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報告、連絡、相談は大事だった
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「サフィラスさん!」
「ふぎゅぅ!」
俺の顔を見るなり、貴族のご婦人に有るまじき速さで駆け寄ってきたアデライン夫人にぎゅうぎゅうと抱きしめられた。アデライン夫人は細いのに、その腕の力は思ったよりもずっと強くて、俺は潰された蛙のような声をあげてしまった。キングスリーさんの時と違って、パーシヴァルもアデライン夫人を止めようとしない。
まさか締め殺されちゃうの?
「全く貴方達ときたら! こんな遅くになるまで、連絡の一つもしないなんて! 心配していたのですよ! キングスリーの処に向かった後、誰に聞いても貴方達を見ていないというのですから! あんな極大魔法を使って、魔力切れで倒れて動けなくなっているのではないかと……本当に……本当に、無事でよかったっ……」
アデライン夫人は小さく体を震わせている。もしかしたら、泣いているのかもしれない。俺は何だかとても申し訳ない気持ちになってしまって、アデライン夫人の背中にそっと手を回した。
「えっと、すみません……ご心配おかけしました。でも、俺はこの通り元気です」
パーシヴァルと俺はキングスリーさんの部隊を城に送り届けた後、積み上がった魔獣を見に行ったり、オリエンス周辺の村や町の被害の様子を見に行っていた。どんな状況なのかあらかじめ把握していた方が、明日から動きやすいと思ったからだ。お陰で援助を求めている人たちが、今何を必要としているのかわかった。
そんな調子であちこちを移動していたらすっかり日が暮れていて、城に戻る頃にはすでに真っ暗になっていた。
キングスリーさんも城に戻ってすぐに、動ける兵士達を引き連れてオリエンスの街に被害の様子を見に行っていて、ついさっき戻って来たらしい。つまり、キングスリーさんを含め俺たちがどうなったのか、城で待っていた人たちは今になるまで全く知らなかったのだ。
パーシヴァルやアウローラ以外に、俺の事を心配するような人は居ないと思っていたので、無事の報告をするなんて思いつきもしなかった。
「パーシィもパーシィです。どうしてすぐに無事だと知らせを寄越さなかったのですか」
「気が回らず、申し訳ありません」
「アデライン夫人、パーシヴァルは俺に付き合わされただけなんです。気になった事は、すぐに確認しないと気が済まなくて、つい……」
パーシヴァルは俺に振り回されただけだ。とんだとばっちりだろう。
「……いいですか、次からは必ず報告をすること。情報共有は大事ですよ。報告、連絡、相談を怠ってはなりません。これができなければどんな隙の無い作戦でもあっても、失敗を招きかねないのですからね」
アデライン夫人は俺を解放すると、赤くした目でまっすぐに俺たち2人を見てそう言った。
「「はい」」
俺とパーシヴァルは神妙に頷いた。
「よろしい。2人とも、本当にお疲れ様でした。お腹が減っているでしょう。厨房に食事を用意しているから、召し上がっていらっしゃいな。スザンナ、2人を厨房へ」
「はい、奥様。さぁ、お2人ともこちらへどうぞ」
パーシヴァルと俺は、スザンナさんについて厨房へ向かう。
厨房の隅には小さなテーブルが置いてあって、俺たちが席に着くとすぐに具沢山のシチューと麺麭が運ばれてきた。どうやら遅く戻ってきた俺達が、落ち着いて食事ができるようにとこの席を用意してくれたらしい。
「たんと召し上がってください」
いろいろな野菜や芋、肉がたくさん入ったブラウンシチューだ。それに、明日の朝食用に焼いた麺麭がタイミングよく焼き上がったばかりらしく、熱々のふわふわを出してくれた。
学院で朝食を食べたきり何も食べていなかった事を思い出せば、途端に空腹に襲われる。
「いただきます!」
俺は早速食事に手をつける。ちょっと味が濃いめのシチューが、空腹の胃に染み渡るようだ。
「こんなものしかご用意できなくてすみません。落ち着いたら、腕に寄りをかけてご馳走をご用意させていただきますから」
「このシチューだって十分ご馳走です! お肉が柔らかくて濃厚で美味しい。麺麭だって、何個でも食べられちゃうな!」
「サフィラス、美味しいからといって食べすぎない方がいいぞ」
「わかってるって。でも、おかわりはする」
こんなに美味しいのに、おかわりしないなんて絶対に無理。
パーシヴァルと俺が食事をしていると、辺境伯の側近が厨房を覗き込んできた。
「パーシヴァル様、こちらにいらっしゃいましたか。お食事中申し訳ございませんが、オースティン様が報告をしてほしいと」
「わかった、今行く」
パーシヴァルが食事の手を止めて立ち上がった。
「俺も行こうか?」
「いや、大丈夫だ。サフィラスは食事を続けててくれ」
「……うん、わかった」
きっと大事な話もするだろうし、部外者はいない方がいいだろう。厨房を出てゆくパーシヴァルを見送ると、俺は食事を続ける。2杯のシチューと3個の麺麭を平らげると、デザートにと小さなレモネのパイも出してもらった。それらをすっかり胃に収めると、じわじわと眠気がやってきた。
パーシヴァルはまだ戻ってこなさそうだし、ちょっとだけ寝ておこうかな。そう思った俺は、眠気に抗う事なくテーブルに伏せた。
「……あれ?」
ふかふかの寝台で目が覚めた俺は、自分のいる場所がすぐにはわからなかった。
寮の固い寝台では無いことに困惑していると、部屋の扉がノックされる。
「サフィラス様、お目覚めですか?」
「……あ、はい……」
扉を開けて入ってきたクララベルさんの顔を見て、目覚めでぼんやりしていた頭がはっきりした。この部屋には覚えがある。長期休暇の時にお世話になった眺めのいい部屋だ。
そういえば、俺は昨夜厨房のテーブルで仮眠していたはずなんだけど、なんで寝台で寝ているんだろう? 厨房から客室までの記憶が全然無い。まさか寝心地の良い寝床を求めて、無意識に転移してしまったんじゃ無いだろうな? 何しろ俺には前例がある。
「……もしかして俺、自分でこの部屋に来たんですか?」
「いいえ、パーシヴァル様が背負われて此処まで運んでこられたのですよ。全く目を覚まされなかったので、余程お疲れでだったのでしょう」
「パーシヴァルが?」
そうだったんだ。無意識転移じゃなくてよかった。でもパーシヴァルだって疲れていたはずなのに、世話をかけてしまったな。厨房から此処までは結構遠い。階段だって登らなきゃならないのに。俺なんて何処ででもぐっすり眠れるから、厨房の隅っこか、邪魔になるならホールの片隅にでも転がして置いてくれても全く構わなかった。平常時じゃ無いのに、こんな客間まで用意してもらって申し訳ない。
「朝食はこちらにお持ちいたしましょうか?」
「お気遣いありがとうございます。でも、今日は下に行って食べます!」
忙しいのに、わざわざそんな手間を掛けさせられない。
ヴァンダーウォールの魔法使いの兵服を身に纏い、人でごった返しているホールに降りてゆく。魔獣の脅威は無くなったとはいえ、城にはまだ避難している人が残っている。あと数日はこんな状態だろう。それでも、魔獣の脅威がなくなったのだから、人々の表情は明るい。
外で食事を配っているというので、俺も配給の列に並んでラップを貰った。忙しなく動いている人たちの様子を眺めながらラップを齧っていると、俺を見つけたパーシヴァルがこちらに走ってきた。
「サフィラス! ここに居たのか……食事ならもっとしっかりしたものを用意したのに」
「おはよう、パーシヴァル。今日はたくさん動く予定だから、これくらいが丁度いいんだ。あまり食べ過ぎちゃうと動けなくなる。それより、昨夜はごめん。ちょっと眠るつもりが、本気で寝ちゃったよ。俺、重かったでしょ?」
「全く重くなかった。サフィラスは軽過ぎるくらいだ」
か、軽過ぎ……
重くなかったのはよかったけれど、軽すぎると言われるのも複雑だ。確かに俺は痩せ気味だけど。体質なのかそれとも何かの呪いにでもかかっているのか、いくら食べてもほとんど身にならない。伯爵家を出たばかりの頃は今よりもずっと酷かったので、それに比べればマシだけれど。
でも、俺はまだ未成年だから成長の余地が残されている。きっとこれから大きくなる……に違いない。多分。
「……えーっと、今日は昨日決めた予定通り、モッリス村の手伝いから始めようか」
「ふぎゅぅ!」
俺の顔を見るなり、貴族のご婦人に有るまじき速さで駆け寄ってきたアデライン夫人にぎゅうぎゅうと抱きしめられた。アデライン夫人は細いのに、その腕の力は思ったよりもずっと強くて、俺は潰された蛙のような声をあげてしまった。キングスリーさんの時と違って、パーシヴァルもアデライン夫人を止めようとしない。
まさか締め殺されちゃうの?
「全く貴方達ときたら! こんな遅くになるまで、連絡の一つもしないなんて! 心配していたのですよ! キングスリーの処に向かった後、誰に聞いても貴方達を見ていないというのですから! あんな極大魔法を使って、魔力切れで倒れて動けなくなっているのではないかと……本当に……本当に、無事でよかったっ……」
アデライン夫人は小さく体を震わせている。もしかしたら、泣いているのかもしれない。俺は何だかとても申し訳ない気持ちになってしまって、アデライン夫人の背中にそっと手を回した。
「えっと、すみません……ご心配おかけしました。でも、俺はこの通り元気です」
パーシヴァルと俺はキングスリーさんの部隊を城に送り届けた後、積み上がった魔獣を見に行ったり、オリエンス周辺の村や町の被害の様子を見に行っていた。どんな状況なのかあらかじめ把握していた方が、明日から動きやすいと思ったからだ。お陰で援助を求めている人たちが、今何を必要としているのかわかった。
そんな調子であちこちを移動していたらすっかり日が暮れていて、城に戻る頃にはすでに真っ暗になっていた。
キングスリーさんも城に戻ってすぐに、動ける兵士達を引き連れてオリエンスの街に被害の様子を見に行っていて、ついさっき戻って来たらしい。つまり、キングスリーさんを含め俺たちがどうなったのか、城で待っていた人たちは今になるまで全く知らなかったのだ。
パーシヴァルやアウローラ以外に、俺の事を心配するような人は居ないと思っていたので、無事の報告をするなんて思いつきもしなかった。
「パーシィもパーシィです。どうしてすぐに無事だと知らせを寄越さなかったのですか」
「気が回らず、申し訳ありません」
「アデライン夫人、パーシヴァルは俺に付き合わされただけなんです。気になった事は、すぐに確認しないと気が済まなくて、つい……」
パーシヴァルは俺に振り回されただけだ。とんだとばっちりだろう。
「……いいですか、次からは必ず報告をすること。情報共有は大事ですよ。報告、連絡、相談を怠ってはなりません。これができなければどんな隙の無い作戦でもあっても、失敗を招きかねないのですからね」
アデライン夫人は俺を解放すると、赤くした目でまっすぐに俺たち2人を見てそう言った。
「「はい」」
俺とパーシヴァルは神妙に頷いた。
「よろしい。2人とも、本当にお疲れ様でした。お腹が減っているでしょう。厨房に食事を用意しているから、召し上がっていらっしゃいな。スザンナ、2人を厨房へ」
「はい、奥様。さぁ、お2人ともこちらへどうぞ」
パーシヴァルと俺は、スザンナさんについて厨房へ向かう。
厨房の隅には小さなテーブルが置いてあって、俺たちが席に着くとすぐに具沢山のシチューと麺麭が運ばれてきた。どうやら遅く戻ってきた俺達が、落ち着いて食事ができるようにとこの席を用意してくれたらしい。
「たんと召し上がってください」
いろいろな野菜や芋、肉がたくさん入ったブラウンシチューだ。それに、明日の朝食用に焼いた麺麭がタイミングよく焼き上がったばかりらしく、熱々のふわふわを出してくれた。
学院で朝食を食べたきり何も食べていなかった事を思い出せば、途端に空腹に襲われる。
「いただきます!」
俺は早速食事に手をつける。ちょっと味が濃いめのシチューが、空腹の胃に染み渡るようだ。
「こんなものしかご用意できなくてすみません。落ち着いたら、腕に寄りをかけてご馳走をご用意させていただきますから」
「このシチューだって十分ご馳走です! お肉が柔らかくて濃厚で美味しい。麺麭だって、何個でも食べられちゃうな!」
「サフィラス、美味しいからといって食べすぎない方がいいぞ」
「わかってるって。でも、おかわりはする」
こんなに美味しいのに、おかわりしないなんて絶対に無理。
パーシヴァルと俺が食事をしていると、辺境伯の側近が厨房を覗き込んできた。
「パーシヴァル様、こちらにいらっしゃいましたか。お食事中申し訳ございませんが、オースティン様が報告をしてほしいと」
「わかった、今行く」
パーシヴァルが食事の手を止めて立ち上がった。
「俺も行こうか?」
「いや、大丈夫だ。サフィラスは食事を続けててくれ」
「……うん、わかった」
きっと大事な話もするだろうし、部外者はいない方がいいだろう。厨房を出てゆくパーシヴァルを見送ると、俺は食事を続ける。2杯のシチューと3個の麺麭を平らげると、デザートにと小さなレモネのパイも出してもらった。それらをすっかり胃に収めると、じわじわと眠気がやってきた。
パーシヴァルはまだ戻ってこなさそうだし、ちょっとだけ寝ておこうかな。そう思った俺は、眠気に抗う事なくテーブルに伏せた。
「……あれ?」
ふかふかの寝台で目が覚めた俺は、自分のいる場所がすぐにはわからなかった。
寮の固い寝台では無いことに困惑していると、部屋の扉がノックされる。
「サフィラス様、お目覚めですか?」
「……あ、はい……」
扉を開けて入ってきたクララベルさんの顔を見て、目覚めでぼんやりしていた頭がはっきりした。この部屋には覚えがある。長期休暇の時にお世話になった眺めのいい部屋だ。
そういえば、俺は昨夜厨房のテーブルで仮眠していたはずなんだけど、なんで寝台で寝ているんだろう? 厨房から客室までの記憶が全然無い。まさか寝心地の良い寝床を求めて、無意識に転移してしまったんじゃ無いだろうな? 何しろ俺には前例がある。
「……もしかして俺、自分でこの部屋に来たんですか?」
「いいえ、パーシヴァル様が背負われて此処まで運んでこられたのですよ。全く目を覚まされなかったので、余程お疲れでだったのでしょう」
「パーシヴァルが?」
そうだったんだ。無意識転移じゃなくてよかった。でもパーシヴァルだって疲れていたはずなのに、世話をかけてしまったな。厨房から此処までは結構遠い。階段だって登らなきゃならないのに。俺なんて何処ででもぐっすり眠れるから、厨房の隅っこか、邪魔になるならホールの片隅にでも転がして置いてくれても全く構わなかった。平常時じゃ無いのに、こんな客間まで用意してもらって申し訳ない。
「朝食はこちらにお持ちいたしましょうか?」
「お気遣いありがとうございます。でも、今日は下に行って食べます!」
忙しいのに、わざわざそんな手間を掛けさせられない。
ヴァンダーウォールの魔法使いの兵服を身に纏い、人でごった返しているホールに降りてゆく。魔獣の脅威は無くなったとはいえ、城にはまだ避難している人が残っている。あと数日はこんな状態だろう。それでも、魔獣の脅威がなくなったのだから、人々の表情は明るい。
外で食事を配っているというので、俺も配給の列に並んでラップを貰った。忙しなく動いている人たちの様子を眺めながらラップを齧っていると、俺を見つけたパーシヴァルがこちらに走ってきた。
「サフィラス! ここに居たのか……食事ならもっとしっかりしたものを用意したのに」
「おはよう、パーシヴァル。今日はたくさん動く予定だから、これくらいが丁度いいんだ。あまり食べ過ぎちゃうと動けなくなる。それより、昨夜はごめん。ちょっと眠るつもりが、本気で寝ちゃったよ。俺、重かったでしょ?」
「全く重くなかった。サフィラスは軽過ぎるくらいだ」
か、軽過ぎ……
重くなかったのはよかったけれど、軽すぎると言われるのも複雑だ。確かに俺は痩せ気味だけど。体質なのかそれとも何かの呪いにでもかかっているのか、いくら食べてもほとんど身にならない。伯爵家を出たばかりの頃は今よりもずっと酷かったので、それに比べればマシだけれど。
でも、俺はまだ未成年だから成長の余地が残されている。きっとこれから大きくなる……に違いない。多分。
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