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第3章:生い立ち編2 ~見聞の旅路~
第119話 マデュラ騎士団城塞
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セルジオ達はマデュラ騎士団、第二隊長エデルの後に続き、馬留へ向かった。
ふと、視線を感じ商船甲板へ目をやると先ほどから指揮を執っていたブロンズ色の髪、薄い青い瞳の男と目が合った。
バルドとオスカーはその場で左手を胸に置き、その男に騎士の挨拶をする。
エデルがその姿に「ほう」と一言呟き、バルドとオスカーをまじまじと見つめた。
「バルド殿とオスカー殿はご存じでしたか。我がマデュラ騎士団団長ブレンが人夫に混ざり指揮を執っていたことを」
エデルは驚きと共に感心すると言った声音を向けた。
バルドは顔を上げると穏やかに呼応する。
「はい。我らがセルジオ騎士団に身を置いておりました折にブレン様のご活躍は戦場にて幾度となく拝見致しました」
視線を甲板上に戻すとブレンの姿は既になかった。
エデルはバルドに意味深な視線を向けた後、何事もなかったかの様に道案内に戻った。
船着き場の対岸はシュタイン王国18貴族の一家名であるジェイド子爵家所領になる。
地形と河の流れの関係で河川を使ったエフェラル帝国との交易の最初の入り口はマデュラ子爵領となっていた。
陸路交易もされてはいるものの一度に大量の物資を流通させるには河川交易が有益と言える。
エフェラル帝国側からは新鮮な海産物、海を越えた国々からもたらされる香辛料などの珍品やガラス細工に陶磁器。
シュタイン王国側からは農畜産物に森林産物や蜜蝋、岩塩、様々な種類の薬草等が届けられる。
両国間の交易を安全で安定的に発展させたのがマデュラ子爵現当主マルギットだった。
まずエフェラル帝国側が大型商船で海から直接エンジェラ河を遡上し、停泊できる様に船着き場を整備した。
交易品はこの船着き場で小型商船やゴンドラに積み替えられ、王都までの道すがらエンジェラ河を航行しながら各貴族所領に届けられる。
一度の航行で空の状態の船が行き来する事がないように交易品の仮置き場として分類が可能な倉庫を河岸に設置した。
また、商業地区を河岸近くに集積させ両国の商会が直接交渉できる仕組みを整えた。
そして、流通で最も重要な信用にマデュラ子爵家の家名を用いた。
マデュラ子爵家が船主や商人と直接契約を取り交わし物心両面で安全と安心を担保させる。
その上で人夫の手配から交易品の管理、護衛に事務上の手続き、商会同士の交流の場を設け新たな交易の機会を創る。
交易にかかる税は王国の定めに従い王国に収められ、マデュラ子爵領には先の手数料が落とされていく。
人と物の流通量が増えれば、財も自然に増えていく。
この仕組みを構築したことでマデュラ子爵領は人と物、そして財と情報が活発に動く好循環を生み出した。
マルギットが当主の座に就いてから15年、
こうしてマデュラ子爵家はシュタイン王国でも際立つ財力を保有する家名となり存在感を増していた。
そして、交易の流通量と商品と商人を介した情報網で他国への影響力を強めていった。
「商業地区、船着き場は我がマデュラ騎士団城塞内にあり、城壁と我ら騎士団で守護しています。ここまで安全で安心して交易ができる港は他では見られません。我らの誇りでもあるのです」
エデルが意気揚々と語って聞かせるこれらの事はバルド自身は周知している事柄でオスカーとも共有していた。
しかし、セルジオとエリオスへは自ら耳に入れ、体験し見聞を深める機会とするため危険回避策以外は事前情報を極力、耳に入れない様にしていた。
初めて目にする大型商船、初めて耳にした交易航路の改革にセルジオとエリオスは目を輝かせる。
エデルが指し示す倉庫を馬上から眺め、王国内で流通する商品に興味津々の様子だった。
「これらの指揮は全て我が騎士団団長ブレン様が執っております。仕組みを整えられたのは確かにご当主マルギット様です。しかし、日々の運営は全てブレン様です。それぞれがそれぞれの役割を認識し、一人一人が自主的にどんな些細な違和感をも逃しません」
「最新の情報と状態、状況を共有し理を逸脱することなく皆が行動すれば自ずと望む統制が取れます。ブレン様が何より大事とされていることです」
エデルは団長ブレンの人となりと能力の高さを誇らしげに語った。
「ブレン様が事ある毎に申されます。財は分け与えるものでも奪うものでもない。皆で生み出すものだと。その為には異なる考えを持つ者、異なる行いをする者と多く関わり、耳を傾け、よくよく観察し、その者を知る事が肝要だと。されば争うことなく、失うことなく、双方が財を生み出すことができると」
エデルはここでセルジオとエリオスへ目を向けた。
「ブレン様は青き血が流れるコマンドールの再来と謳われるセルジオ殿と守護の騎士殿にお会いするのを心待ちにしておりました。青と赤の因縁。100有余年も前のことを今も尚、セルジオ騎士団とマデュラ騎士団が争っているかの様に囁かれております」
「皆が口々に我らマデュラ騎士団を蔑み、忌み嫌い、裏切り者と揶揄致します。いえ、騎士団だけではございません。マデュラ領に住まう民たちまで、その対象となっております。我らがどれだけ歩み寄り、理を逸脱せずに立ち回わろうとも払拭することは叶いません。それ故、ブレン様はこの度のセルジオ殿ご一行の来訪を心待ちにされていたのです」
「我が騎士団を本当に巡回して下さるのかと案じておりました。どうか、マデュラ領と我が騎士団をご存分に見聞され、ブレン様とよくよくお話し頂ければと存じます。コーエンと私が身を賭してお守り致します。さればご安心頂きたく存じます」
エデルはバルドとオスカーの警戒を怠らない様子が気が気でなかったのだろう。
マデュラ騎士団団長ブレンを筆頭に騎士団の総意であると言った口ぶりで語り馬上で深々と頭を下げた。
エデルの言葉でバルドはマデュラ子爵領北城門に出迎えたコーエンが「ご安心下さい」と強調していた言葉に納得がいった。
セルジオ騎士団団長やラドフォール騎士団団長アロイスと同じようにマデュラ騎士団団長ブレンも青と赤の因縁に終止符を打ちたいと願っている様だ。
ただ、団長ブレンの願いがそのまま当主の願いとは言えない。
現当主マルギットは既に直接的に3回、間接的に2回セルジオの命を狙い行動を起こしている。
しかもセルジオの実父ハインリヒに黒の影を植え付け、セルジオの命を取る事があたかも国王が認めた公然の事実だと言わんばかりに振舞っている。
今のエデルの話しぶりからセルジオの命が狙われた事実をマデュラ騎士団団長以下が把握しているのかは定かではない。
勿論、公の事としていないのだから知っていたとしても知らない素振りをされればそれまでだ。
知っていてあえて触れないのか、それとも本当に何も知らないのか。
バルドはマデュラ騎士団団長ブレンの真意を探る必要があると感じていた。
カコッカコッカコッ・・・
カコッカコッカコッ・・・
エデルの後に続き、河岸に設置された倉庫の間を抜けると左手に森、右手の城壁に挟まれた狭い石畳の道へと繋がっていた。
「ここからは見えませんが、左手の森の上部がマデュラ騎士団城塞となります。エンジェラ河岸壁の頂上に位置し、交易航路の灯台の役目も担っております。まあ、今は安全のたた、夜間に航行する商船はございませんが、かつて小型商船だけの交易であったころの名残をそのまま残しているのです」
セルジオはチラリと森の上部へ目をやった。
木々の間から所々岸壁の岩肌がのぞいているが、城塞は見えなかった。
先を行くエデルへ目を戻すと石畳の先に門が見える。
エデルが後ろを振り返り門を差し示した。
「マデュラ騎士団城塞南門になります。船着き場に多くの騎士と従士を配置させますから我が騎士団城塞門はこの南門と東門の二か所のみとなります。所領門は王国の定めた通り東西南北に四か所ございます」
各貴族所領門、騎士団城塞門はそれぞれが砦の役目も担っている。
所領の広さや騎士団の規模によっても異なるが一つの門に概ね5名から10名程度の騎士と従士が配置される。
マデュラは子爵家で準男爵家は7家門、騎馬の隊長が7名であるから騎士と従士、見習いと世話人等を合わせて騎士団の所属人員は80名から100名だ。
所領門と城塞門の六ケ所の守護だけで手一杯になるはずだ。
しかも、船着き場で荷積みをしていた人夫50名程度の内半数以上が明らかに戦闘訓練を受けた者の動きをしていた。
マデュラ子爵家とマデュラ騎士団は元々、王国が定める法制度や役割、規律や戒律から逸脱した所が散見される。
しかし、シュタイン王国建国時にエフェラル帝国から移ってきた家名ということもあり、ある程度容認されている所があった。
騎士団所属以外の者が受けられる戦闘訓練も規制の対象となる。
先ほど目にした人夫の動きは荷運び商会の者等が身につける護身術のそれを遥かに超えているものだった。
王都騎士団総長へ義務付けられている各貴族騎士団の力量を測る届出内容、騎士、従士の数、年齢、夫々の力量と剣をはじめとする武具の種類と数、金銀と食糧の蓄え、馬の飼育状況、遠征を考えた装備品等と齟齬が見られる可能性が高い。
バルドとオスカーは貴族騎士団巡回の裏の目的である『騎士団が持つ戦力の調査』が最も必要と考えていたマデュラ騎士団で到着早々に綻びが見られるのではと顔を見合わせる。
お互いに小さく頷き合うと石畳の先に見える南門へ目を向けるのであった。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂きありがとうございます。
マデュラ騎士団城塞内を説明を受けつつ進むセルジオ達一行。
セルジオ騎士団西の屋敷を出発する際に課せられた『騎士団巡回の目的』を再度、認識しあいます。
果たしてマデュラ騎士団の実態は・・・・
騎士団巡回の目的が記された回は
第2章 第43話 インシデント40:騎士団団長の策略
と、なります。
私もバルドとオスカーと共に目的を再度、認識しました。
次回もよろしくお願い致します。
ふと、視線を感じ商船甲板へ目をやると先ほどから指揮を執っていたブロンズ色の髪、薄い青い瞳の男と目が合った。
バルドとオスカーはその場で左手を胸に置き、その男に騎士の挨拶をする。
エデルがその姿に「ほう」と一言呟き、バルドとオスカーをまじまじと見つめた。
「バルド殿とオスカー殿はご存じでしたか。我がマデュラ騎士団団長ブレンが人夫に混ざり指揮を執っていたことを」
エデルは驚きと共に感心すると言った声音を向けた。
バルドは顔を上げると穏やかに呼応する。
「はい。我らがセルジオ騎士団に身を置いておりました折にブレン様のご活躍は戦場にて幾度となく拝見致しました」
視線を甲板上に戻すとブレンの姿は既になかった。
エデルはバルドに意味深な視線を向けた後、何事もなかったかの様に道案内に戻った。
船着き場の対岸はシュタイン王国18貴族の一家名であるジェイド子爵家所領になる。
地形と河の流れの関係で河川を使ったエフェラル帝国との交易の最初の入り口はマデュラ子爵領となっていた。
陸路交易もされてはいるものの一度に大量の物資を流通させるには河川交易が有益と言える。
エフェラル帝国側からは新鮮な海産物、海を越えた国々からもたらされる香辛料などの珍品やガラス細工に陶磁器。
シュタイン王国側からは農畜産物に森林産物や蜜蝋、岩塩、様々な種類の薬草等が届けられる。
両国間の交易を安全で安定的に発展させたのがマデュラ子爵現当主マルギットだった。
まずエフェラル帝国側が大型商船で海から直接エンジェラ河を遡上し、停泊できる様に船着き場を整備した。
交易品はこの船着き場で小型商船やゴンドラに積み替えられ、王都までの道すがらエンジェラ河を航行しながら各貴族所領に届けられる。
一度の航行で空の状態の船が行き来する事がないように交易品の仮置き場として分類が可能な倉庫を河岸に設置した。
また、商業地区を河岸近くに集積させ両国の商会が直接交渉できる仕組みを整えた。
そして、流通で最も重要な信用にマデュラ子爵家の家名を用いた。
マデュラ子爵家が船主や商人と直接契約を取り交わし物心両面で安全と安心を担保させる。
その上で人夫の手配から交易品の管理、護衛に事務上の手続き、商会同士の交流の場を設け新たな交易の機会を創る。
交易にかかる税は王国の定めに従い王国に収められ、マデュラ子爵領には先の手数料が落とされていく。
人と物の流通量が増えれば、財も自然に増えていく。
この仕組みを構築したことでマデュラ子爵領は人と物、そして財と情報が活発に動く好循環を生み出した。
マルギットが当主の座に就いてから15年、
こうしてマデュラ子爵家はシュタイン王国でも際立つ財力を保有する家名となり存在感を増していた。
そして、交易の流通量と商品と商人を介した情報網で他国への影響力を強めていった。
「商業地区、船着き場は我がマデュラ騎士団城塞内にあり、城壁と我ら騎士団で守護しています。ここまで安全で安心して交易ができる港は他では見られません。我らの誇りでもあるのです」
エデルが意気揚々と語って聞かせるこれらの事はバルド自身は周知している事柄でオスカーとも共有していた。
しかし、セルジオとエリオスへは自ら耳に入れ、体験し見聞を深める機会とするため危険回避策以外は事前情報を極力、耳に入れない様にしていた。
初めて目にする大型商船、初めて耳にした交易航路の改革にセルジオとエリオスは目を輝かせる。
エデルが指し示す倉庫を馬上から眺め、王国内で流通する商品に興味津々の様子だった。
「これらの指揮は全て我が騎士団団長ブレン様が執っております。仕組みを整えられたのは確かにご当主マルギット様です。しかし、日々の運営は全てブレン様です。それぞれがそれぞれの役割を認識し、一人一人が自主的にどんな些細な違和感をも逃しません」
「最新の情報と状態、状況を共有し理を逸脱することなく皆が行動すれば自ずと望む統制が取れます。ブレン様が何より大事とされていることです」
エデルは団長ブレンの人となりと能力の高さを誇らしげに語った。
「ブレン様が事ある毎に申されます。財は分け与えるものでも奪うものでもない。皆で生み出すものだと。その為には異なる考えを持つ者、異なる行いをする者と多く関わり、耳を傾け、よくよく観察し、その者を知る事が肝要だと。されば争うことなく、失うことなく、双方が財を生み出すことができると」
エデルはここでセルジオとエリオスへ目を向けた。
「ブレン様は青き血が流れるコマンドールの再来と謳われるセルジオ殿と守護の騎士殿にお会いするのを心待ちにしておりました。青と赤の因縁。100有余年も前のことを今も尚、セルジオ騎士団とマデュラ騎士団が争っているかの様に囁かれております」
「皆が口々に我らマデュラ騎士団を蔑み、忌み嫌い、裏切り者と揶揄致します。いえ、騎士団だけではございません。マデュラ領に住まう民たちまで、その対象となっております。我らがどれだけ歩み寄り、理を逸脱せずに立ち回わろうとも払拭することは叶いません。それ故、ブレン様はこの度のセルジオ殿ご一行の来訪を心待ちにされていたのです」
「我が騎士団を本当に巡回して下さるのかと案じておりました。どうか、マデュラ領と我が騎士団をご存分に見聞され、ブレン様とよくよくお話し頂ければと存じます。コーエンと私が身を賭してお守り致します。さればご安心頂きたく存じます」
エデルはバルドとオスカーの警戒を怠らない様子が気が気でなかったのだろう。
マデュラ騎士団団長ブレンを筆頭に騎士団の総意であると言った口ぶりで語り馬上で深々と頭を下げた。
エデルの言葉でバルドはマデュラ子爵領北城門に出迎えたコーエンが「ご安心下さい」と強調していた言葉に納得がいった。
セルジオ騎士団団長やラドフォール騎士団団長アロイスと同じようにマデュラ騎士団団長ブレンも青と赤の因縁に終止符を打ちたいと願っている様だ。
ただ、団長ブレンの願いがそのまま当主の願いとは言えない。
現当主マルギットは既に直接的に3回、間接的に2回セルジオの命を狙い行動を起こしている。
しかもセルジオの実父ハインリヒに黒の影を植え付け、セルジオの命を取る事があたかも国王が認めた公然の事実だと言わんばかりに振舞っている。
今のエデルの話しぶりからセルジオの命が狙われた事実をマデュラ騎士団団長以下が把握しているのかは定かではない。
勿論、公の事としていないのだから知っていたとしても知らない素振りをされればそれまでだ。
知っていてあえて触れないのか、それとも本当に何も知らないのか。
バルドはマデュラ騎士団団長ブレンの真意を探る必要があると感じていた。
カコッカコッカコッ・・・
カコッカコッカコッ・・・
エデルの後に続き、河岸に設置された倉庫の間を抜けると左手に森、右手の城壁に挟まれた狭い石畳の道へと繋がっていた。
「ここからは見えませんが、左手の森の上部がマデュラ騎士団城塞となります。エンジェラ河岸壁の頂上に位置し、交易航路の灯台の役目も担っております。まあ、今は安全のたた、夜間に航行する商船はございませんが、かつて小型商船だけの交易であったころの名残をそのまま残しているのです」
セルジオはチラリと森の上部へ目をやった。
木々の間から所々岸壁の岩肌がのぞいているが、城塞は見えなかった。
先を行くエデルへ目を戻すと石畳の先に門が見える。
エデルが後ろを振り返り門を差し示した。
「マデュラ騎士団城塞南門になります。船着き場に多くの騎士と従士を配置させますから我が騎士団城塞門はこの南門と東門の二か所のみとなります。所領門は王国の定めた通り東西南北に四か所ございます」
各貴族所領門、騎士団城塞門はそれぞれが砦の役目も担っている。
所領の広さや騎士団の規模によっても異なるが一つの門に概ね5名から10名程度の騎士と従士が配置される。
マデュラは子爵家で準男爵家は7家門、騎馬の隊長が7名であるから騎士と従士、見習いと世話人等を合わせて騎士団の所属人員は80名から100名だ。
所領門と城塞門の六ケ所の守護だけで手一杯になるはずだ。
しかも、船着き場で荷積みをしていた人夫50名程度の内半数以上が明らかに戦闘訓練を受けた者の動きをしていた。
マデュラ子爵家とマデュラ騎士団は元々、王国が定める法制度や役割、規律や戒律から逸脱した所が散見される。
しかし、シュタイン王国建国時にエフェラル帝国から移ってきた家名ということもあり、ある程度容認されている所があった。
騎士団所属以外の者が受けられる戦闘訓練も規制の対象となる。
先ほど目にした人夫の動きは荷運び商会の者等が身につける護身術のそれを遥かに超えているものだった。
王都騎士団総長へ義務付けられている各貴族騎士団の力量を測る届出内容、騎士、従士の数、年齢、夫々の力量と剣をはじめとする武具の種類と数、金銀と食糧の蓄え、馬の飼育状況、遠征を考えた装備品等と齟齬が見られる可能性が高い。
バルドとオスカーは貴族騎士団巡回の裏の目的である『騎士団が持つ戦力の調査』が最も必要と考えていたマデュラ騎士団で到着早々に綻びが見られるのではと顔を見合わせる。
お互いに小さく頷き合うと石畳の先に見える南門へ目を向けるのであった。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂きありがとうございます。
マデュラ騎士団城塞内を説明を受けつつ進むセルジオ達一行。
セルジオ騎士団西の屋敷を出発する際に課せられた『騎士団巡回の目的』を再度、認識しあいます。
果たしてマデュラ騎士団の実態は・・・・
騎士団巡回の目的が記された回は
第2章 第43話 インシデント40:騎士団団長の策略
と、なります。
私もバルドとオスカーと共に目的を再度、認識しました。
次回もよろしくお願い致します。
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