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その頃サフィラスは……
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「サフィラスさん、よくきてくれたわね! さぁ、座ってちょうだい! 丁度今からお茶にするところだったのよ!」」
アデライン夫人は突然やってきた俺を、嫌な顔一つせず歓迎してくれた。
焼き立てのパイとタルトが綺麗に切り分けられて、レモネの紅茶と共に俺の前に置かれる。
長期休暇の間ずっとヴァンダーウォールで過ごしていたせいか、なんというか故郷に帰ってきたような気分だ。
「そういえば、サフィラスさん。とても素敵なハンカチーフをありがとう。サンディやクリステラの分まで用意してくれて、とても嬉しかったわ」
「ええ、本当にありがとうございます。クリステラも喜んでいましたわ」
「気に入って頂けてよかったです」
レモネのお菓子のお礼にと、俺はアデライン夫人にハンカチーフを送っていた。
アデライン夫人にはお菓子だけではなく他にも色々お世話になったので、何かお礼をと思ったけれど、いくら考えても何をお返しすればいいのか全く浮かばなかったので、当然のごとく俺はアウローラを頼った。下手な物を送って、迷惑になってしまっては意味がないからだ。
何を送ったらいいか助言を求めれば、アウローラは王都では有名らしい小物の店を教えてくれた。
「ヴァンダーウォール辺境伯夫人は良識のある方ですし、無理をしたお品物をお返しすることを快くは思わないでしょう。学生であるサフィラス様が身の丈に見合ったお品物を選ぶとしたら、ハンカチーフが良いのでは無いかしら。できればシンプルで品質が良いものがよろしいわ。そのまま使うこともできますし、物足りないと思われたら、好みに合わせて刺繍を入れることもできますでしょう?」
「なるほど!」
流石アウローラ。ハンカチーフならそれほど高価じゃ無いので俺にも十分買えるし、貰っておいて邪魔になるものでもない。シンプルなものなら、好みに左右されないしな。
俺はすぐに教えてもらった店に行って、その店で一番良い正絹のハンカチーフを3枚購入した。アデライン夫人とパーシヴァルの兄君2人の婚約者さんの分だ。ハンカチーフは小判だけどうっとりするような滑らかな肌触りで、控えめなレースで縁取られている。素材は素晴らしいけれど、意匠がシンプルなので素材の割には高価なものではない。そのハンカチーフにお礼状を添えてアデライン夫人に送ったのだけれど、どうやら気に入ってくれたようだ。
「最近の学院の様子はどうかしら?」
アデライン夫人に尋ねられ、俺はこの間の魔法演技の話をした。パーシヴァルと俺のクラスがステッラ賞を獲得した事を話をしたら、アデライン夫人とサンドリオンさんはとても驚いていた。これまで開催された魔法演技で、2クラスもの代表が星を取ったことは無いそうだ。
「そのステッラ賞が縁で、魔法師団長と会う機会もありましたよ」
「あら、そうなのね。会ってみてどうでしたか?」
「なんというか、俺の思っていた魔法使いと随分違うなと……それから、喋り方が、その……なかなかに独特な方でした」
「うふふ……そうね。あの方は少し変わった方ではあるけれど、とてもご立派なお人なのですよ」
魔法師団長の実家は騎士の家系だそうで、魔法使いとして認められるまでに随分と苦労したそうだ。魔法剣士という道もあっただろうに、魔法師団長はひたすらに魔法使いの道を邁進したらしい。
魔法師団長は個性的な人だけれど、努力の人でもあったんだな。
「そうだわ、サフィラスさん。折角だから晩餐もこちらで召し上がって行って」
「いえ、折角ですが、夕食はいつもパーシヴァルと一緒にとっているので……」
「大丈夫よ。子供では無いのだから、サフィラスさんが来なければ1人で食べるでしょう。お土産を用意しますから、帰ってからそれを持ってパーシィを訪えばいいわ」
「いや、でも……」
昼に会っていないのに、夕にも顔を出さないとなれば、流石にパーシヴァルも心配するんじゃないか?
「サフィラスさんが居るなら、今日はいいお肉に変更しましょう。スザンナ、厨房に伝えてきて頂戴」
「はい、奥様」
「あ、それからデザートはこの間新しく仕入れた果物を使って」
「いや、あの……俺、学院に戻りますから……」
「そうね、晩餐までまだ時間があるから、久しぶりにクララベルとアンナに磨いて貰っていらっしゃいな! すぐに2人を呼びましょう」
俺を置き去りにして、どんどん話が進んでゆく。何より、帰りますと口を挟めない勢いだ。ごめん、パーシヴァル! 俺はヴァンダーウォールにいるから心配しないでくれ! 心の中で手を合わせて謝罪する。
そのうちに、離れていても伝言が伝えられる魔法を編み出さないといけないかもしれないな。
「そういえば、サフィラスはどうしてヴァンダーウォールに? もしかして、パーシヴァルと喧嘩でもしたのか?」
カーティスさんに問われて、俺はナイフを動かす手を止めた。
結局俺は、こうしてベリサリオ家の人たちと一緒に食事をしている。パーシヴァルがいないのに。なんだろう、この不思議な状況。それに、いつの間にか親しく名を呼ばれているし。それはそれでヴァンダーウォールに受け入れて貰えたようで嬉しいけど。
「いえ、パーシヴァルとは何もないんですが、実は……」
流石に接吻を迫られたなんて事は俺の沽券に関わるので言えなかったが、伴侶になれとしつこく迫ってくる奴から思わず逃げ出したところ、ここヴァンダーウォールに転移していたのだと説明すれば、何故かダイニングの空気がおかしなことになった。今までみんな穏やかに談笑していたのに、急に水を打ったように静かになったのだ。
「……?」
「サフィラスさん? そのしつこく伴侶になれとおっしゃっている方は、一体どなたかしら?」
アデライン夫人は笑顔こそ浮かべてはいるが、雰囲気が怖い……
俺は持っていたナイフとフォークをそっとテーブルに戻す。何か、まずいことを言っただろうか?
そもそもどなたかと聞かれても、名前なんか覚えていない。あいつの事はずっと赤髪って呼んでたからな。
「……えーっと、名前は……よく覚えていないんですが、赤い髪で侯爵家の次男だと言っていたように思うんですけど」
「パーシィやサフィラスさんと同じ年で、赤い髪の侯爵家の次男ですって……?」
「赤い髪ならば、恐らくワグナー侯爵家の次男だろう。あの家の血筋は皆赤い髪をしている」
俺が知る限りで、食事中は相槌を打つくらいでほとんど喋らない辺境伯が珍しく口を開いた。この地は中央から離れているのに、辺境伯は貴族にも詳しいんだな。戦にでもなれば、情報一つで戦況は大きく変わる。広く目と耳を傾けていなければ、この地を守護することはできないんだろう。
「そういえば、長兄が第二騎士団の団長を務めていますね。何度か会ったことがありますよ」
テオドールさんは赤髪のお兄さんに会った事があるのか。第二騎士団は確か王都の警護を担当してるんだよな。
赤髪が剣術大会に拘っていた理由がなんとなく分かった。兄への憧れか、それとも赤髪が何かを勝手に拗らせているのかわからないけど、自分の事情に相手を巻き込んじゃ駄目だろう。
「母上。念の為に言っておきますが、直接の抗議はできませんよ。サフィラスは我々ヴァンダーウォールの大切な友人ですが、正式な間柄ではないのですから」
「カーティ、わざわざ言わなくともそんな事はわかっております。いいですか、サフィラスさん、」
「は、はい!」
思わず背筋を伸ばす。
「そのワグナー侯爵家の次男には十分に気をつけるのですよ。いくらサフィラスさんが優秀な魔法使いだとしても、不意を突かれれば万が一ということもあり得ます。人気のないような場所で、1人になるような事はなさらないでね」
「はい、」
……その万が一になりかけたけどな。全く耳が痛い。思わず苦笑いが浮かんでしまった。
「アデライン様、折角のお肉料理ですのに、サフィラス様の手が止まってしまっていますわ」
「あら、まぁ。ごめんなさいね、サフィラスさん。さあ、遠慮せずに、沢山召し上がって」
サンドリオンさんの言葉に、アデライン夫人はいつもの明るい雰囲気に戻った。俺はホッとして、改めてフォークとナイフを手に取る。
そういえば赤髪の急所を思い切り膝蹴りしちゃったけど、大丈夫だったかな? 咄嗟の事だったから力の加減ができなかった。だけど、あいつは次男だしお兄さんには婚約者がいるって事だし、俺を伴侶にしようとしているくらいだから、こっちは万が一があっても全く問題はないよね。
アデライン夫人は突然やってきた俺を、嫌な顔一つせず歓迎してくれた。
焼き立てのパイとタルトが綺麗に切り分けられて、レモネの紅茶と共に俺の前に置かれる。
長期休暇の間ずっとヴァンダーウォールで過ごしていたせいか、なんというか故郷に帰ってきたような気分だ。
「そういえば、サフィラスさん。とても素敵なハンカチーフをありがとう。サンディやクリステラの分まで用意してくれて、とても嬉しかったわ」
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レモネのお菓子のお礼にと、俺はアデライン夫人にハンカチーフを送っていた。
アデライン夫人にはお菓子だけではなく他にも色々お世話になったので、何かお礼をと思ったけれど、いくら考えても何をお返しすればいいのか全く浮かばなかったので、当然のごとく俺はアウローラを頼った。下手な物を送って、迷惑になってしまっては意味がないからだ。
何を送ったらいいか助言を求めれば、アウローラは王都では有名らしい小物の店を教えてくれた。
「ヴァンダーウォール辺境伯夫人は良識のある方ですし、無理をしたお品物をお返しすることを快くは思わないでしょう。学生であるサフィラス様が身の丈に見合ったお品物を選ぶとしたら、ハンカチーフが良いのでは無いかしら。できればシンプルで品質が良いものがよろしいわ。そのまま使うこともできますし、物足りないと思われたら、好みに合わせて刺繍を入れることもできますでしょう?」
「なるほど!」
流石アウローラ。ハンカチーフならそれほど高価じゃ無いので俺にも十分買えるし、貰っておいて邪魔になるものでもない。シンプルなものなら、好みに左右されないしな。
俺はすぐに教えてもらった店に行って、その店で一番良い正絹のハンカチーフを3枚購入した。アデライン夫人とパーシヴァルの兄君2人の婚約者さんの分だ。ハンカチーフは小判だけどうっとりするような滑らかな肌触りで、控えめなレースで縁取られている。素材は素晴らしいけれど、意匠がシンプルなので素材の割には高価なものではない。そのハンカチーフにお礼状を添えてアデライン夫人に送ったのだけれど、どうやら気に入ってくれたようだ。
「最近の学院の様子はどうかしら?」
アデライン夫人に尋ねられ、俺はこの間の魔法演技の話をした。パーシヴァルと俺のクラスがステッラ賞を獲得した事を話をしたら、アデライン夫人とサンドリオンさんはとても驚いていた。これまで開催された魔法演技で、2クラスもの代表が星を取ったことは無いそうだ。
「そのステッラ賞が縁で、魔法師団長と会う機会もありましたよ」
「あら、そうなのね。会ってみてどうでしたか?」
「なんというか、俺の思っていた魔法使いと随分違うなと……それから、喋り方が、その……なかなかに独特な方でした」
「うふふ……そうね。あの方は少し変わった方ではあるけれど、とてもご立派なお人なのですよ」
魔法師団長の実家は騎士の家系だそうで、魔法使いとして認められるまでに随分と苦労したそうだ。魔法剣士という道もあっただろうに、魔法師団長はひたすらに魔法使いの道を邁進したらしい。
魔法師団長は個性的な人だけれど、努力の人でもあったんだな。
「そうだわ、サフィラスさん。折角だから晩餐もこちらで召し上がって行って」
「いえ、折角ですが、夕食はいつもパーシヴァルと一緒にとっているので……」
「大丈夫よ。子供では無いのだから、サフィラスさんが来なければ1人で食べるでしょう。お土産を用意しますから、帰ってからそれを持ってパーシィを訪えばいいわ」
「いや、でも……」
昼に会っていないのに、夕にも顔を出さないとなれば、流石にパーシヴァルも心配するんじゃないか?
「サフィラスさんが居るなら、今日はいいお肉に変更しましょう。スザンナ、厨房に伝えてきて頂戴」
「はい、奥様」
「あ、それからデザートはこの間新しく仕入れた果物を使って」
「いや、あの……俺、学院に戻りますから……」
「そうね、晩餐までまだ時間があるから、久しぶりにクララベルとアンナに磨いて貰っていらっしゃいな! すぐに2人を呼びましょう」
俺を置き去りにして、どんどん話が進んでゆく。何より、帰りますと口を挟めない勢いだ。ごめん、パーシヴァル! 俺はヴァンダーウォールにいるから心配しないでくれ! 心の中で手を合わせて謝罪する。
そのうちに、離れていても伝言が伝えられる魔法を編み出さないといけないかもしれないな。
「そういえば、サフィラスはどうしてヴァンダーウォールに? もしかして、パーシヴァルと喧嘩でもしたのか?」
カーティスさんに問われて、俺はナイフを動かす手を止めた。
結局俺は、こうしてベリサリオ家の人たちと一緒に食事をしている。パーシヴァルがいないのに。なんだろう、この不思議な状況。それに、いつの間にか親しく名を呼ばれているし。それはそれでヴァンダーウォールに受け入れて貰えたようで嬉しいけど。
「いえ、パーシヴァルとは何もないんですが、実は……」
流石に接吻を迫られたなんて事は俺の沽券に関わるので言えなかったが、伴侶になれとしつこく迫ってくる奴から思わず逃げ出したところ、ここヴァンダーウォールに転移していたのだと説明すれば、何故かダイニングの空気がおかしなことになった。今までみんな穏やかに談笑していたのに、急に水を打ったように静かになったのだ。
「……?」
「サフィラスさん? そのしつこく伴侶になれとおっしゃっている方は、一体どなたかしら?」
アデライン夫人は笑顔こそ浮かべてはいるが、雰囲気が怖い……
俺は持っていたナイフとフォークをそっとテーブルに戻す。何か、まずいことを言っただろうか?
そもそもどなたかと聞かれても、名前なんか覚えていない。あいつの事はずっと赤髪って呼んでたからな。
「……えーっと、名前は……よく覚えていないんですが、赤い髪で侯爵家の次男だと言っていたように思うんですけど」
「パーシィやサフィラスさんと同じ年で、赤い髪の侯爵家の次男ですって……?」
「赤い髪ならば、恐らくワグナー侯爵家の次男だろう。あの家の血筋は皆赤い髪をしている」
俺が知る限りで、食事中は相槌を打つくらいでほとんど喋らない辺境伯が珍しく口を開いた。この地は中央から離れているのに、辺境伯は貴族にも詳しいんだな。戦にでもなれば、情報一つで戦況は大きく変わる。広く目と耳を傾けていなければ、この地を守護することはできないんだろう。
「そういえば、長兄が第二騎士団の団長を務めていますね。何度か会ったことがありますよ」
テオドールさんは赤髪のお兄さんに会った事があるのか。第二騎士団は確か王都の警護を担当してるんだよな。
赤髪が剣術大会に拘っていた理由がなんとなく分かった。兄への憧れか、それとも赤髪が何かを勝手に拗らせているのかわからないけど、自分の事情に相手を巻き込んじゃ駄目だろう。
「母上。念の為に言っておきますが、直接の抗議はできませんよ。サフィラスは我々ヴァンダーウォールの大切な友人ですが、正式な間柄ではないのですから」
「カーティ、わざわざ言わなくともそんな事はわかっております。いいですか、サフィラスさん、」
「は、はい!」
思わず背筋を伸ばす。
「そのワグナー侯爵家の次男には十分に気をつけるのですよ。いくらサフィラスさんが優秀な魔法使いだとしても、不意を突かれれば万が一ということもあり得ます。人気のないような場所で、1人になるような事はなさらないでね」
「はい、」
……その万が一になりかけたけどな。全く耳が痛い。思わず苦笑いが浮かんでしまった。
「アデライン様、折角のお肉料理ですのに、サフィラス様の手が止まってしまっていますわ」
「あら、まぁ。ごめんなさいね、サフィラスさん。さあ、遠慮せずに、沢山召し上がって」
サンドリオンさんの言葉に、アデライン夫人はいつもの明るい雰囲気に戻った。俺はホッとして、改めてフォークとナイフを手に取る。
そういえば赤髪の急所を思い切り膝蹴りしちゃったけど、大丈夫だったかな? 咄嗟の事だったから力の加減ができなかった。だけど、あいつは次男だしお兄さんには婚約者がいるって事だし、俺を伴侶にしようとしているくらいだから、こっちは万が一があっても全く問題はないよね。
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