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あの日から、一年

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3月3日は、ひなまつり。

だからと言って、ちらし寿司を食べたり、雛人形を、かざるわけでもない。



けれど、ぼくにとって、この日は、とても大切な日。



ぼくが、3ヶ月、緊急入院して、退院したのが、この3月3日なのだ。

じぶんでも、良く、ここまで、回復できたな、と思う。



ぼくは、体調を崩し、ご飯が食べられなくなった。

食べたくない、わけではない。



お腹が常に、満たされていて、お腹が、減らなかったからだ。

だから、ご飯を、食べようとすると、すぐに、箸がとまる。

それ以上、食べられなくなる。



水も、あまり飲まなくなっていった。

そして、気づけば、体重は32kgまで、落ちていった。



緊急入院。

ぼくは、生まれて、はじめて、長期入院をした。



絶望しかなかった。



最初の1ヶ月半は、ご飯がまともに、食べられず、苦しんでいた。

3食、用意されていても、食べることができない。

食べられないから、罪悪感しか、残らない。



あの頃は、ずっと、苦しんでいた。

食べられない。

眠れない。

病院から出たい。

けれど、出れない。



まともに、ご飯を食べられるようになってからは、すこしだけ、希望が、もてた。

体重も、すこしずつ、戻ってきた。

ご飯が、食べられるだけで、こんなに嬉しいとは。



いつも、できていることが、できなくなるつらさを、ぼくは、知った。

そして、いつも、できていることが、できることの、ありがたさを、ぼくは、知ることができた。



体重も、戻り、いよいよ、退院。

入院生活で、出逢ったかたたちには、本当に、お世話になった。

悩みをきいてくれるかた。

ただ、はげましてくれるかた。



本当に、ありがたかった。



3月3日。



ぼくは、退院を、はたした。

外の世界は、ひろかった。

過剰に表現しているわけじゃない。

それだけ、閉鎖的な生活をしていたのだ。



本当は、わくわくするはずだけれど。

すぐには、希望を、感じることができなかった。



それから、家に戻って、ずっと寝続ける日々。

これから、どうすればいいのか。



まったく、わからなかった。

落ちて。

落ちて。



落ちたさきで。



落ち込むことに、飽きた。

飽きたのだ。



それから、ハートの声が聞こえた。

生きたい。

楽しく、生きたい。



それから、ぼくは、じぶんが、たのしいと思うことを、やるようになった。



また、文章を書くようになった。

そして、ひとと、出逢うようになった。



また、つながりが、できた。



音声配信も、はじめた。



もっと、つながりが、増えた。



ぼくは、ひとに恵まれている。

こころの底から、想う。



いま、3月3日を、迎えて。

いろいろな出逢いと、別れを経験して。

ぼくは、じぶんの、ペースで、日々を、楽しんでいる。



こんなに、まいにちにが、たのしくなるなんて、あの頃には、想像できなかった。

だから、感謝しか、ない。



これからも、いまの出逢いを、大切に。

これからの、出逢いを、大切に。



じぶんの、ペースで、あるいていこう、と思う。



みなさん、つながってくれて、ありがとうございます。



ここまで、あなたの貴重なじかんを、つかって読んでくれて、ありがとうございます。



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