とある騎士の遠い記憶

春華(syunka)

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第3章:生い立ち編2 ~見聞の旅路~

第37話:バルドとオスカーの思い出譚

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バサッバサバサッ・・・・
ピィィィィーーーー

「頼んだぞ、カイ・・・・」

バルドは火焔の城塞の滞在部屋窓からポルデュラの使い魔カイに手紙を託した。
王都城壁訓練施設にいるポルデュラとベアトレス宛だった。

エステール伯爵家セルジオ騎士団団長と第一隊長ジグランへは水の城塞麓の修道院から状況報告の書簡をカイに託していた。

どちらへもセルジオの青き血の目覚めと騎士団入団前の次世代の騎士団団長と騎馬の隊長の見聞の旅は知力、体力、忍耐力、見識力、傾聴力、判断力等訓練施設では得ることが難しい実戦に近い学びがあり成長に極めて有効があると綴っていた。

最後にセルジオとエリオスの状況と変化を表情や言葉の使い方、食の進み具合まで事細かに書き記す。
そして、バルドとオスカーの思いや戸惑い等の感情の起伏をも丁寧に綴るのだった。

手紙はセルジオとエリオスが眠りについた後、それまでの出来事を思い返し綴る。最低でも3日に一度はセルジオ騎士団団長と第一隊長ジグラン、そしてポルデュラとベアトレス宛にしたためていた。

バルドは手紙にしるす内容が回を重ねるごとに長く、文章に深みが増していると感じていた。
読み返しふふっと独り笑う。

「騎士団に所属していた頃の手紙は簡潔な状況報告のみだった。
まさか、己とオスカー殿の感情までをも何の躊躇ちゅうちょもなく
しるすことになろうとは思いもしなかったな」

独りポツリと呟く。

『4年前、セルジオ様の訓練施設同行従士を仰せつかった時には
思いもよらぬことばかりだ・・・・』

何より自身の変化を著しく感じている。
ベットで眠るセルジオに目を向けると燭台の明かりに照らされた寝顔があまりに愛おしくそっと近づく。

ふっくらと柔らかな頬を手の甲で二三回なでると顔を近づけセルジオの頭に口づけをした。

「セルジオ様、
今宵も夢の中で初代様と青き血の訓練ですか?
どうか、眠りの中だけでも幼子のままでお過ごし下さい」

自分にはこんなにも誰かを愛しむ“愛“と言う『感情』があったのかとバルドは事あるごとにポルデュラの言葉を思い出す。

『心の土壌は日々の行いで肥沃となろう』

セルジオの寝顔を見つめ額に優しく口づけをする。

「よく、お休み下さい」

一言告げると再び文机に向かった。

ゴソッゴソッ・・・・

「バルド殿、手紙はまだかかりますか?」

セルジオが眠る隣のベットでエリオスを抱え眠っていたオスカーが起き上がる。
バルドはセルジオとエリオスが目を覚まさない様、小声でオスカーに呼応する。

「いえ、ポルデュラ様とベアトレス殿への手紙は書き終えました。
夜が明けましたらカイを遣わします。
文机の片づけをいたそうと思い・・・・」

バルドはセルジオの寝顔が愛おしく片づけが途中になっていた文机に目をやる。

オスカーは文机をチラリと見ると「では・・・・」と一言告げ明かりが消えた続きの間へ向かった。

燭台を手にし、戻ると文机の上にある燭台のロウソクから火を移す。

「バルド殿、
あちらで少し話をしませんか?
訓練施設では勿論のこと、西の屋敷や水の城塞に滞在しましたが、
語らう時がありませんでした。
セルジオ様もエリオス様もよくお休みですからいかがでしょう?
先程、カルラ様から頂いた火焔の城塞の白葡萄の果汁を頂きながら・・・・」

オスカーが優しい眼差しをバルドへ向ける。

「そうですね。
この様な穏やかな夜はなかなかありませんね。
文机の片づけをしましたら続きの間へまいります」

バルドの返答にオスカーは頷くと燭台に灯したロウソクの火が消えない様にゆっくりと続きの間へ入っていった。


カチャッカチャッ・・・・
トプットプットプッ・・・・

オスカーは続きの間のテーブルに燭台を置くと銀杯に白葡萄の果汁を注ぐ。

トサッ!

明かりと飲み物の準備をすると長椅子に腰かけた。

バルドを待つ間、珍しくぼんやりと白葡萄の果汁が入った銀杯を眺める。
ふとセルジオ騎士団城塞、西の屋敷に従士見習いとして入団した頃の事を思い出した。

『そう言えば・・・・
入団したばかりの頃、従士部屋で・・・・』

サッサッ・・・・

「オスカー殿、お待たせを致しました。
白葡萄の果汁の準備、感謝申します」

バルドが文机の片づけを終え、続きの間へ入ってきた。

オスカーは咄嗟に顔を上げる。

「はっ!・・・・いえ、とんでもございません」

突然に名前を呼ばれ思わず指示に対する呼応が口をついて出た。
バルドはおやっ?と怪訝けげんそうな顔をする。

「オスカー殿、いかがされましたか?
その様にぼんやりと・・・・お珍しいですね」

バルドは表面上は柔らかな雰囲気を携えているものの中身は常に気をはり巡すオスカーの珍しく気が抜けた様子に驚く。

「ははは・・・・すみません。
昔を思い出していました」

バルドへ懐かしそうな目を向ける。

「昔ですか?いつの頃の事を思い出されていたのですか?
もしや先程の蒼玉の共鳴でお身体の具合でも悪くなりましたか?」

バルドは心配そうに言うとテーブルを挟んでオスカーの前の椅子に腰を下した。

「いえ、大事ございまません。
ロウソクに照らされた白葡萄の果汁を眺めていましたら・・・・
セルジオ騎士団に入団したばかりの頃をふと思い出しました。
バルド殿と出会った頃のことです。
今のエリオス様より一つ二つ年長でした」

バルドとオスカーは銀杯を手にするとカチンっとできるだけ音がならない様に杯を交わした。

「あの頃は騎士団城塞の様子が全く掴めずに
バルド殿に助けて頂くばかりでしたね」

オスカーは銀杯を口元に近づけるとそっと白葡萄の果汁をすすった。

「そうでしたか?
私はオスカー殿を助けなどした覚えがありませんが・・・・」

バルドははて?と首をかしげる。
バルドの仕草にオスカーが微笑みを向けた。

「バルド殿と従士棟で同じ部屋だった頃のことです。
覚えていませんか?勝手がわからずうまやの掃除当番で遅くなり、
昼食も夕食も摂れずに腹をすかせて部屋に戻った時のことです」

「その様な事がありましたか・・・・
う~ん、全く思い出せずにすみません」

バルドは申し訳なさそうに銀杯を口元に運びオスカーに答える。
オスカーはふふふっと笑い思い出話しをはじめた。




ザザッザザッ・・・・
ザザッザザッ・・・・

厩の馬房の干し草を整えていると少し離れた所で同じ様に干し草を整えている少し年長の従士見習い数人がブツブツと文句を言う声が聞えた。

「全く!団長の肝いりだか何だかしらないがっ!
まともに馬房の掃除もできないやつを入団させるなんてっ!
こっちの身にもなってみろっって言うんだっ!
あいつと同じ当番になるとこっちの仕事が増えるばかりだっ!」

「まぁ、そう言うなよ、ファビアン。
元々小麦農家の息子だそうだぞ。
だから小麦しか扱ったことがないんだ。
慣れるまで面倒みてやるのが俺たちの役目だろう?」

ピクリッ!

オスカーは小麦農家の息子と聞いて文句の相手が自分であると認識する。
干し草を整える手が止まる。耳が文句が聞こえる方へ向いた。

「それでもだっ!要領が悪すぎる。
覚えも悪いし、何より身体が貧弱だ。
だから動きも悪い。愛想だけがいいのが余計に腹が立つんだよっ!」

「そうだよなぁ。それは言えるよな。
この間なんて、ジグラン様が直接話し掛けられていたんだぞ。
どうだ?困った事はないか?なんて優しく話し掛けていた。
あれはないよなぁ~。俺たちは訓練の時以外で話をしたこともないのになっ!」

「しかも名前がまた腹立たしいんだっ!
オスカーだぞっ!農家の息子のくせに。
『神の槍』だぞっ!俺なんかファビアンだぞっ!
『豆を育てる者』だぞっ!」

「そりゃ、ファビアンの家も農家だからなっ!
しかも小麦とインゲン豆の栽培をしてるじゃないか。
名前の通りじゃないか」

「ボリスっ!それを言うなよ。
まぁ、俺も最初は勝手がわからずに苦労したけどなっ!
それでも、腹が立つんだよっ!あいつはっ!」

「それは嫉妬だな。
お前、ジグラン様のこと好きだろう?
だからあいつが気に入らないんじゃないのか?」

「うるさいっ!悪いかっ!
ジグラン様は何と言っても第一隊長だからなっ!
あーーー俺はジグラン様の第一隊の従士になりたいっ!」

「そうか、ファビアンはそろそろ所属隊の選別試験だったな!
だからか、余計にオスカーが憎らしく思うのだな」

「ラスターはどうなんだ?
ラスターも選別試験が間近だろう?
お前もオスカーが気に食わないのか?」

「う~ん、俺は別にどうでもいいな。
どの隊に入っても同じだしな。
俺たちは従士にしかなれない。
騎士にはなれないだろう?
だったらどの隊の所属になっても同じだと思っている」

「そうなのか。
俺も別にどの隊でもいいとは思っているが・・・・
ただ、バルドと一緒は避けたいな。バルドは表情がないんだ。
何を考えているのかさっぱりわからない。
口数も少なく、近づくと怖さを感じるしな。何より腕が立つ。
俺たちと同じ位の年なのに騎士や従士と一緒に訓練できるくらいだしな。
あいつとは同じ隊には入りたくないな」

カコッカコッカコッ・・・・
ヒィヒヒィィン・・・・

「おっと、そろそろ昼じゃないか?
馬のいななきが聞えた。隊長達が戻ってくるぞ。
厩番を呼んでくる。干し草を整えたのを確認してもらわないとっ!」

カチャンカチャン!!!
タタタッ・・・・

干し草用ホークを置き、走り去り際に1人がオスカーへ叫んだ。

「おいっ、オスカーいるなら後は任せたぞっ!
手ぬかりなく、干し草を整えておけよっ!
俺たちは厩番に掃除が終わったと伝えたら食堂に行くからなっ!
お前も早くこいよっ!食事にありつけなくなるぞっ!」

オスカーの顔も見ず、返事も聞かずに3人は走り去っていった。

3人がいた馬房に行くと干し草用ホークが壁に立てかけたままになっている。
オスカーは干し草用ホークを3本、抱えて厩の隣にある倉庫へ向かった。

カチャン
カチャン
カチャン

所定の場所に干し草用ホークを収める。
再び厩に向かうとセルジオ騎士団第一隊と第二隊が西の砦の巡回から戻ってきた所だった。

カコッカコッカコッ・・・・
カコッカコッカコッ・・・・

第一隊長ジグランを先頭に5騎馬騎士が続く、一番後にいた少し小さめの馬にまたがったバルドと目が合った。

バルドは既に第一隊長ジグラン配下であった。
オスカーより一つ年下ではあるが5歳からセルジオ騎士団に住まわり、団長が直々に育てていた。

厩番が5人、慌てて厩に走ってくると順次馬を受け取り、それぞれの馬房に連れていく。

バルドはヒラリッと馬から下りると馬の一つ二つなで自ら馬房へ連れだった。
オスカーの目の前を馬を引くバルドが通り過ぎる。

バルドはオスカーへチラリと目を向けた。
オスカーは同じ部屋のバルドと会えたことが嬉しく手を挙げる。

バルドは無表情のままオスカーの目の前を通り過ぎると馬房へ入っていった。


第一隊、第二隊の馬が馬房に入ると厩番から掃除が粗いと注意された。

残りの馬が戻るまで空いている馬房の干し草を整える様に言われ、オスカーは独り掃除を続けた。
厩番の確認を取り、干し草用ホークを片づけが済むと陽は傾き、夕食の時間になっていた。

セルジオ騎士団は夕食前に必ず湯殿で汚れを落とすことを習慣化していた。
一日中、干し草を整えていたオスカーは衣服も汚れに汚れていた。

夕食のため食堂に集まっているのだろう。誰もいなくなった従士棟共同湯殿で汚れを落とす。
干し草用ホークで潰れた掌のマメに湯がしみる。

じわっ・・・・

目の前がゆがんだ。
団長と第一隊長ジグランから望まれてセルジオ騎士団に入団した。
乞われて入団したことに有頂天になっていた。
特別待遇とはおもっていなかったものの団員が歓迎してくれると思っていた。
しかし、現実はどうだ。武具の扱いも当番もまともにできない。
皆の足手まといになる者に優しい言葉を掛ける者などいなかった。

オスカーは哀しいのか悔しいのかわからない涙が溢れ止まらない自分自身に戸惑う。

湯で顔を何度も流し、涙の痕が残らない様に必死だった。

カタンッ・・・・
チャポッ・・・・

湯殿の奥から人影が近づいてくる気配がする。
オスカーは顔を拭い、ぐっと涙が出るのを抑える。

気配の先へ目をやると湯殿から上がるバルドだった。
オスカーは泣いていた事を悟られまいとバルドへ声を掛ける。

「あっ、バルド殿。
上がられますか?私は今来たばかりで・・・・」

ホロリッ・・・・

バルドの顔を見上げると涙が頬を伝った。

「あっ!これは湯が目に入り・・・・」

オスカーは言い訳をしつつ涙を拭う。

バルドはオスカーの顔を見ることもなく脱衣所へ向かった。
オスカーがバルドの背中へ視線を向けるとポツリと呟く様に呼応するバルドの声が耳に入った。

「身体から水が出ると喉が渇くぞ。
湯から上がったら水を飲むといい。
お先に失礼する」

泣いている所を見られたくないと察したのか涙ではなく、身体から出た水と言い、対処法まで伝えるとバルドは去っていった。

オスカーが湯から上がると食堂棟から従士たちが戻っていた。
見張当番以外は夕食を済ますと各自部屋へ戻り、消灯までの時間各々おのおの過ごす。

読書などして知識を深める者、自室でできる鍛錬をする者、速やかに就寝する者、自室では自由が与えられていた。

セルジオ騎士団は早朝から訓練がある。規則正しい生活をすることで心身が鍛えられると伝統として守られていた。
オスカーは結局、昼食も夕食も摂れずに自室に戻った。バルドはまだ戻っていなかった。

ぐぅぅぅぅ・・・・

腹の虫が鳴いている。

「お腹・・・・空いたな・・・・
明日の昼まで我慢だな・・・・」

トプトプトプ・・・・

瓶に入った水を木製のコップに移し、ゴクゴクと喉を鳴らして飲む。

「水で腹を膨らませばよいな・・・・」

トプトプトプ・・・・

ガチャッ!

二杯目の水を飲もうとするとバルドが部屋へ入ってきた。

水を飲むオスカーをチラリと見る。

ツカツカツカッ・・・・
シュル・・・・
トサッ!

肩に斜めに掛けていた麻袋を下すと中からパン2つと水筒を取り出した。

木製のコップへ水筒の中身を注ぐ。
ほんわりと甘い香りが漂った。

「オスカー殿。昼食も夕食も摂れずにいただろう?
今日はジグラン様のお伴で私も食事を摂り損ねた。
料理長のオットー殿から頂いてきた。一緒に食さないか?」

オスカーは無表情でパンと木製のコップに入った甘い香りのする飲み物を薦めるバルドの深い紫色の瞳を見つめる。

「・・・・」

暫く声が出ずにバルドと見つめ合った。

ぐぅぅぅぅぅ・・・

「あっ!」

オスカーの腹の虫が大きな声で鳴いた。

「オスカー殿、身体は正直だ。
一緒に食そう。これは白葡萄の果汁だ。
取れたてだと言ってオットー殿が内緒で持たせてくれた。
初めてか?甘いのだぞ」

バルドは白葡萄の果汁を注いだ木製のコップをオスカーへ手渡すともう一つのコップへも白葡萄の果汁を注ぐ。

コップを手に取るとオスカーのコップにカチリっと交わらせる。

「白葡萄の果汁ができる頃に収穫祭がある。
この様に杯を交えて皆で飲むのが騎士団の習わしとなっている」

バルドはそっとコップを口元に運び白葡萄の果汁を飲んで見せる。

「甘く上手いのだぞ。
そして、腹の底から元気になる。
オスカー殿も飲まれてみてはどうだ?」

無表情ではあるが発する声も言葉も柔らかく温かい。

ホロリッ・・・

オスカーの目からまた涙がこぼれた。

「オスカー殿、大事ない。
皆、何事も初めてはある。初めては何事も上手くはいかぬ。
上手くなるには数をこなす事だ。数をこなす内に上手くも早くもなる。
扱いに慣れることこそ恐ろしいことだ」

「オスカー殿は丁寧で慎重だ。
半年もすれば私と大差なくなる。
言いたいやつには言わせておけばいい。
人知れず数をこなした者だけが己を成長させられる。
案ずるな」

バルドはパンを小さくちぎると口へ頬張る。
木製のコップを握りしめ涙を流すオスカーへパンを薦めるのだった。



バルドへ懐かしい眼を向け思い出話しをしていたオスカーの眼からホロリッと涙がこぼれる。

「おっ、これはいけませんね。
思い出話で涙が出ました」

オスカーは涙を拭う。

「バルド殿と同じ部屋でバルド殿に助けてもらわねば今の私はありません。
騎士団から逃げ出すか、餓死するか、気鬱になるか・・・・
生きてはいないかもしれませんね」

オスカーはバルドへ微笑みを向ける。

「バルド殿、感謝申します。
あの頃から共に歩んで下さり、感謝申します」

バルドも目頭を押さえていた。

「オスカー殿、私も同じです。
オスカー殿がおらねば今、こうして見聞の旅を共にはできていません。
感謝もうします」

バルドの両肩は震えていた。

「バルド殿、
あの頃は表情一つ変えずにいらしたのに今は、変わられましたね。
この様にして共に涙も流され、セルジオ様へあのように
愛おしそうに口づけをされる。
バルド殿は益々お強くなっていると感じます」

オスカーは幼い頃のバルドと騎士団で謀略の魔導士として活躍していたバルドと今、目の前にいるバルドが別人の様に変わったと感じていた。

それは心情豊かな本来のバルドが素直に自身を表現できる様になった証だと感じていた。

カチンッ!!

2人は銀杯を再び交わした。

「いついかなる時も正義と善の味方となりて、不正と悪に立ち向かう。
民を守るたてとなり、あるじてきを打つほことなる。
我、騎士である身を忘れることなかれ」

騎士叙任の誓いに声を揃える。

ふふふっと顔を見合わせ微笑むと銀杯を口元に運んだ。

火焔の城塞に到着した夜、バルドとオスカーは出会った頃の思い出とセルジオとエリオスを重ね夜明け前まで語り合うのだった。


【春華のひとり言】

今日もお読み頂きありがとうございます。

火焔の城塞に到着し、ホッと一息の回でした。

バルドとオスカーの出会いとセルジオ騎士団城塞、西の屋敷にいた頃の思い出はなし

ぐっと胸がつまりました。

昔を思い出し語らうことで更に絆が深まると感じています。

オスカーがセルジオ騎士団へ入団するキッカケとなった出来事の回は

第2章 第25話 インシデント22:従士の役目

セルジオ騎士団城塞、西の屋敷を初めて訪れた回は

第2章 第26話 インシデント23:宿命

となります。

明日もよろしくお願い致します。

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