214 / 272
第六章
第214話 言わない決心
しおりを挟む
吹雪の中で伊織とヨルシャミを助けたドライアドの男性、シァシァ。
彼はナレッジメカニクスの幹部の一人で、伊織とヨルシャミに組織へ入らないかと勧誘した。
その際語られた真偽の定かではない数々の情報。
転生者としては聞き捨てならない恐ろしい示唆。
それらは自分だけでなく静夏やバルドにとっても毒になるかもしれない。
伊織はそう気が気でなかったが、話を聞き終わった二人は存外落ち着いていた。
「神に救世の意思を植え付けられているかも、か。なるほどなぁ、たしかに可能性としては無くもないか」
「……バルドは不安じゃないのか?」
「うん? あぁ、俺はさ、過去の自分が思い出せないから過去との対比で推し量ることはできないんだが……」
バルドはそっと静夏を見る。
隣でずっしりと構える静夏は揺らぎのない水面のようで、見ているだけで安心感が湧き上がってきた。
むしろこんな人物を前にこちらが揺らぐことに違和感を感じるほどだ。それを再確認したバルドは口角を上げて言う。
「静夏はきっとブレないだろ」
「ああ、私のやるべきことは決まっている。それはやらされているのではなく、やりたいからやっていることだ」
体が弱かった頃からやりたいと思っていたこと。
自分がもっと動ければ家族を守ってあげられるのに。
家族だけでなく、その家族が大切に思っている人たちや物、場所も守りたい。
――弱いばかりに自分だけが守られているのは嫌だ。
静夏はそう思っていた。
だというのにあの頃の静夏は走ることひとつ満足にできず、守りたいと思っている者に守られ、そして夫が亡くなってからはあれほど迷惑をかけて出た実家の援助を頼りに生き永らえることしかできなかった。
たったそれだけ、生きているだけでも伊織の光になっていたが、静夏にとっては一人息子にまで迷惑をかけているとしか思えなかったのだ。
正直言って、死ぬ間際になって安堵した気持ちもあった。
伊織をひとり残していくことは気がかりだったが、自分という枷がなくなった方がきっと息子のためになる。
伊織は悲しむだろうがすでに一人暮らしをしていた期間は相当のもので、日常の暮らしで困ることはないだろう。大学を出るまでの資金援助もまだ喋れた頃に実家に頭を下げて頼んである。
伊織は強い子だから、きっと自分の死も乗り越えて生きてくれる。
――そう思っていた。
次に目覚めた真っ白な空間で、自身と伊織の死を知らされた時の心境は筆舌に尽くし難い。
自分はいい。なぜ伊織まで、という思いの次に静夏の中に湧いたのは、次にもし生き直せるなら今度こそ息子を守り幸せに暮らしたいというものだった。
その強い意志で静夏は迷うことなく神の望みを聞き入れ、あの時伊織に子守歌を歌ったのだ。
次に伊織が生きる世界はここだ。
そして静夏もこの世界で一から生まれ、育つ内に故郷となり、大切な人たちができた。
だからこそ静夏は人々を守るために、そしてこの世界を守るために救世主の道を歩んでいる。
世界を救う『聖女マッシヴ様』はそんな想いの起源をしっかりと覚えていた。
だからこの想いは誰かに植え付けられたものではなく私のものだ、と静夏は笑う。その顔を見てバルドも歯を覗かせた。
「なっ! ……で、俺は惚れた女が決めたことなら間違いないって最後までついてくつもりだ。勝手に指針にしてすまないが、まあこういう理由で不安はないな」
「母さん……バルド……」
伊織は自身の組んだ手に視線を落とし、瞼を一度だけ強く閉じてから頷いた。
答えはやはりヨルシャミに吐露した時から変わっていない。
「僕は不安で仕方ないけれど、今は神様のことを信じたいと思ってるんだ」
「それでいいと思うぞ、なんかあったら直接文句言ってやろう! ……って、そっか、直接会うのはマズいんだったな」
文句をメールで送れたらいいのにな、と真面目に思案するバルドの姿に伊織は小さく笑う。
(バルドはとんでもない境遇だし、僕の前で母さんを口説いたりとか色々あるけど……そうか)
こういう考え方をしたい、感じ方をしたいという目標。そう思える人物だった。
出来ればこういう人物に前世でも会いたかった、と伊織は思ったが、きっと出会っていても気づかなかっただけだ。
今は気づけるだけの目が養えたのかなと目元を緩める。
静夏のような強さを。
バルドのような生き方のしなやかさを。
他の仲間だって学ぶべきところが沢山ある。長所はすべて学び吸収できるのだから。
ああ、このパーティーは色々なことを学びたい先生ばかりだな、と伊織は口角を上げながら思った。
しばらく言葉を交わした後、静夏が伊織の頭を撫でて口を開いた。
「後でヨルシャミに意見を聞きたい話もある――が、今日それが叶うことはないだろう。故に話は一旦ここまでだ」
あとはちゃんと休め、と静夏は言っているのだ。
伊織は大人しく頷いたが、まだ体の芯が冷えているような感覚が残っており、会話中はそれが眠気を追い払っていた。
小屋である程度温まっても上空を少し飛んだだけでこれだ。内側から体温を上げていないからだろうか、と伊織は眉を下げる。
するとそこへリータがマグカップを持ってやってきた。
「イオリさん、これホットミルクに蜂蜜を溶かしたものです。よかったらどうぞ」
伊織たちの会話の時間を利用して作ってきたらしい。
「わあ、ありがとうございます。いただきます」
ありがたい気持ちになりながらそれを受け取ると、リータの手にほんの少し指が当たった。
その瞬間彼女の両耳がビュンッと跳ね上がって伊織はぎょっとしたものの、そうか指が冷たかったのかと気がついて申し訳なさそうに頭を下げる。
「あっ、すみません! 僕の手、冷たかったですよね……!」
「いえいえいえ! えっと! 少しびっくりしただけなので! こ、こぼれなくてよかったです……!」
そう慌てた様子で言いながらリータは笑みを作ったが、なんだかその笑みがぎこちなく感じた。
気を使わせちゃったなと伊織は申し訳なく思ったが――おかげで気持ちが緩んだことに感謝もしている。
(転生する前の母さんの気持ちをしっかりと聞いたのって今が初めてだったんだよな……)
予想や想像することはできたが、ここまでしっかりと耳にしたのは初めてだ。だからこそ無意識に緊張し続けていた。
――そして、それを聞いて伊織はひとつ決めたことがあるのだ。
(母さんは僕が事故で死んだことは知ってる。でも)
その時何の目的でバイクに乗って急いでいたかまでははっきりとは知らない。
さっきまで母について知らなかった伊織のように。
あの日あの時、伊織は母親の危篤の知らせを受けてバイクを走らせていた。病院からの電話曰く、静夏は早い段階で意識を失っていたそうなので自分の死んだタイミングを知らないはずだ。
そのため伊織は別の理由で移動している最中に事故死し、自分も植物状態のまま同じ時間に死んだ――という可能性が静夏には残っている。それを消したくない、と伊織は思っていた。
(……だから僕が危篤の知らせで急いでたってことは母さんには絶対に言わない)
もし知れば静夏は思うだろう。
自分のせいで息子が死んだ、と。
あそこまでの想いで生き、死に、そしてこの世界でも産んでくれた母にそんなものは背負わせられない。
今までも口にはしていなかったが、これからはより一層気をつけようと伊織は緊張していた。しかし緊張しすぎれば逆に怪しまれてしまう。
そんな時、リータのおかげで少し気を緩めることができたのだ。
「……その、これですぐ温まると思います。改めてありがとうございます、リータさん」
リータは伊織の笑みを見て目を瞬かせると、ほんのりと頬を染めて「しっかり眠ってくださいね」と微笑み返した。
彼はナレッジメカニクスの幹部の一人で、伊織とヨルシャミに組織へ入らないかと勧誘した。
その際語られた真偽の定かではない数々の情報。
転生者としては聞き捨てならない恐ろしい示唆。
それらは自分だけでなく静夏やバルドにとっても毒になるかもしれない。
伊織はそう気が気でなかったが、話を聞き終わった二人は存外落ち着いていた。
「神に救世の意思を植え付けられているかも、か。なるほどなぁ、たしかに可能性としては無くもないか」
「……バルドは不安じゃないのか?」
「うん? あぁ、俺はさ、過去の自分が思い出せないから過去との対比で推し量ることはできないんだが……」
バルドはそっと静夏を見る。
隣でずっしりと構える静夏は揺らぎのない水面のようで、見ているだけで安心感が湧き上がってきた。
むしろこんな人物を前にこちらが揺らぐことに違和感を感じるほどだ。それを再確認したバルドは口角を上げて言う。
「静夏はきっとブレないだろ」
「ああ、私のやるべきことは決まっている。それはやらされているのではなく、やりたいからやっていることだ」
体が弱かった頃からやりたいと思っていたこと。
自分がもっと動ければ家族を守ってあげられるのに。
家族だけでなく、その家族が大切に思っている人たちや物、場所も守りたい。
――弱いばかりに自分だけが守られているのは嫌だ。
静夏はそう思っていた。
だというのにあの頃の静夏は走ることひとつ満足にできず、守りたいと思っている者に守られ、そして夫が亡くなってからはあれほど迷惑をかけて出た実家の援助を頼りに生き永らえることしかできなかった。
たったそれだけ、生きているだけでも伊織の光になっていたが、静夏にとっては一人息子にまで迷惑をかけているとしか思えなかったのだ。
正直言って、死ぬ間際になって安堵した気持ちもあった。
伊織をひとり残していくことは気がかりだったが、自分という枷がなくなった方がきっと息子のためになる。
伊織は悲しむだろうがすでに一人暮らしをしていた期間は相当のもので、日常の暮らしで困ることはないだろう。大学を出るまでの資金援助もまだ喋れた頃に実家に頭を下げて頼んである。
伊織は強い子だから、きっと自分の死も乗り越えて生きてくれる。
――そう思っていた。
次に目覚めた真っ白な空間で、自身と伊織の死を知らされた時の心境は筆舌に尽くし難い。
自分はいい。なぜ伊織まで、という思いの次に静夏の中に湧いたのは、次にもし生き直せるなら今度こそ息子を守り幸せに暮らしたいというものだった。
その強い意志で静夏は迷うことなく神の望みを聞き入れ、あの時伊織に子守歌を歌ったのだ。
次に伊織が生きる世界はここだ。
そして静夏もこの世界で一から生まれ、育つ内に故郷となり、大切な人たちができた。
だからこそ静夏は人々を守るために、そしてこの世界を守るために救世主の道を歩んでいる。
世界を救う『聖女マッシヴ様』はそんな想いの起源をしっかりと覚えていた。
だからこの想いは誰かに植え付けられたものではなく私のものだ、と静夏は笑う。その顔を見てバルドも歯を覗かせた。
「なっ! ……で、俺は惚れた女が決めたことなら間違いないって最後までついてくつもりだ。勝手に指針にしてすまないが、まあこういう理由で不安はないな」
「母さん……バルド……」
伊織は自身の組んだ手に視線を落とし、瞼を一度だけ強く閉じてから頷いた。
答えはやはりヨルシャミに吐露した時から変わっていない。
「僕は不安で仕方ないけれど、今は神様のことを信じたいと思ってるんだ」
「それでいいと思うぞ、なんかあったら直接文句言ってやろう! ……って、そっか、直接会うのはマズいんだったな」
文句をメールで送れたらいいのにな、と真面目に思案するバルドの姿に伊織は小さく笑う。
(バルドはとんでもない境遇だし、僕の前で母さんを口説いたりとか色々あるけど……そうか)
こういう考え方をしたい、感じ方をしたいという目標。そう思える人物だった。
出来ればこういう人物に前世でも会いたかった、と伊織は思ったが、きっと出会っていても気づかなかっただけだ。
今は気づけるだけの目が養えたのかなと目元を緩める。
静夏のような強さを。
バルドのような生き方のしなやかさを。
他の仲間だって学ぶべきところが沢山ある。長所はすべて学び吸収できるのだから。
ああ、このパーティーは色々なことを学びたい先生ばかりだな、と伊織は口角を上げながら思った。
しばらく言葉を交わした後、静夏が伊織の頭を撫でて口を開いた。
「後でヨルシャミに意見を聞きたい話もある――が、今日それが叶うことはないだろう。故に話は一旦ここまでだ」
あとはちゃんと休め、と静夏は言っているのだ。
伊織は大人しく頷いたが、まだ体の芯が冷えているような感覚が残っており、会話中はそれが眠気を追い払っていた。
小屋である程度温まっても上空を少し飛んだだけでこれだ。内側から体温を上げていないからだろうか、と伊織は眉を下げる。
するとそこへリータがマグカップを持ってやってきた。
「イオリさん、これホットミルクに蜂蜜を溶かしたものです。よかったらどうぞ」
伊織たちの会話の時間を利用して作ってきたらしい。
「わあ、ありがとうございます。いただきます」
ありがたい気持ちになりながらそれを受け取ると、リータの手にほんの少し指が当たった。
その瞬間彼女の両耳がビュンッと跳ね上がって伊織はぎょっとしたものの、そうか指が冷たかったのかと気がついて申し訳なさそうに頭を下げる。
「あっ、すみません! 僕の手、冷たかったですよね……!」
「いえいえいえ! えっと! 少しびっくりしただけなので! こ、こぼれなくてよかったです……!」
そう慌てた様子で言いながらリータは笑みを作ったが、なんだかその笑みがぎこちなく感じた。
気を使わせちゃったなと伊織は申し訳なく思ったが――おかげで気持ちが緩んだことに感謝もしている。
(転生する前の母さんの気持ちをしっかりと聞いたのって今が初めてだったんだよな……)
予想や想像することはできたが、ここまでしっかりと耳にしたのは初めてだ。だからこそ無意識に緊張し続けていた。
――そして、それを聞いて伊織はひとつ決めたことがあるのだ。
(母さんは僕が事故で死んだことは知ってる。でも)
その時何の目的でバイクに乗って急いでいたかまでははっきりとは知らない。
さっきまで母について知らなかった伊織のように。
あの日あの時、伊織は母親の危篤の知らせを受けてバイクを走らせていた。病院からの電話曰く、静夏は早い段階で意識を失っていたそうなので自分の死んだタイミングを知らないはずだ。
そのため伊織は別の理由で移動している最中に事故死し、自分も植物状態のまま同じ時間に死んだ――という可能性が静夏には残っている。それを消したくない、と伊織は思っていた。
(……だから僕が危篤の知らせで急いでたってことは母さんには絶対に言わない)
もし知れば静夏は思うだろう。
自分のせいで息子が死んだ、と。
あそこまでの想いで生き、死に、そしてこの世界でも産んでくれた母にそんなものは背負わせられない。
今までも口にはしていなかったが、これからはより一層気をつけようと伊織は緊張していた。しかし緊張しすぎれば逆に怪しまれてしまう。
そんな時、リータのおかげで少し気を緩めることができたのだ。
「……その、これですぐ温まると思います。改めてありがとうございます、リータさん」
リータは伊織の笑みを見て目を瞬かせると、ほんのりと頬を染めて「しっかり眠ってくださいね」と微笑み返した。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
追放シーフの成り上がり
白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。
前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。
これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。
ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。
ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに……
「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。
ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。
新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。
理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。
そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。
ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。
それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。
自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。
そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」?
戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
転生した元剣聖は前世の知識を使って騎士団長のお姉さんを支えたい~弱小王国騎士団の立て直し~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
かつて剣聖として無類の強さを誇っていた剣士ゼナリオは神族との戦争によって崩壊寸前の世界を救うため自らの命を引き換えにし、そして世界を救った。剣で始まり剣で人生を終えたゼナリオは自らの身が亡ぶ直前にある願いを抱く。
だが再び意識を取り戻し、目を覚ますとそこは緑いっぱいの平原に囲まれた巨大な樹木の下だった。突然の出来事にあたふたする中、自分が転生したのではないかと悟ったゼナリオはさらに自らの身体に異変が生じていることに気が付く。
「おいおい、マジかよこれ。身体が……」
なんと身体が若返っており、驚愕するゼナリオ。だがそんな矢先に突然国家騎士の青年から騎士団へのスカウトを受けたゼナリオは、後にある事件をきっかけに彼は大きな決断をすることになる。
これは若返り転生をした最強剣士が前世の知識を用いて名声を高め、再び最強と呼ばれるまでのお話。
炎輪の姫巫女 〜教科書の片隅に載っていた少女の生まれ変わりだったようです〜
平田加津実
ファンタジー
昏睡状態に陥っていった幼馴染のコウが目覚めた。ようやく以前のような毎日を取り戻したかに思えたルイカだったが、そんな彼女に得体のしれない力が襲いかかる。そして、彼女の危機を救ったコウの顔には、風に吹かれた砂のような文様が浮かび上がっていた。
コウの身体に乗り移っていたのはツクスナと名乗る男。彼は女王卑弥呼の後継者である壱与の魂を追って、この時代に来たと言うのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる