136 / 216
第3章:生い立ち編2 ~見聞の旅路~
第73話 黒い噂
しおりを挟む
アロイスは机上に広がる地図へ目を落とした。
コツンッ!
鞘に収まる短剣でクリソプ男爵領東門を指し示した。
「バルド殿とオスカー殿が滞在されていますクリソプ騎士団従士棟は東門西側でしたね?」
バルドとオスカーへ視線を向ける。
「はい、左様にございます。東門西側の2階に一部屋お借りしております」
バルドが右手で滞在場所を指し示した。
「4階まである城壁へ従士棟西側2階からは一旦、1階に下りなければなりませんね?」
「はい、左様にございます。従士棟東側は城壁へ通じる通路が各階に設けられておりました。西側は警護の主要というよりは、待機場として使われている様です。東門警護の交代要員は従士棟東側につめ、西側は所領内を巡回する要員がつめている様でした」
バルドは滞在中のクリソプ騎士団従士棟内部の様子をアロイスへ伝える。
「そうですか・・・・ラルフ、そなたが調べた事柄をバルド殿とオスカー殿に話してくれぬか」
アロイスはラドフォール騎士団、影部隊隊長ラルフの調査結果をバルドとオスカーへ話す様に指示する。
「はっ!承知致しました。我が影部隊の役目も交えてお伝えしてもよろしいですか?」
「そうだな。その方がバルド殿、オスカー殿も動きやすいであろう。頼む」
「はっ!」
アロイスの言葉にラルフは左手を胸にあて、軽く頭を下げた。
「ではまず、クリソプ男爵領東門と王国東門の関係からお話し致します」
ラルフは机上の地図を指し示しながら丁寧に話し出した。
「クリソプ男爵領東門を出て、街道を進みますとシュタイン王国東門がございます。国外へ出る積み荷は、王国東門で最終検査が行われます。王国東門の警護を担っているのが、王国東側に所領を預かる4男爵です。1年毎の交代制で4年に一度、警護の役目が回ってくることになります」
ラルフはここでアロイスの顔を見る。話しを進めてよいかの確認だった。
アロイスが静かに頷くとラルフは話しを続けた。
「そして、今年に入り役目を担っていますのがクリソプ騎士団です」
ラルフはバルドとオスカーの顔を見る。2人の表情に変化が見られないことを確認する。
バルドとオスカーも既に調べがついているであろうことが窺えた。
ラルフは続ける。
「シュタイン王国では、8の禁忌が厳しく定められておりますが、罰は各貴族家名に委ねられています。それ故、王国、王家への直接的な利害がない場合は、王家や他貴族から責めを負う事がございません。ただし・・・・」
ラルフは語気を強めた。
「ただし、確証が得られた場合は別です。8の禁忌を犯した確たる証拠があれば、王家と18貴族当主会談、18貴族騎士団団長会談で罰を問うことができます。ラドフォール公爵家が我ら影部隊を騎士団とは別に編纂し、王国内外を自由に行き来できるよう組織体制を敷きましたのは、8つの禁忌を犯した者の確証を得る為です」
「8つの禁忌の内で最も重い罪は奴隷売買です。次に剣や短剣、弓矢を含めた武具を国外へ流出することです。シュタイン王国の武具は魔力を付与した物がほとんどです。シュタイン王国の騎士や従士の強さの秘訣は魔力を付与した武具を携えていることも理由の一つです。そして、次に重い罪は毒を含んだ薬草売買です。人を惑わし中毒性があるアヘンはその際たるものです」
ラルフは地図を厳しく見つめた。
「8つの禁忌の内、この3つの禁忌を犯しているのがクリソプ男爵です。クリソプ男爵の黒い噂と言われるものです」
「この黒い噂は4年の周期で盛衰を繰り返しています。クリソプ騎士団が王国東門の警護を担う周期と重なっています」
「アロイス様がそこに目をつけられました。クリソプ騎士団より申請のあった新調される剣に追跡魔術を施す様、ウルリヒ様へ執成しされたのです。追跡魔術を付与した剣をラドフォール騎士団大地の城塞、土の魔導士に追跡させました。そして、遂に国外へ出る剣の動きを掴んだのです」
ラルフは一つ一つの話しを丁寧にバルドとオスカーの表情を確認しながら進めた。
「クリソプは、アドラー殿が率いる騎士団本体とクリソプ男爵の私兵が編成されています。バルド殿とオスカー殿もクリソプ男爵領北門に駐在していますクリソプ男爵の私兵をご覧になられたかと存じます。私兵といえど王都騎士団総長より叙任を受けた騎士と従士です。それゆえ、武具の調達はクリソプ騎士団の名を使います。アドラー殿の知らぬ所で武具の調達がクリソプ騎士団の名を用いて行われているのです。この件も18貴族の団長会談でアロイス様が指摘をされている所ではありますが、一向に是正される様子がありません」
「また、王国東門を警護しているのもクリソプ男爵の私兵です。クリソプ騎士団は男爵領の所領東門は警護をしておりますが、王国東門は手出しができぬとここでも他力本願の帰来が見受けられます」
アロイスは厳しい表情でラルフの話を聞いていた。話しの途中で何度も血香が醸し出されている。
バルドとオスカーはアロイスの姿に驚き、顔を見合わせる。
感情を表に出さない騎士団団長がここまで怒りを露わにするのは珍しい事だったのだ。
ラルフは血香を醸し出すアロイスへチラリと目を向けつつ話しを進めた。
「アロイス様がお心を痛めておいでの所以です。己が出せる最大限の力を込めることも知略を巡らすこともなく、他者へ助けを求める姿がシュタイン王国の貴族騎士団団長の姿にあってはならぬことです。もはや、騎士を名乗ることすら憚れて当然のこととお心を痛めておいでなのです」
ラルフは怒りが露わになったアロイスへ目を向け、心を痛めていると慮った。
アロイスはラルフの言葉に姿勢を正し、一つ深く息を吐いた。
ラルフは続ける。
「ここまでが、クリソプ男爵領と騎士団の現状です。ここからは我が影部隊の動きとバルド殿、オスカー殿にお力をお借りしたい所となります」
ラルフは左手を胸にあて、バルドとオスカーへ軽く頭を下げた。
「一週間後、ラルフ商会へクリソプ男爵からの荷運びの依頼がありました。シェバラル国へ果実酒と薬草を運んで欲しいとの事で、荷馬車4台分です。いささか量が多く、ここで奴隷とアヘンが運び出されると踏んでいます。我ら影部隊の精鋭が荷馬車を引きますが、バルド殿とオスカー殿に同道願いたいのです。万が一、シェバラル国より戻れぬ事態になりましたらお2人には事の次第をすぐさまアロイス様へお伝え頂きたいのです。その間、セルジオ様とエリオス様は見聞を深めることとしてラルフ商会で滞在して頂きます。アロイス様が密かに滞在している宿にてお2人の安全は我らでお守り致します。バルド殿、オスカー殿、お願いできますか?」
ラルフは神妙な面持ちで2人の顔を見つめた。
アロイスが口を開く。
「バルド殿、オスカー殿、危険なことと重々承知しています。されど、この役目をお願いできますのはバルド殿とオスカー殿以外にいないのです。影部隊の表の顔はあくまで民です。幾人かが腕が立つのであれば疑念も抱くことはないと思いますが、手練れの集団となれば話は別です。これまで、18貴族所領に根付いてきたことが無になります。何とかお力をお借りできませんか?」
アロイスは熱い視線をバルドとオスカーへ向けた。
バルドとオスカーは顔を見合わせ頷くと同時に呼応した。
「はっ!アロイス様、ラルフ殿、我らへ黒い噂の白日の下に晒す役目の一端をお
与え頂き、感謝申します。東の歪みを正すことの一助になれれば幸いにございます。どうぞ、同道させて下さい」
ガタンッ!!
スッ!
バルドとオスカーは椅子から立ち上がるとその場でかしづいた。
アロイスとラルフは顔を見合わせる。
「バルド殿っ!オスカー殿っ!感謝申します。これで東の歪みを正すことができますっ!」
アロイスはバルドとオスカーへ駆け寄り、かしづく2人の肩へ手をかけた。
「バルド殿、オスカー殿、お2人と役目をご一緒できること光栄に存じます。誉高きセルジオ騎士団第一隊長に仕えられたお2人、そして、青き血が流れるコマンドールの守護の騎士であられるお2人のお力添えがあれば我が影部隊も持てる力以上のことが成し得るというもの。感謝申します」
ラルフはアロイスの後ろでかしづいた。
「では、一週間後のこと、詰めのお話しはまた日を改めます。そろそろ、表のラルフ商会主が気をもんでいるころでしょう。お帰りの際、地下回廊が道を示してくれます。明かりが灯る道をお進みください」
アロイスがバルドとオスカーの帰り支度を促す。
「はっ!アロイス様、感謝申します。では、これにて失礼致します」
バルドとオスカーは立ち上がるともと来た地下回廊を急ぎ戻るのだった。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂き、ありがとうございます。
「他力本願」・・・・
他者への依頼と力(能力)を借りる時、相応の対価が発生します。
対価の発生がないものが「他力本願」なのではないか?と思っています。
表からだけでは映しだされない人となりが団長アドラーの言動でよく解るなぁ~と思ったりして。
晴れて東の歪みを正す事ができるのか?
次回もよろしくお願い致します。
コツンッ!
鞘に収まる短剣でクリソプ男爵領東門を指し示した。
「バルド殿とオスカー殿が滞在されていますクリソプ騎士団従士棟は東門西側でしたね?」
バルドとオスカーへ視線を向ける。
「はい、左様にございます。東門西側の2階に一部屋お借りしております」
バルドが右手で滞在場所を指し示した。
「4階まである城壁へ従士棟西側2階からは一旦、1階に下りなければなりませんね?」
「はい、左様にございます。従士棟東側は城壁へ通じる通路が各階に設けられておりました。西側は警護の主要というよりは、待機場として使われている様です。東門警護の交代要員は従士棟東側につめ、西側は所領内を巡回する要員がつめている様でした」
バルドは滞在中のクリソプ騎士団従士棟内部の様子をアロイスへ伝える。
「そうですか・・・・ラルフ、そなたが調べた事柄をバルド殿とオスカー殿に話してくれぬか」
アロイスはラドフォール騎士団、影部隊隊長ラルフの調査結果をバルドとオスカーへ話す様に指示する。
「はっ!承知致しました。我が影部隊の役目も交えてお伝えしてもよろしいですか?」
「そうだな。その方がバルド殿、オスカー殿も動きやすいであろう。頼む」
「はっ!」
アロイスの言葉にラルフは左手を胸にあて、軽く頭を下げた。
「ではまず、クリソプ男爵領東門と王国東門の関係からお話し致します」
ラルフは机上の地図を指し示しながら丁寧に話し出した。
「クリソプ男爵領東門を出て、街道を進みますとシュタイン王国東門がございます。国外へ出る積み荷は、王国東門で最終検査が行われます。王国東門の警護を担っているのが、王国東側に所領を預かる4男爵です。1年毎の交代制で4年に一度、警護の役目が回ってくることになります」
ラルフはここでアロイスの顔を見る。話しを進めてよいかの確認だった。
アロイスが静かに頷くとラルフは話しを続けた。
「そして、今年に入り役目を担っていますのがクリソプ騎士団です」
ラルフはバルドとオスカーの顔を見る。2人の表情に変化が見られないことを確認する。
バルドとオスカーも既に調べがついているであろうことが窺えた。
ラルフは続ける。
「シュタイン王国では、8の禁忌が厳しく定められておりますが、罰は各貴族家名に委ねられています。それ故、王国、王家への直接的な利害がない場合は、王家や他貴族から責めを負う事がございません。ただし・・・・」
ラルフは語気を強めた。
「ただし、確証が得られた場合は別です。8の禁忌を犯した確たる証拠があれば、王家と18貴族当主会談、18貴族騎士団団長会談で罰を問うことができます。ラドフォール公爵家が我ら影部隊を騎士団とは別に編纂し、王国内外を自由に行き来できるよう組織体制を敷きましたのは、8つの禁忌を犯した者の確証を得る為です」
「8つの禁忌の内で最も重い罪は奴隷売買です。次に剣や短剣、弓矢を含めた武具を国外へ流出することです。シュタイン王国の武具は魔力を付与した物がほとんどです。シュタイン王国の騎士や従士の強さの秘訣は魔力を付与した武具を携えていることも理由の一つです。そして、次に重い罪は毒を含んだ薬草売買です。人を惑わし中毒性があるアヘンはその際たるものです」
ラルフは地図を厳しく見つめた。
「8つの禁忌の内、この3つの禁忌を犯しているのがクリソプ男爵です。クリソプ男爵の黒い噂と言われるものです」
「この黒い噂は4年の周期で盛衰を繰り返しています。クリソプ騎士団が王国東門の警護を担う周期と重なっています」
「アロイス様がそこに目をつけられました。クリソプ騎士団より申請のあった新調される剣に追跡魔術を施す様、ウルリヒ様へ執成しされたのです。追跡魔術を付与した剣をラドフォール騎士団大地の城塞、土の魔導士に追跡させました。そして、遂に国外へ出る剣の動きを掴んだのです」
ラルフは一つ一つの話しを丁寧にバルドとオスカーの表情を確認しながら進めた。
「クリソプは、アドラー殿が率いる騎士団本体とクリソプ男爵の私兵が編成されています。バルド殿とオスカー殿もクリソプ男爵領北門に駐在していますクリソプ男爵の私兵をご覧になられたかと存じます。私兵といえど王都騎士団総長より叙任を受けた騎士と従士です。それゆえ、武具の調達はクリソプ騎士団の名を使います。アドラー殿の知らぬ所で武具の調達がクリソプ騎士団の名を用いて行われているのです。この件も18貴族の団長会談でアロイス様が指摘をされている所ではありますが、一向に是正される様子がありません」
「また、王国東門を警護しているのもクリソプ男爵の私兵です。クリソプ騎士団は男爵領の所領東門は警護をしておりますが、王国東門は手出しができぬとここでも他力本願の帰来が見受けられます」
アロイスは厳しい表情でラルフの話を聞いていた。話しの途中で何度も血香が醸し出されている。
バルドとオスカーはアロイスの姿に驚き、顔を見合わせる。
感情を表に出さない騎士団団長がここまで怒りを露わにするのは珍しい事だったのだ。
ラルフは血香を醸し出すアロイスへチラリと目を向けつつ話しを進めた。
「アロイス様がお心を痛めておいでの所以です。己が出せる最大限の力を込めることも知略を巡らすこともなく、他者へ助けを求める姿がシュタイン王国の貴族騎士団団長の姿にあってはならぬことです。もはや、騎士を名乗ることすら憚れて当然のこととお心を痛めておいでなのです」
ラルフは怒りが露わになったアロイスへ目を向け、心を痛めていると慮った。
アロイスはラルフの言葉に姿勢を正し、一つ深く息を吐いた。
ラルフは続ける。
「ここまでが、クリソプ男爵領と騎士団の現状です。ここからは我が影部隊の動きとバルド殿、オスカー殿にお力をお借りしたい所となります」
ラルフは左手を胸にあて、バルドとオスカーへ軽く頭を下げた。
「一週間後、ラルフ商会へクリソプ男爵からの荷運びの依頼がありました。シェバラル国へ果実酒と薬草を運んで欲しいとの事で、荷馬車4台分です。いささか量が多く、ここで奴隷とアヘンが運び出されると踏んでいます。我ら影部隊の精鋭が荷馬車を引きますが、バルド殿とオスカー殿に同道願いたいのです。万が一、シェバラル国より戻れぬ事態になりましたらお2人には事の次第をすぐさまアロイス様へお伝え頂きたいのです。その間、セルジオ様とエリオス様は見聞を深めることとしてラルフ商会で滞在して頂きます。アロイス様が密かに滞在している宿にてお2人の安全は我らでお守り致します。バルド殿、オスカー殿、お願いできますか?」
ラルフは神妙な面持ちで2人の顔を見つめた。
アロイスが口を開く。
「バルド殿、オスカー殿、危険なことと重々承知しています。されど、この役目をお願いできますのはバルド殿とオスカー殿以外にいないのです。影部隊の表の顔はあくまで民です。幾人かが腕が立つのであれば疑念も抱くことはないと思いますが、手練れの集団となれば話は別です。これまで、18貴族所領に根付いてきたことが無になります。何とかお力をお借りできませんか?」
アロイスは熱い視線をバルドとオスカーへ向けた。
バルドとオスカーは顔を見合わせ頷くと同時に呼応した。
「はっ!アロイス様、ラルフ殿、我らへ黒い噂の白日の下に晒す役目の一端をお
与え頂き、感謝申します。東の歪みを正すことの一助になれれば幸いにございます。どうぞ、同道させて下さい」
ガタンッ!!
スッ!
バルドとオスカーは椅子から立ち上がるとその場でかしづいた。
アロイスとラルフは顔を見合わせる。
「バルド殿っ!オスカー殿っ!感謝申します。これで東の歪みを正すことができますっ!」
アロイスはバルドとオスカーへ駆け寄り、かしづく2人の肩へ手をかけた。
「バルド殿、オスカー殿、お2人と役目をご一緒できること光栄に存じます。誉高きセルジオ騎士団第一隊長に仕えられたお2人、そして、青き血が流れるコマンドールの守護の騎士であられるお2人のお力添えがあれば我が影部隊も持てる力以上のことが成し得るというもの。感謝申します」
ラルフはアロイスの後ろでかしづいた。
「では、一週間後のこと、詰めのお話しはまた日を改めます。そろそろ、表のラルフ商会主が気をもんでいるころでしょう。お帰りの際、地下回廊が道を示してくれます。明かりが灯る道をお進みください」
アロイスがバルドとオスカーの帰り支度を促す。
「はっ!アロイス様、感謝申します。では、これにて失礼致します」
バルドとオスカーは立ち上がるともと来た地下回廊を急ぎ戻るのだった。
【春華のひとり言】
今日もお読み頂き、ありがとうございます。
「他力本願」・・・・
他者への依頼と力(能力)を借りる時、相応の対価が発生します。
対価の発生がないものが「他力本願」なのではないか?と思っています。
表からだけでは映しだされない人となりが団長アドラーの言動でよく解るなぁ~と思ったりして。
晴れて東の歪みを正す事ができるのか?
次回もよろしくお願い致します。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる