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お父様攻略編
第21話 現在の情報、過去の情報
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私とレネは前回と同じように部屋で遊ぶという建前を使った。
またしてもこちらへ向けられたお母様たちの温かい視線が気になったけれど、子供を見守る親がふたりも揃えばああなる……のかしら?
なにはともあれ、順調に部屋へと移動できた私たちはそれぞれ得た現段階の情報を出し合った。
私は突き止めた手紙のやりとりの手段と、お父様の行動パターンについて。
ひきだしの鍵の場所は特定できていないけれど、鍵のある場所ではなく『鍵のない場所』はわかったので直接入った時に探しやすくなったことも伝える。
レネは例のツテを使って掻き集めた情報を紙に書き出したものを見せてくれた。
前にも感じたけどプレゼンの才能あるわね……。
「貴族間の噂話は友人たちから、あと過去の事件に関しては探偵に依頼した分と新聞社に探りを入れた分がある」
「わあ、凄いわね」
「で、これだけじゃ情報が玉石混交だったから、関係ありそうなものを整理して纏め直しておいたよ。ほら、これ」
「ホントに凄いわね!?」
素直に賞賛するとレネは嬉しそうな、そしてくすぐったそうな顔をした。
これくらい優秀なら褒められ慣れてそうだけど、そうでもないのかしら?
そう照れくさそうにされるとこっちもくすぐったくなる。
照れ隠しついでに「褒められ慣れてないの?」と半分冗談のように訊ねると、レネは「そうかもしれないね」と笑った。
「心から素直に褒められるなんて最近なくてさ」
「こんなにしっかりしてるのに……?」
「最初だけなら心から驚いたり褒めてくれるけど、アルバボロスならそれが普通だ……って段々そういう考えになるらしい。あとは褒めてても裏があったりね」
「レネも大変ね……」
レネは目を細めると私の顔を見る。
「ヘルガは素直に伝えてくれるから、僕も素直に反応できる。これは褒めることだけじゃなくて、物言いが素直なところ全部に言えるかな。そういうところがなんというか――うん、オアシスみたいな感じがする」
「オアシスは言い過ぎじゃない? そりゃあ貴族云々の世界は砂漠にでもいるみたいな気分だろうけど」
「あはは、そういうところ」
機嫌良さげに声を出して笑うと、レネは整理した情報の書かれた紙を指した。
「さあ、時間は限られてるから大切なことも済ませないとね。まず噂話レベルでは今のところヘーゼロッテの悪評はない。ただこれは若い世代の話で、親世代かそれより上が口にするのを控えていたらわからないかな」
「公爵家のいざこざなんて口にしたらなにをされるかわからない、って思うかもしれないわよね……」
「そうだね、王家からもストップがかかったのかもしれない。――そう疑ったのは新聞社に保管されていた古い新聞があったからだよ」
ただし、とレネは話を区切る。
「それは新聞社から提示されたものじゃない。探偵から得た情報だ」
つまり新聞社はだんまりで隠してたけど、忍び込むなり正規ルートじゃない方法なりで得たってこと……?
そ、それって普通の探偵なのかしら。
なんとなく問い詰めちゃいけない気がして私は敢えてスルーした。
アルバボロス家の人間は嘘をつかないせいか、わざわざ新聞社から得たものじゃないと言ったくらいだ、詳しく訊いたらとんでもない答えが返ってきそうだもの。
知らぬが仏ってやつよね。
私は代わりの問いを口にする。
「それで、その新聞って……?」
「現物は持ち出せなかったけど、こんな記事があった。……七十年前の冬にヘーゼロッテ家で火事があったんだ」
――七十年前、ヘーゼロッテ家の敷地内にある庭の一部と屋敷の西棟が焼失した。
当時は街の方からもよく見えるほど黒煙が上がったらしい。
原因は不明だと新聞には書かれていたけれど、そこで死亡者が一名出たことだけ記されていた。
そうレネは説明する。
この世界の新聞は貴族やお金持ち向けに発行されているものが殆どだそうで、庶民向けの簡易的な知らせは保管もされていないそうだ。
そもそも当時だと個人配達せずに張り出す形になっていたみたい。
情報が明朗なはずの貴族向けの新聞ですらこんなフンワリした書き方なのは……やっぱりなにかあったのかしら?
現世の新聞なんて読んだことがないから予想しかできないけれど。
「あと、気になるのはこの情報がお父様絡みかお祖父様絡みかわからないところね」
「だね。他の情報……この事件を中心に集めた情報によると『火事の日に大きな音を聞いた』『火事の件はしばらく噂話になったが、その直後に第一王女の結婚の一報が舞い込んで掻き消された』ということがあったみたいだ」
前者は他にも似たようなことを言っている庶民の老人がいた、とレネは言う。
印象的な事件だったため体験者の中にはピンポイントで覚えている人がちらほらいたようだ。
そしてその人たちはそれが『口止めされるようなこと』だとは思っていない。
実際に箝口令が敷かれたかどうかはわからないけれど、少なくとも庶民の間にそんな手は入っていないようだった。
「ただ僕的には数の多い庶民の口を塞ぐなら上書きの方が効くと思う」
「……? え、その、つまり」
「王女の結婚、タイミング良いなって思ってね」
……なんだか思ってたよりキナ臭いかも。
王族絡みだったら困ったことになるわ。
そう心配しているとレネが「王族がなにかをしたわけじゃなくて、王族にツテのある一族から頼まれた可能性もあるよ」とフォローした。
でもフォローになってない気がするわ。
だって王族に噂の上書きをしたいから手伝ってほしいなんて頼める人は限られるもの。そう、例えば公爵家とか。
ヘーゼロッテ家もアルバボロス家も家系図を辿ると王族に繋がる。
たしか私の高祖父の一番目の兄の血筋が今の王族の直系のはず。後日お母様から聞いたけれど、アルバボロス家の血筋は二番目の兄だったかしら……?
そう考えると私とレネは遠い親戚だ。
血筋に想いを馳せていると、レネも別の角度から血筋について考えていたようだった。
「当時ならもっと近い血筋だから、ヘーゼロッテ家の醜聞が王家に響くと思って王女の結婚発表を意図的にそのタイミングで出したのかもしれないね」
「例えば、その、ヘーゼロッテ家の当主に頼まれて……?」
「その説も否定はしきれない」
はっきりとさせるにはまだ情報が足りなかった。
けれど事件に関してはお父様かお祖父様、どちらかに関わりがあるような気がするわ。覚えておきましょう。
その後、あまり信憑性のない情報も一応聞いたけれど、たしかに微妙だった。
誰よヘーゼロッテ家の敷地にある池に首長竜がいてロッシーと呼ばれてるなんて噂を流したのは。むしろ見たいわ。
そしてヘーゼロッテ家のことだけではなく、影を操る家系魔法を持つ一族についてもレネは調べてくれていた。
アロウズお父様の表向きの出身はここから遠く離れた地……国さえ異なる地の侯爵家だと私も聞いている。
国を跨ぐためアシュガルドで得られる情報は希薄で、今はレネが現地に向かわせた探偵の報告待ちだそうだ。
やっぱりそれって本当にただの探偵……?
「他国も含めると取り潰しになった家については年代を絞ってもわりと多くてね、これはもう少し時間がかかりそうなんだ」
「わかったわ、続報を待ってるわね。それまでに私も鍵を見つけておくわ!」
「それなんだけど」
やる気を漲らせているとレネが自身を指差した。
「今、僕と一緒に探しに行かない?」
「今!?」
「鍵の在処を探すのはヘルガの役目だけど、ふたりいるタイミングなら一緒に探した方が良いに決まってる。まあ実際には僕が廊下で見張っておく形になると思うけど」
たしかにお父様が部屋に不在な時間帯だし、レネに見張っててもらえるのは正直ありがたい。
でも彼が私に協力してくれてるってすぐにバレちゃうかも。
それじゃレネが危ないわ。
答えを出し渋っているとレネは突然「手に触れても大丈夫?」と問い掛けてきた。
よくわからないまま頷くとレネは私の手を握って真っ直ぐこちらを見る。
「僕は大丈夫だよ。そして君を死なせもしない。今だけでもいいから信用してくれないかい?」
「……ふふ、信用はもうしてるわ。心配だっただけ。でもこれもあなたに信用が足りないと思わせちゃうことかもしれないわね……」
私は手を握り返し、レネが安心できるよう笑みを返した。
「わかったわ、一緒に鍵を探しましょう、レネ!」
またしてもこちらへ向けられたお母様たちの温かい視線が気になったけれど、子供を見守る親がふたりも揃えばああなる……のかしら?
なにはともあれ、順調に部屋へと移動できた私たちはそれぞれ得た現段階の情報を出し合った。
私は突き止めた手紙のやりとりの手段と、お父様の行動パターンについて。
ひきだしの鍵の場所は特定できていないけれど、鍵のある場所ではなく『鍵のない場所』はわかったので直接入った時に探しやすくなったことも伝える。
レネは例のツテを使って掻き集めた情報を紙に書き出したものを見せてくれた。
前にも感じたけどプレゼンの才能あるわね……。
「貴族間の噂話は友人たちから、あと過去の事件に関しては探偵に依頼した分と新聞社に探りを入れた分がある」
「わあ、凄いわね」
「で、これだけじゃ情報が玉石混交だったから、関係ありそうなものを整理して纏め直しておいたよ。ほら、これ」
「ホントに凄いわね!?」
素直に賞賛するとレネは嬉しそうな、そしてくすぐったそうな顔をした。
これくらい優秀なら褒められ慣れてそうだけど、そうでもないのかしら?
そう照れくさそうにされるとこっちもくすぐったくなる。
照れ隠しついでに「褒められ慣れてないの?」と半分冗談のように訊ねると、レネは「そうかもしれないね」と笑った。
「心から素直に褒められるなんて最近なくてさ」
「こんなにしっかりしてるのに……?」
「最初だけなら心から驚いたり褒めてくれるけど、アルバボロスならそれが普通だ……って段々そういう考えになるらしい。あとは褒めてても裏があったりね」
「レネも大変ね……」
レネは目を細めると私の顔を見る。
「ヘルガは素直に伝えてくれるから、僕も素直に反応できる。これは褒めることだけじゃなくて、物言いが素直なところ全部に言えるかな。そういうところがなんというか――うん、オアシスみたいな感じがする」
「オアシスは言い過ぎじゃない? そりゃあ貴族云々の世界は砂漠にでもいるみたいな気分だろうけど」
「あはは、そういうところ」
機嫌良さげに声を出して笑うと、レネは整理した情報の書かれた紙を指した。
「さあ、時間は限られてるから大切なことも済ませないとね。まず噂話レベルでは今のところヘーゼロッテの悪評はない。ただこれは若い世代の話で、親世代かそれより上が口にするのを控えていたらわからないかな」
「公爵家のいざこざなんて口にしたらなにをされるかわからない、って思うかもしれないわよね……」
「そうだね、王家からもストップがかかったのかもしれない。――そう疑ったのは新聞社に保管されていた古い新聞があったからだよ」
ただし、とレネは話を区切る。
「それは新聞社から提示されたものじゃない。探偵から得た情報だ」
つまり新聞社はだんまりで隠してたけど、忍び込むなり正規ルートじゃない方法なりで得たってこと……?
そ、それって普通の探偵なのかしら。
なんとなく問い詰めちゃいけない気がして私は敢えてスルーした。
アルバボロス家の人間は嘘をつかないせいか、わざわざ新聞社から得たものじゃないと言ったくらいだ、詳しく訊いたらとんでもない答えが返ってきそうだもの。
知らぬが仏ってやつよね。
私は代わりの問いを口にする。
「それで、その新聞って……?」
「現物は持ち出せなかったけど、こんな記事があった。……七十年前の冬にヘーゼロッテ家で火事があったんだ」
――七十年前、ヘーゼロッテ家の敷地内にある庭の一部と屋敷の西棟が焼失した。
当時は街の方からもよく見えるほど黒煙が上がったらしい。
原因は不明だと新聞には書かれていたけれど、そこで死亡者が一名出たことだけ記されていた。
そうレネは説明する。
この世界の新聞は貴族やお金持ち向けに発行されているものが殆どだそうで、庶民向けの簡易的な知らせは保管もされていないそうだ。
そもそも当時だと個人配達せずに張り出す形になっていたみたい。
情報が明朗なはずの貴族向けの新聞ですらこんなフンワリした書き方なのは……やっぱりなにかあったのかしら?
現世の新聞なんて読んだことがないから予想しかできないけれど。
「あと、気になるのはこの情報がお父様絡みかお祖父様絡みかわからないところね」
「だね。他の情報……この事件を中心に集めた情報によると『火事の日に大きな音を聞いた』『火事の件はしばらく噂話になったが、その直後に第一王女の結婚の一報が舞い込んで掻き消された』ということがあったみたいだ」
前者は他にも似たようなことを言っている庶民の老人がいた、とレネは言う。
印象的な事件だったため体験者の中にはピンポイントで覚えている人がちらほらいたようだ。
そしてその人たちはそれが『口止めされるようなこと』だとは思っていない。
実際に箝口令が敷かれたかどうかはわからないけれど、少なくとも庶民の間にそんな手は入っていないようだった。
「ただ僕的には数の多い庶民の口を塞ぐなら上書きの方が効くと思う」
「……? え、その、つまり」
「王女の結婚、タイミング良いなって思ってね」
……なんだか思ってたよりキナ臭いかも。
王族絡みだったら困ったことになるわ。
そう心配しているとレネが「王族がなにかをしたわけじゃなくて、王族にツテのある一族から頼まれた可能性もあるよ」とフォローした。
でもフォローになってない気がするわ。
だって王族に噂の上書きをしたいから手伝ってほしいなんて頼める人は限られるもの。そう、例えば公爵家とか。
ヘーゼロッテ家もアルバボロス家も家系図を辿ると王族に繋がる。
たしか私の高祖父の一番目の兄の血筋が今の王族の直系のはず。後日お母様から聞いたけれど、アルバボロス家の血筋は二番目の兄だったかしら……?
そう考えると私とレネは遠い親戚だ。
血筋に想いを馳せていると、レネも別の角度から血筋について考えていたようだった。
「当時ならもっと近い血筋だから、ヘーゼロッテ家の醜聞が王家に響くと思って王女の結婚発表を意図的にそのタイミングで出したのかもしれないね」
「例えば、その、ヘーゼロッテ家の当主に頼まれて……?」
「その説も否定はしきれない」
はっきりとさせるにはまだ情報が足りなかった。
けれど事件に関してはお父様かお祖父様、どちらかに関わりがあるような気がするわ。覚えておきましょう。
その後、あまり信憑性のない情報も一応聞いたけれど、たしかに微妙だった。
誰よヘーゼロッテ家の敷地にある池に首長竜がいてロッシーと呼ばれてるなんて噂を流したのは。むしろ見たいわ。
そしてヘーゼロッテ家のことだけではなく、影を操る家系魔法を持つ一族についてもレネは調べてくれていた。
アロウズお父様の表向きの出身はここから遠く離れた地……国さえ異なる地の侯爵家だと私も聞いている。
国を跨ぐためアシュガルドで得られる情報は希薄で、今はレネが現地に向かわせた探偵の報告待ちだそうだ。
やっぱりそれって本当にただの探偵……?
「他国も含めると取り潰しになった家については年代を絞ってもわりと多くてね、これはもう少し時間がかかりそうなんだ」
「わかったわ、続報を待ってるわね。それまでに私も鍵を見つけておくわ!」
「それなんだけど」
やる気を漲らせているとレネが自身を指差した。
「今、僕と一緒に探しに行かない?」
「今!?」
「鍵の在処を探すのはヘルガの役目だけど、ふたりいるタイミングなら一緒に探した方が良いに決まってる。まあ実際には僕が廊下で見張っておく形になると思うけど」
たしかにお父様が部屋に不在な時間帯だし、レネに見張っててもらえるのは正直ありがたい。
でも彼が私に協力してくれてるってすぐにバレちゃうかも。
それじゃレネが危ないわ。
答えを出し渋っているとレネは突然「手に触れても大丈夫?」と問い掛けてきた。
よくわからないまま頷くとレネは私の手を握って真っ直ぐこちらを見る。
「僕は大丈夫だよ。そして君を死なせもしない。今だけでもいいから信用してくれないかい?」
「……ふふ、信用はもうしてるわ。心配だっただけ。でもこれもあなたに信用が足りないと思わせちゃうことかもしれないわね……」
私は手を握り返し、レネが安心できるよう笑みを返した。
「わかったわ、一緒に鍵を探しましょう、レネ!」
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