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褒賞なんて結構です!
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燦然と輝く太陽を仰ぎ、2頭の獅子が雄々しく立ち上がる紋章。
わざわざ聞かなくとも、その紋章が何処の家のものか物知らずの俺でもわかる。
アウローラが差し出した封筒に刷られた、輝ける沈まぬ太陽の紋章を見て、俺は盛大に顔を顰めた。
「……これは?」
「王太子殿下より、王城へのご招待ですわ」
「……なんで?」
城に呼ばれる理由が全く分からない。分からないので、できることならお断りしたい。そもそも堅苦しい場は苦手だし、所詮は平民なので王城で粗相をして、不敬だと罰せられたら敵わない。
「王太子殿下はワーズティターズの一件で、サフィラス様に褒賞を授けたいと仰せですの」
「それは、パーシヴァルも呼ばれている?」
「いいえ。今回はサフィラス様だけです」
「ワーズティターズでは、パーシヴァルも共に戦ったんだけど」
「パーシヴァル様は後日お呼びするそうですわ」
「これって、お断りできる?」
「お断りできるとお思いになりますか?」
アウローラがにっこりと笑う。お断りできるものでしたらお断りなさってみては? と言わんばかりの笑顔だ。断ろうと思えば俺には断る事ができる。その後、遁走してしまえばいいんだから。
だけどなぁ、いろんなものを捨ててあっさり逃げ出してしまえない程度には、今の生活に居心地の良さを感じている。
「……わかった。有り難くお受けいたします」
実に面倒臭いけれど、公爵家の顔を立てる為にも、俺は渋々、本当に渋々、王太子からの親書を受け取ったのだった。
その日の夕食の時、王太子から呼び出されている事をパーシヴァルに告げれば、なんだか難しい顔をして考え込んでしまった。
「……サフィラス。王家からの褒賞が意に沿わない内容であった場合、その件は一度持ち帰りたいと答えてくれ」
「え? 何? そんな厄介な事になりそうなの?」
「ワーズティターズに纏わる褒賞だと、アウローラ嬢は言ったのだろう?」
「うん」
「恐らく王家は、サフィラスの魔法使いとしての能力を取り込みたいと考えている」
「ああ、そういう……」
なるほど、そういうことか。
当然俺は王家に仕えるつもりはないので、持ち帰るどころかその場で即お断りだ。何を言われるか分からないが、褒賞を辞退するだけだから不敬とはならないだろう。
そして今俺は、王太子殿下の前にかしこまって立っている。
それほど広くはない謁見室で、左右の壁際にはブルームフィールド公爵閣下とアウローラ。それから殿下の側近らしき人物が数人。
「そんなに畏まらなくてもいいよ、サフィラス君。今日は正式な場ではないからね」
畏まらなくてもいいなら、王城ではなく学園のサロンでも良かったのではないだろうか。
「先だっての、ワーズティターズでの働きについては、非公式だがベネディクト国王陛下及び、クラウィス王太子殿下より感謝の言葉を頂いている。これから獣王国と同盟を結ぼうとする我が国にとっても、此度の事は褒賞に値すると考えているのだよ」
「まことに畏れ多い事でございますが、私は褒賞を頂くような事はしておりません。ただ困っていた友人に、少々手を貸しただけでございます。実際に反乱軍を鎮圧し、獣王国国王陛下を救出したのは、クラウィス王太子殿下と側近のリベラ殿、そして忠義の騎士の皆様です」
実際そうだったわけだし。それに、一体どんな迷惑な褒賞を押し付けられるか分からない。此処は絶対に受け取らないぞという姿勢を見せなければ。
「そうか……察している相手に遠回しに尋ねるのも白々しいだろう。正直に言おう。第二王子の伴侶として、王族に名を連ねる気はないかな?」
はぁ?
第二王子ってパルウム山の麓に送られたんじゃないのか? そんなやらかし野郎を俺に押し付ける事が褒賞だと? そんなもの絶対にいらないぞ。王太子殿下の前だけど、うっかり無の表情になってしまった。
「わかっている。そんな顔をしなくてもいい。愚弟を押し付けるつもりは無いのだ。誠に残念だが、現在王家の席はあれの隣しかない。だが、あれは余程の事がない限り此処に戻ってくる事はないからな。伴侶と言っても、当然その役目を果たす必要はない。あくまでも形だけだ。我々にとってサフィラス君のような魔法使いが、ソルモンターナの王家にいてくれる事が大事なのだからね。それに、君も何不自由の無い生活と、盤石な地位を得ることができるのだから悪い話ではないと思うが?」
冗談じゃない。そんなの不自由だらけじゃないか。盤石? 腹の底が読めない奴らばかりの中で、いつ足元を掬われるか分からないのに?
パーシヴァルが言っていたのは、こういう状況の事だったのか。当然こんな話、持ち帰るどころかこの場で直ちにお断りである。
「恐れながら王太子殿下。そのお話はお受けできかねます。絶縁したと言っても、私はあのオルドリッジ伯爵家の人間だったのです。そのような者が王家に名を連ねることになれば、それを良く思わない方々からの反感を招きかねない。私は王家の禍根の種になるつもりはございません」
オルドリッジ伯爵の評判は良くない。良くないのに、元とはいえその息子が王家の仲間入りだなんて、無能がさらに調子付くじゃ無いかと、魔法貴族だけではなく、魔法師団や騎士団からも不満が上がりそうだ。これは建前としても十分説得力があると思う。
「そのような事をサフィラス君が心配する必要はないよ。それを収めるのは私の役目だ」
いや、いや、そうじゃない。人が言いたくも無いことを持ち出してお断りしてるっていうのに。空気を読んでくれよ。
でも、この人は解って言ってるんだよね。これはもう不敬を承知で、本音をぶちまけるしか無いのか。
「……はっきりと申し上げましょう。いくら形だけとはいえ、あの王子の伴侶なんて絶対にお断りです。それに、私はこの力を自分の意思以外で使うつもりはありません。それが王家の意に沿わないというのであれば、仕方がない。私に故国はなかった、という事でしょう」
俺がキッパリとそう告げれば、側近たちがざわついた。ざわつくならお前らが伴侶になればいいだろう。褒賞が第二王子の伴侶って、一体どんな罰だよ。例えそれが形だけのものだったとしても、俺には無理だ。
お世話になったブルームフィールド公爵閣下には大変申し訳ないが、この話を強引に押し進めるというなら、これまで受けた恩は国外から返す事になる。俺の自由が奪われようとしているのだ。これは遁走に値する事態だといえる。
「メルキオール殿下、これ以上無理を申し上げるのも宜しくないのではありませんか?」
俺と側近達の間に立ち上った不穏な空気を払うように、アウローラの声が響いた。
「……そうだなアウローラ。サフィラス君、すまない。褒賞と言いつつあれの伴侶になれなどと、確かに功労者に対し失礼なものであったな」
おや? なんだか急に風向きが変わったぞ。
「いえ……」
「しかし、褒賞を与えたいのは本当なのだよ。例えそれが、サフィラス君の友を思う心からの行動であっても、我が国にとって確かに益になる事であったのだ。殊更私に於いてはね」
ワーズティターズとの同盟は、王太子が主導して推し進めていた事だからな。あのまま王兄ヘイスティングが王座についていたら、王太子はそれなりに批判を受けていただろう。
「何か望むものはないか?」
いや、何も欲しくはない。俺は楽しく学院生活を送って、卒業後は冒険者になりたいだけなんだ……ああ、そうだ。俺が望むものあったな。どうせだから言質を取っておくか。少なくとも、拠点はソルモンターナに置くわけだし文句はないだろう。
「では、恐れながら。私が16になった暁には、ヴァンダーウォールのキルドにて冒険者登録することをお許し頂きたく存じます」
「……なるほど、そうか。相分かった。その願い聞き届けよう」
ちらりと壁際に視線を向ければ、ブルームフィールド公爵閣下は僅かに微笑んでいた。
つまり、最初から俺が褒賞(と言っていいものかは分からないが)固辞した場合の着地点はこの辺りだったわけか。どうしたって俺に手綱をつけることはできないと、公爵閣下は分かっていたんだろう。
それにしても、最初に提示した褒賞が酷すぎる。俺はよっぽど伴侶運に恵まれていないんだろう。
だけど、パーティの仲間さえいれば俺に伴侶なんて必要ない。冒険者なんだから、身軽なくらいが丁度いいのさ。
わざわざ聞かなくとも、その紋章が何処の家のものか物知らずの俺でもわかる。
アウローラが差し出した封筒に刷られた、輝ける沈まぬ太陽の紋章を見て、俺は盛大に顔を顰めた。
「……これは?」
「王太子殿下より、王城へのご招待ですわ」
「……なんで?」
城に呼ばれる理由が全く分からない。分からないので、できることならお断りしたい。そもそも堅苦しい場は苦手だし、所詮は平民なので王城で粗相をして、不敬だと罰せられたら敵わない。
「王太子殿下はワーズティターズの一件で、サフィラス様に褒賞を授けたいと仰せですの」
「それは、パーシヴァルも呼ばれている?」
「いいえ。今回はサフィラス様だけです」
「ワーズティターズでは、パーシヴァルも共に戦ったんだけど」
「パーシヴァル様は後日お呼びするそうですわ」
「これって、お断りできる?」
「お断りできるとお思いになりますか?」
アウローラがにっこりと笑う。お断りできるものでしたらお断りなさってみては? と言わんばかりの笑顔だ。断ろうと思えば俺には断る事ができる。その後、遁走してしまえばいいんだから。
だけどなぁ、いろんなものを捨ててあっさり逃げ出してしまえない程度には、今の生活に居心地の良さを感じている。
「……わかった。有り難くお受けいたします」
実に面倒臭いけれど、公爵家の顔を立てる為にも、俺は渋々、本当に渋々、王太子からの親書を受け取ったのだった。
その日の夕食の時、王太子から呼び出されている事をパーシヴァルに告げれば、なんだか難しい顔をして考え込んでしまった。
「……サフィラス。王家からの褒賞が意に沿わない内容であった場合、その件は一度持ち帰りたいと答えてくれ」
「え? 何? そんな厄介な事になりそうなの?」
「ワーズティターズに纏わる褒賞だと、アウローラ嬢は言ったのだろう?」
「うん」
「恐らく王家は、サフィラスの魔法使いとしての能力を取り込みたいと考えている」
「ああ、そういう……」
なるほど、そういうことか。
当然俺は王家に仕えるつもりはないので、持ち帰るどころかその場で即お断りだ。何を言われるか分からないが、褒賞を辞退するだけだから不敬とはならないだろう。
そして今俺は、王太子殿下の前にかしこまって立っている。
それほど広くはない謁見室で、左右の壁際にはブルームフィールド公爵閣下とアウローラ。それから殿下の側近らしき人物が数人。
「そんなに畏まらなくてもいいよ、サフィラス君。今日は正式な場ではないからね」
畏まらなくてもいいなら、王城ではなく学園のサロンでも良かったのではないだろうか。
「先だっての、ワーズティターズでの働きについては、非公式だがベネディクト国王陛下及び、クラウィス王太子殿下より感謝の言葉を頂いている。これから獣王国と同盟を結ぼうとする我が国にとっても、此度の事は褒賞に値すると考えているのだよ」
「まことに畏れ多い事でございますが、私は褒賞を頂くような事はしておりません。ただ困っていた友人に、少々手を貸しただけでございます。実際に反乱軍を鎮圧し、獣王国国王陛下を救出したのは、クラウィス王太子殿下と側近のリベラ殿、そして忠義の騎士の皆様です」
実際そうだったわけだし。それに、一体どんな迷惑な褒賞を押し付けられるか分からない。此処は絶対に受け取らないぞという姿勢を見せなければ。
「そうか……察している相手に遠回しに尋ねるのも白々しいだろう。正直に言おう。第二王子の伴侶として、王族に名を連ねる気はないかな?」
はぁ?
第二王子ってパルウム山の麓に送られたんじゃないのか? そんなやらかし野郎を俺に押し付ける事が褒賞だと? そんなもの絶対にいらないぞ。王太子殿下の前だけど、うっかり無の表情になってしまった。
「わかっている。そんな顔をしなくてもいい。愚弟を押し付けるつもりは無いのだ。誠に残念だが、現在王家の席はあれの隣しかない。だが、あれは余程の事がない限り此処に戻ってくる事はないからな。伴侶と言っても、当然その役目を果たす必要はない。あくまでも形だけだ。我々にとってサフィラス君のような魔法使いが、ソルモンターナの王家にいてくれる事が大事なのだからね。それに、君も何不自由の無い生活と、盤石な地位を得ることができるのだから悪い話ではないと思うが?」
冗談じゃない。そんなの不自由だらけじゃないか。盤石? 腹の底が読めない奴らばかりの中で、いつ足元を掬われるか分からないのに?
パーシヴァルが言っていたのは、こういう状況の事だったのか。当然こんな話、持ち帰るどころかこの場で直ちにお断りである。
「恐れながら王太子殿下。そのお話はお受けできかねます。絶縁したと言っても、私はあのオルドリッジ伯爵家の人間だったのです。そのような者が王家に名を連ねることになれば、それを良く思わない方々からの反感を招きかねない。私は王家の禍根の種になるつもりはございません」
オルドリッジ伯爵の評判は良くない。良くないのに、元とはいえその息子が王家の仲間入りだなんて、無能がさらに調子付くじゃ無いかと、魔法貴族だけではなく、魔法師団や騎士団からも不満が上がりそうだ。これは建前としても十分説得力があると思う。
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でも、この人は解って言ってるんだよね。これはもう不敬を承知で、本音をぶちまけるしか無いのか。
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俺がキッパリとそう告げれば、側近たちがざわついた。ざわつくならお前らが伴侶になればいいだろう。褒賞が第二王子の伴侶って、一体どんな罰だよ。例えそれが形だけのものだったとしても、俺には無理だ。
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おや? なんだか急に風向きが変わったぞ。
「いえ……」
「しかし、褒賞を与えたいのは本当なのだよ。例えそれが、サフィラス君の友を思う心からの行動であっても、我が国にとって確かに益になる事であったのだ。殊更私に於いてはね」
ワーズティターズとの同盟は、王太子が主導して推し進めていた事だからな。あのまま王兄ヘイスティングが王座についていたら、王太子はそれなりに批判を受けていただろう。
「何か望むものはないか?」
いや、何も欲しくはない。俺は楽しく学院生活を送って、卒業後は冒険者になりたいだけなんだ……ああ、そうだ。俺が望むものあったな。どうせだから言質を取っておくか。少なくとも、拠点はソルモンターナに置くわけだし文句はないだろう。
「では、恐れながら。私が16になった暁には、ヴァンダーウォールのキルドにて冒険者登録することをお許し頂きたく存じます」
「……なるほど、そうか。相分かった。その願い聞き届けよう」
ちらりと壁際に視線を向ければ、ブルームフィールド公爵閣下は僅かに微笑んでいた。
つまり、最初から俺が褒賞(と言っていいものかは分からないが)固辞した場合の着地点はこの辺りだったわけか。どうしたって俺に手綱をつけることはできないと、公爵閣下は分かっていたんだろう。
それにしても、最初に提示した褒賞が酷すぎる。俺はよっぽど伴侶運に恵まれていないんだろう。
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