神々しいほど輝いているパーシヴァルは、包み込むような柔らかな笑みを浮かべていた。
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夕陽を味方につけるなんて、流石太陽の騎士だな。いや、この神々しさは太陽の聖人か? 何にせよ欲求のままに行動しているだけの俺に、この輝きは眩しすぎる……
「……うっ……い、いや、俺は自分のやりたいことを好き勝手にしているだけだから、その、お礼を言われるような事は何もしてないって言うか……」
「……俺は、実に得難い友と出会えたのだな」
そう言ってもらえるのは嬉しいよ。
だけど! だけどだ! なんでそんな甘い笑みを浮かべてるんだ! そういうのは、恋人とか伴侶に向けるものじゃないのか? この状況、客観的に見て変だろう。白いマントも相まって神憑り的に麗しいパーシヴァルと、ちょっと間抜けな風体のヨールの精霊の格好をして向かい合っている俺。はたから見たら、相当滑稽な光景だぞ。
「も、もう日も暮れてきたし、帰ろうか!」
居た堪れなくなった俺は、勢いよく向きを変えて歩き出す。ところが。勢いよく回った所為で、精霊の長い衣装を捌ききれず、足に絡ませてしまった。
「うっ……わ、!」
「サフィラス!」
足を踏み出せずにバランスを崩して転倒する寸前で、パーシヴァルの腕が俺の体をがっしりと受け止める。
「はぁ、驚いた……ありがとう、パーシヴァル」
いつも鍛えているだけあって、俺なんか片腕で軽々と支えてしまうんだな。だけど、助かった。布が絡んで手も足も出なかったから、下手をしたら顔面から地面に突っ込んでいたところだ。
「サフィラスは時々酷く危なっかしくて、本当に目が離せないな」
「スミマセン……」
「いいや、いいんだ。サフィラスが危ない時は、こうして俺に守らせて欲しい。だから今日のような事でも、1人で行こうとはせずに、俺も連れて行ってはくれないか?」
「え?」
そう言う背後のパーシヴァルがどんな顔をしているのかは分からない。でも、俺を支える腕は温かくて、仮装のために外套を着ていない体をじんわりと温める。
不意にノマドのお婆さんの占いが脳裡を過ぎった。
太陽のように強い光なのに、包み込むような暖かさで照らしている……
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